中小企業が限られたリソースで大きな成果を上げるには業務効率化が欠かせません。
業務効率化に取り組むには、さまざまなフレームワークの活用がおすすめです。
フレームワークを取り入れることで業務効率化をスムーズに進められます。
本記事では業務効率化に使えるフレームワークの種類や適用方法、成功事例などについてまとめました。
本記事を読むことで業務効率化のために利用できるフレームワークがわかり、実際に現場で取り入れてみることができます。
業務効率化の実現を迫られている担当者の方は参考にしてください。
WEBライター歴12年です。IT系の記事執筆経験は豊富にあります。
業務効率化フレームワークとは

業務効率化するためにフレームワークを利用するのはおすすめです。
フレームワークとは、日本語で枠組みを指します。
フレームワークを活用することで、スムーズに業務効率化を果たすことが可能です。
業務効率化のフレームワークには、業務改善を果たすための手順が体系化されています。
手順に従ってプロセスを進めることで、業務改善の高い効果を期待できるでしょう。
どのような現場の仕事にも当てはめられるような枠組みが用意されています。
規定された要素に現場の状況を当てはめるだけで取り組めるものが多いです。
業務効率化に関するノウハウのない会社でも、フレームワークを活用すればすぐ業務効率化に取り組めます。
フレームワークにはさまざまな種類があるため、目的や対象に合わせて最適なものを選びましょう。
正しい手法を選び、実行計画を策定して実行し、効果について評価することが業務効率化の流れです。
業務効率化フレームワークの種類

業務効率化に活用できるフレームワークの主な種類を以下にまとめました。
- 時間管理
- 目標設定
- チームワーク
- 問題解決
それぞれのフレームワークは異なる課題を解決するのに役立ちます。
それぞれの種類の特徴や違いを理解した上で最適な手法を選択することが大切です。
以下では、フレームワークの各種類について詳しく紹介します。
時間管理
業務効率化のフレームワークの中には時間管理に役立てられるものがあります。
業務効率化を図るために時間管理は大事です。
時間管理とは、時間をどのように使うのかを具体的に計画し、予定通りに進んでいるかチェックすることを指します。
タスクの優先順位や作業にかかる時間を把握した上で各タスクの時間を割り振っていく作業です。
時間管理を適切に行うことで業務を効率よく進められるようになります。
時間管理をするために役立つフレームワークの1つがロジックツリーです。
ロジックツリーにより、やるべきタスクの洗い出しができ、時間管理に役立ちます。
タスクの分類の仕方が時間管理のコツといえるでしょう。
目標設定
業務効率化のための目標設定ができるフレームワークがあります。
業務効率化に取り組む際には目標設定が大事です。
具体的な数値目標や期日を設けておくことで、目標達成のための具体的な計画を立てやすくなります。
中間目標を設けておくと、進捗状況を把握しやすくなるため重要です。
目標設定のために活用できるフレームワークとしてSMARTやKPI、SWOT分析などがあります。
たとえば、KPIとは重要業績評価指標などと呼ばれており、目標を具体的に設定するためのフレームワークです。
具体的な目標を設定した後は、その目標を達成するためにさらに別のフレームワークを利用しましよう。
チームワーク
チームワークを発揮するために活用できるフレームワークがあります。
チームワークを促進させて、チームで協力して業務を進められる環境を整えることは大事です。
それぞれが協力し合って業務を進められれば、相乗効果により生産性が向上します。
チームとして、より短期間で質の高い業務を実現できるようになるでしょう。
チームワークの向上に役立つフレームワークとしてKPTなどがあります。
たとえば、KPTはプロジェクトが終了する毎にそれまでの業務を振り返り次のアクションを決定していく手法です。
KPTを実戦していく過程でチームのメンバー同士の対話が生まれて、自然とチームワークが向上します。
問題解決
さまざまな問題解決のために役立つフレームワークはたくさんあります。
業務の課題を見つけて解決することが問題解決であり、そのためにフレームワークは便利です。
業務課題の洗い出しから対策の策定までスムーズに進められます。
たとえば、ロジックツリーやECRSは問題解決のために活用されることが多いです。
フレームワークの種類の中でも、問題解決に活用できるものは特に種類が豊富にあります。
さまざまな種類があるため、現場で直面している問題に合わせて最適なものを選びましょう。
問題を見つけ出して改善することで、業務がスムーズに進むようになり、効率化を実現できます。
業務効率化に繋がるフレームワーク

