「GitHubが仕事で必要になった」「GitHubについて一から勉強したい」とお考えの皆様へ。
本記事では、GitHubの基礎から覚えておきたい機能、GitHub社が展開するサービスについて、幅広く紹介します。
本記事を参考に、GitHubの基礎知識を習得して、GitHubの数々の便利な機能を活用しましょう。

食品商社営業からシステムエンジニアへと転職後、バックエンドエンジニア(Java, PHP)として尽力。開発リーダーを含む上流工程〜下流工程に携わる。IT関連記事から芸能・法律など幅広ジャンルにて執筆。
GitHub(ギットハブ)とは?
GitHubは、プログラマーや開発者向けのソースコード管理プラットフォームです。
Gitという分散型バージョン管理システムを活用しており、ユーザーは完全なリポジトリのコピーをローカル環境で持つことができ、オンライン/オフラインの両方で作業できます。
GitHubは、アメリカのGitHub社により運営されています。個人利用者も法人も無料で利用でき、ソースコードの閲覧、共有、変更履歴の確認が可能です。複数の開発者が同時に作業する環境で、その真価を発揮します。
VisualツールのSourcetreeなどと連携しているため、コマンドライン操作が苦手な人でもGUIで簡単に操作できます。作業フローの自動化が可能なGitHub Actionsや、GitHub Packagesによるソースコード一元管理など、運用を効率化する機能も充実しています。
2018年のMicrosoftによる買収後、プライベートリポジトリの無料化など新機能が次々と導入され、利用者が急増しました。世界中の開発者が知識やコードを共有する活発なコミュニティも魅力です。
以上の背景と豊富な機能から、GitHubは世界で最も使われるプログラム開発プラットフォームの1つとなっています。
GitHub(ギットハブ)は何ができる?
GitHub(ギットハブ)は、世界中の開発者が利用するソフトウェア開発プラットフォームです。
ソースコードのバージョン管理や共有が可能で、オープンソースからプライベートプロジェクトまで幅広い用途で活用されています。
ここでは、GitHubが提供する主要な機能―ソースコードの共有・管理、チームでの開発支援、コミュニティ形成の具体的なメカニズムと活用例について詳細に解説していきます。
ソースコードの共有・管理
GitHubはソースコードの共有と管理を行うための非常に強力なツールです。Gitというバージョン管理システムを利用して開発者はプロジェクトの履歴を全て保存し、必要に応じて過去の状態に復元したり異なるバージョンを比較したりすることができます。
具体的には、GitHubを利用して複数の開発者が同じプロジェクトファイルに同時に作業できる点が大きな利点です。
例えば、オープンソースのプロジェクトであるLinuxカーネルは、世界中の数千人もの開発者がGitHubを通じてコードの提供を行っています。開発者は「ブランチ」と呼ばれる独立した開発ラインを作成し、新機能の開発やバグ修正を行った後に「マージ」というプロセスを通じて主要な開発ラインに統合します。
さらにGitHubは「プルリクエスト」という機能を提供ておりし、これを通じてコードのレビューを求めたり改善を提案したりすることができます。
プルリクエストでは、変更されたコードが明確に表示されて他の開発者がコードにコメントを残すことができるため、より質の高いソフトウェア開発が可能となります。
チームでの開発
GitHubはチームでの協力開発を強力にサポートするツールです。共有リポジトリを利用することで、チームメンバー全員が最新のプロジェクトファイルにアクセスして更新することが可能です。
また、分散型バージョン管理システムであるためインターネットが利用できない環境でも作業を続けることができ、後で変更を同期することができます。
例えば、スタートアップ企業が新しいWebアプリケーションを開発する際にGitHubを使用して、フロントエンドチームとバックエンドチームが同じリポジトリで作業を進めることができます。
GitHubの「イシュートラッキング」機能を使えば、新しい機能の要求や既知のバグを効率的に管理し、それぞれの課題に対して責任を持ったメンバーが作業を行うことが可能です。
コミュニティ
GitHubではコミュニテイも活発で、GitHub Communityという仕組みがあります。
GitHub Communityとは、GitHubの機能や使い方に質問がある場合に、ユーザーどうしで質問や回答を記入できる質問箱のような機能です。
GitHubの使用をすすめる中での悩みや不明点を、GitHub Community内で質問することで、世界中のGituhubユーザーからアドバイスがもらえます。
