Fyroxとは?特徴と導入方法、Rustでの開発に役立つゲームエンジンを紹介

Fyroxは、Rustで開発されたゲームエンジンです。Fyroxを使用することで、ゲームのグラフィック、物理エンジン、サウンド、ネットワーキングなど、複雑な要素を手軽に実装できます。

この記事ではFyroxの特徴や導入方法、Fyrox以外のRust製ゲームエンジンなどについて詳しく解説します。

監修者 Shiho Maejima

COBOL→Java経験ありの元エンジニアです。システム開発に携わった経験から、皆さまにわかりやすいITの情報をお伝えします。

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    Fyroxとは

    Fyroxは、Rustで開発されたオープンソースのゲームエンジンです。Rustはその高いパフォーマンスと安全性が特徴の言語で、FyroxはRustの強みを最大限に活かしています。

    Fyroxはリアルタイムの3Dレンダリングに対応しており、質の高いグラフィックスを提供します。物理エンジン、サウンドエンジン、アニメーションシステムなど、ゲーム開発に必要な機能が豊富に揃っており、開発時に一からこれらを実装する手間を省くことが可能です。

    Fyroxは使いやすさにも優れています。公式ドキュメントやチュートリアルが充実しているため、初心者でも簡単に学び始めることができます。Rustのエコシステムとシームレスに統合されており、既存のRustプロジェクトに組み込むのも容易です。

    Fyroxは、Rustの持つパフォーマンスと安全性を活かした高機能なゲームエンジンとして、今後の注目が期待されています。

    Fyroxの特徴

    Fyroxは、Rustの高性能と安全性を活かした魅力的なツールとなっています。リアルタイムの3Dレンダリングに対応しており、美しいグラフィックスを実現可能です。

    ここからは、Fyroxの以下6つの特徴について、詳しく解説します。

    • 無料のオープンソースである
    • 2D/3Dの両方をサポートしている
    • マルチプラットフォームに対応している
    • オブジェクト指向である
    • エディターによるサポート機能がある
    • 機能が豊富に備わっている

    無料のオープンソースである

    Fyroxは、無料で利用できるオープンソースのゲームエンジンです。オープンソースであるため誰でもソースコードにアクセスでき、自分のプロジェクトに合わせてカスタマイズできます。コミュニティによって継続的に改善や新機能の追加が行われるため、常に最新の技術を取り入れることが可能です。

    無料なので、コストを抑えながら高機能なツールを利用できます。多くの商用ゲームエンジンではライセンス費用やロイヤリティが発生しますが、Fyroxはそのような費用がかからず、予算を他の重要な部分に集中できます。

    オープンソースコミュニティのサポートを受けられるため、問題が発生した際にも迅速に対応できる環境が整っているのです。

    このように無料のオープンソースであるFyroxは、開発コストの削減と柔軟なカスタマイズ性を提供し、個人や小規模チームのゲーム開発をサポートします。

    2D/3Dの両方をサポートしている

    Fyroxは、2Dおよび3Dの両方のゲーム開発をサポートしているゲームエンジンです。一つのエンジンで幅広いジャンルのゲームを作成できるため、プロジェクトに応じて最適なアプローチを選択できます。

    2Dゲームの開発においてFyroxは、高性能なレンダリング機能を提供します。スプライト、タイルマップ、アニメーションなど、2Dゲーム制作に必要なツールが豊富に揃っているためです。

    アクションゲームやパズルゲームなど、多様なジャンルの2Dゲームを効率的に開発できます。

    一方3Dゲームの開発機能も優秀です。リアルタイムの3Dレンダリング、物理エンジン、サウンドエンジンなど、3Dゲームに必要な機能が充実しており、高品質なグラフィックスとリアルな物理挙動を実現可能です。

    シェーダーのカスタマイズやポストプロセッシングエフェクトの追加も容易に行えるため、視覚的に優れたゲームを制作できます。

    Fyroxの2Dおよび3Dサポートにより、プロジェクトのニーズに合わせて柔軟に対応できます。特に多様なジャンルに挑戦するインディー開発者や小規模チームにとって大きな魅力です。

    マルチプラットフォームに対応している

    Fyroxは、幅広いプラットフォームに対応するゲームエンジンです。具体的には、PC(Windows、Linux、macOS)とWebAssemblyでのゲーム開発をサポートしています。

    一つのエンジンで複数のプラットフォーム向けにゲームを制作でき、開発効率を大幅に向上させることが可能です。

    各OSに対応したビルドが可能なため、ユーザーの環境に依存しないゲーム提供が実現します。Windows、Linux、macOSのいずれでも高性能なゲーム体験を提供でき、ユーザーベースの拡大に貢献するでしょう。

    各プラットフォーム向けに最適化されたパフォーマンスと安定性を確保できるため、プレイヤーに一貫したゲームプレイを提供できます。

    一つのエンジンで多様なデバイス向けのゲームを効率的に開発できるため、リソースの最適化が図れ、より多くのユーザーにリーチが可能となります。

    オブジェクト指向である

    Fyroxは、オブジェクト指向のアプローチを採用したゲームエンジンです。

    オブジェクト指向とは、プログラムを「オブジェクト」と呼ばれる単位で構成する手法で、それぞれのオブジェクトがデータと機能を持っています。コードの再利用性や保守性を向上させる、ゲーム開発において非常に重要な特性です。

