業務の効率化を目指し、クラウドサービスへの関心が高まっています。
その中でもGoogle Cloud Platform(GCP)は注目を集めていますが、その内容についてはまだ不明な点が多いかもしれません。
そこで、この記事ではGCPがどのようなサービスであるか、その特徴や何ができるかについて明確に説明し、システム管理者がGCPを活用する際の理解を深めることを目指します。
2014年 大学在学中にソフトウェア開発企業を設立
2016年 新卒でリクルートに入社 SUUMOの開発担当
2017年 開発会社Jiteraを設立
開発AIエージェント「JITERA」を開発
2024年 「Forbes 30 Under 30 Asia 2024」に選出
GCP(Google Cloud Platform)とは?
GCP(Google Cloud Platform)は、Googleが提供するクラウドコンピューティングサービスの総称です。
Google社内で使われているテクノロジーやインフラを活用できるため、Google検索やYouTubeなどのプラットフォームに使用されているデータ解析や機械学習系のサービスを利用できます。
GCPが公開している基本サービスを活用することで、素早く開発を行ったり、運用を効率化できたりします。
GCPは安定したインフラ環境、高速なネットワーク、AI分野のサービス、セキュリティなどを提供可能で、幅広いニーズに対応しているので、実績、知名度が高く、世界的に利用されています。
GCPで利用すべきおすすめサービス
ここでは、初心者でも簡単に利用できるおすすめのGCPのサービスを紹介します。
Cloud Storage
Google Cloud Storageは、非構造化データを保存するための管理サービスで、無制限のデータ保存量と、いつでもアクセス可能なデータ取得を実現します。
Google Cloud Storageは、使用頻度に基づいて最適なストレージクラスへの自動移行、広大な地域にわたるSLA保証のレプリケーションによる高い可用性が特徴です。
また、迅速かつ柔軟なデータ転送オプション、そしてデータ漏洩や不正アクセスから保護するための堅固なセキュリティ設定を提供します。
Virtual Private Cloud(VPC)
Google Cloud Platform(GCP)におけるVirtual Private Cloud(VPC)は、クラウド環境内での仮想ネットワーク環境を提供するサービスです。
VPCは、グローバルスケールでの運用が可能で、世界中のどの地域にも対応する広範なネットワークを構築できます。
プライベートなネットワークスペースを提供し、一つの組織が複数のプロジェクトにわたって単一のVPCを効率的に利用することができます。
さらに、システムの停止を伴わずにIPアドレスの範囲を拡大することが可能です。VPCフローログにより、ネットワークのトラフィックを監視し、セキュリティの分析を行うことができます。また、VPCピアリングを通じて、異なる組織同士がプライベートな通信を確立することも可能です。
Big Query
Big QueryはGoogle Cloud Platformの中核をなす、高度に管理された企業向けデータウェアハウスサービスです。
Big Queryは、数TBから数PBに及ぶ膨大なデータセットの迅速な分析を可能にし、わずか数秒でのデータ処理を実現します。
Big Queryのカラム型データストアは、列ベースのデータアクセスを提供し、これによりデータの読み込みと処理が飛躍的に速くなります。
また、そのユニークなツリーアーキテクチャは、クエリを並列処理することで、大量データの分析を高速化します。
これらの特徴により、Big Queryはデータ駆動型の意思決定を支援し、ビジネスの洞察を深める強力なツールとなるでしょう。
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GCPでは何ができる?メリット付きで解説
GCPでは何ができるかメリット付きで以下に解説します。
- Google提供のプラットフォームが全て使える
- 効率的なデータ運用ができる
- AI活用の需要予測ができる
- AI画像分類ができる
- 低コストでのゲーム開発ができる
それでは詳しく見ていきましょう。
Google提供のプラットフォームが全て使える
