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AGI(汎用人工知能)とは?ビジネスに与える影響や今後活用が避けられない理由

2020年代に入ってAI(人工知能)技術は急速に発展し、製造業や医療など様々な分野で活用されるようになりました。

ビジネス用途だけでなく、Apple製品へ搭載されているAIアシスタントやChatGPTなど、私たちが日常生活でAIを使う場面も増えており、AI技術は今後もさらに発展し続けるのは間違いないでしょう。

既に世の中へ浸透しているAIに加え、近年ではAGI(汎用人工知能)やASI・ANIという名前も聞こえ始めています。これらは従来のAIと何が違い、どういった用途で利用されているのでしょうか。

この記事ではAGI(汎用人工知能)とは何なのか、そしてAGI(汎用人工知能)がビジネスに与える影響や、今後活用が避けられない理由について解説します。

shu-ichi

とある企業のシステム管理者として10年以上勤めています。 自身の経験や知識を活かし、誰にでも分かりやすい記事をお届けしたいです。

AGI(汎用人工知能)とは?

AGIは「Artificial General Intelligence」の略称であり、日本語訳だと『汎用人工知能』となります。

命令された様々な仕事や課題(タスク)に対し、人間と同じレベルの知識や能力を持って学習したり解決方法を導き出したりするという、まさに人間のような振る舞いをする人工知能です。

あくまでも”汎用的”であり、特定分野の知識に特化しているのではなく、多種多様な問題へ柔軟に対応できる人工知能とも言われています。

ここでは、AGIと一緒に取り上げられやすいAI・ANI・ASIとの違いについて知っておきましょう。

AGIとAIの違い

幅広い分野に対応できるAGIと比べ、AI(Artificial Intelligence)は特定の分野に特化した人工知能だといえるでしょう。

音声認識や画像生成など、特定の分野だけを学習させた人工知能であり、設計に組み込まれていない分野へはすぐに対応できないのが特徴です。

AI自体の成長も特定の領域内だけに絞って成長してしまうため、基本的にAIを構築する際は分野ごとに構築するのが一般的となっています。

AGIとANIの違い

ANI(Artificial Narrow Intelligence)は、日本語訳だと「特化型人工知能」です。

特定の領域や処理に特化した人工知能であり、世間一般的に言われている”AI”のほとんどがこの「ANI」だと言われています。そのため、現状だと一般人が使える範囲のAI=ANIだと考えて差し支えありません。

ANIは能力の範囲が狭い人工知能とも言われ、人間と同等レベルの知能を持つのではなく、ある特定の分野に特化して人間と同じ行動を取れる(=考えを導き出す)ものだとイメージしやすいでしょう。

一般レベルで既に実用化されているANIとしては、iPhoneなどに搭載されているSiri、AmazonのAlexa、MicrosoftのCortanaなどがあります。

AGIとASIの違い

AGIが汎用人工知能であるのに対し、ASI(Artificial Super Intelligence)は「人工超知能」と呼ばれています。

人間の知能レベルを遥かに超えた能力を持つAIであり、もちろん現時点ではまだ存在すらしていませんが、この先さらにAI技術が発展を続けるといずれ到達すると言われている領域です。

人工知能研究の世界的権威者であるレイ・カーツワイル氏は、「2045年には人工知能が人間を上回るシンギュラリティ(技術的特異点)に到達する」と仮説を立てており、昨今のAI技術の発展スピードであれば、もっと早くにASIが実現するのでないかと囁かれています。

その人間よりも遥かに優れた思考能力は、数学・科学・芸術・医学・人間関係など、様々な分野へ多大なる影響を及ぼすのは間違いありません。

AGI(汎用人工知能)を構成する3つの要素

AGI(汎用人工知能)は、3つの要素で構成されています。

  • 機械学習
  • 認知アーキテクチャ
  • 認知ロボティクス

これら3つの要素が高いレベルへ発達すれば、AGIはより人間に近い思考能力や分析能力を持てるようになると言われているのです。

ここでは、AGIを構成する3つの要素について掘り下げてみましょう。

機械学習

機械学習とは、人工知能に対して人間がデータを組み込む(プログラミングする)のではなく、人工知能が自らデータを収集・分析して学習を行い、行動パターンを発見する手法です。

機械学習にはいくつか方法がありますが、中でも主流となっているのが「深層学習(ディープラーニング)」と「強化学習」であり、これらの学習方法を日々続けているのが、ChatGPTや、生成AIといったいわゆるANI(特化型人工知能)です。

