モバイルアプリの開発費用は500万円~?開発以外にかかる費用・種類や機能による違いも解説!

モバイルアプリ開発の費用は、アプリの種類、機能、そして目的によって大きく異なります。

開発費用の詳細を理解することは、予算を適切に計画し、最終的な製品が期待通りの機能を持つために重要です。

とはいえ、どのくらいの開発費用がかかるかを理解していない方も多いのではないでしょうか。

この記事では、モバイルアプリ開発の費用について詳しく解説し、その相場と要素を紹介します。

具体的なアプリケーションの種類や、その機能によって費用がどのように変動するのかを理解し、アプリ開発にどのくらいの費用がかかるのかを理解しましょう。

目次
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監修者 武宮 太雅

東京都在住のライターです。わかりづらい内容を簡略化し、読みやすい記事を提供できればと思っています。

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    モバイルアプリの開発費用の相場1:アプリケーションの違い

    アプリケーション開発においては、開発するアプリケーションのタイプによって必要な費用が大きく異なります。

    ここでは、以下の項目に分けてアプリケーション開発にかかる費用の相場を紹介します。

    • Androidアプリ
    • iPhoneアプリ
    • ソーシャル(オンライン)ゲーム系のアプリ

    簡単に金額を知りたい方は、以下の表を参考にしてください。

    開発するアプリ かかる費用
    Androidアプリ 500万円~3,000万円
    iPhoneアプリ 500万円~3,000万円
    ソーシャル(オンライン)ゲーム系のアプリ 500万円~1億円以上

    Androidアプリ:500万円~3,000万円

    Androidアプリの開発には、一般的に300万円~3,000万円程度の費用がかかります。しかし、アプリ機能の用途が多様化するにつれて、費用もさらに高額化している傾向にあります。

    これは、消費者のニーズが複雑化し、より専門的な機能やセキュリティ対策が必要とされるからです。

    たとえば、Androidでオンラインショッピングアプリを開発する場合、商品の閲覧だけでなく、以下のような機能を統合させる必要があります。

    • 決済機能
    • ユーザーのレビュー機能
    • 推薦システム

    これらの機能を実装するためには、高度な技術と時間が必要であり、結果として開発費用が高くなる傾向にあります。

    iPhoneアプリ:500万円~3,000万円

    iPhoneアプリの開発にもAndroidと同様に、おおむね300万円~3,000万円の費用がかかるとされています。しかし、iOSアプリの場合は、デベロッパー登録料として毎年99ドル払う必要があります。

    Androidアプリの場合は、初回登録で25ドルの支払いだけなので、この点でAndroidよりも開発にかける費用は抑えなければならないということです。

    ソーシャル(オンライン)ゲーム系のアプリ:500万円~1億円以上

    ソーシャル(オンライン)ゲーム系アプリの開発には、500万円~1億円以上の費用が見積もられることが一般的です。高額な理由としては、複雑なゲームシステムの設計と、多数のプレイヤーが同時にアクセスするオンライン環境への対応を行わなければならないことが挙げられます。

    リアルタイムで進行するバトルゲームでは、サーバーとの通信遅延を最小限に抑える技術や、プレイヤー間でのデータ同期を正確に行うための高度なプログラミングが必要になります。

    そして、プレイヤーがゲーム内で交流できるチャット機能や、ゲーム内のイベントをスムーズに管理するためのシステムなど、多岐にわたる機能を実装する必要があります。

    これらの技術的な課題を克服し、ユーザーに魅力的なゲーム体験を提供するためには、多額の開発費用が必要となります。

    そのため、ソーシャルゲーム系アプリの開発は、他のアプリジャンルに比べて費用が高くなりがちです。

    しかし、計画的に開発を進め、予算管理を行うことで、適切な部分にコストをかけることができ、制作費用を抑えられます。

    モバイルアプリの開発費用の相場2:アプリの違い

    モバイルアプリと一括りに言っても、多種多様なアプリが存在し、その開発費用もアプリの種類によって大きく異なります。

    例えば、以下のような種類のアプリがあり、それぞれの特性を盛り込んで開発を行わなければなりません。

    • ショッピングカート・EC
    • 通話・メッセージアプリ
    • ツール系アプリ
    • SNS位置情報系アプリ
    • ゲーム系アプリ
    • カタログ・フリーペーパー系アプリ

