Windows 10からWindows 11に!といったOSのバージョンアップは数年に1回ですが、その間もOSは常に更新され続けていることはご存じでしょうか。そういったOSの更新状況は「OSビルド」と呼ばれ、バージョン情報よりもずっと大きな数字で管理されています。
このOSビルドを最新に保つことでバグ修正やセキュリティ強化、新機能の追加などのメリットを得られるでしょう。本記事では、OSビルドの意味から確認方法、更新の方法や必要性、Windows 11へのアップグレード手順まで、分かりやすく解説します。
2014年 大学在学中にソフトウェア開発企業を設立
2016年 新卒でリクルートに入社 SUUMOの開発担当
2017年 開発会社Jiteraを設立
開発AIエージェント「JITERA」を開発
2024年 「Forbes 30 Under 30 Asia 2024」に選出
OSビルドとは
私たちの使う端末にはかならずWindowsやmacOSといった、OS(オペレーティング・システム)がインストールされています。これらOSにはそれぞれベンダーから頻繁に更新プログラムが適用されて、バグ修正やセキュリティ対策、新機能の実装が日々行われているのです。
ビルドの意味
「ビルド(build)」とはプログラミングの分野で使われる言葉で、「構築する」「作り上げる」といった意味があります。プログラムを開発する際、ソースコードを人間が読める形式からコンピューターが実行できる形式に変換する作業を「ビルド」と呼びます。
この語源から、IT産業においては「動作する実行ファイルを作る」といった意味として、あらゆるアプリやプログラムに「ビルド」という言葉が使われるようになりました。
OSビルドの意味
OSベンダーから提供されたOSの修正やアップデートが積み重なったシステムの状態を「OSビルド」と呼びます。OSビルドには、かならず一意となるような数字が設定されており、このリリースナンバーが「OSビルド番号」と呼ばれます。
それぞれのOSビルド番号は、特定のアップデート後に割り当てられたシステムとして、明確に区別するためのナンバリングとなっています。つまり、「OSビルド番号が変わる」ということは、OSが新しい状態になったことを意味しているのです。この番号が大きいほど、OSが最新の状態であるといえますね。
Windows 10の場合、4桁の数字で表され、大きな値ほどOSの更新が進んでいるとみなせるでしょう。
Windows 11の場合、5桁+小数点以下第4位までと、非常に細かいOSビルド番号で管理されていますが、大きい値ほど最新という点はWindows 10と変わりません。
OSビルドとバージョンの違い
OSバージョンとOSビルドはよく混同されがちですが、実際には異なる意味を持っています。
OSバージョンは世代やリリース時期、機能の大きな変更を表す一方で、OSビルドはその中でのアップデート状況を細かく示す指標だと考えられています。
OSバージョン | OSビルド | |
意味 | OSの世代や大規模なリリース製品を指す | OSの更新やアップデートの積み重ねの状態を示す |
変更頻度 | 数年に1回 | 1~2週間に1回程度 |
例 | Windows 10 -> Windows 11 | Ver.1809 Build 17763 -> Build 18363など |
OSビルドの更新はWindows Updateのタイミングなどで配信されるため、1週間ごとの細かい更新がされます。頻繁な更新になる理由は、ビルド開発が一か所で行われているわけではなく、常にブランチと呼ばれる単位に分割され、さまざまな現場で並列開発・実装されているためです。
また、ゼロデイ(リリース直後に発見させるバグや脆弱性)修正を行うケースもあり、最短で数日以内にビルドが更新されることもあるため、OSビルド番号は細分化しやすくなる傾向にあります。
OSビルドを最新に保つ必要性とは
OSベンダーはOSにバグや脆弱性が見つかり次第、それらを修正したOSビルドをリリースしているため、定期的にOSビルドを最新の状態に保つことが重要です。次の観点から、OSビルドの必要性についてそれぞれ解説していきます。
- バグや不具合の改善のため
- セキュリティを強化するため
- 最新の機能を追加するため
バグや不具合の改善のため
OSビルドの開発においてバグや不具合が発生することは避けられません。ベンダーはOSリリース後も継続して不具合の修正に努めており、発見されたバグや不具合に対応し続けています。
定期的にOSビルドを更新すれば、それらの修正を適用できるため、OSをより安定した状態で使い続けることができます。反対に、最新のOSビルド環境でなければ、安定動作が保証されなかったり、既知の不具合が残り続けてしまうリスクにさらされ続けることになります。
現在のOSビルドでの開発が必須といった特殊な状況を除いて、ベンダーから提供される最新ビルドをかならず適用しておきましょう。
セキュリティを強化するため
セキュリティを強化する意味でも、OSビルドを最新に保つべきです。古いままでは多くのリスクが生じかねません。
OSビルドのアップデートごとに、たびたびセキュリティ上の脆弱性が見つかります。ハッカーの手口は日々進化しており、新たなセキュリティ脆弱性が発見された場合、ただちにOSシステムにも修正が加えられます。
そのため、OSビルドを最新に保つことでセキュリティホールを確実に閉じ、外部の脅威から大切なデータやシステムをしっかりと守る意識が大切でしょう。古いビルドではそういった脅威に対処できなくなり、機密情報の漏洩や個人情報の流出といった危険性が伴います。
最新の機能を追加するため
最新のOSビルドにしておけば、新たな機能が追加されたハイパフォーマンスのOSを使用可能です。
Windows 10 から Windows 11 などのOSバージョンアップでは目新しい機能が数多く実装されますが、その後もOSビルドの更新を通して機能改善や追加が継続されていきます。
特定のOSビルドに存在していたバグフィックスはもちろん、Windows OSの新機能(ファイルマネージャやシステムトレイ)などの利便性も実感できるでしょう。最新機能を漏れなく追加し、作業の効率化に役立ててください。
お気軽にご相談ください!
