教師あり学習と教師なし学習の違いは?活用事例を用いてわかりやすく解説

機械学習に学んでいると、『教師あり学習』と『教師なし学習』という項目が必ず出てきます。

この2つの違いやどのような時にどちらを選択すればいいのか理解が難しいと感じる方は多いでしょう。

本記事では、『教師あり学習』と『教師なし学習』の違いや、活用事例についてわかりやすく紹介します。

記事を読むと、自分が機械学習を使用する際に、どちらを採用すればいいかがわかるので、ぜひご覧ください。

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監修者 kannba

大学院を修了後、金融系SIerでSEとして従事。現在も外資系ITサービス企業で金融部門のSEとして勤務しています。ITの知見を活かしてWebライターとしても活動中です。

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    機械学習の手法に教師あり学習と教師なし学習がある

    機械学習は、大量のデータを学習し、予測や判断を行う技術です。

    機械学習には、大きく分けて『教師あり学習』と『教師なし学習』の2つの学習手法があります。

    『教師あり学習』は、入力データに対して正しい出力データ(ラベル)が与えられている状態で学習を行います。データに含まれるパターンや関係性をモデルが学習し、新しいデータに対して正確な予測を行うことができます。

    例えば、写真に写っている物体を識別する画像認識や、メールがスパムかどうかを判断するスパムフィルターなどがあります。

    一方、『教師なし学習』は、ラベルのないデータを用いて学習を行います。データ内の隠れた構造やパターンを見つけ出し、データをグループ化したり、異常値を検出したりします。

    例えば、市場のセグメント分析や、顧客の購買行動のクラスタリングなどです。

    『教師あり学習』と『教師なし学習』は、それぞれ異なる種類の問題に適しており、機械学習を用いたシステムやサービスの開発において重要な役割を果たしています。

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    教師あり学習と教師なし学習の違いは?

    教師あり学習と教師なし学習の違いは?

