SSL/TLS暗号化とは?それぞれの概要などを解説

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制御系システムや自動化システムをメインに開発歴10年以上の現役ITエンジニアです。開発言語は C++、C#、VB.Net、Java、PHP、Python、ASP、JavaScript、HTML、CSS…

SSL/TLS 暗号化」は、私たちの生活にとても深く関係しています。

例えば、オンラインショップを利用するときは、クレジットカード情報など機密情報を送信します。また、ネットバンキングを利用するときも、残高情報や振込先データなど重要なデータが行き来します。

こうした個人情報やプライバシーデータが、第三者に盗まれたり改ざんされたりしないように、SSL/TLS が優れた暗号化技術で通信の機密性と完全性を守っていくれています。つまり、私たちが普段、安心してインターネットを利用できるのは、SSL/TLS暗号化がサポートしているからこそ実現できることなのです。

本記事では、SSL/TLS暗号化について詳しく解説していきます。

SSLとは?

インターネットの普及に伴い、プライバシーや機密データの保護が重要な課題となっています。Webサイトを閲覧したり、オンラインショッピングやネットバンキングを利用する際には、通信経路上で個人情報や金融情報などの重要なデータがやりとりされます。

このようなデータを第三者に盗聴や改ざんされてしまうリスクを回避するため、SSLという暗号化プロトコルが開発されました。SSLを使うことで、安全なインターネット通信が可能になり、プライバシーと情報セキュリティが確保されます

本章では、SSLについて概要から具体的な仕組み、サーバー証明書の種類、今後の動向までを詳しく解説していきます。

SSLの概要

SSL(Secure Sockets Layer)とは、インターネット上での通信を安全に行うための暗号化プロトコルです。

私たちがオンラインショッピングやネットバンキングをする際、個人情報やクレジットカード番号などの大切なデータを送信します。こうした機密情報を、第三者に盗まれたり改ざんされたりするのを防ぐためにSSLが使われています。SSLの主な役割を見てみましょう。

インターネット上を流れるデータを暗号化することで、盗聴や改ざんから守ります。また、サーバーの証明書を確認することで、なりすましサイトにだまされるリスクを防ぎます。SSLによる安全な通信が適用されている場合、WebサイトのURLの頭が「https://」となり、ブラウザに鍵型のアイコンが表示されます。

SSLサーバー証明書の種類

SSLサーバー証明書とは、Webサーバーの身元を保証する電子証明書です。

例えば、オンラインショップ運営者がサーバーにインストールすることで、ユーザーのブラウザがサーバーの正当性を自動で確認できます。これにより、ユーザーの個人情報やクレジットカード情報などを安全に暗号化して送受信できるようになり、プライバシーが守られます。

SSLサーバー証明書には、発行元や利用目的によっていくつかの種類があります。主な種類は以下の通りです。

DV(Domain Validation)証明書 最も基本的な種類で、ドメイン名の所有権だけを確認します。安価で手軽に取得できますが、信頼性は低めです。
OV(Organization Validation)証明書 組織の実在と、その組織がドメインを所有していることを確認します。DV証明書より信頼性が高く、広く利用されています。
EV(Extended Validation)証明書 最も厳格な審査がなされる証明書です。組織の実在、事業の適法性、実在性などを確認します。最高水準の信頼性を提供し、HTTPSの接続時にブラウザにグリーンバーで表示されます。

利用シーンや必要な保証レベルに応じて、適切な種類の証明書を選択することが重要です。一般的にはOVかEVの証明書が広く利用されています

SSLは今後使用されない?

SSLの最新バージョンは SSL 3.0で、1996年にリリースされました。その後の脆弱性(システムやソフトウェアにあるセキュリティ上の弱点で、攻撃者によって悪用される可能性がある)の発見などから、TLSがSSLに置き換わる規格として策定されました。つまり、SSLはTLSへ引き継がれ現在では開発はされていません

現在、主要ブラウザやWebサーバーでは、SSLは既に無効化され、TLSが利用されています。完全にSSLから移行するには時間がかかりますが、将来的にTLSが標準的な暗号化通信プロトコルとなることは確実です。

しかし、SSL/TLSが提供する「機密性」「認証」「整合性」といった基本機能は、今後も暗号化通信においては重要な役割を果たし続けます。つまり、SSLが指す概念とその重要性は引き続き継承されていくと考えられます。

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TLSとは?

