Rust言語のAxumとは?特徴やメリット、おすすめの開発場面、活用のコツまで解説

AxumはRust言語を利用したフレームワークの一種です。多方面のアプリケーション開発に長けており、Rust言語を利用するさまざまな開発者が活用しています。しかし、プログラミング言語Rustの普及がまだ少ない点から、Axumの具体的な活用方法については理解が深まりにくい部分が多いのも実情です。

そこでこの記事では、Rust言語とAxumを用いたWebアプリケーション開発の基本から、メリット、開発場面を紹介していきます。合わせてAxumを活用したプロジェクト例も紹介していくので、Axumを使って開発をしてみたい方は必見です。

監修者 めだか

IT関連の会社でWebコーダー、某携帯キャリアでネット回線や携帯販売を行っていました。現在はライターを中心に、仕事で得た知識を活かして幅広く活動中。音声や動画の制作など、もの造りが好きです。

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    Rust言語のフレームワークAxumとは

    Rustは、Mozilla Researchによって開発されたマルチスレッド処理に特化したオープンソースのプログラミング言語です。コンピュータが効率的に動作するように設計された言語で、メモリを安全に管理可能です。

    一方、Axumは、RustでWebアプリケーション開発を行うためのツールです。軽量かつ高性能なフレームワークで、シンプルさと高速な処理能力が注目されています。

    特に高速なリクエスト処理が求められる高負荷なサービスや、リアルタイム性が重視されるWebアプリケーション、さらにはREST APIやマイクロサービスの開発に適しています。Rustのメモリ安全性とAxumの拡張性、性能との組み合わせで、開発者は安全かつ効率的に、高品質なWebアプリケーションを構築できるでしょう。

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    Rust言語のAxumを使うメリット

    Axumは2019年にリリースされて以来、高い利便性とパフォーマンスでユーザーからの評価が高いフレームワークです。以下にAxumの特徴ともいえるメリットを紹介していきます。

    高速で安全なパフォーマンスが実現できる

    AxumはRust言語独自の特徴である所有権システムと非同期処理の活用で、複数のタスクの実行を実現します。結果、軽量かつ高速なWebアプリケーションの開発が可能です。プログラミング言語の中でも、C言語と比較しても遜色ないパフォーマンスです。

    加えてRust言語がメモリを自動で管理しており、メモリ領域を効率かつ安全に運用できます。プログラム実行時にメモリリークやデータ競合などの問題を防止するので、Axumで開発されたアプリケーションは安全性が随一です。具体的には、nullエラー、不正データ、不正アクセスを防止します。メモリに関する脆弱性を防ぎます。

    設計がシンプルで使いやすい

    AxumはRust言語のプログラミングが理解できていれば、直観的に記述できるシンプルな設計が特徴です。

    全体的にプログラミングコードがシンプルで見やすく、複雑なリクエストも簡単な記述で実装できるため、マクロを使用しないので初心者でも比較的簡単に開発を始められます。そのためコード管理が行いやすく、少ないコード記述で開発が可能です。

    また、Rustの所有権システムとAPIの活用でエラー検知を自動で行うので、どこで記述ミスがあったか即時に判断でき、エラーハンドリングへの対応のしやすさも魅力です。

    高い拡張性と柔軟性がある

    Axumはモジュール化されたアーキテクチャを採用しており、他のフレームワークと比べ拡張性が高いです。Axumを中心にしたモジュール開発は勿論、コンポーネントの分割が可能で必要な部分のみ活用できるため、サードパーティ製のライブラリやミドルウェアを簡単に組み込めます。

    合わせて、多種多様なエコシステムと統合できるので幅広い開発に活用できる柔軟性もポイントです。そのためAxumは多種多様なアプリケーション開発に応用できます。

    最新技術に対応できる

    Axumは公式が積極的に定期的なアップデートしているので、セキュリティ・パフォーマンスが最適化されています。そのため新しいRust言語のバージョンへの対応も容易です。

