SalesforceのAPI連携は、中小企業において、システム開発の効率性と機能性を大幅に向上させる重要な要素です。
本記事では、Salesforce API連携の具体的な連携方法、異なる種類のAPIとそれぞれの特徴について詳しく解説します。
これにより、システム開発のリソースや体制が限られている企業でも、効率的かつ効果的なシステム統合を実現できるようになります。
様々な事業会社にてデータを起点とした意思決定を軸に営業及びマーケティング業務に従事。自身でもPythonやSQLを活用し、開発メンバーと共創しデータ活用を推進。Googleデータアナリティクスプロフェッショナル認定証を保有。
Salesforce API連携の基本

出典:Salesforce
Salesforce API連携の目的
Salesforce API連携は、企業がSalesforceプラットフォームを他のアプリケーションやシステムと統合するための重要な手段です。
これにより、データの共有やプロセスの自動化が実現し、業務効率が向上します。具体的な意義は以下の通りです。
- データの一元化:Salesforceのデータを他のシステムと連携することで、重要な情報を一元化し、正確なデータを維持できます。これは意思決定の精度向上につながります。
- プロセスの効率化: API連携により、異なるアプリケーション間で情報の自動転送が可能となり、繰り返し作業の削減やタスクの自動化が実現します。
- カスタマーエクスペリエンスの向上:顧客データや履歴の共有により、よりパーソナライズされたサービス提供が可能となり、顧客満足度が向上します。
- 競争力の維持:他社との競争において、効率的なプロセスと正確な情報の利用は競争力の維持に不可欠です。
Salesforce API連携は、ビジネスの成功に欠かせない要素であり、適切な方法と戦略を検討することが重要です。
次のセクションでは、API連携の具体的な方法や種類について詳しく説明します。
API連携とは
API連携とは、異なるソフトウェアやサービス間でデータや機能を共有するために使用される方法で、API(アプリケーションプログラミングインターフェース)を通じて一方のシステムが他のシステムの機能を利用できるようにすることです。
例えば、Salesforce API連携を利用することでSalesforceのプラットフォーム上で他のアプリケーションのデータを取り込んだり、Salesforceのデータを他のアプリケーションで分析・利用したりすることが可能になります。
これにより、異なるプログラム間でスムーズな作業フローや情報の自動交換が実現できます。
Salesforce APIの種類
SalesforceにおけるAPIの種類とその特徴について詳しく説明します。
APIはSalesforceの機能を他のアプリケーションと連携させ、データの受け渡しやプロセスの自動化を実現します。
以下が主要なAPIの種類です。
SOAPはエンタープライズ環境で広く使用され、セキュリティと信頼性に優れています。
データの送受信にSOAPメッセージを使用し、企業の要求を処理します。SOAP APIは重要な情報を安全に伝送するための選択肢として人気があります。
大規模なデータのインポートやエクスポート、バッチプロセスをサポートします。
Bulk APIは、大容量のデータ操作が必要な場合や、定期的なデータの同期が必要な場合に役立ちます。データ処理のスループットを向上させるための有力な選択肢です。
REST API
REST(Representational State Transfer)APIは、軽量かつシンプルなJSON形式を使用するAPIです。
REST APIはウェブアプリケーションとの統合に適しており、クライアントとサーバー間の通信にHTTPプロトコルを使用します。
REST APIは使いやすく、開発者に人気があります。
また、オープンスタンダードを採用しており、さまざまなプログラム言語で利用できます。
Streaming API
Streaming APIは、リアルタイムなデータの変更を監視し、イベントベースの通知を提供します。
リアルタイム情報の取得が必要な場合や、リアルタイムのダッシュボードや通知システムを構築する場合に有用です。
データの変更を迅速に捉え、ビジネスプロセスに即座に反応する必要がある場合に役立つでしょう。
Chatter REST API
Chatter REST APIは、Salesforce Chatterを活用してソーシャルコラボレーション機能を提供するAPIです。
ユーザーがChatterを通じて情報を共有し、コラボレーションするためのツールを開発する際に使用されます。
チームのコミュニケーションを向上させ、プロジェクトの効率化を図るのに役立ちます。
Tooling API
Tooling APIは、Salesforceの開発者向けAPIであり、開発およびカスタマイズに関連する操作を実行できるAPIです。
カスタムオブジェクト、Apexクラス、トリガー、Visualforceページなどの開発オブジェクトを管理するためのツールを提供します。
Salesforceプラットフォームを拡張し、カスタマイズするための開発者向けの豊富な機能を提供します。
これらのAPIは、Salesforceの機能を拡張し、他のシステムとの連携を実現するための貴重なツールです。
適切なAPIを選択し、ビジネスニーズに合わせてカスタマイズすることで、Salesforceプラットフォームを最大限に活用できます。
Salesforce API連携の使い方