特定分野についてのデータを集めて分析を続け、より良い行動パターンを導き出せるように進化を続けています。

認知アーキテクチャ

認知アーキテクチャとは、研究された「人間の認知機能」をモデル化してAIへ組み込んだアーキテクチャ(仕組み)を指します。

人間の思考回路や感情表現をパターン化し、このパターンをAIへ学習させる方法です。

人間はこういった場面に遭遇すると、このような行動や思考を取る」といった具体的なパターンを学習させ、AIに人間の認知機能を正確に理解させます。

この認知アーキテクチャの精度がより高まると、人工知能でありながら人間の感情へ寄り添った思考や意思決定ができるようになると言われており、AGIを実現するために必要不可欠な要素です。

認知ロボティクス

認知ロボティクスとは、ロボットを使って人工知能の認知機能を研究する取り組みです。

すべてのAGIがロボットの形をしているわけではなく、あえてロボットの姿にすることで人間とコミュニケーションを取りやすくし、人工知能の成長を促す方法となっています。

認知ロボティクスは、学習方法によって3種類あるのが特徴です。

  • 認知発達
  • 社会的知能
  • 記号創発

認知発達」では、人間や動物の赤ちゃんが自分のいる環境で学んでいく仕組みを人工知能に与え、認知機能を成長させる仕組み。

社会的知能」は、身振りや視線といった人間が取るジェスチャーを学習させてコミュニケーション能力を成長させ、「記号創発」では人間の言語を人工知能へ学ばせていきます。

ロボットを用いて認知機能を研究し、AGIを実現するためのテスト段階ともいえる要素です。

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AGI(汎用人工知能)で実現できること

未だ到達していない人工知能であるAGI(汎用人工知能)ですが、実際にAGIが現実のものとなった場合、どのようなことが実現できるのでしょうか。

ここでは、AGI(汎用人工知能)で実現できることについて考えてみましょう。

人間に近いコミュニケーション

AGIが実現すると、より人間に近いコミュニケーションが可能となります。

我々に身近な存在のAIといえば、ChatGPTやApple製品のSiriなどがありますが、これらはあくまでも「人間からの質問や命令に対して答えを導き出している」に過ぎません。

人間側から投げかけをしなければいけないため、AI自らが考えているとはいえないのです。

一方、より高位で汎用的な人工知能であるAGIであれば、人間と同じレベルでのコミュニケーションが期待できます。

  • サポート窓口において、過去の問い合わせデータから最適なオペレーションを行う
  • 観客の気分や客層に合わせて演奏する曲目を変える
  • 職場にいる人の顔色や話し方を分析し、疲れていると判断したら休憩を促す

具体的には上記のような例が考えられるでしょう。

自主的な意思決定

AGIが実現できれば、人工知能の自主的な意思決定も可能となります。

人間は何かしらの意思決定を行う際、どうしても過去の体験や自分が持つ知識だけに囚われてしまいがちです。しかし、人工知能であれば膨大な学習データからより良い結果を提案できます。

特に、これまでに蓄積してきた経験・知識によって結果が左右される事柄に対してAGIは非常に有効です。例えば以下のような例が考えられます。

  • 病院で患者の表情や顔色から体調を読み取り、その患者に合う最適な処置や薬を選ぶ
  • 車の運転を人工知能に任せて、曜日や時間帯など過去の混雑データから最適なルートを走行する

人間が一生のうちに蓄えられる経験や知識には限りがありますが、限界のない人工知能であるAGIが実現すれば、自主的な意思決定も可能になるでしょう。

未来予測

未来に起こる出来事や、これまで人間が遭遇したことのない状況に対しても、様々な分野の知識を学習して自律的に考えられるAGIであれば、適切な答えを導き出せる可能性があります。

例えば未曾有の災害が発生した場合、被害状況のデータを速やかに分析して、適切な救助計画や復旧プランなどを策定可能です。もしくは医療現場においても、未知の病気に対して適切な診断や治療を行えるようになるかもしれません。

これは、膨大かつ多種多様なデータを学習して、自ら考えられるAGIだからこそ実現できます。

新しいアイデアの創造

AGIによって、新しいアイデアを作り出すのが今よりもっと簡単になるかもしれません。

AGIは膨大な学習データを持っているため、人間には思いつけない斬新なアイデアが創造できる可能性を秘めています。

  • 顧客マーケティングのデータから、新商品や斬新なサービスを生み出す
  • 既存の技術を組み合わせて新しい技術を開発する
  • 絵・物語・音楽といった芸術面の創作活動をサポートする

既に現代においてもその片鱗が見えてきており、今後もさらなる発展が期待できるでしょう。

AGI(汎用人工知能)が与えるビジネスへの影響

現代においても多くのビジネスで活用され始めている人工知能ですが、AGI(汎用人工知能)が誕生した場合、ビジネスへ与える影響とはどういったものが考えられるのでしょうか。