また、コミュニケーションは主に英語で行われているため最初は戸惑うこともあるかもしれませんが、英語での情報収集に慣れるといった点でも、積極的に活用することをおすすめします。
GitHub(ギットハブ)を使うメリット
GitHubを開発現場で導入すると、以下のメリットを享受できます。
- ソースコードの品質を向上できる
- プロジェクト管理を効率的に進められる
- 開発の効率化を実現できる
- 便利な検索機能を利用できる
- コードファイルの管理や非公開ファイルの保存が可能である
一つ一つのメリットを理解した上で、開発現場の品質向上・スピードアップに取り組みましょう。
ソースコードの品質が向上する
ソースコードの変更履歴・ディレクトリの構成が分かりやすく閲覧できるため、「誤ったファイルに変更を加えてしまった」などの、トラブルを防ぐことが可能です。
変更前に、プルリクエストにおけるコードレビュー・承認を通じて、2重で確認をすれば、コードのエラーも発見しやすくなるでしょう。
このような形でミスを未然に防ぐ仕組みが作られているので、エンジニアの能力や性格に依存することなく、高品質なソースコードを生む環境が実現できます。
効率的なプロジェクト管理ができる
GitHub内の「project」機能を用いれば、カンバン形式で各タスクを可視化できます。
プロジェクトのボード上に、「To Doリスト」や「作業中」といったステータスを「カラム」として設定します。
そして、カラムの上に各タスクの「カード」を表示・移動させることで、タスクの状態が一目で分かるようになります。
シンプルで使いやすく、あらゆる情報をGitHubで一元管理できる点が大きなメリットです。
開発の効率化が図れる
GitHubは、共同開発をスピードアップさせる機能を数多く備えています。
たとえば、プルリクエスト機能を用いれば、レビューや承認の依頼をボタンひとつで行うことができます。
他にも、ソースコードの変更履歴やディレクトリの構造が検索しやすいことから、調べるための作業工数を大幅に削減できるでしょう。
これらの作業がオンライン上でできるため、リモートワークなどで離れた場所でも容易に情報の共有・コミュケーションができることも大きな魅力です。
便利な検索機能がある
GitHubでは、検索機能も充実しているため欲しい情報をスピーディに入手できます。
代表的な検索項目は以下の通りです。
- GitHubの全体
- 対象のユーザー
- 特定のリポジトリ内
- ソースコードの内容
- コミット時のコメント
- プルリクエストのID
- ファイルの名称
- 拡張子の種類
- 作成日
これらの機能を十分に活用して、作業の効率化を図りましょう。
コードファイルの管理や非公開ファイルの保存が可能
GitHubで、コードファイルの管理を行うメリットは以下の通りです。
- 「変更箇所」「変更日」「変更者」などの情報を記録してくれる
- 変更履歴を調べるときに、変更に関する詳細な情報を入手できる
- 優れた検索機能で、欲しい情報を容易に検索できる
また、非公開ファイルの保存するための「プライベートリポジトリ」も2019年から無料かつ無制限で使用可能になりました。
「プライベートリポジトリ」とは、自分とアクセスを許可するユーザーのみが閲覧可能なリポジトリで、ソースコードを公開できない企業などで利用されています。
反対に、誰でもアクセスできるものは「パブリックリポジトリ」とよばれ、オープンソースプロジェクトなどで利用されています。
GitHub(ギットハブ)の料金プランと無料と有料の違い
GitHubの基本的なサービスは、すべて無料で利用可能です。
ただ、有料プランに登録すると、様々な機能・サポートが使用できるようになります。
GitHubの料金プランの概要は以下の通りです。
プラン | 料金 | 特徴 |
Freeプラン | 無料 | 無制限のパブリック/プライベートリポジトリをはじめとする基本的な機能全般 |
Teamプラン | 月額4ドル | Freeプラン+必須レビュー・コードオーナー機能など |
Enterpriseプラン | 月額21ドル | Teamプラン+高度な監査機能 |
各プランの違いについて、詳しく見ていきましょう。
Freeプラン(無料)でできること
GitHubのすべてのコア機能は、無料で使用できます。
2019年4月のプラン改定で、パブリック・リポジトリに加えてプライベート・リポジトリが無制限に作成できるようになりました。
そして、2020年4月のプラン改定で、コラボレータ(共同作業者)は3名から無制限に変更されました。