    ここでは、それぞれの開発費用の相場や、費用がかかる理由について詳しく見ていきます。

    開発するアプリ かかる費用
    ショッピングカート・EC 500万円~1,500万円
    通話・メッセージアプリ 1,000万円~3,000万円
    ツール系アプリ 500万円~800万円
    SNS位置情報系アプリ 800万円~2,000万円
    ゲーム系アプリ 1,000万円~5,000万円以上
    カタログ・フリーペーパー系アプリ 500万円~1,000万円

    ショッピングカート・EC:500万円~1,500万円

    ショッピングカートやEC(電子商取引)アプリの開発費用は、一般的に500万円~1,500万円の間で変動することが多いです。

    これほど費用の幅がある主な理由は、アプリに求められる機能の複雑さや、デザインの質、さらには利用する決済システムの種類によって異なるからです。

    例えば、シンプルな商品リスト表示や基本的な決済機能を持つアプリは、開発コストを比較的低く抑えることができます。

    しかし、ユーザーの購買体験を高めるために、以下のような機能を盛り込む場合には、開発に多くの時間がかかり、費用がかかります。

    • 検索機能
    • ユーザーレビューシステム
    • 推薦アルゴリズム
    • リアルタイムの在庫管理

    また、すべてのECアプリに言えることですが、セキュリティ対策が必要不可欠となります。

    顧客の個人情報や決済情報を扱うため、高度なセキュリティ対策を講じる必要があり、この点でも開発費用がかかります。

    通話・メッセージアプリ: 1,000万円~3,000万円

    通話・メッセージアプリの開発費用は、おおよそ 1,000万円~3,000万円の範囲で変動します。

    これは、アプリに組み込まれる機能の種類や複雑さや、UIの洗練度によって大きく左右されるためです。

    たとえば、音声通話やビデオ通話、E2EEの暗号化、高度なプライバシー設定、リアルタイムのメッセージ同期といった、開発難易度の高い機能を含めると、開発にかかるコストも増加します

    また、ユーザー間での通信をスムーズかつ安全に行うために、バックエンドの部分の開発も行わなければなりません。

    リアルタイム通信(RTC)技術や大規模なデータベース管理、セキュリティ対策など、技術的な要求が高いほど、開発に必要な時間と専門知識が増え、費用がかかります。

    ツール系アプリ:500万円~800万円

    ツール系アプリとは、日常生活や業務を効率化するための具体的な機能を提供するアプリケーションのことです。具体的には、次のようなアプリをツール系アプリと呼びます。

    • 計算機
    • カレンダー
    • メモ帳
    • 天気予報
    • 翻訳

    ツール系アプリの開発費用は、300万円~800万円の範囲で変動します。費用に大きな差が生まれる理由は、機能性がシンプルなものから、複雑なものまで多岐にわたるためです。

    具体的には、計算機アプリやメモ帳アプリなど、単純な機能を持つアプリは比較的低コストで開発できる一方で、天気予報、翻訳、ファイル管理のような、高度なデータ処理を必要とするアプリは、開発費用が高くなりがちです。

    たとえば、天気予報アプリを開発する場合、リアルタイムで天気データを取得し、地域別の正確な予報を提供するためには、APIの統合の知識や、UIの知識が求められます。

    専門的な技術知識と、デザインの知識・技術が必要となり、結果として開発に費用がかかります。

    SNS位置情報系アプリ:800万円~2,000万円

    SNS位置情報系アプリの開発費用は、800万円~2,000万円の範囲で変動します。

    費用が変動する理由は、位置情報を活用した交流が複雑であるほど費用がかかるからです。

    特に、リアルタイムの位置情報共有、地図上での友達の位置表示、近くのイベントや店舗の情報提供など、高度な機能が必要になります。

    たとえば、ユーザーが友達との現在地を共有し、互いの位置を地図上で確認できるような機能を実装するには、正確なGPSデータの取得と処理、地図サービスの統合、リアルタイム通信技術が必要です。