Salesforce API連携を利用するためには、Salesforceアカウントの作成、Connected Appの設定、OAuth 2.0による認証、APIリクエストの送信、レスポンスの処理、そしてエラーハンドリングがあります。
ここでは、それらについて具体的に解説していきます。
Salesforceアカウント作成

Salesforceアカウントの作成は、Salesforceの機能やサービスを利用するために必要となります。
アカウントを作成する際には、適切なライセンスを選択してユーザーに必要な権限を割り当てることが重要で、APIアクセスを含め、各種サービスへのアクセス設定もこの段階で行います。
組織のニーズに合わせてカスタマイズやセキュリティ設定を適切に構成していきます。
Connected Appの作成

SalesforceでのAPI連携を行うためには、Connected Appの作成が必要です。
Connected Appを設定することで、外部アプリケーションがSalesforceのデータにアクセスするためのConsumer KeyとConsumer Secretが生成されます。
これらのキーは、OAuth認証を通じてアクセスを安全に管理するためのものであり、APIを利用する際の認証プロセスで必須です。
また、このプロセスにはリダイレクトURLの設定も含まれ、認証後のリダイレクションを指定します。
OAuth 2.0 認証

OAuth 2.0 は、Webアプリケーション、デスクトップアプリケーション、モバイルデバイスなど、異なるクライアントタイプから安全に認証を行うための標準プロトコルです。
Salesforce APIへのアクセスにOAuth 2.0認証を使用することでアクセストークンを介してユーザー認証を行い、APIリソースへのアクセスを許可します。
具体的には、初めにアプリケーションがユーザーに代わってSalesforceにログインし、成功するとアクセストークンが発行され、そのトークンを用いてAPIリクエストが可能になります。
APIリクエストの送信

アクセストークンを取得した後、具体的なAPIエンドポイントに対してHTTPリクエストを送信することでデータの取得、作成、更新、削除などの操作を行います。
例えば、REST APIを使用してSalesforce内のレコードを検索したり、新しいリードを作成したり、既存のデータを更新するリクエストが可能です。
このプロセスはプログラミング言語に応じたHTTPクライアントライブラリを使用して自動化することが一般的です。
レスポンスの処理

APIからのレスポンスは通常、JSON形式で返されます。このJSONデータを適切にパースし、アプリケーションが必要とする形式に変換する処理が必要です。
レスポンスデータの構造を理解し、必要なデータを抽出、表示、またはデータベースに保存するなどの処理を行います。
エラーハンドリング