    また、活発なコミュニティによって開発・サポートされており、ドキュメントやチュートリアルが充実しています。開発者同士の情報交換も盛んで、新しいプログラミング技術に関しても入手しやすい傾向にあります。

    加えてAxumのフレームワーク自体の柔軟性が高いので、新たなライブラリとの統合が容易です。

    Rust言語でAxumを使うのにおすすめの開発場面

    フレームワーク、Axumの活用場面はさまざまですが、下記におすすめの開発場面をいくつか紹介していきます。

    リアルタイムアプリケーション

    リアルタイムアプリケーション

    AxumはRust言語の処理速度の速さから、リアルタイムアプリケーションの運用に向いています。

    チャットアプリはAxumで開発できるアプリの一例です。ユーザーどうしのチャットのやり取りを即座に処理し、リアルタイムで表示させます。拡張性が高い特徴を活かして文章以外の機能を拡張し、リアルタイムチャットのバリエーションを豊かにする手段にもなり得ます。

    WebSocketの利用で手軽に双方向通信を実現できるので、リアルタイムのやり取りが必要なアプリケーションにはうってつけです。また、Tokioとの組み合わせでリアルタイムの非同期処理を効率よく実施できるメリットもあります。

    認証機能付きWebアプリケーション

    認証機能付きアプリケーション

    Axumは高度なセキュリティ性、エラー検知力を兼ね備えているため、認証アプリケーションに適任です。一般的なユーザー登録をして利用するアプリのほとんどに活用ができるでしょう。

    Rust言語自体がエラーを自律的に発見してくれるので、認証処理時の脆弱性を防ぐ手段になります。そのため、C言語など他のプログラミング言語よりも安全な認証が行えます。

    Axumは拡張性が高いので、他の認証に用いるミドルウェアやセキュリティの高いライブラリとの併用で、さらに安全性を向上可能です。合わせて非同期処理の活用で、認証速度の上昇も見込めます。

    高負荷なWebアプリケーション

    高負荷なwebアプリケーション

    Axumは処理速度、メモリ管理に長けており、高負荷なWebアプリケーションでも素早い実行を実現します。複雑な設計であってもプログラムがメモリを管理し常に最適化を行うので、実行した処理の負荷を軽減可能です。

    また、非同期処理を用いて作業を同時並行するので、高機能なアプリに起こりがちな動作が重い状態を軽減できます。加えてRust言語の所有権システムにより、安全性の高い並行処理を実現します。

    ECアプリやデータ分析が必要な高負荷なWebアプリケーションでは、Axumは大いに力を発揮するでしょう。

    Rust言語とAxumのセットアップ方法

    RustのインストールとAxumのセットアップは非常にシンプルです。インストール後にはRustのパッケージマネージャから、Axumフレームワークをプロジェクトに導入します。以降で、ステップを踏みながらより詳しく解説します。Rustのインストールを行い、Webアプリケーション開発に向けて準備を進めましょう。

    Rustのインストール

    まず、最初に言語環境のインストールが必要です。手順は開発環境による多少の違いはありますが、基本的に簡単で短時間で行えます。

    公式ウェブサイトからのダウンロード

    Rust公式ウェブサイトにアクセスし、「RUSTUP-INIT.EXE(64-BIT)」から、OSに合わせたインストーラーをインストールします。

    Rust公式Webサイト

    インストーラーの実行

    インストーラーを実行し、画面に従い設定していきます。難しい作業は特に必要なく、数回のクリックで完了します。

    環境変数の設定

    Rustのインストールに成功すると、コマンドラインツールやライブラリは「~/.cargo/bin」ディレクトリに配置されます。このディレクトリを環境変数PATHに追加することで、どのディレクトリからでもRustのコマンドを実行できるようになります。

    また、Windows環境でRust開発を行う場合は、「Visual Studio C++ Build tools」が必要です。Microsoft公式サイトからダウンロード可能なので、インストールでRustのコンパイル環境を構築できます。