よって、個人で開発を行う場合は、無料プランで十分だと言えるでしょう。
Teamプラン(月額4ドル)でできること
Teamプランで、できるようになる代表的な機能は以下の通りです。
追加機能 | できること |
必須レビュー | 変更前の承認前レビューを必須にできる |
コードオーナー | リポジトリ内のオーナーを設定し、変更があった時に自動的にレビューの依頼を送信できる |
ブランチ保護 | 「マージできるメンバーを限定する」など、マージのルールを設定できる |
承認作業の効率化や変更に伴うトラブル防止の機能が使用できることから、チーム開発での利用を検討している方におすすめです。
Enterpriseプラン(月額21ドル)でできること
Enterpriseプランを選択すると、Teamプランの機能にくわえ、セキュリティ性を高めることが可能になります。
主なセキュリティ機能は以下の通りです。
追加機能 | できること |
Enterprise Managed Users | Enterpriseメンバーの ID とアクセスを一元管理できる |
監査ログAPI | 監査ログデータのコピーを保管することで、組織のコンプライアンスを維持できる。 |
GitHubコネクト | オンプレミス版である「GitHub Enterprise」と接続できる |
セキュリティ、コンプライアンスに一層力を入れたい企業におすすめです。
GitHub Copilotプラン
GitHub CopilotはOpenAIとGitHubの共同プロジェクトで、プログラミング時にAIが最適なコードを提案する機能を持つサービスです。
このツールは開発者がコードを書き始める際に自動で提案を行い、既存のコードの修正や調整もサポートします。また、Copilot chat機能を利用することで、文章で質問し回答を得ることも可能です。
料金は個人用が月額10ドル、ビジネス用が月額19ドルで、どちらも30日間の無料トライアルがあります。
GitHub Copilotは世界中のオープンソースコードから学習しており、様々な言語やフレームワークに対応しているため、コーディング効率の向上、プログラミング言語の学習、テキストエディターとの統合が可能となり、幅広い開発現場での利用が期待されています。
GitHub(ギットハブ)の用語と基礎知識
GitHubを使用する際に押さえておきたい基礎知識・用語は、以下の通りです。
知識・用語 | 意味 |
リポジトリ | ファイルやディレクトリを保存する箱 |
コミット | ファイルの変更をローカルリポジトリに記録する |
プッシュ | ファイルの変更をリモートリポジトリへアップする |
ブランチ | 現在のバージョンから分岐させた作業拠点 |
フォーク | 他ユーザーのリポジトリを、自分のアカウントにコピーする |
プルリクエスト | 自分が行った変更に対するレビューや承認依頼を通知する |
マージ | 自分が行った変更を反映させる |
それでは、一つ一つ解説していきます。
リポジトリ
「ファイルやディレクトリを保存する箱」を表し、自分のPC内の「ローカルリポジトリ」とネットワーク上の「リモートリポジトリ」を使用します。
ローカルリポジトリで変更したものを、レビューや承認を経て、リモートリポジトリに反映する流れが一般的です。
コミットとプッシュ
変更が終わったら「コミット」することで、ローカルリポジトリに変更内容を記録しましょう。
そして、変更内容に問題ないことを確認した上で「プッシュ」をすることで、変更内容をリモートリポジトリにアップできます。
ブランチ
「現バージョンから分岐させた拠点」を表します。
現バージョンである「master」ブランチから、作業用ブランチを作り、作業ブランチ上で編集することで、現在のバージョンに影響を与えずに変更作業ができます。
フォーク
「他ユーザーのリポジトリを、自分のアカウントのリポジトリにコピーする」ことを表します。
アクセス・編集する権限がないファイルを編集する時に使用され、普段は編集できないファイルでも自分のリポジトリに取り入れることで編集が可能になります。
プルリクエスト
「自分が行った変更を反映させる前に、レビュー・承認依頼を通知する」作業を表します。
リモートリポジトリへ「プッシュ」した変更内容に問題がないか、コードレビューや承認を行う上で重要な作業です。
変更提案を共有して承認を得るというプロセスをスムーズに進めるのに役立ちます。
マージ
「自分が行った変更を反映させる」作業を表し、一連の変更フローの中で最後に行う作業になります。
一度「マージ」をしてしまうと、現在のシステムへ変更内容が反映されてしまうので、コードレビューを確実に行いましょう。
