AIの進化は、私たちの生活のあらゆる側面に影響を与えていますが、ファッション業界も例外ではありません。
昨今は、AIがファッションコーディネートを組むアプリが開発されたり、モデルやデザイン・ショーへのAIの活用など、ファッション業界にも様々な変化が生まれています。
この記事では、AIがファッション業界をどのように変革し、個々のユーザーのスタイルを強化し、業界全体の持続可能性を向上させるかについて詳しくみていきます。
AIとファッションの動向が知りたい方は、ぜひ参考にしてみてください。
AIファッションコーディネートとは？
まずは、AIでファッションコーディネートとはという概念の話と、AIファッションコーディネートアプリについて詳しく解説します。
AIファッションコーディネートとは
AIファッションコーディネートは、人工知能を使って個人のスタイルや好みに合った服装を提案する技術です。
以下のような特徴を分析し、最適な服装を選び出すことができます。
たとえば、パーティーに出席するときのドレスや、普段使いのカジュアルなコーディネートなど、様々な場面に対応できる提案が可能です。
これにより、ファッションに自信がない人でも、自分に似合う洋服を見つけやすくなります。AIファッションコーディネートは、ショッピングアプリやオンラインサービスを通じて、より手軽に利用できるようになっています。
AIファッションコーディネートのメリット
AIファッションコーディネートを活用するメリットの一つが、手軽にさまざまなファッションを楽しむことができる点です。
例えば、自分の全身が映っている写真を一枚用意すれば、AIが自動で様々な服をフィッティングしてくれるアプリがリリースされています。さまざまなポーズや体格に対応可能なので、誰でも手軽に幅広いコーディネート案を得ることができるのです。
また、AIはユーザーの過去の選択や傾向を学習するため、使えば使うほどパーソナライズされた提案が可能になります。AIは大量のデータからユーザーの好みに合致する最適な選択肢を導き出すことが可能です。
さらに、最近ではAIがその人の体格や肌の色、ヘアスタイルをもとに、おすすめのコーディネートを提案してくれる機能もあります。
「どのような服を着ればいいのか分からない」「似合う服が分からず、服選びに時間がかかる」などの悩みも、AIファッションコーディネート技術を活用することで解決するかもしれません。
AIファッションコーディネートの課題
手軽にさまざまなファッションを楽しむには最適なAIファッションコーディネート技術ですが、デメリットもあります。
代表的なデメリットの一つは、個人の微妙な好みやその日の気分を完全に理解することが難しい点です。
AIファッションコーディネートは、体格やヘアスタイル、肌の色など、画像データから判別できる情報をもとにコーディネートを提案します。そのため、個人の好みや天気などの日によって変わる要素を反映することは非常に難しいのです。
AIファッションコーディネートは、恒常的なファッションアイデアの提案には適していますが、気分や気候などの不規則な要素を加味した提案は苦手としています。
万能ではないからこそ、ユーザーサイドの工夫が求められる技術になります。
写真分析によるAIのファッションコーディネート
AIファッションコーディネートの代表的な技術の一つが、写真分析によるコーディネートの提案です。
ここでは、写真分析によるAIファッションコーディネートに関する情報を紹介します。
写真認識技術の基本
写真認識技術とは、写真に写っている対象を認識する技術のことで、画像認識技術とも呼ばれます。取り込まれた写真データの特徴をさまざまな学習機で分析して、新たな画像を識別することも可能です。
コンピュータは写真をピクセルの集合体としてしか認識できませんが、そのなかから特定の人物や動物、物体を識別する機能
が写真認識技術になります。
機械学習やディープラーニングの活用によって写真認識技術の精度は年々高まっており、エラー発生率も依然と比べると格段に低くなりました。
AIファッションコーディネートでは、進化した写真認識技術も取り入れられています。
リアルタイムでの服装提案システム
写真認識技術を取り入れたAIファッションコーディネート技術の一つが、リアルタイムでの服装提案システムです。
例えば、手持ちの服をアプリに登録しておくことで、その時々の気温や湿度に合わせたコーディネートをAIが瞬時に提案してくれるアプリがリリースされています。
ほかにも、手軽な操作で利用者のアバターを生成し、好みのファッションアイテムで3Dバーチャル試着を行うことができるバーチャルフィッティング機能も、AIファッションコーディネートの一環であるといえるでしょう。
写真認識技術の発展とともに、AIファッションコーディネートも進歩を遂げています。
AIがファッションコーディネートを組んでくれるアプリ