    また、プライバシー保護のためのセキュリティ対策や、使いやすいUIの設計も必要であり、この点でコストがかかります。

    このようなアプリ開発では、技術的な挑戦に加えて、ユーザーの安全とプライバシーを保護するための厳格なガイドラインに従う必要があり、これが開発コストの増加につながります。

    ゲーム系アプリ:1,000万円~5,000万円以上

    ゲーム系アプリの開発費用は、一般的に1,000万円~5,000万円以上の範囲で変動します。

    これは、ゲームのジャンル、グラフィックの質、ゲームプレイの複雑さ、そしてマルチプレイヤー機能の有無などが挙げられます。

    簡単なパズルゲームや2Dアーケードゲームは比較的低コストで開発が可能ですが、3Dを駆使したゲームや、リアルタイムでのマルチプレイヤー対戦が特徴のゲームでは、より多くの時間と高度な技術が必要とされ、それが費用の増加につながります。

    具体的には、精密な3Dモデルや複雑な物理エンジンを要するゲームを開発する場合、専門のグラフィックデザイナーやプログラマーが必要です。

    また、サーバー側の設計も重要となり、多くのプレイヤーが同時にアクセスしても安定して動作する構築が求められます。

    カタログ・フリーペーパー系アプリ:500万円~1,000万円

    カタログやフリーペーパー系アプリの開発費用は、比較的リーズナブルな価格で開発できます。

    おおよそ300万円~1,000万円の範囲内で変動します。アプリに含まれるコンテンツの量や質、デザインの複雑さ、さらにはUIによって左右されますが、基本的には単純に情報を提供することが目的であり、あまり多くのコストを必要としません。

    例えば、商品カタログアプリでは、画像とテキスト情報を表示する基本的な機能のみが必要であり、複雑なプログラミングや高度なデザインスキルがあまり必要ありません。

    しかし、ユーザーがよりコンテンツを楽しめるよう、動画の埋め込みや、商品に関する詳細情報へのリンク、スワイプ操作によるページめくり機能などを追加する場合には、開発費用がやや増加し、100万円ほどの費用がかかります。

    モバイルアプリの開発費用の相場3:アプリ機能の種類

    モバイルアプリ開発において、アプリの機能の種類によって必要となる開発費用の相場は大きく異なります。

    各機能に特有の技術が必要で複雑になることもあり、これらが開発費用に直接影響を与えるためです。

    ここでは、様々なアプリ機能の種類別に、それぞれの開発費用の相場を詳しく解説していきます。

    OS(Android・iOS):500万円~3,000万円

    Androi・iOS向けアプリの種類によって、開発費用は一般的に500万円~3,000万円の範囲内で変動します。

    この費用の幅が存在する主な理由は、アプリの機能の複雑さ、デザインの要求レベル、そしてそれぞれのプラットフォーム特有の開発要件に依存するからです。

    たとえば、Androidは多様なデバイスと画面サイズに対応する必要があり、iOSはAppleの厳格なガイドラインに従う必要があるなど、プラットフォームごとの特性を考慮した開発が求められます。

    また、AndroidとiOSの両方にアプリをリリースする場合、それぞれのOSに最適化された開発が必要になるため、開発費用はさらに増加する傾向があります。

    ログイン機能:50万円~150万円

    ログイン機能の追加による開発費用は、一般的に50万円~150万円の範囲で変動します。

    ログイン機能自体が比較的単純な機能であり、多くのアプリが似たような基本的な認証フローを採用しているためです。

    たとえば、メールアドレスとパスワードによる基本的な認証システムは、開発が比較的シンプルで、低コストで実装が可能です。

    しかし、以下のような機能を追加すると費用が高くなることもあります。

    • SNSを利用したログイン
    • 2段階認証機能
    • 生体認証機能

    これらの機能の開発には専門的な知識が必要になり、コストがかかることもあります。

    データ利用:100万円~300万円

    データ利用機能の開発費用は、基本的なデータ操作が可能なアプリの場合は100万円~300万円の範囲で変動します。

    費用の幅が生まれるのには以下のような理由があります。

    • データの種類
    • 処理の複雑さ
    • データをどのように活用するか

    例えば、シンプルな顧客管理システムや在庫管理システムなど、基本的なCRUD(Create, Read, Update, Delete)操作を行うアプリは、開発費用を低めに抑えることが可能です。