【Windows 10】OSビルドの確認方法
OSビルド番号は非常に細かい数値で表されるため、現在のビルドが最新であるか分かりづらい場合があります。Windows 10 ではビルド番号を簡単に確認できる方法が複数用意されています。
- Windows設定画面から確認する
- 検索ボックスを使う
- ショートカットキー
設定画面から確認する方法
コントロールパネルの「Windowsのバージョン情報」から、お使いのWindows 10 のOSビルドを確認できます。
- [スタートメニュー]を開き、歯車マークをクリックする
- [システム] > [バージョン情報](または[詳細情報])の順に開く
- [Windowsのバージョン情報]から[バージョン][OSビルド]の項目を確認する
マウス操作のみでビルド番号を確認できるシンプルな方法でしょう。ただし、調べたビルド番号が最新かどうかは別途確認が必要です。
検索ボックスを使う方法
Windows 10 では検索ボックスを使ってOSビルドを確認できます。
- Windowsの検索ボックスに[winver]と入力する
- 検索結果をクリックする
- 開いたウィンドウに[OSビルド情報]が表示される
キーボードを使ってダイレクトに確認できます。作業中にすぐ確認したい時は便利な方法といえます。「win(dowsの)ver(sion確認)」と覚えておくと分かりやすいですね。
ショートカットキーを使う方法
キーボードのショートカットキーを使えば、より手間をかけずにOSビルドを確認できます。
- キーボードで[Winキー + R]を押す
- 表示された[ファイル名を指定した実行]ウィンドウに[winver]と入力する
- Enterキーで実行する
- 開いたウィンドウに[OSビルド情報]が表示される
マウス操作をすることなく確認できるのが利点です。キーボード操作に慣れている方、システム管理担当で頻繁に確認される方は覚えておくと便利でしょう。
OSビルドが表示されない場合
上記の確認方法を試しても、OSの情報やビルド番号が表示されない場合は、お使いのパソコンが最新版にアップデートされていない可能性があります。Windows Updateを行って最新のビルドにアップデートしましょう。
【Windows 10】OSビルドを更新するには
Windows 10では基本的にOSビルドの更新は自動的に行われるように設定されています。ただし、セキュリティソフトの設定やネットワーク環境などによって、自動更新が行われない場合もあります。
- 通常は自動的に更新される
- 手動で更新するには
通常は自動的に更新される
Windows 10では、Windows Updateの設定が有効になっていれば、OSビルドの更新が自動的に行われます。ほとんどのユーザーは特別な操作をする必要がなく、OSビルドは最新の状態に保たれているはずです。
これら自動更新がデフォルトで有効ですが、なんらかの理由で機能していない場合は、手動での更新に移りましょう。
手動で更新するには
自動更新ができていない場合は、手動でOSビルドの更新を行う必要があります。
- [スタートメニュー]を開き、歯車マークをクリックする
- [設定] > [更新とセキュリティ] > [Windows Update]の順に開く
- [更新プログラムのチェック]を実行する
- インストール可能なOSビルドがあれば一覧に表示される
- [インストール]ボタンでアップデートを適用する
この手順で最新のOSビルドを適用できます。インターネット環境や現在のビルド状況によっては時間がかかる可能性もありますので、ゆとりをもって作業しましょう。
【注意】Windows 10は2025年にサポートが終了する
リリースされたOSバージョンはベンダーから継続的なサポートが提供されますが、新OSの発表などに際してサポートの終了を告知される時期がかならずやってきます。Windows 10の場合、2025年10月14日にメインストリームサポートが終了する旨がアナウンス済みです。
サポート終了後はセキュリティ更新プログラムの提供が止まり、新しい機能の追加やバグの修正も行われなくなります。
該当の期限以降もWindows 10をそのまま使い続けると、セキュリティ上のリスクが非常に高いため、個人や会社問わず必ず対策をしなければなりません。まず、サポート期限前にWindows 11へのアップグレードを検討する必要があります。
アップグレードに関してベンチマーク(最低保証スペック)を満たさないパソコンであれば、デバイスごと買い替える必要もあるので、十分に考慮しておきましょう。
ちなみに筆者がつい最近まで利用していたパソコンはまったくスペックを満たしていなかったので、新しいものに買い替えました。動作も軽快でとても快適です。せっかくですから、この機会にまるっと一新してしまうのもいいかもしれませんね。
バージョンやOSビルドをWindows 11にアップグレードする手順
Windows 10からWindows 11への移行を検討する場合、いくつか重要な手順を踏む必要があります。
- アップグレード前後の機能を比較・確認する
- 互換性があるかチェックする
- ファイルのバックアップを行う
アップグレード前後の機能を比較・確認する