今よりもさらにAI技術が発展した未来では、ビジネスがどう変わるのか考えてみてください。

新たに価値のある仕事が生まれる

昨今のニュース番組などでは「AIによって仕事が奪われる」と叫ばれていますが、その一方、AGIが登場すれば新たに価値のある仕事が生まれる点にも注目すべきでしょう。

AGIの普及によって生まれる仕事、それは、AIの開発・成長・使用に携わる職種です。

具体的にはAIの開発を行う「AIエンジニア」、AIの成長を促し人間が使いこなせるように適用させる「AIトレーナー」、さらには企業にとって最適なAIを提案する「AIコンサルタント」なども該当します。

AIに携わるこれらの職種人口は、今後急速に拡大していき、ビジネスにおいても重要な役割を担っていくのは間違いありません。AIが無ければ存在せず、AIによって生まれた新たな仕事といえます。

AIを前提にした働き方になる

国内では超高齢化社会が進み、労働人口が減り続けています。労働力不足は社会問題となっており、抜本的な対策が求められている状況です。

AGIが実現すれば、労働力不足に対して有効な対策になりうる可能性があります。

自律的に思考して処理を行うAGIがあれば、単純作業などの人工知能に任せられる仕事に人手を割く必要がなくなり、AIを前提にした働き方へとシフトしていくでしょう。

また、AI活用によって浮いたリソースは他の分野へと活用でき、結果的にビジネスにおける生産性向上へ繋がるようになります。

法律面が整備される

現代においてもChatGPTや画像生成系AIなど、AIを身近に利用できるようになりました。

しかし、AI技術が身近になるにつれ、AIから誤った情報が教えられたり、生成系AIによる著作権侵害など様々な課題も見え始めてきています。

そのため、今後はAIに関連した法律面の整備が進むと予想されており、既に政府による検討が始まっている状況です。

AIによるプライバシー侵害や知的財産の保護など課題が山積していますが、誰もが安心して人工知能を活用できるようにするためにも、法律面の整備は避けられないと考えられています。

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AGI(汎用人工知能)の課題

AGI(汎用人工知能)を実現するためには、技術面ももちろんですが、人工知能という仕組み自体が抱える課題についても克服しなければなりません。

ここでは、AGI(汎用人工知能)の課題について見てみましょう。

AIの処理がシステムに大きな負荷を与える

AIは膨大なデータを持っているが故に、思考する際に全てのパターンを検証してしまい、システムに大きな負荷を与えてしまうのが懸念されています。

例えば東京から大阪に行くまでのルートを考えたとき、人間は「新幹線や飛行機を使えば早く辿り着ける」というのがこれまでの経験で学習している状況です。

しかし、AIの場合は下記のようにあらゆるルートを検証してしまいます。

  • 交通機関:飛行機、新幹線、普通電車、船
  • その他:車、バイク、自転車、徒歩
  • どの道を通れば最短か
  • どの曜日、どの時間帯が最適か

上記は極端な例ですが、このようにAIは膨大なデータを持って思考しているが故に、人間よりもシステムに大きな負荷を与える場合もあるのです。

知能を持っていると断言しにくい

誰もが人工知能とは「知能(知性)を持つ機械」だと認識していますが、ここでいう『知能』とは何なのでしょうか。

機械に知能があるのかどうかを確かめた有名な実験として、チューリングテストがあります。

簡単に言えば、1台のコンピューターと1人の人間へ質問をして、その答えを聞いてどちらが人間かコンピューターか分からなければ、そのコンピューターは”知能がある”と認識されるというものです。

しかし、このチューリングテストには反論が示されており、テストに合格しても本当に知能があるかは分からないと判断されています。

現時点では「人工知能は本当に知能を持っているのか?」の問いに誰も答えを持ってはいませんが、AGI(汎用人工知能)を開発を進めるにつれ、必ず議論されるテーマといえるでしょう。

まとめ:AGIを意識したビジネスが今後重要

今回は、AGI(汎用人工知能)とは何なのか、そして、AGIが今後ビジネスに与える影響や活用が避けられない理由について解説しました。

AI(人工知能)は、今後ますます少子高齢化が進む日本にとって、働き手不足の対策やビジネスにおける諸問題を解決できる手段として存在感を増しています。

システム開発においても、今後はAIの活用が必要不可欠な時代に変わっていくと言っても過言ではありません。

弊社では、要件定義を書くだけでAIがアプリやシステムを自動開発するプラットフォーム「JITERA」を軸として、ウェブやスマートフォンアプリの開発、マーケティング、UI/UXデザインなども行っております。

システム開発を行いたいが社内にリソースや体制がない、もしくはAIの活用方法や、AIを使ったシステム開発などでお困りであれば、ぜひ弊社へお問い合わせください。

弊社のPM・エンジニア・デザイナーが、お客様の新たな企業価値を生み出すお手伝いをさせて頂ければ幸いです。

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