    これに対して、ユーザーの行動データを収集し、リアルタイムで分析を行い、個々のユーザーにカスタマイズされたコンテンツを提供するようなアプリは、データ処理の複雑さが増し、高度な技術が必要とされるため、開発費用が高くなります。

    また、ビッグデータの分析や機械学習を利用した予測モデルの組み込みなど、先進的なデータ利用機能をアプリに実装する場合は、専門的な知識と技術が求められ、さらに費用が増加する可能性があります。

    プッシュ通知機能:50万円~100万円

    プッシュ通知機能の開発費用は、50万円~100万円の範囲で大きく変動します。具体的には、以下のような機能によって費用が変わります。

    • プッシュ通知の複雑さ
    • カスタマイズの度合い

    一般的な形式のプッシュ通知であれば、比較的低コストで実現可能ですが、ユーザーの行動や好みに基づいてカスタマイズされた通知を実装する場合や、リッチメディアを含む通知、リアルタイムでのイベント駆動型通知など、より高度な機能を追加すると、それに伴い開発費用は増加します。

    また、プッシュ通知機能を導入する際には、利用するプッシュ通知サービスの選定も重要な要素です。無料もしくは低コストで利用できるサービスもあれば、高度な機能や大規模な配信をサポートする有料のサービスもあり、選択したサービスによっても開発費用や運用コストが変わってきます。

    プッシュ通知は、ユーザーのエンゲージメントを高める効果的な手段ですが、その実装には慎重な計画を立て、適切な予算分配を行う必要があるでしょう。

    ユーザー体験を損なわないように、必要な機能を見極めて、コストパフォーマンスの良い方法でプッシュ通知機能を開発する必要があります。

    アプリ内の決済システム:100万円~300万円

    アプリ内の決済システムの開発費用として、100万円~300万円程度の費用がかかります。

    決済システムの複雑さ、採用する決済手段の種類、セキュリティ要件の高度さなどが変動する理由として挙げられます。

    たとえば、一括払いのみのシステムであれば開発コストを抑えることができますが、サブスクリプションモデルや複数の決済オプションを搭載した決済システムを実装する場合には、多くの開発費用が必要となるでしょう。

    また、クレジットカード情報の安全な処理や、第三者の決済サービスプロバイダーとの連携、リアルタイムでの決済処理の実現など、アプリ内決済システムを開発する際には、複数の技術的課題を克服しなければなりません。

    そして、複数の開発システムを取り入れる場合はPCI DSS(Payment Card Industry Data Security Standard)などの国際的なセキュリティ基準に準拠しなければならず、これらの要件を満たすための追加の開発作業が必要です。

    また、ユーザーにとって使いやすく、安心して利用できる決済システムを提供するためには、UIの設計にも注意を払う必要があり、その点でコストがかかります。

    デザインの作成: 50万円~200万円

    アプリのデザイン作成にかかる費用は、 50万円~200万円の範囲で大きく変動します。

    具体的には、以下のような部分に力を入れると、その分コストがかかります。

    • 複雑なデザイン
    • オリジナリティ
    • 使用するグラフィックの質
    • アニメーションの質
    • UIとUX

    また、ブランディングに一貫性を持たせ、アプリの目的に沿ったデザインを作成するためには、詳細なマーケットリサーチや、ターゲットユーザーの分析が必要となる場合があります。

    これらのプロセスを通じて開発を行うためには、コンサルティング的な指導も必要であり、追加でコストがかかります。

    チャット・メッセージ機能:20万~40万円

    チャットやメッセージ機能の開発費用は、一般的に20万円から40万円の範囲で変動します。機能の基本的な実装から、より高度なカスタマイズや追加機能を含むまでを考えると、このくらいの費用がかかります。

