IT業界で頻繁に耳にする「ソフトウェア」という言葉。
しかし、その言葉の定義や正しい使い方を理解している方は意外と少ないかもしれません。
この記事では、ITを全く知らない文系出身の初心者に向けて、ソフトウェアの基本的な定義から、具体例、特徴、種類、ハードウェアとの違いまでわかりやすく解説します。
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ソフトウェアとは?簡単に定義を解説
コンピューターを動かすためのプログラムの集まりのことを、ソフトウェアと呼んでいます。アプリケーションソフトやOS、ドライバソフトなどが例としてあげられます。
人間にとって、使いやすいインターフェースが用意され、コンピューターというハードウェアを操作できるようになっています。
ソフトウェアの定義
ソフトウェアとは、コンピューターシステム内で動作するプログラムやデータといったものを指します。例えば、パソコンやスマートフォンで利用しているアプリケーション、OS、ドライバなどがソフトウェアの一例です。これらを開発するのが、プログラマーたちの仕事となっています。
より具体的に、ソフトウェアは「コンピュータで実行可能な命令の集まり」と定義することができます。これらの命令は、プログラミング言語を用いて記述されています。C言語やJava、Pythonなどは、代表的なプログラミング言語です。
開発者が、こうした言語でソフトウェアの設計図を作成し、コンピュータがその命令を解釈して実行することで、アプリケーション等の機能が実現されるのです。
開発されたソフトウェアの種類としては、アプリケーションソフト、OS、ミドルウェア、ドライバソフトなどが主なものです。
アプリケーションソフトは、ExcelやWordのように、ユーザーが直接利用するソフトウェアです。OSは基本ソフトで、WindowsやMacOS、Linuxなどが該当します。
ミドルウェアは、アプリケーションとOSの中間に位置するソフトウェアで、 Javaや.NET Frameworkが代表例です。ドライバソフトは、ハードウェアを制御するソフトウェアで、プリンタードライバなどがあります。
このようにソフトウェアには、さまざまな種類が存在しており、私たちの生活を支えるインフラとして非常に重要な役割を果たしているのです。
ソフトウェアの存在意義
ソフトウェアが存在する意義は、人間にとって使いやすい仕組みや機能を提供することにあります。コンピューター自体は、電子回路やデバイスの集まりで、人間には直接操作できません。ソフトウェアがインターフェースとなって、人とコンピューターを繋ぎ、目的の作業を容易にこなせるようにしてくれているのです。
例えば、スマートフォンで、LINEを利用している際も、ソフトウェアが背景で動いているおかげです。
コンピューターシステムは、「ハードウェア」と「ソフトウェア」から構成されています。
ハードウェアは物理的な装置であるのに対し、ソフトウェアはコンピューターで動作する無形のプログラムです。ハードウェア単体では、通常の人間は操作できませんが、ソフトウェアを介することで人間にも理解・利用可能な形でコンピューターの制御が行えるようになるのです。
例えば、パソコンのOSであるWindowsはソフトウェアですが、グラフィカルなデスクトップ画面やファイルマネージャーといったインターフェースを提供することで、ユーザーは直感的な操作感でコンピューターを自在に操ることができます。
このように、ソフトウェアが人間とコンピューター間の橋渡し役を果たし、複雑なハードウェアの機能を分かりやすく提供してくれているわけです。いわば、ソフトウェアが生み出す「使い勝手」こそが、その最大の存在意義であると言えます。
プログラミング言語で開発
WordやExcelといった、一般的なアプリケーションから複雑なシステムまで、さまざまなソフトウェアが存在します。こうしたソフトウェアは、C++やJava、Pythonなどのプログラミング言語を用いて開発されます。
言語ごとに得意分野が異なり、目的に応じて適切な言語が選ばれてコーディングされるのです。プログラマーたちが、これらの言語を駆使して、新しいソフトウェアの開発に挑んでいるといえます。
代表的なプログラミング言語をいくつか例示すると、次のような特徴があります。
- C++言語 – 処理速度重視の大規模アプリ開発に強い