GCPには、コンピューティングリソースを提供するCompute Engine、データ解析ツールのBigQuery、クラウドベースのオフィススイートであるGoogle Workspaceなどの幅広いサービスが用意されています。
その中でも、おそらく最も馴染み深いのがGoogle Workspaceでしょう。Workspaceには、GmailやGoogleドライブ、スプレッドシートなどの生産性ツールが含まれています。これらのツールを活用することで、ITコストを削減しながら業務の効率化を実現することが可能です。
GCPを利用すれば、必要に応じて様々なクラウドサービスを組み合わせて利用できます。ユーザーは自社のニーズに合わせてサービスを選択し、コストパフォーマンスに優れたIT環境を手軽に構築できるでしょう。
効率的なデータ運用ができる
GCPが提供するBigQueryは、ビッグデータ分析に特化した高性能なデータ処理サービスです。数テラバイトや数ペタバイトに及ぶ膨大なデータであっても、瞬時に解析を行うことができます。
また、ウェブ解析ツールのGoogle Analytics 4とも連携が可能です。これにより、Googleアナリティクスで収集されたデータもBigQueryで一元的に処理・分析できるため、あらゆるデータソースを横断した総合的な分析が実現します。
膨大なビッグデータを高速に分析できるBigQueryの処理能力と、Google製品との緊密な連携によるデータ統合は、GCPならではの大きな強みです。
データ主導の意思決定を支援するBigQueryは、GCPユーザーに幅広い可能性を提供するサービスと言えるでしょう。
AI活用の需要予測ができる
GCPには、AI(人工知能)分野とデータ処理分野で卓越した技術力があります。これら2つの強みを掛け合わせることで、AIを活用した先進的な需要予測が実現可能です。
GCPのAIサービスは、機械学習や自然言語処理、コンピュータビジョンなど幅広い領域で高い性能を発揮します。一方でBigQueryなどのデータ処理ツールは、大規模データの高速解析を可能にします。
AIの高度な分析力と、ビッグデータ分析の処理力を組み合わせることで、製品やサービスに対する将来の需要を的確に予測できるようになります。単なる過去データの延長ではなく、AIが潜在的な需要トレンドを発見し、ビジネスの先を見据えた需要予測ができるのが大きな強みです。
AI画像分類ができる
GCPが提供するAuto MLは、機械学習の専門知識がなくても画像分類タスクを簡単に実行できるサービスです。ユーザーは直感的にわずかの項目設定を行うだけで、高度な画像分類モデルを自動的に構築できます。
従来の機械学習モデル開発では、データの前処理、アルゴリズムの選定、ハイパーパラメータのチューニングなど、多くの工程で専門知識が求められました。しかしAuto MLはそうした複雑な作業をサービス内で自動化しているため、ユーザーは大きな工数をかけずに済みます。
機械学習のスキルがない分野の開発者でも、Auto MLを活用することで手軽に画像認識の高度な機能を製品やサービスに組み込めます。Auto MLはGCPならではの付加価値の高いサービスであり、AIの民主化と活用範囲の拡大に大きく貢献できるでしょう。
低コストでのゲーム開発ができる
GCPのApp Engineを利用すれば、少人数で低コストながらゲーム開発を行うことができます。App Engineは、
Node.js
Java
Ruby
C#
Go
Python
など主要なプログラミング言語に対応しているためです。
従来のゲーム開発では、開発環境の構築や運用に多大な費用と工数がかかりました。しかしApp Engineなら、Googleクラウド上であらかじめ開発環境が用意されているため、チームはすぐにコーディングに専念できます。
App Engineは自動スケーリング機能も備えており、トラフィックの増減に合わせてリソースを最適化します。つまり、リソースのムダをなくして低コストでゲームの開発運用ができるのです。
GCPのデメリット
GCPには次のようなデメリットがあります。
- 日本語ドキュメントが少ない
- サービスが少ない
- リージョンが少ない
それでは詳しく見ていきましょう。
日本語ドキュメントが少ない
GCPの利用における課題の一つは、日本語のドキュメントが不足している点です。
情報の大部分が英語で提供されているため、日本語話者にとっては、情報収集や理解に障壁が生じることがあります。