    最もシンプルなテキストベースのメッセージングシステムではコストを抑えることが可能ですが、以下のような機能を含める場合にはより多くのコストがかかります。

    • リアルタイムのメッセージ配信機能
    • マルチメディアメッセージのサポート機能
    • E2EE(暗号化)機能
    • UI/UXデザイン

    これらの追加機能の実装には、開発時間と専門知識が必要となり、費用がかかります。

    たとえば、基本的なテキストメッセージの機能に加えて、ユーザーが写真やビデオを共有できる機能を実装する場合、サーバー側でのデータ処理が複雑になります。

    また、リアルタイムでのチャット機能を提供するためには、WebSocketなどの技術を用いたサーバーとクライアント間の持続的な通信チャネルの確立が必要であり、これらの技術の実装には知識が必要です。

    このように、チャットやメッセージ機能をアプリに組み込む際には、様々な技術から必要なものを選ぶ必要があり、多くなるほどコストがかかります。

    他社ツールの実装:50万円~200万円

    他社ツールの実装にかかる開発費用は、一般的に50万円~200万円の範囲で変動します。これは、組み込むツールの種類や複雑さ、ライセンス料、カスタマイズの度合いによって大きく異なります。

    たとえば、サードパーティ製の支払方法をアプリに統合する際、場合によっては外部ツールのAPIを利用しなければなりません。

    そして、他社ツールのライセンス料が必要となるケースもあります。一部のツールは無料で提供されていますが、商用利用や高度な機能を利用する場合は、定期的なサブスクリプション料や一時的なライセンス購入費用が発生することがあります。

    ナビゲーション機能:50万円~200万円

    ナビゲーション機能の開発費用は、一般的には50万円~200万円の範囲で変動します。

    以下のような指標でかかるコストは変動します。

    • 複雑なデザイン
    • UI/UX
    • ナビゲーションの構造
    • アニメーションの有無

    また、ユーザーテストを実施してナビゲーションの使いやすさを評価し、必要に応じて改善を行うことで、より高い効果を発揮します。

    そのため、効果を実感するためにはいくつかのパターンを用意し、A/Bテストを行うことも効果的です。

    モバイルアプリ開発の費用を抑える方法

    Bubble(バブル)でできることと事例

    モバイルアプリ開発の費用を抑えることは、多くの企業や個人開発者にとって重要な課題です。

    費用を節約しつつも、高品質なアプリを市場に投入するためには、効率的な開発プロセスと賢明な資源配分が必要となります。

    ここでは、開発費用を抑えるための具体的な方法と、コスト削減を実現しつつもユーザーに価値を提供するアプリを開発するための戦略について詳しく解説します。

    自社で対応がしやすい作業を洗い出す

    モバイルアプリ開発の費用を抑える方法のひとつに、自社で対応できる作業を洗い出すことが挙げられます。外部に委託する必要のあるタスクと自社で可能なタスクを明確に区分けすることで、コスト削減に繋がるからです。

    たとえば、市場調査やコンセプト作成などの初期段階の作業は、社内のリソースを活用することで外部委託費用を削減できます。さらに、デザインやプロトタイプ作成のスキルが社内にあれば、その部分の作業も自社で行うことが可能です。

