Ruby on Railsは、Webアプリケーションを開発するための、オープンソースのフレームワークです。
この記事では、Ruby on Railsの得意分野やできることや活用方法などを解説しています。
この記事を読んで、自社でRuby on Railsを活用できるかの参考にしてください。

PHPを独学で勉強した後にWeb業界に参入。大手企業でプログラマーとして活躍後、自社サービスの立ち上げ、大手検索エンジンサービスの保守運用作業、ソーシャルゲーム開発などに携わりながら、SE・管理職の道を歩んで現在に至る。現在は、管理職に携わる傍ら、これまでの経験を活かした執筆活動を続けている。
Ruby on Railsとは?初心者にもわかる基本情報
Ruby on Railsは、Webアプリケーションを開発するための、オープンソースのフレームワークです。
Rubyプログラミング言語で記述されており、開発者が効率的にWebアプリケーションの構築を支援します。
ここでは、Ruby on Railsのことを深く知るために、以下の項目に分けて、Ruby on Railsの基本を解説します。
- Ruby on Railsの基本構造とは
- Ruby on Railsのメリット
Ruby on Railsの基本的な特徴や、なぜ多くの開発者に選ばれているのかをみていきましょう。
Ruby on Railsの基本構造とは
Ruby on Rails の基本構造は、MVC(Model-View-Controller)というアーキテクチャパターンに基づいています。
このアーキテクチャは、アプリケーションの構造を明確に分割し、保守性や拡張性を向上させるものです。
以下は、その構造です。
- Model
- View
- Controller
- ルーティング
- アセット
Modelは、データベースとのやりとりを担当し、ビジネスロジックを含む部分となります。データベース内のテーブルやレコードと対応し、データの操作やクエリを行います。
Viewは、ユーザーに表示される情報やユーザーインターフェースを生成するものです。HTML・CSS・JavaScriptなどのフロントエンドの技術を活用し、Webページの表示を構築します。
Controllerは、ユーザからの入力やイベントを受け取り、適切な処理を行って、その結果をViewに送信します。ルーティングとビジネスロジックの橋渡しを行う、重要な部分です。
ルーティングは、ユーザーからのリクエストを、対応するコントローラのアクションにマッピングする機能をもっています。URLとコントローラーアクションの対応付けを定義するためのルーティング設定を行うものです。
アセットは、CSS・JavaScript・画像などの静的ファイルを管理します。アセットパイプラインなどの機能を使って、これらの静的ファイルを最適化し、効率的に提供します。
このように、Ruby on Railsの基本構造は、これらのコンポーネントが連携してWebアプリケーションを構築することで、アプリケーションの開発を効率化して保守性を高めることができます。
以下の記事でも詳しく解説しているため、参考にしてください。
Ruby on Railsのメリット
Ruby on Rails には、多くのメリットがあり、以下はそのおもなものです。
- 高い生産性
- 豊富な機能
- アクティブなコミュニティ
- セキュリティ
- 堅牢性と安定性
Ruby on Railsは、コンベンションオーバーコンフィギュレーションの原則に基づいており、開発者が迅速にアプリケーションを構築できます。多くのタスクや機能がフレームワークに組み込まれており、開発者が同じことを繰り返して実装する必要はありません。
Ruby on Railsは多くの機能を提供しており、たとえば、データベースアクセス・ルーティング・セッション管理・フォーム処理・セキュリティなど、Webアプリ開発に必要な機能を多く持ち合わせています。
活発なコミュニティがあるのもメリットの1つで、豊富なドキュメントやチュートリアル、ライブラリが提供されています。また、多くのオープンソースプロジェクトやサポートリソースが利用可能です。
Ruby on Railsは、セキュリティに焦点を当てて開発されており、多くのセキュリティ機能が組み込まれています。たとえば、CSRF(Cross-Site Request Forgery)やSQLインジェクションなどの攻撃からアプリケーションを保護するための機能などです。
多くのWebアプリケーションでRuby on Railsは使用されており、その堅牢性と安定性が証明されています。また、テスト駆動開発(TDD)やヘイビア駆動開発(BDD)などのテスト手法がRails開発に広く採用されており、品質の高いアプリケーションを
開発するためのテストフレームワークが整っているのが特徴です。
これらのメリットにより、Ruby on Railsは多くの開発者や企業にとって、よい選択肢の1つとなっています。
Ruby on Railsの得意分野とは?