APIを利用する際には、様々なエラーが発生する可能性があり、例えば無効なトークン、権限不足、リソースが見つからないなどの状況が考えられます。
適切なエラーハンドリングができていないと、適切なSalesforceAPI連携ができず、不完全なものとなってしまいます。
不具合やバグの調査もうまくできないため、後々のメンテナンスにおいても複雑になってくるため、初期開発の段階でしっかりとしたエラーハンドリングを構築しておくことをおすすめします。
Salesforce API連携の基本設定
SalesforceでのAPI連携の基本的な設定手順を以下に説明します。
API連携を実現するためには、特定の設定と手順を遵守する必要があります。
これにより、Salesforceを他のアプリケーションやシステムとシームレスに連携させることができます。
インテグレーション用プロファイル&ユーザの作成
SalesforceでのAPI公開には、適切なアクセス権限設定が必要です。
ここでは、リードのINSERT権限のみを持ち、API経由でのアクセスのみ許可されたインテグレーション用ユーザを作成します。
接続アプリケーションの作成
接続アプリケーションはAPIの利用を可能にする重要な要素です。
- 「設定」>「アプリケーション」>「アプリケーションマネージャ」から「新規接続アプリケーション」を選択。
- 基本情報を入力し、「OAutch設定の有効化」をチェック。
- 「保存」をクリックします。
アクセストークンの取得
API Testerなどを利用してアクセストークンを取得します。
- インテグレーション用ユーザでログインし、セキュリティトークンをリセット。
- POSTメソッドでエンドポイントURLを指定し、必要な認証情報を入力。
- 「Send」をクリックし、アクセストークンを取得します。
POSTリクエスト送信
最後にPOSTリクエストを送信してリードを生成します。
- SalesforceのインスタンスURLを指定し、HTTPリクエストのメソッドをPOSTに設定。
- HeaderにAuthorizationパラメータを追加し、bodyに必要な情報をJSONまたはXML形式で記述。
- 「Send」をクリックし、レスポンスでSalesforceIdの生成を確認します。
以上の手順により、SalesforceのAPIを利用してリードを生成することが可能です。
ただし、セキュリティの観点からユーザ名パスワードフロー以外の認証フローの使用を検討することも重要です。
Salesforce API連携の具体例

連携サンプルと使用例
Salesforce API連携の具体的なサンプルと使用シナリオを紹介します。
API連携を通じて、Salesforceのデータを他のシステムやアプリケーションと統合し、ビジネスプロセスを最適化できます。
以下は一例です:
- Eコマースプラットフォームとの連携: SalesforceをEコマースプラットフォームと連携させることで、注文データや在庫情報をリアルタイムで共有し、注文処理を効率化します。
- カスタマーサポートシステムの統合: Salesforceをカスタマーサポートシステムと統合し、顧客の問い合わせやチケットを自動的に処理し、顧客サービスの向上を実現します。
- マーケティングオートメーションとの連携: Salesforceをマーケティングオートメーションプラットフォームと連携させ、リードジェネレーションやキャンペーン管理を自動化し、マーケティング効果を向上させます。
これらの具体例は、Salesforce API連携の多様な用途を示しています。
企業はビジネスニーズに合わせてAPIを活用し、効率的なプロセスとデータの共有を実現できます。
システム開発のためのSalesforce API連携の実践例
Salesforce API連携は、システム開発において多様な可能性を提供します。
業務プロセスを効率化し、ビジネスの成長を促進できます。以下は、Salesforce API連携の具体的な使用例をいくつか紹介します。
- CRMと財務システムの統合:Salesforceを会社の財務システムと連携させることで、顧客データと財務データをリアルタイムで同期。これにより、請求処理や収益管理を効率化し、精度を高めます。
- プロジェクト管理ツールとの連携:Salesforceをプロジェクト管理ツールと統合することで、顧客データに基づいたプロジェクトの進捗状況を効率的に追跡し、リソースの最適配分を図ります。
- カスタマイズされたアプリケーション開発:Salesforce APIを使用して、特定のビジネスニーズに合わせたカスタムアプリケーションを開発。これにより、特定の業務プロセスを自動化し、業務効率を飛躍的に向上させます。
これらの例は、Salesforce API連携がシステム開発においていかに多様な役割を果たすかを示しています。
各企業は自社のニーズに合わせてAPIを活用し、システムの効率化、データの統合、そしてビジネスプロセスの最適化を実現できます。
Salesforce API連携の制限と対策