    この方法を取ることで、外部への依存度を減らし、プロジェクトのコントロールを強化できます。

    また、自社で対応する部分を増やすことで、社内スタッフのスキルアップにも寄与し、将来的に似たようなプロジェクトを行う際のノウハウを蓄積できます。

    このように、自社でできる作業を明確にし、適切にリソースを割り当てることで、モバイルアプリ開発の費用を抑えることが可能です。

    レベニューシェアで契約する

    レベニューシェアとは、利益を出したタイミングで費用を支払う方法のことです。レベニューシェアで契約することで、初期投資を抑えながら事業を展開することができます。

    この方法を取ることで、収益が発生した際にのみコストが発生するため、リスクを低減させつつ事業を推進させられます。

    たとえば、スタートアップの会社がモバイルアプリを開発する際に、開発会社とレベニューシェアで契約を結ぶケースを考えてみましょう。

    開発コストの全額を前払いする代わりに、アプリから得られる収益の一部を開発会社に支払うことになります。

    アプリが成功し、多くのユーザーから利用されれば、その収益から開発費用を賄いつつ、残りの収益を自社と開発会社で分け合うことができます。

    この契約形態は、特に資金調達が難しい初期段階の事業者や、リスクを抑えつつ新しい事業に挑戦したい企業にとって有効な戦略です。

    また、開発パートナーとの信頼関係を構築することや、長期的な事業展開を視野に入れることにも役立ちます。

    Webアプリを利用する

    Webブラウザを通じてインターネット上で動作するアプリケーションを使用することで、コストを抑えられます。ユーザーがWebサイトにアクセスし、ブラウザを介して操作することで、アプリを活用できます。

    Webアプリは一般的にコストを抑えられます。なぜなら、Webアプリは特定のOSやデバイスに依存しないため、一度開発すれば様々なプラットフォームで動作させることができるからです。

    例えば、iOSやAndroidなど異なるOS向けに個別にアプリを開発する場合、それぞれのプラットフォーム向けに開発言語が異なり、二重の開発コストが発生します。

    しかし、Webアプリの場合はHTML、CSS、JavaScriptなどの技術を用いて開発されるため、これらの技術があれば複数のプラットフォームに対応するアプリを一度に開発できます。

    また、ダウンロード方式のネイティブアプリの場合、アップデートを行うたびにユーザーにダウンロードを促し、インストールさせる必要がありますが、Webアプリはサーバー側でアップデートを行うだけで、すべてのユーザーに反映されます。

    もちろん、レスポンシブデザインを取り入れるといった、Web独特の操作は必要ですが、それでもWebアプリは開発とメンテナンスの両面でコストを抑えることができるため、特にスタートアップや中小企業にとって魅力的な選択肢となります。

    注意点:コスト削減だけに着目しない

    Webアプリを利用する際には、コスト削減のメリットが大きい一方で、いくつかの注意点もあります。ただコストを抑えることだけに注目するのではなく、全体的なパフォーマンスやセキュリティ、ユーザー体験も重視する必要があります。

    Webアプリはブラウザを通じて利用されるため、インターネット接続が不安定な環境では、ネイティブアプリに比べて利用者の体験が低下することがあります。

    また、デバイスのハードウェア機能へのアクセスが限られているため、カメラやGPSなどを駆使した機能をフルに活用することが難しいことに注意が必要です。

    そして、セキュリティ面においても、Webアプリはサーバーとクライアント間でデータがやり取りされることが多く、情報漏洩のリスクが高まる可能性があるため、データ暗号化や安全な通信プロトコルの使用など、セキュリティ対策にも十分注意しなければなりません。

    したがって、Webアプリの開発を検討する際には、コスト削減のメリットだけでなく、これらの制限やリスクを踏まえた上で、プロジェクトの目的やユーザーのニーズに最も合った選択をすることが重要です。

    モバイルアプリ開発の費用で注意するべき点

    モバイルアプリ開発において費用を考慮する際、ただ予算を抑えることだけに注目するのではなく、品質や将来性も見据えた投資が必要です。

    初期コストを極力抑えることは大切ですが、それによってユーザー体験が犠牲になったり、将来的にさらなるコストがかかることもあり得ます。

    また、リリース後の運用や保守にもコストが発生することも注意しなければなりません。

    ここでは、モバイルアプリの開発の費用で注意すべき点について見ていきます。

    保守・運用費がかかる:開発費の10~20%

    モバイルアプリ開発において、初期開発費用だけでなく、保守・運用費用にも注目することが重要です。

    一般的には、開発費の10~20%が後続の保守・運用に必要です。

    保守・運用費用として、以下のような費用がかかります。

    • アプリのバグ修正
    • セキュリティアップデート
    • OSのバージョンアップに伴う対応
    • ユーザーからのフィードバックを元にした機能改善や追加