    Axumの導入

    Rustのインストールが完了次第、次はWebアプリケーション開発に特化したフレームワークAxumの導入します。AxumはCargo、Rustのパッケージマネージャを利用して導入ができ、その使い勝手の良さから多くのRust開発者に選ばれています。以下に導入の順序を紹介します。

    コマンドの実施

    新しいRustプロジェクトの作成VSCodeのターミナルを開き、新しいプロジェクトを作成するために下記のコマンドを実行します。

    “sh
     cargo new my_axum_app” 

    「my_axum_app」という名前の新しいRustプロジェクトが作成されれば成功です。

    新しく作成したプロジェクトディレクトリに移動

    “sh
     cd my_axum_app”

    セクションへ追加

    Axumの依存関係をプロジェクトに追加プロジェクトの「Cargo.toml」ファイルをエディタで開き、[dependencies]セクションに「axum」を追加します。指定されたバージョンは、プロジェクトに適した最新版または必要なバージョンを選択してください。

    “toml 
      [dependencies] 
     axum = “0.5.4” “

    以上でAxumの導入は完了です。Axumを使ってWebアプリケーションの開発を開始できます。

    Rust言語のAxumを使いこなすコツ

    RustとAxumを使ったWebアプリケーションの構築には、綿密な設計と技術の理解が必要です。

    ここでは、RustとAxumの使用で重要なポイントについて解説していきます。手順を理解した適切な使用で、高機能かつセキュアなWebアプリケーションの開発を実現可能です。

    所有権と借用を理解する

    所有権と借用を理解する

    Rust言語の特有な機能に挙げられるのが所有権と借用です。プログラムのデータ管理を制御する役割を担っています。

    Rustの変数の値には所有者が存在しており、メモリを管理しています。所有者は1つしか存在せず、所有者がスコープを行うとデータは自動でメモリから解放され、メモリを破棄します。具体的には関数の引数などで値を渡すと所有権が移行し、メモリが解放される仕組みです。

    所有権を移動させずにデータを活用する場合は、借用する必要があります。借用の際は参照元のメモリは破棄されず、所有権を保持したままデータを利用できます。

    効率的に記述する

    Rust言語では、Futures、Async/Awaitは、プログラミングにおける重要な要素です。

    Futuresは、処理するべきプログラムを非同期で記述する箱のようなもので、記述した内容を将来的に実行するイメージです。所有権との同時活用で、安全に非同期操作を行えます。

    合わせてAsync/Awaitは、非同期処理を実施する際に記述したコード自動でをまとめて簡略化し、並行処理を効率的に運用できるようします。Futures、Async/Awaitを使用すると効率的でシンプルな記述を行えます。

    エラー処理を徹底する

    プログラミングにおいてエラーは常に注意すべき要素です。C言語など従来のプログラミング言語はエラーの発見に手間がかかり処理が難しい点に対し、AxumはRust言語のフレームワークの中でもエラー処理が行いやすい傾向にあります。

    一般的にはResultを活用した型でエラーの可否を示します。事前に指定した条件以外を基にエラーか実施可能な内容か返す方法で、コードのエラーの早期発見に繋がります。

    エラーの発生は予期せぬ動作や、データ破損を引き起こす可能性があるため、的確な処理を実施しましょう。

    テスト駆動開発(TDD)を実施する

    テスト駆動開発(TDD)を実施する

    開発手順で必要な要素にテスト駆動開発(TDD)が存在します。Axumを用いた開発にもテストは必須といえるでしょう。大まかな流れは以下に記します。

    1. 実施する機能のテストを作成
    2. 失敗するテストの内容を記述・実行し、失敗を確認
    3. テストを通過のためのコードを記述
    4. テストを実行
    5. 内容に応じて簡潔なコードに変更していく

    テスト時はプログラムが指定した条件以外で作動しないよう、まずは必ず失敗するコードでテストを行い、確認しましょう。テスト駆動開発の実施はエラーの発見、負荷対策、プログラミング内容の見直しができるため、効率的なアプリケーションの開発に役立ちます。