    Fyroxを使用することで、オブジェクト間の関係を明確にし、各オブジェクトの独立性を保ちながら開発を進められます。複雑なシステムでも整理されたコードを維持しやすくなり、バグの発見や修正が容易になります。

    また、新しい機能の追加や既存機能の改良も迅速に行えるため、開発の柔軟性が高まるのです。

    Fyroxのオブジェクト指向アプローチは、ゲーム開発の効率性を高めます。複雑なゲームシステムでも高品質なコードを維持し、迅速な開発サイクルの実現が可能です。

    エディターによるサポート機能がある

    Fyroxはプログラムベースの開発だけでなく、強力なエディターによるサポート機能も備えています。直感的に操作できる優れたエディターによってコードを書く時間を減らし、迅速にゲーム開発を進めることが可能です。

    Fyroxのエディターは、シーンの作成やオブジェクトの配置、アニメーションの設定など、多くの作業をドラッグアンドドロップで簡単に行えます。リアルタイムで変更をプレビューできるため、開発中のゲームがどのように動くかをすぐに確認でき、微調整が容易です。

    Rustのエコシステムと完全に統合されたエディターであるため、Rustのコードを直接編集してエディター内でテストできます。Rustの機能を最大限に活用しつつ、エディターの利便性も享受することが可能です。

    機能が豊富に備わっている

    Fyroxは、ゲーム開発に必要な機能が豊富です。キャラクターの動きや環境の変化をリアルに表現できるアニメーションシステムを備え、複雑なアニメーションを簡単に作成できます。AIシステムも充実しており、ゲーム内のキャラクターに高度な行動パターンを設定可能です。

    物理エンジンも搭載しているため、リアルな物理挙動をゲームに取り入れられます。例えばオブジェクトの衝突や重力の影響をリアルタイムでシミュレーションすることが可能です。これにより、ゲームの臨場感が一層高まるでしょう。

    Fyroxにはサウンドエンジンも含まれており、高品質な音響効果を実現します。背景音楽や効果音を簡単に組み込むことができ、プレイヤーの没入感を高められます。

    また、スクリプティング機能も強力で、Rustのコードを直接編集してゲームのロジックを実装できます。

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    Fyroxの導入方法

    Fyroxの導入方法は比較的シンプルで、いくつかの手順を踏むことで簡単に利用を開始できます。ここからは以下の3ステップにわけて、Fyroxの導入方法を解説します。

    • OSごとに必要な環境を確認する
    • コマンドを入力してインストールする
    • プロジェクトを生成して開発する

    OSごとに必要な環境を確認する

    Fyroxを導入する際には、必要な環境を確認しておかなくてはなりません。基本的な要求スペックのほか、使用するOSに応じた特定の環境設定や依存関係の確認が必要です。

    例えばLinuxでFyroxを使う場合、必要なライブラリがあります。インストールの際には依存関係にある要素を正しく把握した上で、コマンドを実行してください。

    OS固有の依存関係については、Fyroxの公式サイトにも明記されています。事前に確認しておきましょう。

    コマンドを入力してインストールする

    必要な環境を理解したら、OSごとに適切なFyroxのインストールコマンドを実行します。依存関係にあるライブラリなどの要素も含め、以下を参考にしてください。

    Windows

    まずは各公式サイトより、以下のコマンドでRustをインストールします。

    curl –proto ‘=https’ –tlsv1.2 -sSf https://sh.rustup.rs | sh

    次に、Fyroxのテンプレートプロジェクトを以下のコマンドで作成しましょう。

    cargo install fyrox-template

    テンプレートがインストールされたら、新しいプロジェクトを作成します。

    cargo new my_fyrox_game –bin
    cd my_fyrox_game
    fyrox-template

    プロジェクトディレクトリに移動し、以下のコマンドで依存関係をインストールしてください。

    cargo build

    最後に、プロジェクトを実行してFyroxが正しくインストールされているか確認します。

    cargo run

    以上で、Windows環境でのFyroxのインストールは完了です。

    Linux

    LinuxではRustのインストールに加えて、必要な依存関係を確認し、インストールする必要があります。以下のコマンドで必要なパッケージをインストールしてください。

    sudo apt-get update
    sudo apt-get install build-essential libssl-dev pkg-config

    このコマンドを実行すると、Linux上での開発環境が整います。

    NixOS

    NixOSでは、Nixパッケージマネージャを使用してRustと必要な依存関係をインストールします。以下のコマンドを使用してセットアップを行いましょう。

    nix-env -iA nixpkgs.rustup nixpkgs.pkg-config nixpkgs.openssl

    これでNixOS上でもFyroxを問題なく使用できます。

    プロジェクトを生成して開発する

    プロジェクトの生成は、新しいプロジェクトフォルダを作成する以下のcargo newコマンドを使用して行います。プロジェクト名は任意の名称に変更が可能です。

    cargo new fyrox_project
    cd fyrox_project

    続いて、Cargo.tomlファイルにFyroxの依存関係を追加します。

    [dependencies]
    fyrox = “0.29”