Ruby on Railsは、Webアプリケーションを開発するための、オープンソースのフレームワークであることがわかりました。
では、得意分野には、どのようなものがあるのでしょうか。
ここでは、Ruby on Railsの得意分野を、以下の2つに分けて解説します。
- 高速開発とプロトタイピング
- 柔軟なカスタマイズと拡張性
Ruby on Railsが特に力を発揮する分野について、詳しくみていきましょう。
高速開発とプロトタイピング
Ruby on Railsは、高速開発とプロトタイピングに適しています。
その理由は、以下の通りです。
- コンベンションオーバーコンフィギュレーション
- ジェネレータ
- 豊富なGem(ライブラリ)
- 開発者の生産性の向上
- リファクタリングの容易さ
Ruby on Railsは、コンベンションオーバーコンフィギュレーションの原則に基づいており、開発者が最初から構造や設定を明示的に指定する必要がないため、素早く開発を開始できます。設定を明示的にしてする必要がないため、開発者は標準的な慣例に従うだけで十分であり、設定や構造を煩わしく設定する必要がありません。
ほかにも、Model・View・Controller・ルーティングなどの基本的なコンポーネントを自動的に生成するジェネレータが用意されています。ジェネレータを利用すれば、開発者は手動でコードを記述する必要がなく、素早くアプリケーションの骨格を構築することができるでしょう。
コミュニティには、数多くのGemが存在し、さまざまな機能やツールを提供しています。これらのGemを活用できれば、開発者は多くの機能を再利用でき、短期間でアプリケーションを構築できるでしょう。
Ruby on Railsは、開発者がコードを書く速度を向上させるための多くの便利な機能を提供しています。たとえば、Active Recordを使ったデータベース操作や、RESTfulルーティングのサポートなどです。
これらの機能を活用して、開発者は迅速にアプリケーションの構築に集中できます。
Ruby on Railsのコードは一般的にシンプルで読みやすく、MVCアーキテクチャの分離により、コードのリファクタリングが比較的容易です。リファクタリングが容易であるため、アプリケーションの機能や仕様が変更された場合でも、素早く対応することができるでしょう。
これらの要素により、Ruby on Railsは、高速な開発やプロトタイピングのニーズに適しています。
柔軟なカスタマイズと拡張性
Ruby on Railsは、柔軟なカスタマイズと拡張性に優れています。
以下はそのおもなポイントです。
- Gemの豊富さ
- モジュールとプラグインのサポート
- Railsエンジン
- カスタムジェネレータ
- 柔軟なルーティング
Ruby on Railsのエコシステムには多くのGemが存在し、さまざまな機能や拡張機能を提供しています。開発者はこれらのGemを使ってアプリケーションを拡張したり、カスタマイズしたりすることが可能です。
たとえば、認証や認可・画像処理・API連携などの機能を追加するGemが豊富に存在します。
Ruby on Railsでは、モジュールやプラグインを使用して、アプリケーションに機能を追加することができます。特定の機能をモジュール化して再利用したり、既存の機能を拡張したりすることが可能です。
Ruby on Railsのエンジンは、アプリケーション内で独立したサブアプリケーションを作成するための仕組みです。アプリケーション内で異なる機能やコンポーネントを分離して開発し、独自のデータモデルやビューを持つアプリケーションを作成することができます。
Ruby on Railsでは、ジェネレータをカスタマイズしてプロジェクト固有のコードや構成を自動生成することができます。開発チームのベストプラクティスを遵守したり、繰り返し行う作業を自動化したりすることが可能です。
ルーティングシステムは柔軟であり、RESTfulなルーティングや名前空間を使ったルーティングなど、さまざまなルーティングオプションをサポートしています。
これらの機能により、Ruby on Railsは柔軟なカスタマイズと拡張性を持ち、さまざまなプロジェクトのニーズに対応することができます。
中小企業におけるRuby on Railsの活用法
Ruby on Railsは高速開発ができたり柔軟なカスタマイズができるといったような得意分野があることがわかりました。
次に、Ruby on Railsの活用法をみていきましょう。
以下の2つは、中小企業における、Ruby on Railsの活用法です。
- コスト効率の高い開発手法
- 社内リソースの最適活用
リソースや体制が限られている中小企業がRuby on Railsをどのように利用できるかを見ていきましょう。
コスト効率の高い開発手法
コスト効率の高い開発手法は、中小企業でのRuby on Railsの活用法の1つです。
以下は、そのおもな理由です。
- 素早い開発が可能
- オープンソースのフレームワーク
- 豊富なGem
- アクティブなコミュニティ
- クラウドサービスの活用
Ruby on Railsは、コンベンションオーバーコンフィギュレーションの原則に基づいており、開発者が迅速にアプリケーションを構築できます。中小企業は、開発したアプリを素早く市場に投入でき、競合他社に対して優位に立つことができるでしょう。