特に技術的な詳細や新機能のアップデートに関しては、英語の情報が優先され、日本語訳が追いつくまでに時間がかかることが多いです。
このため、日本語を第一言語とする開発者や企業は、GCPの機能を完全に把握し活用するためには、余分な時間を要することがあり、導入が困難になるでしょう。
サービスが少ない
Google Cloud Platform(GCP)は、クラウドコンピューティングの分野において多くのサービスを提供していますが、他のプロバイダーと比較すると、サービスのバリエーションにおいては見劣りするでしょう。
特に、ブロックチェーンや特定産業向けの専門的なツールなど、ニッチなカテゴリーにおけるサービスの提供は他のプロバイダーに比べて少ない傾向にあります。
リージョンが少ない
Google Cloud Platform(GCP)は、データセンターのロケーションが、他の主要なクラウドサービスプロバイダーと比較して選択肢が限定されているという課題を抱えています。
この状況は、迅速なデータアクセスを必要とする企業や、災害発生時のデータの安全性を最優先する企業にとっては、特に不都合です。
アジア太平洋地域、特に日本ではデータセンターが限定的で、企業の日常業務や災害復旧の戦略に影響を及ぼす可能性があります。
GCPとAWS(Amazon Web Services)の違いとは?
クラウドサービスを導入したいが、GCP・AWS(Amazon Web Services・Azureのどのサービスを選べば良いかわからない方も多いでしょう。
GCP・AWS・Azureの基本的なサービスに差はありませんが、特徴が少し異なるので以下のサービス比較表をご覧ください。
GCP | AWS | Azure | |
提供元 | Amazon | Microsoft | |
概要 | Googleが提供しているクラウドサービスの総称 | 世界最大のシェアを獲得しているクラウドサービス | Windowsベースで構築 |
強み | AI開発・データ分析に長けている | 用途が豊富 | Microsoft製品との親和性が高い |
料金プラン | 従量課金制 | 従量課金制 | 従量課金制 |
GCPはデータ分析の分野で優れており、AWSはその多様な用途で知られています。
これらのプラットフォームは、使用する用途に基づいて選択すべきです。
Microsoftが提供するAzureは、Microsoftの製品群と高い互換性を持っていますので、これらの製品を頻繁に使用している場合は、Azureの利用を考慮することをおすすめします。
また、これらのサービスはすべて従量制の料金体系を採用しており、過度なコストはかかりません。自社のニーズや目的に合わせて、最適なサービスを選定することが重要です。
GCPが学べる本・動画を紹介!
最後に、初心者でも簡単にGCPについて学ぶことができる本・動画を紹介します!これから、GCPについてさらに詳しく知りたいという方はぜひ参考にしてみてください。
図解即戦力Google Cloudのしくみと技術がこれ1冊でしっかりわかる教科書
画像引用元:アマゾン
価格 | 2,728円(税込) |
学べる内容/言語 | これまでオンプレミス環境でしか開発したことない方、これからエンジニアになるという方むけ |
この本は、Googleのクラウドコンピューティングサービス「Google Cloud」(旧GCP)の仕組みと関連技術を、フルカラーのイラストを用いて分かりやすく解説した一冊です。
対象読者は、エンジニア入門者、クラウド分野の転職・就職希望者、企業によるクラウドサービス導入の検討者など幅広く設定しています。クラウドコンピューティングの基本から、Google Cloudが提供するサーバー、ネットワーク、ストレージ、サーバーレス、データベース、データ分析など主要サービスの具体的な製品や重要用語を、豊富なイラストとともにわかりやすく解説しています。
これまでGoogle Cloudの解説書は難解だったという方でも、本書なら専門知識がなくてもスムーズに学習を進められます。クラウド人材を目指す方、Google Cloudの活用を検討する方に最適な、実践的でビジュアル的な解説書となっています。
GCPの教科書
画像引用元:アマゾン
価格 | 3,960円(税込) |
学べる内容/言語 | 「GCPを使ってみたいけど使い方がよく分からない」方から、