業務効率化を果たすための生産性向上に役立つフレームワークはたくさんあります。
本記事では以下のフレームワークについて特徴を紹介します。
- ロジックツリー
- PDCAサイクル
- 5W1H
- ECRS(イクルス)
- マインドマップ
- BPMN(ビジネス・プロセス・モデリング表記)
- KPT
- バリューチェーン分析
- MECE(ミーシー)
- 4象限マトリクス
それぞれのフレームワークについて詳しく紹介します。
ロジックツリー
ロジックツリーとは、ある問題について大きな項目からスタートして小さな項目まで分解していく手法です。
複雑な事象であっても、小さな項目へと分解して整理することで可視化されます。
ロジックツリーを利用すれば、問題の全体像が正しく把握され、メンバー同士での共有が容易になるのがメリットです。
ロジックツリーを作成する過程で問題を細かな要素に分解できるため、問題の原因を見つけやすくなります。
ロジックツリーは大きく分けて以下の4種類があるのが特徴です。
- 要素分解ツリー
- 原因追及ツリー
- 問題解決ツリー
- KPIツリー
実際の改善策を考える際には問題解決ツリーが役立ちます。
問題を解決するための方法を枝分かれさせ、それぞれの方法を実戦するためのアクションをさらに枝分かれさせていくというテクニックです。
ロジックツリーを利用するだけでも、問題の原因を特定し、解決の方法を導き出せます。
PDCAサイクル
PDCAサイクルとは以下の4つのプロセスを回していくことです。
- Plan(計画)
- Do(実行)
- Check(評価)
- Action(改善)
最後のActionまで進めた後は、再び最初のPlanに戻り、何度もPDCAのサイクルを回していきます。
何度もPDCAサイクルを回していけば、業務の課題が解決され、生産性が向上し、業務効率化に繋がるでしょう。
最初のPlanの段階ではロジックツリーや5W1Hなど別のフレームワークを用いて、課題を洗い出した上で解決策を考えます。
また、Planの段階で適切な目標を設定し、Checkで目標を達成できたか評価することが大切です。
目標が達成できなければ、原因を考えた上で改善案を検討し、次の計画に反映します。
PDCAサイクルは形骸化するケースが多いため注意が必要です。
5W1H
5W1Hとは思考を整理するのに役立つフレームワークです。
5W1Hは以下の6つの要素によって構成されています。
- 「When(いつ)」
- 「Where(どこで)」
- 「Who(だれが)」
- 「What(なにを)」
- 「Why(なぜ)」
- 「How(どのように)」
以上の6つの要素を考えることで、ある問題や施策への解像度を高めることができます。
たとえば、業務改善の施策について、5W1Hの各質問を投げかけてみましょう。
そうすれば、施策のタイミングやターゲット、目的、方法が明確になります。
5W1Hによって、問題や計画を深堀りすることで、さまざまな点が見えてくるでしょう。
ただし、必ずしも5W1Hのすべての要素を含める必要はなく、場合によっては一部の要素を省略した方が良いケースもあります。
ECRS(イクルス)
ECRS(イクルス)とは以下の4つの視点から物事を考えることです。
- 「Eliminate(排除)」
- 「Combine(結合)」
- 「Rearrange(交換・再配置)」
- 「Simplify(簡素化)」
「Eliminate(排除)」とは、排除できるものはないかに注目する視点です。
たとえば、無駄な報告書の作成をやめる、不要な会議を廃止するなどがあります。
「Combine(結合)」は、似たような事象をまとめることで、リソースの節約に繋がるでしょう。
たとえば、出席者が被っている複数の会議を同時に行うといったケースです。
「Rearrange(交換・再配置)」は、業務の順番を入れ替える、担当者を変更するといった改善策を指します。
排除や結合が難しい場合には、交換や再配置ができないか検討しましょう。
「Simplify(簡素化)」とは、業務を簡素化して簡単に実行できるようにすることです。
たとえば、ツールの導入で業務を自動化することは「Simplify(簡素化)」の事例といえます。
ECRS(イクルス)の視点を持つことで、業務改善のアイデアを発見しやすくなるでしょう。
マインドマップ
マインドマップとは人間の思考を表現する方法です。
頭の中でイメージされる思考に近い形で実際に描き出していくことで、アイデアの発想をしやすくします。
中央にキーワードを置き、そこから放射状にイメージされるキーワードを書いて繋げていくのが一般的なやり方です。
頭の中でイメージされたキーワードを展開していくことで、業務改善のヒントを得られます。
たとえば、業務整理のためにマインドマップの活用は効果的です。
中央に業務整理をしたい分野を設定して、そこから派生するカテゴリ・業務を展開していきます。
ある分野の業務の全体像を把握できるため、そこから結合や排除などの作業を進めやすくなるでしょう。
BPMN(ビジネス・プロセス・モデリング表記)
BPMN(ビジネス・プロセス・モデリング表記)はビジネスの業務フローを可視化するための手法です。
業務フローの可視化では、担当者ごとに表記法が異なるケースがありました。
表記法が統一されていなければ混乱を招きます。
そこで、BPMNを取り入れると、業務フローの表記の際のルールが明確になるのが特徴です。
BPMNでは使われる図や記号の種類が規定されています。
BPMNに従って業務フロー図を作成することで業務の全体像がわかり、不要な業務の排除や似たような業務の結合などに取り組みやすいです。
BPMNは、業務効率化の具体的な施策を考える際に役立ちます。
BPMN作成の機能を持ったBPMNツールを利用すると便利です。
KPT
KPTとは以下の3つの要素を考えて、業務を振り返るフレームワークです。
- 「Keep(できたこと/継続すること)」
- 「Problem(改善するべき問題点)」
- 「Try(挑戦したいこと)」
プロジェクトについて良かった点と改善点、挑戦したい点を振り返ります。
KPTの3つの要素を記入できる欄を用意して、該当する欄に記載してもらうのが一般的です。
複数人のチームでメンバーそれぞれにKPTの内容を書いてもらいます。
記載された内容を整理し、具体的なアクションを考えて、実行するという流れです。
実際にアクションプランを行った後で、再びKPTによって振り返ります。
何度もKPTを繰り返すことで業務の問題が改善され、業務効率化や業務の質の向上を実現できるでしょう。
バリューチェーン分析
バリューチェーン分析とは、自社の事業の各プロセスを可視化した上で付加価値を見つけ出すためのフレームワークです。
バリューチェーンは主活動と支援活動の2つに分類されます。
主な活動の事例は、購買物流や製造、出荷物流、販売・マーケティングなどです。
支援活動とは、全般管理や人事・労務管理、技術開発、調達などが含まれます。
それぞれのプロセスを個別に分析して、どんな点に付加価値が発生しているかを明らかにするのが、バリューチェーン分析の目的です。
たとえば、「納期が短い」、「商品の質が高い」、「ベテランの技術者が多い」などは付加価値の例といえます。
また、バリューチェーン分析では、各プロセスで発生するコストや問題点などの洗い出しをします。
バリューチェーン分析を行えば、業務プロセスの改善のためのヒントを得られるでしょう。
MECE(ミーシー)
MECE(ミーシー)とは「Mutually Exclusive and Collectively Exhaustive」という4つの言葉の頭文字からなる造語です。
日本語に直訳すれば、互いに重複せず、なおかつ全体として漏れがないという意味を指します。
問題を解決するために正確な分析が必要で、そのための考え方がMECE(ミーシー)です。
MECE(ミーシー)を意識して物事を考えることで、業務改善のアイデアがスムーズに生まれるようになります。
たとえば、市場調査をする際には、MECE(ミーシー)を意識して重複せず漏れなくデータを取ることが大事です。
市場調査のターゲットを「大人」「子ども」「男性」「女性」にすると重複する項目が発生します。
雇用形態として「正社員」「派遣社員」「アルバイト」「契約社員」といった分類をする場合は、漏れも重複もありません。
ただし、MECE(ミーシー)は分類のための手段でしかなく、目的を忘れないように注意しましょう。
4象限マトリクス
4象限マトリクスとは縦軸と横軸を設定し、全部で4つのエリアを作って物事の立ち位置を把握するフレームワークです。
たとえば、縦軸に価格、横軸に利用シーンを設定して、飲食チェーンをプロットしていきます。
その結果、高価で単身者向けや安価で複数人向けなど飲食チェーンごとのコンセプトが明瞭になるでしょう。
業界内で自社や他社の立ち位置がひと目でわかるのがメリットです。
4象限マトリクスを通して得られた内容をもとにして差別化のための戦略を練ることができます。
4象限マトリクスを活用する際には、縦軸と横軸をそれぞれ関連性の薄い要素にすることが大事です。
縦軸と横軸の要素が似ているとマトリクスから得られる情報が薄くなります。
業務改善におけるフレームワークの適用方法