インターネット通信のセキュリティを確保するための暗号化プロトコルとして、SSLに続きTLSが広く利用されています。

TLSはSSLの後継プロトコルで、より高度な暗号化アルゴリズムとセキュリティ機能を備えています。Webブラウザとサーバー間の通信をはじめ、メール送受信、VPN接続など、様々なインターネット通信においてTLSが暗号化に用いられています。TLSの導入により、通信の機密性と完全性が確保され、セキュリティ上の脅威から通信内容を守ることができます。

本章では、TLSの概要や重要性について解説します。

TLSの概要

TLS(Transport Layer Security)とは、SSLの後継規格として策定された、インターネット上の通信を保護する暗号化プロトコルです。

SSLは1990年代に策定され、当初はWebブラウザとWebサーバー間の通信を安全にする目的で広く利用されてきました。しかし、時間の経過とともにSSLには脆弱性が見つかり、より安全性の高いプロトコルが求められるようになりました。

そこで1999年にTLSがSSLの後継規格として誕生しました。TLSはSSLが持つ基本的な機能は引き継ぎながら、新しい暗号化方式の採用や脆弱性の解消など、セキュリティ面での改善が図られています。

現在、WebブラウザやWebサーバーといったほとんどのアプリケーションやサービスでは、TLSが標準的に使用されています。SSL自体は既に廃止が進んでいますが、「SSL/TLS」や「SSL」と呼ばれることもあり、両者は密接に関係しています。

TLSの重要性

インターネットは現代社会に不可欠なインフラとなっていますが、その通信はもともと平文で行われ、第三者に容易に盗聴や改ざんされる危険性がありました。TLS(SSL)は、このようなインターネット通信の脆弱性を克服する暗号化規格として誕生し、進化を続けています。

TLSは強力な暗号化技術を用いてデータを保護することで、通信の機密性と完全性を確保します。また、サーバー証明書による相手確認により、なりすましの防止にも役立っています。こうした機能は、オンラインバンキングやECサイトでの個人情報・決済情報の保護に不可欠です。

さらに最新のTLS 1.3では、従来よりも高速な処理と強固なセキュリティが両立されています。つまり、TLSなくしてはインターネット上での安全で快適な通信は成り立たず、プライバシー保護やサイバー犯罪対策の面からも、TLSの役割は極めて重要なのです。

TLSは企業や政府機関のシステムにも広く採用されており、個人から重要インフラまで、インターネットを安全に利用する上で欠くことのできない暗号化技術といえます。

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SSL/TLS暗号化通信の機能3つ

SSL/TLSは、インターネット上での安全な通信を実現するための暗号化プロトコルです。主に以下の3つの重要な機能を備えており、プライバシー保護やセキュリティ強化に貢献しています。

  • 通信相手の認証
  • 通信の暗号化による盗聴対策
  • 通信内容の改ざん検知

これらの機能により、私たちは安心してオンライン上のサービスを利用することができます。

通信相手の認証

通信を暗号化しただけでは、なりすましサイトとの通信を防げません。そこでSSL/TLSではサーバー証明書による相手認証を行います。具体的には、以下により悪意のある第三者によるなりすまし攻撃のリスクを軽減できます。

  • サーバ証明書を用いて、通信相手のウェブサーバが本物であることを確認する仕組み。
  • 信頼できる認証機関が発行したデジタル証明書を利用することで、なりすましを防ぐ。
  • クライアント(ブラウザなど)は証明書の有効性をチェックし、本物のサーバと通信していることを確認する。

このように通信相手の正当性を確認できるため、安全な通信が可能になります。

通信の暗号化による盗聴対策

SSL/TLSの最も重要な役割は、通信内容を暗号化して第三者から盗聴されるのを防ぐことです。具体的には、以下の機能によりプライバシーが保護され、機密データの漏洩リスクが軽減されます。

  • 送受信されるデータを暗号化することで、第三者による盗聴や傍受からデータを守る。
  • 強力な暗号化アルゴリズム(AES等)と鍵交換方式を用いて通信路を安全に確保する。
  • 通信データが暗号化されるため、たとえ第三者に傍受されても内容を読み取ることはできない。

通信路上の経路で盗聴されても、データが暗号化されているため内容を読み取ることはできません。SSL/TLS通信では、事前に暗号化の鍵を交換するためのハンドシェイク処理が行われ、安全な暗号化通信路が確立されます。

通信内容の改ざん検知

SSL/TLSでは、送信するデータに対して電子署名を付与することで、通信中の改ざんを検知する機能があります。具体的には、以下の機能により、悪意のある第三者による通信データの改ざん攻撃を防ぐことができます。

  • 通信データに対して、メッセージ認証コード(MAC)を計算し、改ざんを検知する。
  • 送信側でMACを計算し、受信側で再計算してチェックすることで整合性を確認する。
  • もし通信路上で通信内容が改ざんされた場合、MACの値が異なることで検知できる。

送信データから署名を生成し、受信側でその署名を検証します。データが改ざんされている場合は、署名が一致しないため異常が分かります。これで、悪意ある第三者による中間者攻撃などのリスクを防げます。このようにデータの完全性を保証することで、安全な通信を実現しています。

SSL/TLSの導入方法

SSL/TLSを導入することで、ウェブサイトの通信を安全に暗号化し、プライバシーとセキュリティを強化できます。この暗号化通信を実現するには、専用の電子証明書が必要不可欠です。SSL/TLS証明書の取得と設定には手順があるので、しっかりと対応することが重要です。