OSバージョンがアップグレードされると、UIやシステム動作、搭載機能などに大きな変更が加えられる可能性があります。そのため、アップグレード前に新旧OSの機能を比較し、自身のニーズに合っているかを必ず確認する必要があります。
仮に必要な機能が削除されていた場合、アップグレードを見送り、代替製品やアプリケーションを探すか、それ以前のOSバージョンに残留するなどの対応を検討しなければいけません。普段から利用している機能やアプリケーションの動作要項にも、注意しておきましょう。
万が一アップグレード後に大きな不具合が生じた場合、システムを構成するファイルが破損してしまう可能性もあり、ロールバックやダウングレードでの解決も難しくなるリスクもあります。事前の機能比較は、アップグレードに伴う様々なリスクを回避するために欠かせない作業なのです。
互換性があるかチェックする
Windows 10からWindows 11へのアップグレードを行うには、パソコンの仕様がWindows 11と互換性があることが前提条件となります。下記のWindows 11 公式サイトにアクセスすることで手軽に互換性のチェックを行えます。
公式サイト:新しい Windows 11 OS へのアップグレード | Microsoft
筆者のOSバージョンはWindows 11なので、公式サイトにアクセスすると上記のような画面が表示されます。
サイト内で紹介されているMicrosoftの「PC正常性チェックアプリ」を使えば、詳しいアップグレードの可否を確認できます。Windows 11 OS へのアップグレード画面からダウンロード可能です。
- [PC正常性チェックアプリ]をインストールする
- Windowsの検索ボックスに[PC 正常性チェック]と入力する
- 検索結果をクリックする
- 開いた画面から[今すぐチェック]を選択する
検索結果に出ない場合、こちらからのインストールもお試しください。
PC正常性チェックツール
互換性がない場合は、パソコンの買い替え、あるいはWindows 10のままの使用せざるをえませんが、2025年10月14日までにはセキュリティリスクの観点から何らかの対策を施す必要があるでしょう。
ファイルのバックアップを行う
アップグレードの際にはデータが消失するリスクがあります。万が一に備え、あらかじめクラウドストレージや外付けHDDなどにデータをバックアップすることを強くおすすめします。
バックアップが済んでいれば、たとえ適用後のダウングレードを検討する場合であっても、データの損失が最小限に抑えられます。筆者はすべて外付けHDDにバックアップを保存しています。速度重視のSSDに比べてHDDは安価なので、バックアップ向きといえますね。
Windows 10バックアップ方法に関しては公式のリファレンスを参考にしてみてください。
参考:Windows PCのバックアップ
Windows 11をインストールする
Windows 10とWindows 11の互換性が確認でき、ファイルのバックアップも済んでいれば、Windows 11のインストールを行うことができます。
- [スタートメニュー]を開き、歯車マークをクリックする
- [設定] > [更新とセキュリティ] > [Windows Update] の順に開く
- [更新プログラムをチェックする]をクリックする
- 結果から[Windows 11へのアップグレード]をクリックする
Windows 11 のダウンロードとインストールは、通常の Windows Update よりも大幅に時間がかかります。パソコンのスペックや回線状況によりますが1~2時間程度といったケースが多いようです。少なくとも1時間以上は見積もっておきましょう。
直前の業務や作業にかぶらないよう、時間にゆとりをもってのアップグレードをおすすめします。なお、時間指定も可能ですので、調整する場合はインストーラの指示に従ってアップデート時間を設定しておきましょう。
何らかの理由でアップデートが開始されない場合は、公式ページから別途インストーラをダウンロードして実行する方法もあります。細かい操作方法は公式リファレンスガイドに従ってください。
OSビルドとはパソコンのアップデート状況を示す要素のひとつ
OSビルドの意味から確認方法、更新の必要性、Windows 11へのアップグレード手順について解説してきました。OSビルドとは、OSが定期的に重ねてきた更新の履歴を表す番号に過ぎません。しかし、その状態を最新に維持することで、バグ修正やセキュリティ強化、機能追加などのメリットが得られます。
一方でOSバージョンにはサポート期限があり、Windows 10は2025年10月にサポートが終了する予定です。そうした節目を控え、次なるOSバージョンであるWindows 11へのアップグレードを検討する時期が迫ってきたといえるでしょう。
移行に際しては環境の確認やデータのバックアップなど、しっかりと準備を整えて望みましょう!
当社Jiteraでは、アプリ・システム開発を積極的に行っています。小さなスタートからビジネスを確実に前に進める開発をサポートさせて頂いております。OSビルドやWindows 11アップグレードに関するご相談やご質問がありましたら、Jiteraまでお気軽にお問い合わせください。
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