リクエスト制限
Salesforce API連携にいくつかの制限があり、APIリクエスト数、取得可能なデータ量、外部サービスへのコールアウト回数に制限があり、これらの制限を超えるとリクエストが拒否される場合があります。
対策としては、APIリクエストのモニタリング、バルク処理の利用、リクエストの最適化、データのキャッシングなどが有効です。
これによってAPI制限による問題を防いで効率的なデータ処理を実現できるため、これらの対策の実施をおすすめします。
データ量制限
Salesforce APIでは一度に取得できるデータ量には限界があり、これを回避するためには大量のデータを扱う場合はバルクAPIを使用するのがおすすめです。
バルクAPIを利用することで一度に大量のレコードを効率的に処理でき、APIコール数の制限を避けることが可能です。
コールアウト制限
Salesforceは外部サービスへのAPIコールアウト(外部システムへのリクエスト)にも制限を設けています。
この制限を管理するためには、必要なコールアウトの頻度を把握して可能であれば非同期処理を用いたり、コールアウトのバッチ処理を行うことが有効です。
APIバージョンの制限
Salesforce APIは定期的に更新され、古いバージョンのAPIは非推奨になることがあります。
常に最新のAPIバージョンを使用することで新機能の恩恵を受けると同時に、非推奨のAPIによる予期せぬ問題を防ぐことができます。
Salesforceデータ連携に役立つツール

Salesforceデータ連携を効率化するために、特化した専用ツールを使うのがおすすめです。
これらのツールはそれぞれ異なる機能をもっているため、Salesforceデータと他のシステムやアプリケーション間での統合をしやすくしてくれます。
ここでは、それらのツールについて深掘りしていきます。
MuleSoft

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MuleSoftは、企業のデジタルトランスフォーメーションをサポートする統合プラットフォームです。
APIを中心に構築されており、異なるアプリケーション間でのデータ連携をシームレスに行うことができます。
APIの設計、テスト、管理までを一元的に行えるため、複雑なシステム間のデータフローを効率的にコントロール可能です。
Boomi

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BoomiはDell Technologiesが提供する統合プラットフォームで、クラウドベースとなっています。
低コード開発環境を提供し、技術的な詳細知識がなくても簡単にデータ連携プロセスを構築できるため、素早いデプロイメントと簡単な変更が可能となり、ビジネスのアジリティを高めることができます。
Zapier

Zapierはユーザー利便性の高い自動化ツールで、Salesforceを含む1,000以上のアプリケーションとのデータ連携をサポートします。
特にプログラミングスキルがないユーザーにとって便利で、簡単なドラッグアンドドロップインターフェースを通じてデータフローを設計できます。
定型的な業務を自動化し、効率化を図ることが可能です。
Jitterbit

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Jitterbitは企業向けに特化したデータ連携ツールであり、複雑なデータを簡単に統合するための豊富な機能を持っています。
高度なAPI管理と変換機能を備えており、大規模なデータセットも効率的に扱えます。
また、カスタマイズ可能な接続オプションが豊富で、多様なビジネスニーズに応えることができます。
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まとめ: Salesforce API連携を最大限に活用する

Salesforce API連携は、顧客情報を核としたデータの管理と活用において重要な役割を担っています。
これらのAPIは、企業が顧客のニーズを深く理解し、パーソナライズされたサービスを提供するための基盤を提供します。
また、AIやデータ分析との統合が進むことで、顧客体験の向上という点において他社との競争において大きなアドバンテージを生み出す可能性があります。
このような動向は、従来の防衛的なデジタルトランスフォーメーション(DX)から一歩進み、積極的な売上向上を目指す「攻めのDX」と言えるでしょう。
しかし、このようなアプローチを実現するためには、適切なAPIの選択、セキュリティ対策、データ整合性の確保など、広範囲にわたる専門知識が必要です。
特に中小企業では、大手企業に比べてリソースが限られているため、これらの技術的な課題に対応するのは容易ではありません。
多くの場合、内部に必要な技術力やリソースが不足しており、Salesforceの潜在能力を最大限に引き出すことが困難な状況にあります。
このため、多くの中小企業にとって外部の開発会社の活用を検討することは開発において必要なステップとなっています。
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