自作で在庫管理システムの構築と運用はできる?手順やコスト、メリットデメリットも解説

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小中規模プロジェクトを中心にSEやコンサルとして活動。プログラミング言語の学習が趣味。

既存の在庫管理システムでは、コスト面やニーズが自社に合わない場合がしばしばあります。

そのような状況に直面している企業や個人にとって、在庫管理システムを自作する方法は大きなメリットです。

本記事では、在庫管理システムの構築方法を初心者でも理解しやすいように詳しく解説します。

在庫管理システムの自作方法を比較

自作在庫管理システムと市販のパッケージソフトを比較し、それぞれの特徴と機能について説明します。

特徴・メリット デメリット コスト おすすめの用途
エクセルでの自作在庫管理 無料で利用可能
操作が簡単
軽微な在庫管理であれば十分
データ量が多くなると操作が複雑になる
データ連携が難しい
0円 小規模な個人事業主、店舗
Accessでの自作在庫管理 エクセルよりもデータ量に対応できる
データベース機能で複雑な在庫管理が可能
拡張性が高い
プログラミング知識が必要
導入コストがかかる
数千円~数万円 中規模の店舗、業務量が多い個人事業主
プログラミングでの自作在庫管理 完全な自由度
自社のニーズに合わせたシステムを構築できる
拡張性が高い
プログラミング知識が必要
導入コストが高い
数万円~数十万円 大規模な企業、複雑な在庫管理が必要な企業
市販の在庫管理パッケージソフト 専門的な機能が備わっている
操作が簡単
セキュリティ対策がしっかりしている
導入コストがかかる
拡張性に制限がある
自社のニーズに合わない場合がある
数万円~数十万円 中規模~大規模な企業

それぞれの特徴や注意点を比較して、自社のニーズや予算に合ったものを選択することが大切です。

エクセルを使って自作在庫管理システムを構築する方法

在庫管理システム 自作

Excelを利用した在庫管理システムの自作方法を図を用いて解説します。

またテンプレートの利用やカスタマイズのポイント、構築のメリット・デメリットも紹介します。作成ステップと関数・マクロを用いたカスタマイズ方法は下記になります。

1.必要項目を入力する

在庫品目、数量、価格などの基本情報を入力するシートを作成します。列には以下を入力しましょう。

  • 品目ID
  • 品目名
  • カテゴリ
  • 入庫日
  • 入庫数
  • 単価
  • 在庫数
  • 最小在庫数
  • 在庫総額(計算用)

2.Excel関数を入力する

計算ミスや入力ミスによって在庫数などの間違いを無くすため関数を組みます。また関数を入れることでExcelが自動で、計算や入力するようになります。

Excelでよく使用する関数は下記になります。

関数名 機能
演算(加減乗算)関数 数値をもとに計算処理を行います。
IF関数 実行する処理を分岐させます。

IF関数の機能で在庫量の基準値を設定しておき、基準値を下回った場合にアラートを出します。

SUMIF関数 指定した条件に合致した場合のみ、選択範囲内の数値を合計します。
VLOOKUP関数 検索条件を指定して設定された検索範囲内から条件に合致するデータを抽出します。

3.在庫警告システムの設定・マクロを使用する

在庫数が一定以下になったら警告するシステムを設定します。条件付き書式を使用して、在庫が少なくなった際にセルの色を変えるなどがおすすめです。

繰り返し行う作業を自動化するためにマクロを記録・使用します。在庫報告書の自動生成、データの自動更新などが可能です。

  • 在庫データの自動更新
  • 定期的な在庫報告の自動生成
  • 特定の条件下でのアラートや通知
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Accessを使って自作在庫管理システムを構築する方法

Accessを利用してデータベースを構築する方法と、在庫管理に適したデータベース設計のポイントについて説明します。

1. 管理に必要なデータをピックアップする

開発目的からデータベースに必要な要素、機能を抜き出し項目にまとめておきます。また項目を整理するだけではなく、テーブル設計も事前に行い、データベースとして活用できるようにします。

2. 抜き出したデータをテーブルにまとめて属性ごとに分割する

データベース設計のポイントはデータ属性ごとにテーブルを分割し、キー情報と関連づけることです。

例えば個人情報や給与情報を分割して社員番号に関連付けることで、社員番号をもとにして個人情報、給与情報も呼び出せます。

3. 各データの種類を決める

データベースを構築するときは、入力データに応じて最適な種類の数値を設定する必要があります。

例えば基本給の金額を指定することで、データを呼び出す際に金額と入力するだけで必要なデータが見つけられます。

4. データベースを操作するユーザインタフェースを作成する

データベースを構成する要素(テーブル、レコード、フィールド)を作成して関連づけ(リレーション)まで完了したら、最後に操作画面であるユーザーインターフェースを作成します。

