PoC開発(概念実証)とは?意味やメリット・デメリット、手順から成功のコツまでわかりやすく解説

PoC開発は、新しいアイデアや技術の実現可能性を確認するための初期段階の開発です。この記事では、PoC開発の意義、手順、メリット、デメリット、および成功のためのポイントについてわかりやすく解説します。

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監修者 sakakibara_writer

コンサルティング業界に20年以上在籍。IT戦略・構想策定など上流系が得意。

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    PoC開発とは?意味や定義

    PoC(Proof of Concept:概念実証)は、新しいアイデアや技術が本当に実現できるかどうかを試すためのプロセスです。

    PoCは、実際に製品やサービスを作る前に行われ、アイデアが現実的に機能するかどうかを確認するためのテストのようなものになります。

    新しいアイデアや技術は、作る前に机上で成功の可能性をはじき出すのは難しいです。

    そのため、機能や対象範囲を絞るなどして、小規模な製品やシステムを作ってみます。それを使ってみて、実際にアイデアが実現できそうかを検証します。

    PoCの結果を受けて、成功する可能性を見極めたうえで、本格的な製品やシステムの開発に進みます。

    PoCの段階では、失敗してもコストや時間のロスが少ないため、先進的な取り組みを行う時にはよくPoCが行われています。

    PoC開発のメリットとは

    PoC開発には多くのメリットがあります。PoCは新しいアイデアや、技術の検証において重要な示唆を与えてくれます。以下はPoC開発の主なメリットとその具体的な説明です。

    リスクが減らせる

    PoC開発を行うことで本格的な開発に進む前に実現性を確認できます。ここでは、製品やサービスを運営していくうえでの問題点を発見することもできるでしょう。そのため、本格的な展開に入る前にリスクを認識し、低減するためのアクションを起こすことができます。

    また、問題点を早期に特定して対処できるため、後の開発プロセスの中での予期せぬ問題を回避できます。これにより、プロジェクトをスムーズに進め、成功への自信を持つことができます

    コストや時間の節約ができる

    少ない工数で迅速にプロトタイプを作成できるため、新しいアイデアを素早くテストできます。

    PoCを経験することにより、後の本格的な開発における効率的なプロジェクト計画を立てることも可能になるでしょう。計画の精度が高くなり、プロジェクトコストや期間の節約もできるでしょう。

    意思決定の質が向上する

    PoCの結果を基に、施策を進めるかどうかの判断が行えます。KPIを設定するなどして、数値に基づいたロジカルな判断も行えるようになるでしょう。

    また、施策が失敗に終わったとしても、PoCでの学びを積み重ねることによって、次の成功に向けた意思決定の質を向上させる糧にもなるでしょう。

    スピード感のある検証ができる

    PoCは、小さく検証を行い、実現可能性を確認します。大規模なプロジェクトと比べ、早く結果が現れます。

    検証結果として得られるデータの量なども比較的少なくできるので、検証作業もスピード感を持って行うことができます。

    トライアンドエラーをスピーディーに回していくことで、最終的には早く実現性のある仕組みを作ることもできます。

    コミュニケーションの改善ができる

    PoCを通じて、ユーザーからの意見や要望を収集することで、製品の適用性を高めることが可能です。

    ユーザーの実際のニーズに基づいて製品を改善・調整することで、より多くの人々に受け入れられ、使いやすい製品を作れます。

    PoCでは、小規模なターゲットを選定して検証を進めるので、ユーザーの数も限られており、密なコミュニケーションによる情報収集を行うことも可能です。

    PoC開発のデメリット


    PoC開発には多くのメリットがありますが、同時にデメリットもあります。以下は、PoC開発の主なデメリットとその具体的な説明です。

    追加で費用や時間がかかる場合がある

    PoC開発は、それ自体が一定のコストを伴います。アイデアの概念実証を行うために必要なリソースや技術、人材、ツール、およびその他の関連費用が発生します。

    これにより、プロジェクトに追加の予算が必要となる場合があり、予算が限られている場合は慎重に考慮する必要があります。

    また、PoCの検証には時間がかかることがあり、これが全体のスケジュールに影響を及ぼす可能性があります。PoCの詳細な計画や実施に必要なテスト期間など、時間についての適切な見積もりが重要です。

    情報漏洩の可能性がある

    PoCの段階で外部のパートナーやベンダーと情報を共有することで、新しいアイデアや技術に関する機密情報が外部に漏洩するリスクが存在します。

    このリスクを軽減するために、データセキュリティ対策を実施し、情報へのアクセスを制御する必要があります。

    また明確な契約や機密保持契約を締結することで、情報の漏洩を防ぐ予防となります。情報セキュリティに関する最新の対策を適用し、リスクを最小限に抑えるべきです。

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    完全な製品とのギャップが生まれる

    PoCはアイデアやコンセプトの実現可能性を示すものであり、実際の製品やサービスとは異なることがあります。実際の製品化にはさらなる開発、テスト、および調整が必要です。