「ある程度使っているけれども使いこなせてはないかも?」というクラウドに関して初級から中級の技術者の方を対象にしている |
GCPの基本を理解した方向けに、よりディープな内容を解説するのがこの一冊です。
他の入門書ではGCPの主要サービスのみが取り上げられていますが、本書ではGCPが提供する全てのサービスについて詳しく解説されています。
中級者向けの内容となっているため、AWS等の他クラウドサービスを利用した経験のある方にとっては、なじみやすい解説となっています。GCPのサービスがAWSの何に該当するかが明記されているため、サービス対応関係をスムーズにキャッチアップできる構成になっています。
基礎から応用までGCPを幅広く学びたい方、他クラウド経験者がGCPに切り替える際の手引き書として、本書はそれぞれのニーズに合ったGCP技術解説書と言えるでしょう。
現役エンジニアが教える、手を動かして学ぶGoogle Cloud Platform(GCP) 入門
画像引用元:Udemy
価格 | 1,300円(税込) |
学べる内容/言語 | Google Cloud Engine(GCE) Google Cloud Storage(GCS) Cloud SQL Cloud Load Balancing Cloud DNS Cloud Function Google App Engine(GAE) Cloud Datastore |
本講座はGCPの基礎を体系的に学べる内容となっており、GCPを初めて学ぶ方や、しっかりと基本から理解したい方におすすめの一本です。
特に高い評価を受けているのが、データの収集・処理、データの可視化についてのGCPでのベストプラクティスが丁寧に解説されている点です。サービス開発の根幹である「データの扱い方」に的を絞った構成になっています。
近年のクラウドサービスの多機能化により、目的に合わせて最適なサービスを選定することが難しくなってきました。データ収集・処理で言えば複数のサービスがあり、用途に合わせて適切に使い分ける必要があります。
本講座では、具体的なユースケースごとに、データサービスの選定方法、データ取得・保存の手順をしっかりとカバーしています。GCPのデータソリューションを体系的に学びたい方に最適な、分かりやすい解説が評価されている人気講座です。
最速で学ぶ – Google Cloud Platform(GCP)入門完全攻略コース
画像引用元:Udemy
価格 | 1,300円(税込) |
学べる内容/言語 | GCEでWebサーバーの構築 VPCで仮想ネットワークの構築 Cloud DNSでドメインの利用 GCSで画像を配信 Cloud SQLでデータベースサーバーを構築 |
このUdemy講座は、クラウドコンピューティングの基本を学ぶための完璧な入門コースです。GCPを使用してクラウドサーバーの設定、SSH接続、ネットワーク構成など、サーバー構築のための重要なスキルを習得できます。
特に、クラウドサーバーの構築が初めての方や、ネットワークやDNSに不慣れな方に適しているでしょう。現代のトレンドとして、物理的な機器に依存するオンプレミスの環境から離れ、クラウドを利用した環境構築が主流になっています。
この講座では、クラウド上でのサーバー構築やデータベースサーバーとの連携など、Webサービス開発に不可欠な知識を身につけることができます。クラウドサービスの経験がない方や、実践的な開発経験を積みたい方に最適です。
まとめ
Google Cloud Platform(GCP)は、Googleによって提供されるクラウドサービスで、コストパフォーマンスと拡張性が特徴です。
データ分析やAIツールを搭載し、高度なセキュリティとコンプライアンスを維持しながら、効果的なアプリケーション開発を支援します。
GCPを使用することで、AIの最新技術を活用しつつ、コストを削減し、迅速にシステムを構築することが可能です。
GCPには、プロジェクトごとの要件に合わせて選択し、組み合わせることができる多種多様なサービスがあります。
アプリケーションやシステム開発においては、ニーズや環境に応じた適切なライブラリやフレームワークの選択が成功への鍵です。
システム開発やアプリケーション開発に関するお問い合わせは、株式会社Jiteraまでお願いします。お客様の要望と将来のビジョンを踏まえ、最適な開発戦略を提案します。