- Java – Webアプリ開発を中心とした汎用言語
- Python – 開発生産性に優れた汎用スクリプト言語
- Ruby – Webアプリ開発での利用が多い動的型付け言語
- PHP – WebサイトやWebアプリ開発で多用されている
この他にも、JavaScript、Swift、Go言語など、目的や用途に応じたプログラミング言語が存在します。アプリやWebサービスを開発する際は、これらの言語特性を理解した上で、言語を選んでいくことが大切です。
大規模なアプリ開発では、C++のような処理性能を重視する言語を使用します。一方で、高速なプロトタイプ作成を目的とする場合は、PythonやRubyといった生産性の高い言語が向いています。
ソフトウェア開発には多くの言語があり、開発者は状況に応じて柔軟に使い分けていく必要があるのです。
ソフトウェアの特徴と種類
ソフトウェアには、いくつかの特徴があります。コストパフォーマンスに優れている反面、動作環境や処理速度といった制限もあるなど、長所短所が混在しているのが現実です。ここでは、ソフトウェア特有の特徴と種類について解説していきます。
開発コスト
ソフトウェアは、ハードウェアと比較すると開発コストが格段に安価です。例えば、新しい家電製品を開発するには多額の設備投資と製造原価が必要ですが、新Webサービスを作るだけであれば、サーバー代と人件費ぐらいで済みます。
アイデア次第で、低コストで参入が可能な点が魅力です。
具体的に、ハードウェア製品の開発では設計から試作製造、テストと多額の初期コストがかかります。それに加えて部品調達や製造ライン構築など、開発以外の部門にまたがる大掛かりな投資が必要不可欠です。
一方でソフトウェアの場合は、作成するアプリケーション次第で、初期コストを抑えられる可能性が高くなります。特に、Webアプリケーションであればサーバ環境さえ用意できればよく、クラウドサービスの活用で初期コストは更に引き下げられるでしょう。
ローンチ後の売上次第では、比較的容易に黒字化できるため、ソフトウェアビジネスへの新規参入が盛んな理由の1つといえるでしょう。
修正・メンテナンス
ソフトウェアはプログラムで構成されているため、不具合修正や仕様変更といったメンテナンス作業が比較的容易です。ハードウェアの場合は、部品交換や回路設計変更となりがちですが、ソフトウェアであればコード修正だけで対応可能です。保守コストの面でもメリットがあります。
ソフトウェアのメンテナンスでは、バグ修正やセキュリティ対策、機能拡張などの変更要望に対し、プログラムのソースコードを更新する作業が中心となります。コードベースが保守されていれば、原則として低コストで対応が可能で、成熟した開発プロセスが敷かれていれば品質も担保されます。
一方ハードウェアの場合は、部品供給の問題や製造ラインの改修といった高コスト要因が多数含まれるうえ、設計変更自体にも多大な工数を要します。メンテナンス作業のしやすさという観点では、ソフトウェアの方が圧倒的に扱いやすいといえるでしょう。
実行環境
ソフトウェアは、動作するOSやコンピューターのハードウェアスペックに依存関係が生じます。例えば、最新の3Dグラフィックスを駆使したゲームソフトの場合、その動作には高性能なGPUが必須となりますし、Macで作成されたアプリがWindowsでそのまま動作するとも限りません。実行環境について、一定の制限があるのがソフトウェアの特徴です。
特に、パソコン用のソフトウェアはWindowsとMacではファイル仕様やAPIが異なるため、基本的にはOSごとのネイティブアプリとして開発されます。Adobe Creative Cloudのように、クロスプラットフォーム対応したソフトもありますが、アプリケーションの規模が大きくなればなるほど、互換性の確保は難易度が高まります。
一方でスマホアプリの分野では、OS間のハードルが低くなりつつあります。例えば、ゲームアプリの場合、UnityやUnreal Engineといったクロスプラットフォーム対応のゲームエンジンが登場したことで、iOS/Android双方に展開しやすくなっています。
OS依存のコストを下げられる点で、開発のしやすさが向上しているといえます。
処理速度
ソフトウェアの処理スピードは、動作するコンピューターのCPUやメモリといった、ハードウェアのスペックがボトルネックとなります。