業務改善にフレームワークを活用する際にはいくつか意識すべきポイントがあります。
どのようにしてフレームワークを適用させるのか、具体的な手法を知っておくことは大切です。
以下では業務改善でフレームワークを活用する際のポイントや手法を詳しく紹介します。
改善アイデアの発見と適用の手順
実際に業務改善のアイデアを発見して適用するまでの具体的な手順を以下にまとめました。
- 業務の可視化を行う
- 現場のスタッフからヒアリングをする
- 課題や問題点を洗い出す
- 改善アイデアを発見する
- スケジュールを立てて業務改善を実施する
業務改善のアイデアを発見するには、業務そのものの理解を深めることが大切です。
まずは業務の可視化を行い、業務の内容や必要な工数、発生頻度などを把握します。
また、実際に現場で業務に取り組んでいるスタッフからヒアリングすることも大事です。
上記を踏まえた上で業務上の課題や問題点の洗い出しをします。
その後で改善アイデアを見つける作業に取り組みましょう。
その際にはフレームワークを活用することで、改善アイデアを見つけやすくなります。
アイデアを発見できたならば、実際にスケジュールを立てて、業務改善の取り組みを始めます。
フレームワークによる課題特定と解決策の提案
実際にフレームワークを用いて業務上の課題を特定したいならば、適切なフレームワークを選ぶことが大事です。
たとえば、課題特定にはロジックツリーがよく利用されます。
ロジックツリーでは業務上の課題を細かな要素に分解していき、課題の根本的な原因の特定が可能です。
バリューチェーン分析であれば、商品が顧客に届くまでの過程をプロセスごとに細分化した上で分析を行います。
フレームワークにより業務上の課題と原因を特定できれば、スムーズに解決策を考えることができるでしょう。
課題を解決するための戦略を練る際にもフレームワークを活用します。
たとえば、MECEを用いて、課題をシンプルに切り分けることで、効果的な解決策を見つけやすくなるでしょう。
課題特定から解決策の提案まで最適なフレームワークを選ぶことで、スムーズに業務改善を進められます。
業務効率化フレームワークの成功事例