    これらはアプリを安定して稼働させ、ユーザーにとって価値のあるものに保つために不可欠な操作です。

    たとえば、あるアプリの開発費が1000万円だった場合、年間の保守・運用費用は100万円から200万円が目安となります。

    保守・運用費用を見積もる際には、アプリのライフサイクル全体を通じて品質とセキュリティを維持するための投資と捉え、短期的なコスト削減に走らないことが肝心です。

    つまり、あらかじめ保守・運用費用についても考えておき、どのくらいのコストがかけられるのかを事前に理解する必要があります。

    開発費用以外にかかるコスト

    モバイルアプリ開発における初期の開発費用を把握することは重要ですが、それだけではなく、運用を開始するまでに必要な様々な追加コストにも注意が必要です。開発後の段階では、以下のような費用が必要になります。

    • ドメイン・サーバー管理費
    • SSL証明書費用
    • アプリ配布用のアカウント登録費用
    • ストア登録料
    • セキュリティ対策に関わる費用

    ここでは、これらの費用について詳しく解説します。簡潔に金額が知りたい方は、以下の表をご確認ください。

    かかる項目 かかる費用
    ドメイン・サーバー管理費 約20,000円/月
    SSL証明書費用 約50,000~100,000円/年
    アプリ配布用のアカウント登録費用 Apple developer accountの場合は11,800円/年
    Google Play developer accountの場合は一度のみ2,700円
    ストア登録料 約20,000円
    セキュリティ対策に関わる費用 20,000円〜100,000円/月

    それぞれ詳しく解説します。

    ドメイン・サーバー管理費

    ドメイン・サーバー管理費として、自社のウェブサイトやアプリのデータをホストするためのサーバーの使用料と、そのサーバーにアクセスするための独自ドメイン名の維持費を含んでいます。

    約20,000円/月が必要とされることが多いですが、この費用はサーバーのスペックやトラフィックの量、ドメインの種類などによって変動します。

    たとえば、スタートアップが新しいアプリをローンチする際には、アプリのデータを管理するバックエンドサーバーが必要になります。

    SSL証明書費用

    SSL証明書は、ウェブサイトやモバイルアプリのセキュリティを強化し、ユーザーとサーバー間の通信を暗号化するために必要なデジタル証明書です。

    導入することで、ユーザーが入力した情報の盗聴や改ざんを防ぐことができます。SSL証明書の費用は、提供されるセキュリティレベルや認証の種類によって異なりますが、一般的には50,000~100,000円/年程度が必要とされます。

    SSL証明書を導入することは、特に個人情報やクレジットカード情報など、機密性の高いデータを扱うウェブサイトやアプリにとって不可欠です。

    たとえば、オンラインショッピングサイトや金融サービスのアプリでは、SSL証明書を通じてユーザーの情報を保護することが重要です。

    アプリ配布用のアカウント登録費用

    モバイルアプリを公式のプラットフォームで配布するためには、アプリ開発者が各プラットフォームの開発者アカウントを取得する必要があります。

    この過程で、Apple developer accountの場合は年額11,800円Google Play developer accountの場合は一度のみ2,700円の登録費用が必要となります。

    特にApple developer accountは、毎年同額の更新費用が発生するため、これを予算計画に含めることが重要です。

    これらの費用は、アプリを世界中のユーザーに配布し、アプリストアのさまざまなサービスを利用するための入場料のようなものです。

    Apple App StoreやGoogle Play Storeでアプリを公開することで、信頼性の高い配布チャネルを通じてアプリをユーザーに届けることができ、アプリの可視性とアクセス性が格段に向上します。その分、コストがかかると考えておきましょう。

    ストア登録料

    公式のアプリストアに登録する際には、ストア登録料として約20,000円が必要となる場合があります。

    この費用は、アプリをアップロードし、ストアの審査プロセスを経るために支払う必要があるものです。

    一般的に、アプリの種類や提供するプラットフォームによって異なりますが、一度の支払いである場合と年間の更新が必要な場合があります。

    この費用を支払うことで、開発者はアプリを全世界のユーザーに対して公開する機会を得られ、アプリストアのさまざまなマーケティングツールや分析ツールを利用して、アプリのパフォーマンスを最適化することが可能になります。