アプリケーションのコードがどれだけ最適化されているかも影響しますが、使用する機器の性能限界があればそれを超える速度が出るわけではありません。高速化にはハードウェアの選定が大切です。
例えば、動画編集ソフトの場合、扱う映像の解像度やビットレートが高ければ高いほど、高クロックのCPUコア数と大容量メモリが要求されます。処理スピードを確保するには、ソフトウェア側の並列化効率だけでなく、十分な演算性能を提供できるハードウェアを用意することが欠かせません。
一方でハードウェアの性能向上が処理速度を左右する半面、消費電力の増大や発熱・騒音の問題も生じやすくなります。モバイル端末の場合バッテリー長持ちも課題となり、ハードウェアに全てを頼る手法には限界があります。
ソフトウェア側の効率化が、現実として求められていくことになります。
カスタマイズ性
ソフトウェアは、利用目的や要件に応じて高度にカスタマイズすることが可能です。同じデータベースソフトでも、取り扱うデータ内容やクエリの種類、必要とする性能によって最適な設定が異なります。アプリケーションの場合も同様で、ユーザー要件に応じた機能追加が自由度高く行えるのがメリットです。
例えば、受発注システムの場合、規模や業界、取引形態によって最適な機能セットはさまざまです。標準システムを利用するにしても、カスタマイズは必要不可欠で開発コストこそ発生しますが、手間がかからないUI操作で業務効率化を実現できます。
一方で、過度のカスタマイズは、リリース後のメンテナンス効率の低下を招くリスクもあります。機能要件から外れた個別対応を重ねれば、システムは複雑化し、改修工数が増大する一方です。
要件変更への対応力や拡張性を確保しつつ、適切な範囲でカスタマイズすることが大切です。
移植性
複数のOS間で共通の仕様やAPIを利用しているソフトウェアであれば、OSをまたいだ移植性が高くなります。
例えば、JavaやHTML5のWebアプリケーションは、Windows/Mac/Linuxを問わず高い互換性を保っているのが特徴です。コストや時間をかければ、ある程度の移植は可能です。
クロスプラットフォーム対応のソフトウェアを開発するためには、OS依存のコードを極力避けることがポイントとなります。OS間で共通の仕様を提供する、JavaやHTML5、JavaScriptといった言語・標準規格を使用することで、Windows/Mac/Linux/スマートフォンなどの、複数プラットフォームでの動作を実現できるのです。
その反面、OS固有の機能を使いたい場合は一工夫必要で、OSごとに分岐したロジックの実装が欠かせません。場合によっては別々のネイティブコードで実装しなおす必要も出てきます。
設計次第で移植性は左右されるため、事前の技術検討が欠かせません。
ソフトウェアの具体例
コンピュータ上で動作するソフトウェアは、非常に身近な存在です。
OSやドライバといった基本ソフトから、アプリケーション、ゲーム、スマホアプリまで、さまざまです。その中から、私たちの生活に欠かせない身近なソフトウェアをいくつかピックアップして紹介します。これらは、コンピュータを使う上での基本中の基本といえるでしょう。
OS
WindowsやMacOSは、有名なOS(オーエス)ソフトウェアです。スマホのiOSやAndroidも、スマホ用のOSと呼べます。
OSとはOperation Systemの略で、アプリケーションの基盤となるソフトウェアのことです。アプリケーションを動作させるための機能を提供しつつ、ハードウェアへのアクセスを制御します。代表的なコンピューター用OSとして、Windows、MacOS、Linuxがあります。
最近ではこれらに加え、スマホやタブレット端末といった、モバイル機器用のOSも登場しています。iOSやAndroidが有名で、独自UIやタッチ操作最適化といった特徴があります。
OS上で動作するソフトウェアは数多くありますが、このOSがコンピューターシステムの中心となるソフトです。安定稼働は極めて重要で、信頼性やセキュリティもしっかり確保されている必要があります。
オフィスソフト
パソコンで文書や表計算を作成する時に欠かせない、Microsoft Officeもソフトウェアの一種です。