    また、PoCが成功した場合、関係者やステークホルダーが過度な期待を持つことがあります。しかしPoCはあくまで概念実証の段階であり、実際の製品開発で同じ結果が得られるとは限りません。

    完全な製品とのギャップを最小限に抑えるためには、関係者やステークホルダーとのコミュニケーションが不可欠です。

    リソースが分散する

    PoC開発は時間とリソースを必要とし、そのため他のプロジェクトやタスクからのリソースが分散される可能性があります。

    組織やプロジェクトマネージャーは、PoCの妥当性と他のプロジェクトへの影響を検討し、リソースのバランスを取る必要があります

    重要なのは、割こうとしているリソースが、将来の成功につながる可能性があるかどうかを評価することです。

    PoCから期待できる成果が大きい場合、PoCへのリソース投入は正当化されますが、慎重に検討することが大切です。

    PoC開発の具体的な手順

    システム開発に外注を取り入れる際の社内準備
    PoC開発の具体的なプロセスを解説します。PoC開発では基本的に以下のステップに従います。

    1.開発前に準備を整える

    アイデアやプロジェクトの目的を明確に定義しましょう。

    例えば新しいモバイルアプリを開発する場合、そのアプリがユーザーにどのような価値を提供するのか、どの市場に向けられているのかを詳細に考えます。

    これによりPoCの焦点が明確になり、プロジェクト全体の方向性を確立できます。

    また、何が達成できれば成功となるのか、具体的なKPIを設定しておくべきです。目標を数値とすることで、客観性のある公平な成功判定が行えます。

    2.開発計画をする

    開発範囲や検証する機能、期間の設定を行います。

    いわば、ミニプロジェクト計画であるため、PoCといえども通常のシステム開発プロジェクトと同様の計画を作ります。

    また、PoC特有の点としては、製品やサービスとしての完成品を作るわけではないことから、特に検証したい観点を絞り込むことが重要です。特に、どのような技術をどう活用するのかは、肝となることが多いです。

    3.開発する

    実際の開発を進めていきます。検証したい内容に応じて、作りこんでいく機能は異なります。

    たとえば、画面機能の使いやすさを多くのユーザーに確認してもらい、意見を収集したいのであれば、デザイナーとUI開発者が画面を作りこんでいくことになるでしょう。

    一方、AIの予測精度を検証したい場合は、UIを作らず、データエンジニアによるデータウェアハウス(DWH)作成や、データサイエンティストによる予測モデルのチューニングなどが作業の中心となるでしょう。

    4.検証する

    PoCといえどもシステム開発なので、作ったプログラムの検証は必要です。

    ただし、検証したい観点に絞り込んで機能利用を行うため、検証する内容は絞り込んでも良いでしょう。

    たとえば、PoCでは利用者を絞り込んで検証することが多いため、パフォーマンス検証などはあまり行いません。ただし、処理能力こそPoCで確認したい内容だ、ということもあるかもしれません。PoCで何を検証したいのかによって、検証する内容は変わります。

    5.評価する

    事前に設定したKPIの達成度を評価します。

    たとえばAIに予測をさせる場合は、予測精度が何%以上なら成功と言えるのかを、計画時に決めています。その通りになっているかを確認します。

    また、KPIの設定内容の妥当さも評価するべきです。KPIの数値目標は達成したが、実際に目的を達成することができるのかを改めて評価しましょう。

    6.報告と提案をする

    評価結果や、ユーザーからのフィードバックを受け、PoCの結果報告を行います。

    目的が達成できるという見込みが立つのか、それとも立たないのかはもちろんのこと、時には改善や再検証の提案を行うこともあるでしょう。

    また、報告の段階では、経営目的に対してどのようなインパクトがあるかを報告・提案すべきです。

    単にシステムはこうだった、KPIは達成したなどのような報告ではなく、これにより経営の何にどのような効果が期待できるのかを説明すべきです。

    PoCは経営課題に直結する課題への取り組みに導入されることが多いため、我々の目指すところは経営課題の解決なのだという高い視点を持ちましょう。

    PoC開発とプロトタイプ開発の違い

    PoCとプロトタイプの違い
    PoC(Proof of Concept)とプロトタイプは両方とも製品やサービスの開発段階において重要なツールですが、それぞれ異なる役割と特徴を持っています。以下は、PoCとプロトタイプの主な違いです。