    『教師あり学習』と『教師なし学習』の違いは、データの『ラベル』の有無にあります。

    『教師あり学習』は『ラベル付き』データを必要とし、『教師なし学習』は『ラベルなし』データで行われます。

    また、『教師あり学習』は明確な目的に対して結果を出すことが得意ですが、『教師なし学習』はデータの隠れた特徴を発見するのに適しています。

    さらに、『教師あり学習』はデータのラベル付けに多くの時間と労力が必要ですが、『教師なし学習』はその必要がありません。

    しかし、『教師なし学習』は解釈が難しい場合があり、結果の妥当性を評価することは至難の業です。

    教師あり学習と教師なし学習の活用事例

    『教師あり学習』と『教師なし学習』の活用事例を紹介します。

    教師あり学習の場合

    『教師あり学習』の活用事例は下記の通りです。

    • 需要予測
    • 株価予測
    • 自然言語処理
    • スパム検知
    • 画像認識・生成

    それぞれ紹介します。

    需要予測

    『教師あり学習』を活用した需要予測は、企業が製品やサービスの需要を予測する上で重要な役割を果たします。

    過去の販売データや市場動向、季節変動などの様々な要因を分析し、将来の需要を予測することが可能です。

    例えば、小売業界では、在庫管理を最適化し、過剰在庫や品切れを防ぐために需要予測が用いられます。

    また、製造業では、生産計画を立てる際に、正確な需要予測が必要不可欠です。

    『教師あり学習』を利用することで、資源の無駄遣いを減らし、効率的な生産体制を築くことができます。

    需要予測は、ビジネスの収益性を高め、顧客満足度を向上させるために、多くの業界で活用されています。

    株価予測

    『教師あり学習』は、株価予測においても有効な手法です。

    過去の株価データ、市場のニュース、経済指標などの情報を基に、将来の株価動向を予測するモデルを構築します。

    このアプローチにより、投資家はより情報に基づいた投資判断を下すことができます。

    例えば、特定の企業の四半期決算報告後の株価変動を予測することで、投資のタイミングを見極めることが可能です。

    また、大規模な経済イベントが株価に与える影響を分析し、リスクを管理するためにも利用されます。

    株価予測は、投資戦略を立てる上で重要な要素となり、金融業界で広く活用されています。

    自然言語処理

    自然言語処理(NLP)の分野で『教師あり学習』が広く利用されています。

    NLPとは、人間の言語をコンピュータが理解し、処理するためのものです。

    『教師あり学習』を用いることで、感情分析、機械翻訳、質問応答システムなど、多岐にわたる応用が可能になります。

    例えば、SNSの投稿からユーザーの感情を読み取り、市場のトレンドを分析することができます。

    また、多言語間での即時翻訳を提供することで、国際的なコミュニケーションの障壁を低減します。

    NLPは、人間とコンピュータとのやりとりをより自然で効果的なものにするために、重要な技術となっています。

    スパム検知

    『教師あり学習』は、スパム検知においても非常に有効です。

    メールやウェブサイトのコメント欄などで、不適切または望ましくない内容を自動的に識別し、フィルタリングするために使用されます。

    『教師あり学習』によって、既知のスパムメールの特徴を学習し、新しいメッセージがスパムかどうかを判断します。

    例えば、特定のキーワードの頻度や、メッセージの送信元の信頼性などが、スパム判定のための指標となります。

    スパム検知システムは、ユーザーのメールボックスを不要なメールから守り、セキュリティを向上させるために広く利用されています。

    スパム検知システムにより、日々のコミュニケーションがより安全で快適なものになります。

    画像認識・生成

    画像認識と生成の分野でも『教師あり学習』は重要な役割を担っています。

    画像認識を用いることで、コンピュータは写真やビデオから物体や顔、シーンを識別することができます。

    また、特定の指示に基づいて新しい画像を生成することも可能です。

    例えば、医療画像診断では、病変を識別するために画像認識が用いられます。

    一方、デザイン業界では、指定されたテーマに沿った画像を生成することで、創造的なプロセスを支援します。

    画像認識及び生成の技術は、多くの分野での作業効率を向上させ、新たな可能性を開くものとなっています。

    教師なし学習の場合

    『教師なし学習』の活用事例は以下の通りです。

    • レコメンド
    • 購買データの分析
    • 自動車運転の開発

    それぞれ紹介します。

    レコメンド

    『教師なし学習』は、レコメンドシステムの開発においても活用されています。

    レコメンドシステムを導入することで、ユーザーの過去の行動や好みを分析し、個々のユーザーに合わせた商品やサービスを提案することが可能です。

    例えば、オンラインショッピングサイトでは、顧客の購買履歴や閲覧履歴から、関連商品を推薦します。

    また、動画配信サービスでは、視聴履歴に基づいて次に見るべき映画や番組を提案することで、ユーザー体験を向上させます。

    レコメンドシステムは、顧客の満足度を高めるだけでなく、企業の売上向上にも役立つ重要な技術です。

    購買データの分析

    購買データの分析においても『教師なし学習』は重要な役割を担っています。

    『教師なし学習』による購買データの分析を用いることで、顧客の購買パターンや傾向を把握し、マーケティング戦略を最適化することが可能です。

    例えば、スーパーマーケットでは、顧客の購買履歴から商品の配置を改善したり、プロモーションを計画したりします。

    また、Eコマースサイトでは、顧客のクリックや購入履歴を分析し、パーソナライズされたショッピング体験を提供します。

    購買データの分析は、顧客満足度を高めてリピート率を向上させるために、多くの企業で利用されています。

    自動運転車の開発

    『教師なし学習』は、自動運転車の開発においても活用されています。

    教師なし学習』の技術を用いることで、車両は周囲の環境を理解し、適切な運転判断を行うことができます。

    例えば、交通状況や障害物の検出、道路標識の認識などが、『教師なし学習』によって行われます。

    また、車両間の通信を通じて交通流の最適化や事故の予防にも役立ちます。

    自動運転技術は、交通の安全性を高め、移動の効率を向上させるために、重要な技術です。

    自動運転技術の進展は、将来の交通システムに革命をもたらす可能性を秘めています。

    教師あり学習のメリットとデメリット

    『教師あり学習』メリットとデメリットは以下の通りです。

    メリット

    『教師あり学習』には、多くのメリットがあります。

    まず、『教師あり学習』は、データのラベル付けから明確なパターンを学習するため、非常に正確な予測が可能です。そのため、特定の問題に対して高い精度で結果を提供することができます。

    次に、新しいデータに対する予測が容易であるため、実世界のアプリケーションに直接適用することができます。例えば、医療診断、株価予測、顧客のグループ化など、様々な分野での応用が見られます。

    また、『教師あり学習』は、モデルのパフォーマンスを評価しやすいという利点もあります。ラベル付きデータを用いることで、予測の正確さを容易に測定し、モデルの改善に役立てることができます。

    さらに、特定のタスクに特化した知識を学習するため、専門的な問題解決に非常に適しています。専門的な知識を教師として学習し、専門家の知識を模倣し、その知識を拡張することが可能です。