オフィスソフトに分類されるソフトウェアとして、Microsoft社のOfficeだけでなく、フリーソフトのLibreOffice、AppleのiWorkなどもあります。共通しているのは、文書・表計算・プレゼンテーション作成といった、オフィス業務の機能が揃っている点です。
例えば、ワードプロセッサの機能を利用して社内文書を作成したり、エクセルで月次の損益計算書を作表するなど、実務での利用シーンは非常に多岐に渡ります。こうしたオフィスアプリは、ビジネスパーソンにとって必要不可欠な武器と言えるでしょう。
最近では、クラウド型のGoogle Workplaceなど、ブラウザから直接利用できるサービスも増えています。Excelの代替となる、スプレッドシートなどもあります。
ブラウザ
インターネットを見る時に使う、ChromeやFirefoxもソフトウェアです。
ブラウザとは、World Wide Webの情報を画面上に表示するためのアプリケーションソフトのことです。通信プロトコルである、HTTPを利用してウェブサーバと通信を行い、HTML文書を解析・レイアウト・表示する機能を提供します。
パソコン用のブラウザーとして、Google Chrome、Mozilla Firefox、Microsoft Edgeなどが有名です。特徴やデザイン性などは異なりますが、どれもウェブページの参照はもちろん、動画や音楽再生、SNSやメールといった機能も備えた汎用アプリケーションと言えます。
最近では、高機能なスマホ向けブラウザーも登場しています。大型の表示画面を前提としたPC用ブラウザとUIが異なるものの、ネットサーフィンが手軽にできる点では、共通していると言えるでしょう。
メディアプレーヤー
音楽や動画を再生する、Windows Media Playerのような再生ソフトもあります。
メディアプレイヤーは、音声ファイルや動画ファイルを再生するための専用アプリケーションです。代表例のWindows Media Player以外にも、iTunes、VLC media playerなどが有名です。
特徴として、CDやDVDの再生機能を持つものも多く、パソコンに外部ドライブを接続することで自宅でCD/DVD鑑賞が楽しめます。最近では、4Kや8K動画など高画質映像の再生に対応したアプリも登場しています。
スマートフォンの場合は、専用の音楽/動画アプリがプリインストールされていることも多く、ダウンロードしたコンテンツを好きな時に視聴できるようになっています。録画した家族の動画も手軽に再生できるなど、身近に活用できるアプリケーションといえます。
ゲームソフト
RPGやパズルなどのゲームアプリは、楽しいソフトウェアの例と言えるでしょう。
家庭用ゲーム機やパソコン、スマホで遊べるゲームソフトは、私たちに大きな楽しみと感動を提供してくれています。RPG、レース、パズル、シューティングと種類も豊富で誰にでも親しみやすいジャンルがそろっています。
こうしたゲーム体験を実現する背景には、家庭用機からオンラインゲームまで、様々なゲームソフトウェアが存在しているのです。開発環境も複雑化しているため、専業のゲーム制作会社が多数存在し、日々ユーザーを魅了する新作を生み出しています。
ゲーム開発者たちの情熱こそが、高品質なゲームソフトを開発させ、ユーザーも長年に渡りゲーム浸りの人生を満喫できる要因なのです。
スマホアプリ
スマホにインストールするSNSや地図、カメラアプリなども身近なソフトウェアです。
近年では、スマートフォンは必需品となっており、スマホアプリも私たちの生活必需品です。SNSやメッセンジャー、地図、音楽や動画鑑賞アプリなど、数え切れないほどあります。開発競争も激しく、日々改良を重ねたアプリが提供され続けています。
こうした流行のスマホアプリ裏には、iPhone/Android問わず多種多様なアプリを短期間で、効率良く開発できるテクノロジーが支えています。開発者もユーザー体験に注力できる開発環境が整ったことで、小規模なチームでも革新的なアプリの開発が可能になったのです。
身近なスマホライフを豊かにする、ソフトウェア開発の裏側にも注目しつつ、これからも便利なアプリ導入を楽しみにしたいものです。
ソフトウェアとハードウェアの違い
コンピューターを動かすうえで欠かせない2つの要素ですが、それぞれの特徴を比べてみましょう。
項目 | ソフトウェア | ハードウェア |