Ruby on Railsはオープンソースのフレームワークであり、無料で利用することができるため、中小企業は開発に関するライセンス費用を抑えられるでしょう。
エコシステムには多くのGemが存在し、さまざまな機能やツールを提供しています。中小企業は、これらのGemを活用してアプリケーションの開発や機能追加を効率化し、開発コストを削減することができるでしょう。
活発なコミュニティが存在し、多くの質問や情報が共有されています。中小企業は、コミュニティのサポートを受けながら開発を進めることができるため、開発の効率化や問題の解決にコミュニティを活用できるでしょう。
Ruby on Railsのアプリケーションは、クラウドサービス上で展開することができるため、インフラストラクチャの管理や運用コストを削減し、開発に集中することができます。
これらの要素により、中小企業は、Ruby on Railsを活用してコスト効率の高い開発を実現し、競争力を強化できるでしょう。
社内リソースの最適活用
中小企業がRuby on Railsを活用して、社内リソースを最適活用することができます。
以下は、そのおもなポイントです。
- トレーニングとスキルアップ
- アウトソーシングの活用
- オープンソースの貢献
- 自動化と効率化
- アジャイル開発の導入
Ruby on Railsは比較的習得が容易であるため、中小企業の従業員に、トレーニングを行うことでスキル向上ができます。Ruby on Railsの開発スキルが向上できれば、社内での開発チームを形成し、アプリケーション開発を自己完結的に行うことができるでしょう。
中小企業は、外部の専門家や開発会社に一部の開発作業をアウトソーシングすることで、社内リソースを効果的に活用することができます。外部の専門家は、プロジェクトの特定の部分を担当し、社内の開発チームはそのほかの作業に集中する、といった開発が可能です。
Ruby on Railsは、オープンソースのプロジェクトであり、コミュニティに貢献することでスキルを向上させることができます。中小企業の開発者は、バグ修正や新機能の開発などプロジェクトに貢献することで、Ruby on Railsのスキルを磨くことができるでしょう。
自動化ツールや開発プロセスの効率化を通じて、開発作業の生産性を向上させることができます。たとえば、CI/CDツールを導入すれば、開発プロセスを自動化しデプロイメントの手間を軽減することができるでしょう。
アジャイル開発手法を導入することで、中小企業の開発チームは柔軟にプロジェクトに対応することができ、社内リソースを最適に活用することができます。
これらのアプローチを組み合わせれば、中小企業はRuby on Railsを活用して、社内リソースを最適に活用した効果的なアプリケーション開発を行えるでしょう。
Ruby on Railsで何ができる?実践的な事例紹介
中小企業では、Ruby on Railsを活用してコスト効率の高い開発や社内リソースを最適活用した開発ができることがわかりました。
次に、その具体的な実践事例をみていきましょう。
ここでは、以下2つの事例を紹介します。
- Webアプリケーション開発の事例(GitHub)
- スタートアップ企業による活用例(Airbnb)
実際にRuby on Railsを使用して実現されたプロジェクトの具体例を紹介し、その可能性を探っていきましょう。
Webアプリケーション開発の事例(GitHub)
GitHubは、ソフトウェア開発者向けのGitリポジトリホスティングサービスです。Ruby on Railsで開発されており、コード共有、バージョン管理、コラボレーションなどの機能が特徴的です。
素早い開発サイクルを実現するためにRuby on Railsを採用し、新しい機能や改善を迅速に展開することができます。ほかにも、
GitHubはMVCアーキテクチャを活用して、コードの品質を維持し、プラットフォームの長期的な保守性を確保しています。
スタートアップ企業による活用例(Airbnb)
Airbnbは、宿泊施設の予約と宿泊体験の提供を行うサービスです。スタートアップ企業としてRuby on Railsを活用しており、サービスの開発や拡張を効率的に行っているのが特徴です。
Airbnbは、Ruby on Railsを使って、リアルタイムの予約システムを実現しました。ユーザーが宿泊施設を検索し、予約を行うときに、Ruby on Railsが柔軟性を持ってリクエストを処理し、迅速に予約を確定します。
ほかにも、Airbnbの検索とフィルタリング機能は、Ruby on Railsを使って実装された機能の1つです。ユーザーが宿泊施設を検索し、条件に合う物件を絞り込むときに、Ruby on Railsが効率的にデータを取得し、適切な結果を表示します。
Airbnbは、Ruby on Railsを使って決済処理と料金計算を実現しています。ユーザーが宿泊施設を予約するときに、Ruby on Railsが決済情報を処理し、料金を計算して支払いを完了させます。
Ruby on Railsでの開発に向けた準備
Ruby on Railsは、Webアプリケーションの開発や、スタートアップ企業の開発で活用されていることがわかりました。
では、Ruby on Railsを活用するために、どのような準備が必要なのでしょうか。