実際に業務効率化を成功させた事例はたくさんあります。
過去の事例を参考にすることで、これから業務効率化に取り組む際に役立つ知見を得られるでしょう。
自社で業務効率化のためにフレームワークを利用する際の適用方法や注意点などがわかります。
以下では実際に業務効率化フレームワークに成功した企業の事例について紹介します。
中小企業における改善事例とその影響

株式会社ワークスビジネスサービスはQuestetraというBPMツールを導入して業務効率化に成功しました。
株式会社ワークスビジネスサービスは給与計算BPO受託事業を展開しています。
従来は非常に複雑な業務フローで仕事を処理していました。
業務プロセスの流れが複雑なため、作業の抜け漏れの発生や業務引き継ぎに時間がかかるなどの課題が出ていました。
そこで、Questetraを導入し、フレームワークのBPMNを適用してわかりやすい業務フロー図の作成に成功しました。
従来よりもわかりやすい業務フロー図ができたおかげで、漏れなく処理を進められるようになり、業務引き継ぎの期間も短縮することに成功しました。
フレームワークを活用して業務フローを統一化して業務効率化を図った事例です。
情報システム部門における改善事例

大和ハウス工業株式会社では、情報システム部門における業務効率化の取り組みとして「DevOps」の実現に取り組みました。
「DevOps」とは開発と運用を分離させずに同じチームとして活動するという新しい考え方です。
「DevOps」の実現のために新たな開発・運用基盤の構築を進めました。
自動化や見える化、標準化を推進し、開発・運用の体制を新しくしたことで、開発スピードが向上しています。
さらに、大和ハウス工業株式会社ではアジャイル開発の導入も実施しました。
アジャイル開発とは、小さな単位で実装とテストを繰り返すことで、仕様変更へ柔軟に対応する手法です。
アジャイル開発の導入ではスクラムというフレームワークを活用しています。
スクラムとは少人数のチームでアジャイル開発を進めることです。
大和ハウス工業株式会社はスクラムによるアジャイル開発が定着化したことで、リリースサイクルが平均2週間に1回になりました。
フレームワークを活用したことで、ユーザーにサービスを届けるまでの期間を短縮することに成功しています。
まとめ:フレームワークで業務効率化を目指しましょう

業務効率化に取り組むならば、フレームワークの活用がおすすめです。
フレームワークは物事を整理し、問題点を把握し、改善案を生み出すための思考の枠組みを提供します。
フレームワークに当てはめて考えることで、スムーズに業務効率化の施策を進めることができるでしょう。
ただし、フレームワークにはいくつもの種類が存在しています。
適切なフレームワークを選ぶことが大切です。
また、フレームワークを実際に活用できる機能が備わったツールも多数存在するため、活用を検討してみましょう。
業務効率化で困った場合は、実績豊富な株式会社Jiteraに一度ご相談ください。貴社の要件に対する的確なアドバイスが提供されると期待できます。