CSR(証明書署名要求)を発行・申請する

最初のステップは、CSR(Certificate Signing Request)の発行と、認証局への申請です。CSRには公開鍵が含まれ、これを認証局に送付して署名(証明書化)してもらいます。

具体的には、Webサーバー上でOpenSSL(OpenSSLはWindowsサーバーならIIS)などのツールを使い、秘密鍵(Private Key)を生成します。次にこの秘密鍵を使ってCSRを作成し、一般名(ドメイン名)などの情報を指定します。生成したCSRファイルの内容を確認した上で、SSL/TLS証明書発行の認証局へ送付します。

CSRの作成時に入力する情報は重要です。間違いがあると証明書が適切に機能しない可能性があるため、十分注意が必要です。秘密鍵の取り扱いも厳重に行わなければなりません。

証明書をサーバーにインストールする

認証局から発行された SSL/TLS 証明書を受け取ったら、次はWebサーバーへのインストール作業になります。この手順はWebサーバーソフトウェア(Apache、Nginx、IIS など)によって異なります。一般的には、証明書と中間証明書、秘密鍵をWebサーバーの所定の場所にコピーし、設定ファイルを適切に編集します。HTTPSの有効化や、HTTPからHTTPSへのリダイレクト設定なども行います。

インストール後は、ブラウザから実際にアクセスし、HTTPSで接続できること、鍵アイコンが表示されることをテストして確認します。正常に設定できていれば、SSL/TLS暗号化通信を利用できる状態になります。

証明書には有効期限がありますので、切れる前に再取得し、定期的に更新作業を行う必要があります。

SSL/TLS暗号化を実施する際のポイント

インターネット上の通信では機密データが流出するリスクがあり、SSL/TLSによる暗号化が不可欠です。しかし、暗号化を行うだけでは十分なセキュリティが確保できません。適切なサーバー証明書の選定や、運用時のセキュリティ対策も重要です。SSL/TLS暗号化を効果的に活用するには、これらのポイントを押さえる必要があります。

導入目的に応じたサーバー証明書を選ぶ

SSL/TLSではサーバー証明書を用いてWebサイトの信頼性を証明します。サーバー証明書には、ドメイン認証レベルや発行認証局の違いから、様々な種類が存在します。導入目的に応じて、最適な証明書を選ぶことが大切です。

導入目的 推奨されるサーバー証明書 特徴
一般的なWebサイト ドメイン認証(DV)SSL ドメイン所有権のみが認証される最低限の証明書。低コストで導入可能。
企業Webサイト 組織認証(OV)SSL 発行前に企業の実在性が確認される。企業の信頼性をアピールできる。
電子商取引(EC)サイト 拡張認証(EV)SSL 最も厳格な認証レベル。Webブラウザにグリーンバーで表示され高い信頼性がある。
内部システム | 自己署名証明書 自社で発行する無料の証明書 社内での使用に限定される。
クラウドサービス ワイルドカード証明書 1つの証明書でサブドメインをまとめて認証できる。運用が容易。
モバイルアプリ 専用のモバイル証明書 モバイルアプリ向けに最適化された証明書。アプリ内通信の保護に使用。

このように、Webサイトの目的やセキュリティニーズに応じて、さまざまなタイプのサーバー証明書から適切なものを選択することが重要です。認証レベルが高いほど、セキュリティリスクは低減されますが、コストも高くなります。目的と用途を考慮し、適切なセキュリティレベルのサーバー証明書を採用することが重要です。

導入後もセキュリティ対策を怠らない

SSL/TLS暗号化を導入しても、新たな脆弱性が発見されたり、既存の暗号アルゴリズムが危殆化したりすることがあります。そのため、運用中のWebサイトについて、定期的に最新のセキュリティ情報を確認することが不可欠です。

既知の脆弱性が発見されれば迅速に対策を講じ、推奨される最新の暗号スイートに合わせるなどの更新作業を行う必要があります。また、サーバー証明書の有効期限も適切に管理する必要があります。常に脅威に備え、セキュリティ対策を継続して行うことが大切です。

SSL/TLS暗号化のまとめ

SSL/TLS暗号化は、インターネット上での安全な通信を実現するための暗号化プロトコルです。この技術により、プライバシーの保護とデータの保護が図られています。

SSL/TLSは、通信相手の認証、通信データの暗号化、通信内容の改ざん検知などの機能を備え、これらの機能が組み合わされることで、高い安全性と信頼性が確保されます。Webサイトへのアクセスや、オンラインバンキング、電子商取引などのインターネット上の様々なサービスにおいて、SSL/TLS暗号化技術が不可欠となっています。

第三者による盗聴や改ざん、なりすまし攻撃などのリスクから通信を守り、安心して情報のやり取りができるようになったのは、SSL/TLSの恩恵であり、現代のインターネット社会にとって、この暗号化技術は欠かせない存在となっているのです。

SSL/TLS暗号化に関する不明点や困ったこと、質問、相談、実施を検討する際は Jitera に問い合わせください。

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