形態 | コンピュータで実行可能な命令の集まり | 回路や部品で構成された有形の装置 |
変更しやすさ | プログラム変更だけで対応可能 | 部品交換や再設計が必要 |
コスト | 開発コストは相対的に安価 | 開発に多額の初期投資が必要 |
ハードウェアの定義
ハードウェアとは、コンピューターの機械的な部分の総称です。
より具体的には、コンピューターシステムを構成する部品・回路・電子機器などの、物理的実体を総称した物と定義されます。一般的なコンピューターハードウェアには、CPUやメモリ、ストレージ、マザーボード、ビデオカード、電源装置などが含まれます。これらは全て「見ることができる」のが特徴です。
一方でハードウェア上で動作するプログラムは、無形の情報として処理されるソフトウェアで、出力結果に物理的違いはありませんが、命令を解釈・実行するハードウェア側の性能によって出力までの速度には差が出ます。ハード・ソフトという言葉の起源に、この特性の違いが表れているといえます。
ソフトウェアとハードウェアの相互作用
ソフトウェアとハードウェアは、相互に連携し合うことで、コンピューターシステムとしての全体機能を実現しています。ソフトウェアは命令に従いハードウェアの制御を行い、ハードウェアはソフトウェアの処理を電気信号の切り替えで、実際に実行する役割を果たします。
この相互作用によって、高度な情報処理が可能になっているのです。この二者が、お互いに協力することで、コンピュータに高度な情報処理機能が備わり、計算や制御といった複雑な目的達成が可能になっているのです。ソフトもハードもそれぞれ単独では機能を発揮できず、お互いに必要不可欠な存在となっています。
最近のコンピュータは、GPU(画像処理用チップ)やFPGA(再構成可能ハードウェア)といった新しいハードウェアも搭載され始めており、ソフトウェアとの連携強化で更なる性能向上が期待されるなど、この相依存な関係は今後も長く続いていくと考えられます。
ハードウェアの例
身近なハードウェアとして、パソコンやスマホ等の実物機器があげられます。回路と部品で構成された、機械的な側面を指します。
こうしたコンピュータ機器のハードウェアの具体的な例は、CPU、メモリ、ストレージ、マザーボード、電源ユニット、固定ディスク、グラフィックカード、サウンドカードなどです。
これらのハードウェア部品の集合体が、完成したコンピューターですが、時代と共に高性能化も加速しています。最新のコンピューターシステムでは、複数CPUを搭載したり、大容量ストレージを内蔵するなど、機能面での拡張性も向上していることが分かります。
一方で、自作パソコンも盛んで、好みの部品を選定して自分だけのマシンを構築する愛好家も多数存在している現状があります。
ソフトウェアが動作する仕組み
OSやCPUが、ソフトの命令を読み取って処理を実行しています。
ソフトウェアがコンピューター上で動作するには、まずOS(Windowsなど)による、プラットフォームの提供が欠かせません。アプリケーションからのシステムコールをOSが仲介し、CPUやメモリといったハードウェアと接続します。
CPUはソフトウェア命令を工程ごとに読み込み実行していく。演算処理の中心的な役割を担います。命令セットに従って、演算や条件分岐、データ入出力といった制御を論理回路上で実現します。
ソフトウェアの命令は、最終的に電子回路のスイッチをオン/オフすることで表現され、CPUによる処理結果は、画面出力やファイル書き込みといった見える形で結果が現れます。ソフトとハードが連携してコンピュータシステムの機能が実現されているのです。
よく聞くミドルウェアについて
アプリケーションとOSの中間に位置するソフトウェア層を、ミドルウェアと呼びます。
項目 | ソフトウェア | ミドルウェア | ハードウェア |
形態 | コンピュータで実行可能な命令の集まり | 汎用機能を提供するプログラム群 | 回路や部品で構成された有形の装置 |
変更のしやすさ | プログラム変更だけで対応可能 | プログラム変更で機能更新可 | 部品交換や再設計が必要 |
コスト | 開発コストは相対的に安価 | 開発コストはそれなりにかかる | 開発に多額の初期投資が必要 |
寿命 | 停止すれば寿命は無限 | バージョンアップにより長期利用可 | 使用による摩耗で壊れる |