プログラミングを利用した在庫管理システムの自作方法

PythonやPHPを利用したプログラミングによる在庫管理システムの自作方法、コーディングの基本から応用テクニックまで解説します。

Pythonでの自作ステップとコーディングテクニック

Pythonはデータ分析にも活用される言語であり、需要予測によって必要な在庫数を割り出すシステムの開発にも適しています。

Pythonを利用した在庫管理システムの開発工程と、効率的なコーディングテクニックについて説明します。開発工程は下記になります。

Pythonをインストール

Pythonのバージョンは3.X系を推奨します。

データベースの構築

Pythonと互換性がよいSQLiteを使用します。

在庫管理システムの設計(データベース設計とフロントエンド設計)

商品名や在庫数などの情報を持つテーブル作成と在庫の確認、新規商品の追加などの機能を持たせるため画面のデザインを設計します。

在庫管理システムの導入(データベース接続・操作とフロントエンドの実装)

フロントエンドの実装では効率的にコーディングするため、PythonのWebフレームワークであるFlaskを使用し、在庫情報を表示・追加する設定をします。

在庫管理システムのテストとデバッグ

構築したシステムが実際に動作するのかテストを実施し、エラーが出た場合はデバッグを行い、エラーを解消します。

PHPでの自作ステップとデータベース連携

PHPはデータを格納するためのSQLと組み合わせれば、PHPで在庫管理システムを開発できます。

PHPを使用して在庫管理システムを開発する方法と、データベースとの連携方法について解説します。開発工程は下記になります。

データベースの作成

MySQLを用いてデータベースを作成します。

商品情報の登録

PDO(PHP Data Objects)を使い、MySQLデータベースに接続します。

在庫管理数の登録と更新

在庫管理数をデータベースに登録し、在庫数が増減した場合、在庫数を更新します。

在庫情報の表示

在庫情報を表示することで、在庫の状況を一目で確認できるようになります。

在庫警告システムの実装

在庫が既定値より下回った際にアラートを出す機能を実装します。

在庫管理システムのカスタマイズ

業務に合わせてカスタマイズすることでより使いやすく効果的な在庫管理システムになります。

またデータベースとの連携方法で重要なことは下記になります。

データベースのセキュリティ

SQLインジェクション攻撃を防ぐためにユーザからの入力を直接SQLに組み込むことを避ける必要があります。

そのためパラメータバインディング(コマンド実行時にパラメータと引数を結びつけること)を実施する必要があります。

エラーハンドリング

エラーが発生したときに適切に対処することが重要です。

例としてデータベースへの呼び出しが失敗した場合にエラーメッセージを出力し、処理を中断する仕組みが必要です。

自作で在庫管理システムを作成する際の注意点

在庫管理システムを自作する際の注意点をご説明します。

導入目的を鮮明にする

解消したい問題を認識する必要があり、どのような課題を解消したいのか、目的を明確にすることが大切です。

また解消したい問題や導入する目的が不透明の場合、充分な導入効果が得られません。

そして導入目的が鮮明であれば、作業工程が立てやすくなり、作業がスムーズに進行します。

業務内容や管理対象を明確化する

どのような問題点があるのかを把握するために、詳細な業務内容や管理対象の明確化が必要です。

さらに業務内容や管理対象を明確化することで、導入の際に作業フローの見落としを防止できます。

一方、業務内容や管理対象が不透明の場合、欠品や過剰在庫が発生するリスクが発生します。

在庫管理システムに必要な性能を見極める

まず導入目的を達成するための改善点を検討します。

そして問題を解消するために、在庫管理システムのどの機能を採り入れるかを見極めます。

自作での在庫管理システムにおいてのコスト削減方法

システム構築と運用においてコスト削減を図るための効果的な運用策は無料のテンプレートを使用することです。

無料のテンプレートを利用することで、導入にかかるコストを削減できます。

またテンプレートファイルはインターネット上にさまざまな種類が無料で公開されています。そのためダウンロードしたテンプレートをもとに業務内容に合致するようにカスタマイズすることでコストを削り自作できます。

クラウドサービスと自作在庫管理システムの連携方法

クラウド型の在庫管理システムはAPIを搭載しているシステムが多く、自作の在庫管理システムとの連携が可能です。

クラウド型の在庫管理サービスとは、スムーズかつ低コストで導入できるメリットを持ちます。ただし、独自開発に比べて自由度が低かったり、オフラインで使用できなかったりするデメリットも持ちます。

ここではクラウドサービスと自作在庫管理システムを連携させる方法を大きく3つに分けて紹介します。

在庫管理に使える実際のクラウドツールはこちらの記事を参考ください。

関連記事
【比較】おすすめの在庫管理システムを特徴別に紹介!失敗しない選び方は?
【比較】おすすめの在庫管理システムを特徴別に紹介!失敗しない選び方は?