    Axumを用いた実際のプロジェクト例

    実際にアプリケーションを構築するうえで、RustとAxumを用いた具体的なプロジェクト例を参考にするのも大切なステップです。そこで、この項目では「CRUDアプリケーションの構築」「オープンAPIの実装」2つのプロジェクト例について解説します。

    CRUDアプリケーションの構築

    RustとAxumフレームワークを使用して、CRUD(CreateRead、Update、Delete)機能を備えたアプリケーションの構築は、Web開発の基本となるプロジェクトです。このプロジェクトでは、データベースの操作やHTTPリクエストの取り扱いに関する理解を深めることができるでしょう。構築のプロセスは以下の通りです。

    データベース接続の準備

    最初に、アプリケーションがデータベースと通信できるように接続を設定します。Rustの非同期ランタイムと「sqlx」などの非同期対応データベースライブラリの活用で、効率的にデータベース操作が可能です。

    ルーティングの設定

    Axumを利用して、CRUD各操作に対応するルートを定義します。ユーザーからのリクエストを適切なハンドラー関数に振り分けるための設定を行います。

    コントローラーの実装

    各ルートに対応する具体的なビジネスロジックを実装します。実装には、データの作成、読み取り、更新、削除を行う処理が含まれます。これらは、Axumの非同期関数として実装され、データベースの操作結果をレスポンスとして返します。

    CRUDアプリケーションの構築は、Webアプリケーション開発の基本的なフローを習得し、応用性のあるプロジェクトの向けての土台作りが可能です。

    オープンAPIの実装

    Axumを活用してオープンAPIを実装するプロセスの学習で、外部のシステムやアプリケーションと簡単に通信するAPIを提供が可能です。以下、その具体的な実装手順を紹介します。

    エンドポイントの設計

    APIの機能を決め、エンドポイントとHTTPメソッドを設計します。例えば、ユーザー情報を扱うAPIでは、ユーザーの作成(POST)、取得(GET)、更新(PUT)、削除(DELETE)のエンドポイントが考えられます。

    ルーティングの実装

    設計したエンドポイントに対応するルートをAxumで実装します。Axumの「Router」を使って、対応するHTTPメソッドとハンドラー関数を定義します。

    ハンドラー関数の作成

    実際のビジネスロジックを担当するハンドラー関数を実装します。ここでリクエストの解析、処理の実行、レスポンスの作成が行われます。例えば、データベースへのクエリ実行や、レスポンスとしてJSONを返す処理などが含まれます。

    エラーハンドリング

    不正なリクエストや予期せぬエラーに対し、適切なHTTPステータスコードとエラーメッセージを含むレスポンスを返すようにします。これにより、APIの利用者にもエラーの原因が明確に伝わります。

    上記のステップで、Axumを使用したオープンAPIを実装できます。実装には簡潔で理解しやすいAPIの設計が推奨されます。加えてAxumの非同期処理による、高性能なAPIの提供が期待できるでしょう。

    RustのAxumでWebアプリケーションを作る方法のまとめ

    Axumフレームワークは、Rust言語の中でもWebアプリケーションの開発が得意です。Axum、Rust言語のセットアップ方法は難しくなく、比較的手軽に行えます。

    従来のプログラミング言語よりも処理速度が高速で、メモリ管理に優れています。シンプルで使いやすい設計のため、幅広いアプリケーションに応用可能です。Axumを活用したを開発で重要なのは、所有権といったRust言語独自の機能の理解、効率的なコーディングが挙げられます。

    Rust言語の基本を踏まえたAxumの活用で、高性能で安全なWebアプリケーションを効率的に開発できるでしょう。

    もし、Axumを活用したアプリケーション開発で不明な点や困ったことがある場合、株式会社Jiteraにお問い合わせください。Webアプリケーション開発のプロフェッショナルが、あなたのニーズに合わせた解決策を提供します。

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