具体的には、アプリケーションからOSへの入出力を仲介する基盤ソフトウェアが、ミドルウェアです。アプリケーション側から見るとOSより上位に、OSから見るとアプリケーションより下位の中間的な位置付けにあるため、このように呼ばれます。
代表的なミドルウェアとして、Javaや.NET Framework、Ruby on Railsといったプログラミング言語のランタイム基盤があげられます。アプリケーション開発者は、これらの構成部品を利用して処理を適切に実装することで、容易にアプリケーションを構築できるのです。
またミドルウェアは、アプリケーション開発者が業務ロジックに集中できるように、汎用的な基盤機能を提供します。例えば、Javaのミドルウェアである「Spring」では、データベースアクセスや通信プロトコル、認証処理といった汎用機能がまとめて提供されています。
開発者は、これらの部品として提供される機能を適宜組み合わせることで、自身は業務で実現したい処理に集中するだけで済むのです。機能部品の規模と豊富さが開発効率の向上に直結するため、各言語は年々拡充を続けているのです。
一方で、過剰に機能部品に依存しすぎると、処理効率の低下を招くリスクもあります。使いすぎず使いこなすというバランス感覚が開発者には求められます。
OSに依存しない、汎用的なソフトウェア資産を再利用できる点で、アプリケーション開発の生産性向上に大きく貢献していると言えます。
ソフトウェア開発の流れ
はじめから終わりまで一気に作るのは難しいため、開発する際には、だいたい次のようなステップごとに分けて作業を進めていきます。大まかな流れを押さえておくと、ソフトウェア開発の全体像が理解しやすくなります。
要件定義
まず、実現したい機能をできるだけ具体的にリスト化します。ソフトウェアで何を実現したいのかを、明確に定義する作業が要件定義です。
例えば、掲示板システムを作成する場合、必要な機能としては
- 記事の登録/編集/削除
- 検索機能
- ユーザー登録機能
などがあげられます。こうした機能を漏れなく洗い出し、入力/出力のイメージも含めて、できる限り詳細に要件定義書として文書化します。
この要件定義次第で、後工程の開発効率が大きく左右されるため、十分なヒアリングと文書を詳細に書くことが欠かせません。あいまいな定義のまま、後工程に進むと手戻りが発生しがちです。
要件を定める作業は、ソフト開発において必要不可欠なプロセスであり、期間をかけて関係者と綿密に機能を洗い出していくことが大切です。要件定義書の作成に十分注意しましょう。
こちらの記事では、要件定義書についてくわしく解説しております。
設計・構築
次に、要件定義で示した機能をどのように実現するか考える、設計作業を行います。Webサイトを作る場合を例に説明します。
使用するソフトを選び、データの保存構造を考えていきます。また、登録や検索といった機能ごとに、サーバー上で処理をする部分と、ブラウザ上で処理をする部分を分けて設計していきます。
これらの結果を、業務フローや画面の遷移図などとして、書類や図にまとめていくのが設計工程です。細部まで描くことで、後のプログラミング作業がスムーズになります。
フレームワークの選定、データ保存の構造化、サーバー側/ブラウザ側での役割分担、機能の処理フローの明確化、画面設計といった作業が含まれます。要件定義と同様、設計もアプリ開発における重要プロセスです。
プログラミング
設計した処理の流れを、プログラミング言語を使って、コンピューターが理解できる形式で書いていく作業です。
より具体的に言うと、人が理解できる設計書に基づいて、C言語やJavaといったプログラミング言語を用いて、命令コードを記述していく工程を指します。
アプリケーションであれば、データベース接続や画面遷移、ボタンからの処理呼び出し、エラーハンドリングといった要件に沿った一連のプログラムコードを記述していきます。UnicodeやUTF-8など文字コードも、意識する必要があります。
近年は開発効率の観点から、SDKやライブラリ、フレームワークといった既存資産も活用していく手法が一般的です。ただ仕様変更には、その分コストもかかるため、設計段階での検討が重要になります。
テスト(動作確認)
最後にできたプログラムに間違いがないか、動作を確認する作業を行います。
プログラムコードが仕様通り正しく動作するかを、体系的に検証する工程がテストです。単体テストから始まり、複数ソフトウェアとの連携動作まで、段階を追って確認していきます。