    最後に、『教師あり学習』は、大量のラベル付きデータが利用可能な場合、非常に効果的です。データが豊富であればあるほど、モデルはより複雑な関係やパターンを学習することができます。

    デメリット

    『教師あり学習』には、多くのメリットがある一方で、デメリットもあります。

    まず、大量のラベル付きデータが必要という点です。正確なモデルを構築するためには、多くのラベル付きトレーニングデータが必要であり、大量のデータを用意するのは時間とコストを要する作業です。

    次に、過学習のリスクがあります。モデルがトレーニングデータに過度に適合してしまい、新しいデータに対してうまく一般化できない場合があります。これは、モデルがトレーニングデータのノイズまで学習してしまうことによって起こります。

    また、『教師あり学習』は、ラベル付けされたデータに依存しているため、ラベルの品質がモデルの性能に直接影響します。誤ったラベル付けがなされていると、モデルの予測精度が低下する原因となります。

    さらに、『教師あり学習』は、新しい種類のデータや、ラベル付けされていないデータに対しては柔軟性に欠けることがあります。未知のデータや変化する環境に対応するためには、モデルを再トレーニングする必要があります。

    最後に、『教師あり学習』は、特定のタスクに特化しているため、その知識を他のタスクに転用することが難しいです。これは、モデルが特定の問題解決には優れているものの、汎用性には限界があることを意味します。

    これらのデメリットを考慮して教師あり学習を適切に使用することが必要です。

    教師なし学習のメリットとデメリット

    『教師なし学習』のメリットとデメリットは以下の通りです。

    メリット

    『教師なし学習』は、柔軟性があり、多くのメリットを持ちます。

    まず、『教師なし学習』は、ラベル付けされていないデータから有用な情報を抽出することができます。そのため、ラベル付けのための追加作業やコストが不要になります。

    次に、データ内の隠れた構造やパターンを発見することができるため、新しい知見を得ることが可能です。市場のセグメント分析や顧客行動のクラスタリングなど、多くの分野で有用です。

    また、『教師なし学習』は、データの初期探索に適しており、どのような関係性が存在するかを理解するのに役立ちます。これにより、データをより深く分析するための方向性を決めることができます。

    さらに、『教師なし学習』は、データセットに対する事前の知識が少なくても適用することができます。未知のデータセットに対しても、有意義な結果を導き出すことができるため、探索的なデータ分析に非常に有効です。

    最後に、『教師なし学習』は、大規模なデータセットに対してもスケーラブルであるという利点があります。データの量が多いほど、より複雑なパターンを発見する可能性が高まります。

    これらのメリットは、教師なし学習をデータ分析と知識発見の強力なツールとして位置づけています。

    デメリット

    『教師なし学習』にも多くの利点がある一方で、いくつかのデメリットも存在します。

    まず、『教師なし学習』は、データの解釈が難しいことです。データ内のパターンやクラスタが自明でない場合、データの意味を理解するためにはより専門的な知識が必要です。

    次に、結果の評価が困難であるという問題があります。ラベル付きデータがないため、モデルの性能を客観的に測定する方法がありません。

    また、適切なクラスタ数やパラメータの選択が難しいことがあります。クラスタ数やパラメータの選択は、何度も試行錯誤する必要があり、結果に大きな影響を与える可能性があります。

    さらに、『教師なし学習』は、データセットに含まれるノイズに非常に敏感です。ノイズが多いと、意味のあるパターンを見つけることが難しくなります。

    最後に、データの前処理や正規化が不十分な場合、不適切な結果を生むことがあります。データの品質がモデルの出力に直接影響するため、データの準備には特に注意が必要です。

    これらのデメリットは、教師なし学習を使用する際に考慮すべき重要なポイントです。

    まとめ:教師あり学習と教師なし学習の違いはAIに与えるデータのラベル有無

    『教師あり学習』と『教師なし学習』の違いやそれぞれのメリット、デメリットや活用事例を紹介しました。

     

    『教師あり学習』は、『ラベル付きデータ』を使用し、正確な予測をすることが得意です。

    一方で、『教師なし学習』は『ラベルなしデータ』を使用し、データ内の未知の関係性を発見するのに適しています。

    それぞれの機械学習の方法は、メリット、デメリットがあり、自分の調べたいことに適した方を採用することが必要です。

    株式会社Jiteraでは、機械学習を用いた、要件定義を書くだけでアプリやシステムを開発するプラットフォーム『JITERA』を軸として開発を行っています。

    機械学習を用いた開発について質問がある方や、開発を検討している方は、ぜひ株式会社Jiteraに一度ご相談ください。機械学習による開発を全面的にサポートさせていただきます。

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