AWS マネジメントコンソール(AWS Management Console)は、豊富なAWSの各種機能を一元管理できる機能です。
近年のデジタル化によるDX推進でクラウド化を行い、さまざまなAWS機能を導入した企業は少なくありません。
150以上の豊富なサービスのうちどの機能をどれだけ利用しているのか把握したりサービスリソースの管理・運用したりすることにお悩みの人もいるのではないでしょうか。
本記事では、AWS マネジメントコンソール(AWS Management Console)の使い方や管理方法、便利な機能まで解説していきます。
AWSの導入を検討している人やすでに導入していて管理方法にお悩みの人はぜひ参考にしてみてください。
高校からHTML/CSS/COBOL/C++/Rubyに触れ、システム管理やCMSなど幅広く網羅。建築士から転身し、Webメディアの制作を主軸とした会社を設立。ITパスポート所有。趣味は建築物巡り。
AWS マネジメントコンソールとは?

AWSマネジメントコンソールとは、AWSで利用しているサービスやリソースを一元管理することができるウェブアプリケーションです。
AWSマネジメントコンソールのホームページ上にAWSに関連するタスク実行に必要な情報にアクセスするためのウィジェットなどを1つの場所にまとめて表示することができます。
表示されるウィジェットは追加、削除、再配置などのカスタマイズが可能で、使用しているAWSの業務優先度に合わせて独自のAWSマネジメントコンソールを構築可能です。
AWSまたはIAMアカウント認証情報で安全にログイン可能で、PCだけでなくモバイルアプリにも対応しています。
検索機能や学習機能、無料利用枠のあるサービスなどAWSに関連するあらゆる管理を一元化できるため、AWS活用を考えている人はぜひ活用したいアプリケーションといえるでしょう。
AWS マネジメントコンソールの始め方

ここからは、AWSマネジメントコンソールの始め方の手順を解説します。
AWSマネジメントコンソールを始めるためには、まずはAWS(Amazon Web Service)のアカウント作成が必要です。
「AWSマネジメントコンソール」と検索すると公式ページが出てくるのでクリックして、画像の赤枠部分をクリック。

※すでにアカウントを作成済みなので、画像では「もう一度ログインする」と表示されていますが、始めての場合は「アカウントを作成する」などの表示になっています。
次に、以下のような画面に切り替わるため、「Sign in to an existing AWS account」をクリック。

アカウント新規作成画面で、メールアドレスやパスワード、住所などの個人情報を入力していきます。

次に、「AWSにサインアップ」という画面になるので、サポートプランを選択しましょう。

個人的に使いたい場合や、初めて使う方は無料プランの「ベーシックサポート」からお試しください。
これで登録は完了です。
1. アクセスとログイン
初めてアカウントを作成した場合は、上記の手順で登録を済ませたらすでにログインが完了している状態になっています。
もし、ログアウト状態になっていたら、もう一度、公式ページを開いて「もう一度ログインする」からログインをしましょう。
2. ダッシュボードの確認
ログインが完了して最初に出てくる画面がダッシュボードです。

3. サービスの選択
ダッシュボードの「サービス」からAWSのサービスを選択できます。

画面左のハンバーガーメニューのアイコンから「すべてのサービス」をクリックすることで全サービスを確認できます。
AWS マネジメントコンソールの使い方

ここからは、AWS マネジメントコンソールの基本的な使い方について説明していきます。
リソースの作成と管理
AWS マネジメントコンソール内の「AWS CloudShell」というサービスを利用してリソースの作成と管理を簡単にできます。

EC2インスタンスやS3バケットなどを作成することができ、設定もその場で変更可能です。
管理画面ではリソースの状態や使用状況をリアルタイムで確認できるため、迅速な対応が可能です。
複数のリソースを効率よく管理できるため、プロジェクトや業務に必要なリソースを一元的に扱うことができます。
設定の変更
設定の変更を行う場合も簡単です。
ダッシュボードの右上にある歯車のアイコンをクリック→「その他のユーザー設定」から、言語やロケールの設定、外観のカスタマイズ、アクティビティ管理が行えます。