API連携

API連携は、クラウドサービスと自作在庫管理システム間でデータをやり取りするための標準的な方法です。

APIと呼ばれる仕組みを利用して、データの送受信や操作を行います。柔軟性が高く、様々な種類の連携が可能なため、搭載しているツールも多いです。

ただし、専門知識やセキュリティ対策も必要なので注意も必要です。

データ連携ツール

API連携よりも簡単にクラウドサービスと自作在庫管理システムを連携できるツールがあります。

CSVファイルやWebスクレイピングを使って、設定画面で操作を行うだけでデータを自動的に連携できるものが多いためシステム知識のない会社におすすめ。

専門知識がなくても利用できてコストは安いですが、柔軟性や拡張性の低い場合もあり複雑な連携には対応できません

手動連携

手動連携は、クラウドサービスと自作在庫管理システム間でデータを手動でやり取りする方法です。

ファイルのアップロード・ダウンロードや、コピペなどで行うため専門知識がなくても可能です。

しかし、手間がかかることやミスが発生しやすいこと、リアルタイムな連携ができないことなどがデメリットです。

自作在庫管理システムの成功事例と失敗事例

実際に自作の在庫管理システムを構築し、成功事例や失敗事例を紹介します。

事例から学べるポイントや、失敗を避けるためのアドバイスを提供します。

自作システムの成功事例紹介

自作システムの成功事例は下記になります。

作業工程の効率化

マニュアルに則った作業工程を自動化するシステムを開発し、作業時間の短縮やヒューマンエラーによる誤りの削減に成功した事例です。

データ分析による顧客満足度の向上

データ分析システムを構築し、在庫管理をデータ分析することで、顧客のニーズを把握し、顧客満足度が向上に成功した事例です。

セキュリティの向上

セキュリティシステムを構築することで、個人情報や機密情報の保護やサイバーセキュリティの脅威からの防御に成功した事例です。

自作システムの失敗事例紹介

自作システムの失敗事例は下記になります。

要件定義の不備

ユーザーの要望や要件を正確に把握せず、システムの開発段階で不完全な要件定義が行われたことにより、ユーザーの要望とは異なる結果となり、プロジェクトが失敗した事例です。

プロジェクト管理の失敗

適切なプロジェクト管理が行われなかった場合、予算超過やスケジュールの遅れ、コミュニケーションの不足などが発生し、プロジェクトが失敗する可能性があります。

セキュリティ対策不足

システムに適切なセキュリティ対策を行なっていない場合、機密情報の漏洩、システムへの不正アクセスなどが発生し、信頼性が損なわれる可能性があります。

事例から学ぶ自作システム構築のポイント

重要なポイントは要件にあった在庫管理システムを見極め、運用方法を検討することです。

条件に合致した在庫管理システムを見極めるためには、導入の際に業務フローや管理要素を理解する必要があります。

また管理システムの用途や運用フローを導入段階の際に検討することで、失敗のない自作システム構築が可能になります。

まとめ:自作の在庫管理システムは知識が必要

本記事では在庫管理システムについて説明してきました。

自作管理システムは下記の特徴があります。

  • 関数・マクロに加え、プログラミング言語を扱えれば業務に合わせた柔軟な機能を搭載可能
  • AIやIoTなどの最新技術と組み合わせることで高度な需要予測と在庫最適化が実現可能
  • クラウドサービスに関連づけることでより導入しやすくなり、低コストにすることも可能

どの在庫管理方法を選ぶかは、自社に合っているかどうかが1番大切です。

Jiteraでは要件定義だけでAIが開発してくれる簡単なツールも扱っているので、在庫管理システムを簡単に開発したいという人にぴったり。

その他、業務効率化や在庫管理、システム開発に不明な点やご質問がございましたら、株式会社Jiteraまでお気軽にお問い合わせください。

検討内容に応じた、在庫管理システムを提供させていただきます。

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