AIがファッションコーディネートを組んでくれるアプリを3つ紹介します。AIを活用して、ファッションをより手軽に楽しみたい人は、ぜひ参考にしてみてください。
XZ（クローゼット）
XZ（クローゼット）は、手持ちの服を登録するだけで、AIがその日の天気や気温に合わせたコーディネートを自動で提案してくれるアプリです。
手持ちのアイテムをもとに着回しを提案してくれるため、日々のコーディネートに関する悩みを軽減することができるはずです。
また、コーディネートの提案機能の他にも、持っている服を一目で把握できるクローゼット機能や、着用済みのコーディネートを記録できるカレンダー機能など、ファッションに関する便利な機能が豊富に備わっています。
持っている服の管理や着回し方法にお悩みの場合は、ぜひ利用してみてください。
SENSY CLOSET
SENSY CLOSETは、スマートフォンをはじめとしたデバイスで手持ちの服を管理できるアプリです。
外出中もクローゼットの中身を確認することができるため、手持ちの服との組み合わせをチェックしながら新しいアイテムを買い足すことができます。
登録したアイテムにタグ付けをすることで、スムーズな検索を実現します。着用頻度ごとにアイテムを並び替えることもできるので、日々のコーディネートをより手軽に選ぶことができるでしょう。
Riko
Rikoは、写真を送るだけでコーディネート案を提供してくれるAIチャットボットです。
自分のファッションスナップや持っているアイテム、買おうか悩んでいるアイテムの写真を投稿すると、そのアイテムをどのように着こなすと良いのか、具体的にアドバイスしてくれます。
RikoとのやりとりはLINEで行います。無料で利用できるため、日々のコーディネートのバリエーションを増やしてみたいとお考えの場合は、ぜひお試しください。
AI技術を活用したファッションサービスアプリ
AI技術を活用したファッションサービスアプリを紹介します。
AI MD（エーアイ・エムディ）
AI MD（エーアイ・エムディ）は、SNSやショッピングサイトの情報をAIを使って解析し、ファッショントレンドを予測・提供するサービスです。
膨大なデータをもとに、トレンドやユーザーのニーズを提供するAI MDを利用することで、アパレルビジネスに関する新たなアイデアを得られるでしょう。
アパレルトレンドの見える化や、豊富なコーディネート案の提供など、ファッションコーディネートに関するさまざまな機能を使用することができます。
PASHALY（パシャリィ）
PASHALY（パシャリィ）は、画像データをもとに、インターネット上のファッション通販サイトの中から該当の商品を簡単に見つけることができるアプリです。
アイテムの名前やブランドがわからなくても、アイテムに関する詳細情報をAIが分類して、ファッション通販サイトに登録されているファッションアイテムの中から商品を見つけてきてくれるのです。AIに学習させる作業は必要ないため、手軽に使い始めることができます。
ネット上で見つけたアイテムの詳細をすぐに調べることができるため、より効率的にファッションを楽しむことができるでしょう。
POCKET PARCO
POCKET PARCOは、ファッションビルの「PARCO」 を全国で展開する企業であるパルコがリリースしている公式アプリです。
POCKET PARCOの特徴の一つが、パルコ館内でアプリを起動し、目標歩数に達成するとコインが貯まる「PARCO WAKING COIN」という機能です。溜めたコインは、PARCOポイントに交換することで、アイテムの価格を割引することができます。
ファッション業界におけるAI活用事例
AI技術はファッション業界においても活躍の幅を広げています。ここでは、ファッション業界におけるAI活用事例を紹介します。
メチャカリ
ファッションサブスクリプションサービス「メチャカリ（MECHAKARI）」では、専用アプリにて、AIを活用したパーソナライズスタイリング AIチャットボットを導入しています。
AIチャットボットを活用することで、メチャカリで取り扱う10,000種類以上のアイテムの中から、ユーザーに合わせたコーディネートやアイテムを提案してもらうことが可能となります。
AIの活用による質の高いパーソナライズスタイリングで、ファッションの新たなアイデアの獲得したり、コーディネートの幅を広げることができるでしょう。
トミー・ヒルフィガー
大手ファッションブランドの「トミー・ヒルフィガー」もAI技術を業務に導入しています。
トミー・ヒルフィガーは、バリューチェーン全体のデジタル化にもいち早く着手し、25年までに全てのデザイン工程を3D化することにも取り組んでいます。
従来のアパレルにおける製造工程はアナログ作業が非常に多く、業務の効率化やスピードの向上が強く求められていました。
そこで、トミー・ヒルフィガーでは最新鋭のAI技術や3Dデザイン技術を取り入れることにより、高品質でスピーディーなものづくりの実現を目指しています。
大塚商会