設定変更はリアルタイムで反映され、業務に必要な変更を素早く行うことが可能です。
初心者の方でも設定変更を行いやすく、必要に応じてすぐに調整できる環境が整っています。
モニタリングとログの確認
モニタリングやログは、ダッシュボードからサービス一覧を開き、管理とガバナンスのカテゴリに出てくる「CloudWatch」から確認できます。
また、同じ列の少し下にある「CloudTrail」を活用すれば、リソースへのアクセスや変更履歴を追跡することができ、セキュリティやコンプライアンス対応も強化できます。
問題が発生した場合は、ログの確認で迅速なトラブルシューティングができ、異常があればアラート機能を使ってすぐに対処できる仕組みが整っています。
セキュリティ管理
セキュリティ管理は、「Security Hub」から行えます。

セキュリティをチェックし、検出結果を管理して、必要であれば最優先で対応すべきセキュリティ内容を洗い出してくれます。

また、設定によってリソースへの不正アクセスを防ぐことができるため、必要なユーザーだけに特定の権限を与えることが可能です。
コスト管理
ダッシュボードから再度、サービス一覧を開くと、クラウド財務管理の欄に「Billing and Cost Management」があります。
ここでコストの管理が可能です。

リアルタイムでの使用状況の確認や予算設定、請求情報の確認が可能です。
コストが予算を超えるとアラートが発生するように設定することもできるため、無駄なコストを防ぐことができます。
さらに、利用状況に応じてピッタリな料金プランを選択し、コスト削減を図ることができるため、経済的なクラウド運用が実現できます。
ヘルプとドキュメントの利用
AWS マネジメントコンソールには、困った時のためにヘルプやドキュメンテーションなどが用意されています。

マニュアルなどが簡単に検索できるため、問題を解決するための情報をすぐに見つけられます。
初心者でもわかりやすく、詳細に書かれているため安心して操作できます。
このヘルプやドキュメントページを上手く活用することで、効率よく運用を進めることができるでしょう。
AWS マネジメントコンソールでできること一覧

AWSマネジメントコンソールでできることは、大きく分けて以下の4つが挙げられます。
- AWS リソースの作成、設定、監視、管理
- サービスの起動、停止、スケーリング
- セキュリティ設定やアクセス権限の管理
- 請求情報の確認とコスト管理
ここでは、上記4つについて詳しくご紹介します。
AWS リソースの作成、設定、監視、管理
AWSリソースの作成や設定、監視、管理をシンプルに行えます。
具体的には、以下のことが可能です。
- EC2インスタンスの立ち上げ
- S3バケットの設定
- CloudWatchを使ったリソースのパフォーマンスの監視
- リソースの状態や利用状況をリアルタイムに把握
これにより、良いタイミングでリソースの追加や設定変更を行うことができます。
効率的な運用管理が可能で、必要に応じてリソースの調整を素早く行うことができるため、管理者の負担を軽減します。
サービスの起動、停止、スケーリング
AWS マネジメントコンソールでは、サービスの起動や停止、スケーリングも簡単に操作できます。
EC2インスタンスを必要なときにすぐに起動し、使わなくなったときには停止することで、コストの無駄を防ぎます。
さらに、オートスケーリング機能といってアプリケーションの負荷に合わせてリソースを自動的に追加したり削除したりする機能を活用すれば、トラフィックの増加に合わせて自動的にリソースの拡張や縮小をすることができます。
システムのパフォーマンスを維持しながら、コストの効率化を図ることができるので、ビジネスの成長に合わせた運用が可能です。
セキュリティ設定やアクセス権限の管理
AWS マネジメントコンソールでは、セキュリティ設定やアクセス権限の管理も行えます。
IAM(Identity and Access Management)を活用すれば、ユーザーやグループごとにアクセス権限を設定し、AWSリソースへの不正なアクセスを防ぐことができます。
また、セキュリティグループやファイアウォールの設定を使ってネットワークレベルでのセキュリティ対策も行えるので、システム全体の安全性を確保することが可能です。
請求情報の確認とコスト管理
AWS マネジメントコンソールでは、請求情報の確認やコスト管理も簡単に行えます。
「AWS Billing and Cost Management」ウィジェットを活用することで、使用状況のモニタリングやコストの予算作成、請求情報の更新が可能です。
例えば、コストが設定した予算を超えた際にはアラートを設定しておくことができ、不要なコストの発生を未然に防げます。
また、リソースの使用量を分析し、従量課金制からよりお得な料金プランへの切り替えもサポートしてくれるため、効率的にコストを削減することができるでしょう。
AWS マネジメントコンソールのメリット