    PoC プロトタイプ
    目的 概念の実証 デザインと機能の確認
    実装段階 概念段階 製品の実装段階
    詳細度 低い 高い

    目的と焦点

    PoCは新しいアイデアや技術の実現可能性を確認することに焦点を当てています。アイデアが実行可能であるかどうかをテストし、成功か失敗かを判断します。主な目的は概念の検証です。
    それに対し、プロトタイプは、製品やサービスのデザインや機能を実際に試作することに焦点を当てています。製品の外観や機能を詳細に示し、開発チームやステークホルダーに具体的なビジョンを提供します。主な目的はデザインの確認と詳細な機能の実装です。

    開発プロセス

    ※PoCは新しいアイデアや概念の段階で行われます。実際の製品やサービスの実装は行いません。その代わりにアイデアが実現可能であるかどうかを示す証拠を収集します。
    それに対して、プロトタイプは製品の実装段階で行われます。実際のシステムやアプリケーションを構築し、機能やデザインを詳細に示します。

    成果物

    PoCは概念の実証に焦点を当てるため、詳細度や完成度は比較的低いことが一般的です。主要な機能や概念の証明に重点を置きます。
    それに対し、プロトタイプは実際の製品やサービスの外観と機能を示すため、詳細度と完成度が高く、実際の製品に近いものとなります。

    開発コスト

    大規模プロジェクトの場合

    大規模なPoCは通常、数百万〜数千万の予算を必要とすることがあります。例えば自動運転車のPoCでは高度なセンサー技術やデータ収集インフラの構築に高いコストがかかるのです。

    小規模プロジェクトの場合

    小規模なPoCプロジェクトの予算は一般的に数十万〜数百万の範囲で行われます。例えば新しい電子商取引プラットフォームのPoCでは、比較的シンプルなウェブアプリケーションを開発するコストがかかりますが、値段は大規模プロジェクトと比べて安価になります。

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    実施期間

    大規模プロジェクトの場合

    大規模なPoCプロジェクトは通常、6か月以上かかることがあります。例えば新しいクラウドベースのSaaSプラットフォームのPoCでは、新しいアーキテクチャやセキュリティのテストに時間がかかる可能性があります。

    小規模プロジェクトの場合

    小規模なPoCプロジェクトは2〜3か月で完了することが一般的です。例えば新しいモバイルアプリの概念実証では、比較的簡単な機能のテストが行われ、迅速に結果が得られます。

    PoC開発の成功のためのポイント


    PoC開発を成功させるために、以下のポイントが重要です。

    明確な目的の設定

    最初に、PoCの目的や目標を明確に設定しましょう。何を検証したいのか、何を達成したいのかを整理することは成功への第一歩です。例えば新しいアプリケーションの市場適性を確認したい場合、まずはその目的をはっきりさせましょう。

    小規模開発から始める

    大規模なPoCプロジェクトをスタートする前に、小規模な開発から始めることを検討しましょう。これにより、アイデアの妥当性を効率的に検証できます。例えば、新しい製品の機能の一部を試験的に開発することから始めてみると良いでしょう。

    信頼できる会社に任せる

    PoCの開発を信頼できる会社に任せることがとても重要です。

    開発AIエージェント「Jitera」は、システム開発・システム改修を自動化するプラットフォームです。既存のシステムのコードを読み込み、システム構造を分析。高精度な設計書を自動生成し、システム開発・改修を効率化、コスト削減に繋げます。

    機能1.コード生成

    AIエージェントに要件を伝えると、自動でコーディングを進め、人間は作業過程や成果物にフィードバックを行う形で開発を進めます。

    機能2.設計ドキュメントの自動生成

    AIがソースコードを解析し、開発者のニーズに応じたフォーマットで設計ドキュメントを自動生成します。フォーマットは柔軟にカスタマイズ可能で、AIエージェントとの対話を通じて内容を調整・改善することもできます。

    機能3. テストの自動化

    ソースコードや設計ドキュメントから、AIがE2Eテストのテストケースとプログラムを自動で生成します。

    PoCの開発は株式会社Jiteraにお任せください。

    Jiteraのホームページ

    まとめ:PoC開発はアイデアを検証する実験

    システム開発に外注を取り入れる際の社内準備
    PoC開発(概念実証)は、新しいアイデアや技術が実際に機能するかどうかを検証する実験的プロセスです。このアプローチにより、企業は大規模な投資やリソースの割り当てを行う前に、技術的なリスクを事前に特定し、解決策を見つけることができます。

    PoCの実施により、開発プロジェクトの可能性と限界をリアルタイムで把握し、より効率的な意思決定が可能です。

    また、PoCは投資家やステークホルダーへのプロジェクトの実行可能性を示すための具体的な証拠としても機能します。しかし、PoC開発には適切な範囲と期待の設定が重要であり、課題の特定とその解決に必要な技術的詳細を明確にする必要があります。

    開発に関する全般的な相談やPoC実施の支援が必要な場合は、ぜひ株式会社Jiteraへお問い合わせください。プロジェクトの初期段階から適切なアドバイスを提供し、成功へと導くお手伝いをさせていただきます。

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