GitHub(ギットハブ)のダウンロード方法
GitHubは単なるウェブベースのインターフェースではなく、開発者にとっての強力なバージョン管理ツールです。
プロジェクトのソースコードをダウンロードする方法はいくつかありますが、最も一般的なのはGitコマンドを使用する方法と、ZIPファイルをダウンロードする方法です。
これらの方法を利用することで、ローカル環境にプロジェクトのコピーを作成し、オフラインで作業を進めることが可能です。
ここでは、これらのダウンロード方法を具体的に解説していきます。
Gitコマンドを使う
Gitコマンドを使用してGitHubからプロジェクトをダウンロードするには、まずGitがローカルマシンにインストールされている必要があります。
Gitのインストールがまだの場合は、Gitの公式サイトからダウンロードし、指示に従ってインストールしてください。
インストールが完了したら、GitHubのプロジェクトページにアクセスして「Code」ボタンをクリックして表示される「HTTPS」タブからURLをコピーします。
次に、コマンドプロンプトやターミナルを開き、ダウンロードしたいディレクトリに移動します。
ここで、git clone [コピーしたURL]
コマンドを実行します。このコマンドは、GitHubのサーバーから最新のプロジェクトファイルを自身のローカルマシンにダウンロードし、プロジェクト名で新しいフォルダを作成します。
この方法では、プロジェクトのすべてのバージョン履歴も一緒にダウンロードされるため、過去の任意のバージョンに簡単にアクセスすることができます。
ZIPファイルをダウンロードする
GitHubから直接ZIPファイルとしてプロジェクトをダウンロードする方法は、Gitをインストールする必要がなく簡単に最新のファイルを取得することができます。
これを行うには、ダウンロードしたいGitHubプロジェクトのページにアクセスし、「Code」ドロップダウンボタンをクリックします。
そこに「Download ZIP」というオプションが表示されていますので、それを選択してください。ファイルのダウンロードが開始され、通常はブラウザのダウンロードフォルダに保存されます。
ダウンロードしたZIPファイルを開いて解凍すると、プロジェクトのフォルダが現れ、その中にはプロジェクトに関連するすべてのファイルが含まれています。
この方法は特に、プロジェクトに対して読み取り専用のアクセスが必要な場合や、単にプロジェクトの内容を素早く確認したい場合に適しています。
ただし、ZIPファイルにはバージョン履歴が含まれていないため、履歴を追跡する機能は失われます。
GitHub(ギットハブ)の導入事例
GitHubの導入事例として、「株式会社メタップス」「パナソニック株式会社」が実施した「GitHub Copilot for Business」の試験導入結果について紹介します。
株式会社メタップス
DX支援事業を手掛ける株式会社メタップスは、エンジニア全社員約20人を対象に「GitHub Copilot for Business」を導入しました。
コードの提案・入力補助による「エンジニアの負荷軽減」「生産性の向上」、コードの解析や改善提案などを通じて「自己のスキルアップ」などの効果がありました。
そして、脆弱な箇所を指摘してくれることから「セキュリティ向上」の効果も期待できます。
パナソニックコネクト株式会社
ITシステム開発などのB2B事業を行うパナソニックコネクト株式会社は、開発者50人を対象に「GitHub Copilot for Business」を試験導入しました。
ほとんどの開発者が生産性向上を実感しており、「テストコード作成に役立つ」「読みやすいコードに補完してくれる」「知識を収集できる」といった声があがりました。
費用対効果も高いと判断され、導入が決定し、本格運用に向けて準備を進めています。
まとめ:GitHub(ギットハブ)は開発者のためのソーシャルネットワーク
本記事では、GitHubの特徴・使い方について、解説しました。
Gitの機能である「ソースコードのバージョン管理」「変更履歴の記録」に加えて、「ソースコードの閲覧」「変更内容のレビュー・承認」などの作業がオンライン上で可能になります。
GitHubを開発現場で導入すれば、「ソースコードの品質を向上」「開発業務・プロジェクト管理の効率化」が期待できます。
GitHubの導入相談やその他の開発に関するお問い合わせは、株式会社Jiteraまで気軽にお問い合わせください。
問い合わせフォームに入力すれば、簡単な質問に答えるだけで見積を依頼できます。まずは以下のお見積もり入力フォームからお試しください。