大塚商会は、AI技術を取り入れたさまざまなサービスを展開しています。
例えば、大塚商会が提供するAI分析サービスの「dotData AI分析サービス」は、膨大なデータをもとに、対象のニーズや流行を予測・判別などを行います。
また、AIチャットボットを活用すれば、チャット形式で入力されたエンドユーザーからの問い合わせに、ロボットに自動で回答させることも可能になります。
このほかにも、大塚商会はAIを活用したさまざまなサービスをリリースしているため、AI需要の高まりに比例して、さらに注目を集めることが予想できるでしょう。
ワコール
大手女性用下着メーカーのワコールでは、AIを活用したボディスキャナー「3D smart & try」をリリースしています。
3D smart & tryは、セルフでできるボディの3D計測サービスです。公式アプリをダウンロード後、スキャナー内に移動するだけで、手軽に計測データを確認することができます。
従来のフィッティングでは、時間がかかることや、スタッフに見られることへの抵抗感などが課題となっていました。
セルフで完結する3D smart & tryは、そのような課題をすべてクリアするサービスになります。リニューアル後はさらに利便性も高まっており、今後さらに注目を集めると予想されています。
ファッション業界におけるAIの現状と将来性
ファッション業界において、AIは今後どのような発展を遂げるのでしょうか。
ここでは、ファッション業界におけるAIの現状と将来性について解説します。
AIによるコーディネート支援の進化
ファッション業界において、AIはさまざまな方法で活用されています。
代表的な活用方法の一つが、AIを活用したコーディネート支援です。手持ちのアイテムを登録したり、必要な条件を満たした写真を用意することで、AIが最適なコーディネート案を提供します。
さまざまな企業でコーディネート提案サービスがリリースされており、ファッション業界におけるAI活用方法の定番となることが予想されます。
洋服デザインにおけるAIの役割
ファッション業界では、洋服デザインの工程でもAIが活用されています。
洋服のデザインでAIを活用する方法の一つに、ユーザーのニーズやトレンドなどのデータの解析があります。AIは膨大なデータからトレンドを分析し、デザイナーにインスピレーションを提供します。
また、AIがデザインの提案を行い、デザイナーがそれを素材やディテールに落とし込むことにより、業務の効率化を実現することも可能です。
さらにAIは、ユーザーごとの好みを分析し、最適なアイデアを提案することもできるので、パーソナライズされたデザインの提供にも役立てることができるでしょう。
デザイン業務においても、AIの価値は高まっています。
AIモデルの役割とファッション業界への影響
AIモデルは、近年のファッション業界において、不可欠な存在の一つです。
例えば、顧客の嗜好や購買履歴から傾向を分析し、需要予測や在庫管理に活用されています。また、画像認識技術を用いてコーディネートを提案したり、ファッションアイテムを自動的に分類して、オンラインストアの検索機能の効率化を実現したりしています。
最近は、デザインプロセスにおいてもAIの活用が進められているため、サービス内容だけでなく、業務においてもAIモデルの存在はなくてはならないものになっているのです。
今後もAIモデルはファッション業界における活躍の幅を広げていくことでしょう。
AIがファッションデザインやショーに与える変化
AIはファッション業界にさまざまな影響を与えています。
デザインに関して、AIはアルゴリズムを用いてトレンドを予測し、デザイナーに新たなインスピレーションを与える役割を果たしています。各工程における業務の効率化も実現しているため、不可欠な存在といっても過言ではありません。
また、AIはファッションショーのプロデュースにも影響を及ぼしています。
例えば、AIがモデルの選択やランウェイの演出を最適化し、よりダイナミックで魅力的なショーを実現しているのです。
ファッション業界がAIを取り入れることで、革新的なアイデアの実現がよりスピーディーに行われています。
まとめ：未来を形作るAIファッションテクノロジー
AIの進歩はファッション業界を大きく変革しています。AIファッションコーディネートアプリは、ユーザーの好みやライフスタイルに合わせてパーソナライズされた服装の提案を可能にし、ユーザーのファッション体験を豊かにしています。
また、AIモデルはデザインのプロセスを革新し、ブランドが市場の変化に迅速に対応し、消費者に合わせた商品を提供することを可能にしています。
ユーザーに提供されるサービスから業務の各工程に至るまで、AIはファッション業界と密接な関わりを持っています。今後さらに活躍の幅を広げていくことでしょう。
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