    セキュリティ

    アプリのセキュリティ強化には、様々な対策が必要とされ、これには月額20,000円〜100,000円の範囲でコストが発生することがあります。

    セキュリティは、アプリのデータ保護やユーザーのプライバシー維持に直結しており、不正アクセスやデータ漏洩のリスクを最小限に抑えるために欠かせません。

    セキュリティ対策の費用には、以下のようなものが含められます。

    • 脆弱性診断
    • 侵入テスト
    • アップデート
    • 暗号化技術の導入
    • 不正アクセス検知システムの設置

    これらの対策は、アプリを安全に運用し、ユーザーからの信頼を獲得するために不可欠です。

    たとえば、オンラインで金融サービスを提供するアプリでは、セキュリティ対策に特に高い注意が必要です。

    ユーザーの金融情報や個人情報を保護するために、最新のセキュリティ技術を導入し、常に最新の状態に保つ必要があります。

    また、アプリの使用状況を監視し、不審な活動を検出するシステムを設けることも求められるでしょう。

    セキュリティ対策にかかる費用は、アプリの規模や取り扱うデータの性質、目的地の市場などによって異なります。セキュリティ対策の重要度に合わせて適切なコストを支払うことが大切です。

    リリース後のリスクに備える費用

    リリース後のリスクに備える費用は、アプリ開発プロジェクトの予算計画においてしばしば見落とされがちですが、アプリの長期的な成功と安定性を確保する上で非常に重要です。

    リリース後に発生しうるリスクとしては、以下のようなものがあります。

    • セキュリティの脆弱性が発見される
    • 大規模なバグがユーザーに影響を及ぼす
    • 突発的なトラフィックの増加によるサーバーのダウン

    これらのリスクに効果的に対処するために、事前に適切な予算を確保しておくことが重要です。

    リリース後のリスク対策にかかる費用としては、以下のようなものがあります。

    • セキュリティ更新
    • パッチ適用
    • 緊急時にバグを迅速に修正するための開発リソース
    • サーバーのスケーリングや負荷分散のための追加投資

    たとえば、アプリに重大なセキュリティ脆弱性が見つかった場合、その問題を解決するために専門のセキュリティチームを雇用するか、外部のセキュリティ会社に依頼することが必要になることがあります。

    これらの作業は高額なコストを伴う可能性があり、事前に予算計画に含めておくことで、迅速かつ効果的な対応が可能になります。

    また、アプリの人気が急増した場合に備えて、サーバーのキャパシティを増強するための費用も考慮に入れなければなりません。

    予想以上のトラフィックに対応できないと、サーバーがダウンし、ユーザー体験に悪影響を及ぼすことになります。クラウドサービスを活用してスケーラビリティを確保するなど、柔軟に対応できる体制を整えておくことが望ましいです。

    リリース後のリスクに備える費用は、予期せぬ問題に迅速に対応するための「保険」のようなものと考えることができます。

    アプリ開発の成功を長期にわたって維持するためには、これらのリスクに対処するための適切な計画と予算の確保が不可欠です。

    モバイルアプリ開発費用のまとめ

    この記事では、モバイルアプリ開発の費用について詳しく解説しました。

    モバイルアプリの開発費用は、アプリの内容や目的、規模によって大きく変動します。開発の初期段階から運用、保守に至るまで幅広い費用が発生し、それらを適切に予算内に組み込むことが重要です。

    また、初期コストだけでなく、リリース後のリスクに対処するための「保険」のような費用も考慮に入れるべきです。

    これらを踏まえ、モバイルアプリ開発は品質と将来性を見据えた投資と捉え、短期的なコスト削減に走らないことが肝心です。

    今回ご紹介した内容も参考に、モバイルアプリ開発にどのくらいの費用がかかるのか、理解を深めてみてください。

    また、 モバイルアプリの開発に関する質問や案件のご相談などがある場合は株式会社Jiteraへご相談ください。

    貴社の要件をしっかりとヒアリングし、必要な機能とコストを示します。弊社にご相談いただければ、求めている機能を実装でき、未来が明るくなるはずです。

    例:開発手順、ツール、プロンプト

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