検証項目と期待される結果を明確化した上で、テストケースを準備し、プログラムがその条件で意図した出力を返すことを確認していきます。期待値と異なる動作をした場合は、バグとして修正リストに追加していきます。
大規模開発の場合は、QA(品質保証)の専任メンバーが中心となり、体系的にテストを実施するのが一般的です。テスト技法としてはブラックボックス、ホワイトボックスといった手法が用いられます。
ソフトウェア開発で求められるスキル
高品質なソフトウェアを開発・提供していく上で、開発者に求められる主なスキルを解説します。プログラミング言語の運用能力はもちろんのこと、チームとのコミュニケーションを含め、多角的な力が必要とされます。
プログラミング能力
ソフトウェア開発で最も重要視されるのが、言語処理能力と問題解決力です。複雑な課題を、論理的に解決する思考力と、それをプログラムとして表現できる実装力が問われます。
ソフトウェア開発者に求められる基礎的なプログラミングスキルとして、次の3つが挙げられます。
- アルゴリズム思考力 – 目的達成のための処理手順を論理的に構築できる
- コーディング力 – 構築したアルゴリズムをプログラミング言語で実装可能
- デバッグ力 – プログラムのエラーから原因特定と解決策を導き出す
これらは、ソフトウェア開発のコアとなるスキルで、継続的な訓練で磨き上げていく必要があります。例えば、複数人で行うプログラミングコンテストに参加・挑戦することで、着実に実力がつくといった事例が多く見られます。
コミュニケーション能力
自分よりも、事情をよく知るユーザーが存在する場合もあり、要件定義の抽出には優れたコミュニケーション能力が欠かせません。チーム内での役割分担や、進捗報告といった場面でも同様に重要度が高まるでしょう。
ソフトウェア開発者に求められるコミュニケーション力として、次の3点が重要視されます。
- 傾聴力 – 相手の立場に立ち、事実を丁寧に聴き取る姿勢
- フィードバック力 – 相手の要望を適切に理解し、解決策を提示する力
- 文書化能力 – 意思決定の根拠や作業指示書を明瞭かつ簡潔に作成できる
これらの力が損なわれると、チーム内に意思のずれやギクシャクした関係が発生しがちです。相手意識と組織理解を強化することで、コミュニケーションスキルも自然と向上していきます。
トラブルシューティング力
複数要因が絡み合う複雑な課題に対し、原因の特定と解決策を見出していく力が求められます。想定外の事態に、柔軟に対処できる分析力と忍耐力が問われる場面です。
ソフトウェア開発現場で発生する典型的なトラブルと対処方法は以下の通りです。
- バグ- 想定外の動作をした場合の原因特定と修正
- 性能低下- 突発的な負荷上昇に対し計測とチューニングを実施
- データ損失- 障害発生時の対策として冗長化とバックアップから復旧
これらは、全て予期せぬ事象への対応力が求められます。現象を速やかに解析し判断する力に加え、変化へのストレス耐性と冷静性が不可欠です。事前に類似ケースをある程度想定し訓練することで、トラブルシューティング力は効果的に養成できます。
自己研鑽力
IT業界の技術革新スピードは非常に速く、自発的に最新技術を学び続ける姿勢が欠かせません。日頃から自分のスキルアップに向けた、自己研鑽を怠らないことが大切です。
自己研鑽の具体的な方法として、次の3つのアプローチが有効です。
- 情報収集 – 技術系SNSやnewsサイトで最新トピックスをキャッチアップ
- 実践 – 新しいフレームワークを使用したサンプルアプリ開発など
- 交流 – 学習コミュニティで他者と気づきや知見を共有
身近な所から始めることがポイントで、小さなアウトプットを数多く重ねていくことで確実に実力が付いていきます。
ソフトウェアのまとめ
今回の記事では、ソフトウェアの基本的な定義から、特徴や種類、開発スキルについて詳しく見てきました。コンピュータを動かす存在として、また自分のアイデアを形にするためのプラットフォームとして、ソフトウェアは現代社会に欠くことのできないテクノロジーです。
Webサービスを手掛けたい、アプリを一緒に開発したい、というアイデアがあれば、株式会社Jiteraに遠慮なくご相談ください。素敵なアイデアを一緒に形にしていきましょう。