ここでは、以下2つの項目に分けて、Ruby on Railsでの開発に向けた準備を解説します。
- 必要なスキルセットと学習方法
- プロジェクト管理と進行方法
Ruby on Railsの導入にあたっての準備や、社内での取り組み方についてみていきましょう。
必要なスキルセットと学習方法
Ruby on Railsでの開発に向けた準備をするために、以下のようなスキルセットが必要となるでしょう。
- Ruby言語の基礎
- Railsフレームワークの理解
- データベースの基礎
- HTML・CSS・JavaScript
- Gitとバージョン管理
Ruby on Railsは、Ruby言語で開発するため、まずはRuby言語の基本を理解する必要があります。ほかにも、Railsフレームワークの基本的な概念やコンポーネントを理解することも重要です。
Ruby on Railsでは、データベースとの連携が重要な役割を果たすため、基本的なSQLの知識やActive Recordパターンの理解が必要となるでしょう。
Webアプリケーションを開発する上で、HTML・CSS・JavaScriptの基礎的な知識が必要となります。特にJavaScriptは、Railsアプリケーションに動的な機能を追加するために重要な言語となるため、習得しておくとよいでしょう。
Gitの基本的な操作やワークフローを理解しておくと、チームでの開発がスムーズに行えます。
このようなスキルセットを習得するために、オンラインのリソースや教材を利用するのがおすすめです。
以下は、その学習方法の一例です。
- オンラインコース
- 公式ドキュメントとチュートリアル
- 書籍
- オンラインコミュニティとフォーラム
- 実践プロジェクト
UdemyやCourseraなどのオンラインプラットフォームで、Ruby on Railsや関連する技術のコースを受講するのがおすすめです。
また、Ruby on Railsの公式ドキュメントやチュートリアルは、初心者から上級者まで幅広いレベルの学習リソースが提供されているため、活用するとよいでしょう。
ほかにも、書籍やオンラインコミュティ、フォーラムを活用してRuby on Railsを学ぶ方法もあります。学んだ知識を実践するために、実際のプロジェクトを通じて経験を積むことも重要です。
個人的なプロジェクトやオープンソースプロジェクトに参加するなど、実践的な経験を積んでいきましょう。
プロジェクト管理と進行方法
Ruby on Railsでの開発プロジェクトを効果的に管理するためには、以下のようなプロジェクト管理と進行方法を取り入れることが重要です。
- アジャイル開発手法の導入
- タスク管理ツールの活用
- ユーザーストーリーの定義
- コードレビューと品質管理
- 週次またはデイリースタンドアップ
アジャイル開発手法は、柔軟性のある開発プロセスを提供し、プロジェクトの進捗を迅速に確認できます。
プロジェクトのタスク管理や進捗管理には、タスク管理ツールを活用するとよいでしょう。
ユーザーストーリーは、ユーザーの視点からプロジェクトの目標や要件を定義する方法で、プロダクトの開発方針を明確にすることができます。
コードレビューを行って、コードの品質を向上させることも重要なポイントです。
ほかにも、チーム全体がプロジェクトの進捗状況や課題を共有するために、週次またはデイリースタンドアップミーティングを定期的に行うこともおすすめです。
これらのプロジェクト管理と進行方法を組み合わせることで、Ruby on Railsでの開発プロジェクトを効果的に管理し、スムーズに進行させることができるでしょう。
まとめ:Ruby on Railsで何ができるのか知って開発に活かしましょう
今回は、Ruby on Railsに関して、以下のことがわかりました。
- Ruby on RailsはWebアプリケーションを開発するためのオープンソースのフレームワークである
- 開発者が迅速にアプリケーションを構築できる
- Webアプリ開発に必要な機能を多く持ち合わせている
- Ruby on Railsは高速開発とプロトタイピングを得意分野としている
- 中小企業ではRuby on Railsを活用してコスト効率の高い開発手法を実現している
Ruby on Railsは、Webアプリケーションを開発するための、オープンソースのフレームワークです。
Ruby on Railsを活用することは、開発者が迅速にアプリケーションを構築できるなどのメリットがあります。ほかにも、Webアプリ開発に必要な機能を多く持ち合わせています。
Ruby on Railsは、高速開発とプロトタイピングを得意分野としているため、中小企業は開発したアプリを素早く市場に投入でき、競合他社に対して優位に立つことができるでしょう。
中小企業は、Ruby on Railsを活用して、コスト効率の高い開発手法を実現しています。
このように、多くのメリットを持つRuby on Railsですが、自社でどのように活用すればよいかわからないこともあるでしょう。
Ruby on Railsの活用で悩み事や不明点がある場合は、多くの知見を持つ、株式会社Jiteraへご相談ください。
自社でどのようにRuby on Railsを活用したいかをヒアリングさせていただき、最適なアドバイスをご提案させていただきます。