    これで、Fyroxを使用する準備が整いました。プロジェクトをビルドして実行するためには、editorパッケージとexecutorパッケージをそれぞれ実行する以下のコマンドを使用します。

    cargo run –package editor –release
    cargo run –package executor –release

    editorパッケージはゲームのエディタを起動し、executorパッケージはゲームを実行するものです。この2つのコマンドを使用することで、開発とテストを効率的に行えます。

    Fyroxと比較されやすいゲームエンジン

    Fyroxは、Rustで開発するための強力なゲームエンジンですが、同じくRustをサポートする他のゲームエンジンとの比較も重要です。

    特にBevyとGodotは、Fyroxと比較されることが多くなります。

    Fyrox Bevy Godot
    使用言語 Rust Rust Rust, C#, GDScript
    エディター あり なし あり
    ECSサポート なし あり あり
    2D/3Dサポート 両方 両方 両方
    主な特徴 高度なアニメーションシステム シンプルなAPI、拡張性の高いECS 多言語サポート、豊富なドキュメント

    BevyもRustで開発されたゲームエンジンで、エンティティ・コンポーネント・システム(ECS)アーキテクチャを採用しています。シンプルで直感的なAPIを提供し、2Dおよび3Dゲームのプロトタイプ作成に適しています。

    GodotはRust、C#、GDScriptなど、多言語に対応するオープンソースのゲームエンジンです。直感的なエディターを持ち、2Dおよび3Dゲームの開発に広く使われています。多くのプラグインとドキュメントがあり、コミュニティサポートも万全です。特にクロスプラットフォームのゲーム開発に適しています。

    各エンジンの特徴を理解し、自分のプロジェクトに最適なものを選ぶことが重要です。

    Fyrox以外のRust製ゲームエンジン4選

    Fyrox以外にも、注目すべきRust製のゲームエンジンがいくつかあります。ここでは、Fyrox以外の4つのRust製ゲームエンジンを紹介し、それぞれの特徴と利点を説明します。

    • Piston
    • Bevy
    • goku
    • Arete Engine

    Piston

    PistonはRustで開発された多目的ゲームエンジンで、2014年に開発をスタートしました。オープンソースであり、2Dおよび3Dゲームの開発に対応しています。

    DyonというRustで作られた動的型付けスクリプト言語を使用できるのが大きな特長です。Pistonの主な機能と対応OSは、以下です。

    概要
    主な機能 2Dおよび3Dのグラフィックスレンダリング
    イベント処理
    物理エンジン
    サウンド
    入力管理機能
    モジュラー設計を採用
    対応OS クロスプラットフォーム対応

    Piston

    Bevy

    Bevyは、Rustで開発されたモジュール式のゲームエンジンです。オープンソースであり、2Dおよび3Dゲームの開発をサポートしているほか、ECSベースのジョイントAPIによる骨格アニメーションをサポートしています。Bevyの主な機能と対応OSは、以下です。

    概要
    主な機能 2Dおよび3Dグラフィックスレンダリング
    メモリ管理最適化
    ホットリロード機能あり
    対応OS クロスプラットフォーム対応(Windows、macOS、Linux、Web、iOS、Androidなど)

    Bevy

    goku

    gokuは、Rustで開発された高性能なゲームエンジンです。最大の特徴は、そのシンプルさと柔軟性にあります。

    gokuを使用することで効率的にゲームロジックを実装できるでしょう。gokuの主な機能と対応OSは、以下です。

    概要
    主な機能 2Dおよび3Dグラフィックスオーディオ制御
    物理アニメーション
    GUI開発インターフェース
    モジュール構造を採用
    軽量でシンプルな設計
    対応OS クロスプラットフォーム対応(Windows、macOS、Linux、Web、iOS、Androidなど)

    goku

    Arete Engine

    Arete Engineは、Rustで開発された高性能なゲームエンジンです。このエンジンはモジュール式で、ユーザーが必要な機能を選択して追加できる柔軟な設計を備えています。

    軽量で効率的な設計により、パフォーマンスの高いゲーム開発が可能です。Arete Engineの主な機能と対応OSは、以下です。

    概要
    主な機能 モジュール設計
    高度なレンダリング機能
    対応OS クロスプラットフォーム対応(Windows、macOS、Linux、Web、iOS、Androidなど)

    Arete Engine

    Rustでゲーム開発をするならFyroxの導入を検討しよう

    FyroxはRustで構築された高性能なゲームエンジンであり、特に2Dおよび3Dゲームの開発に適しています。Rustの信頼性と高いパフォーマンスを活用して、効率的で安全なゲーム開発をサポートします。

    Fyroxを使用したゲーム開発の質問や導入のご相談は、株式会社Jiteraにお問い合わせください。Jiteraにはゲーム開発の専門知識を持つエンジニアが多数在籍しており、最適なソリューションを提供します。

    株式会社Jitera

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