AWSマネジメントコンソールが提供するメリットは以下のとおりです。
- ユーザビリティが高い
- AWS リソースが整理できる
- 様々なデバイスで使える
- セキュリティが保護されている
- カスタマイズ性が高い
- 多様な管理機能
ここでは、上記6つのメリットについて詳しくご紹介します。
ユーザビリティが高い
AWSマネジメントコンソールは、直感的なインターフェースと統一感のあるメニュー構成とシンプルな作りになっているため、ユーザーは簡単にAWSリソースの検索や設定を行うことが出来ます。
またナビゲーションもシンプルで初心者でも迅速かつ効果的にAWSマネジメントコンソールを活用可能でユーザビリティが高いことが魅力です。
AWSマネジメントコンソールを導入後に誰でも迅速にAWSリソースの管理・運用・構築が進められるため、ユーザビリティの高さはメリットといえるでしょう。
AWS リソースが整理できる
AWSリソースを一元管理できることもメリットの1つです。
AWSリソースはそれぞれ互換性があることや150以上のサービスがリリースされていることから併用するケースが少なくありません。
1つ1つを管理・運用・構築する場合、互換性を持たせたサービスの状況も確認する必要があり、個々に確認すると時間がかかります。
AWSマネジメントコンソールは、利用状況にあるすべてのAWSリソースの状況を管理・把握することが可能です。
AWS利用状況の把握を1つの画面でできるため、管理・運用にかかる手間を省き別の業務工数を割くなど生産性向上が期待できます。
様々なデバイスで使える
AWSマネジメントコンソールは、前述の通りPCだけではなくモバイルにも対応していることがメリットです。
AWSマネジメントコンソールモバイルアプリはAndroid、iOSどちらもリリースされており、外出先からでもAWSリソースの状態を確認することができます。
ブラウザ利用にもサポートされており、3つの最新バージョンのGoogle ChromeやMozilla Firefox、Microsoft Edge、Apple Safari、Microsoft Internet Explorer 11に対応していることがポイント。自分の会社が主に利用しているブラウザに合わせることが可能です。
セキュリティが保護されている
AWSマネジメントコンソールでは、安全なウェブベースアクセスを実現するためのユーザーのログインに関するセキュリティ機能が設定されています。
特にAWSマネジメントコンソールは、自社が使用するAWSリソースの情報が一括で管理・活用できるため、セキュリティ保護には一層注意が必要です。
ログインに関するセキュリティ保護として、AWSまたはIAMのアカウント認証情報を使うことで安全性を確保し、さらに12時間でログインセッションを無効化にしていることが特徴です。
12時間で長いと感じる場合は、別途フェデレーション API (GetFederationToken または AssumeRole) を使用することで組織のルールに基づいた時間制限を設けることができるため、柔軟にセキュリティ保護が行えることがメリットといえるでしょう。
カスタマイズ性が高い
AWSマネジメントコンソールは、カスタマイズ性の高さもメリットの1つです。
設定の構成やコンソールホームのカスタマイズ、お気に入り管理、リソースグループ、タグエディタなどの構成・管理ができます。
自社のビジネスモデルに合わせたカスタマイズや人によって必要なAWSリソースを優先的に表示させるよう設定ができるなどカスタマイズ性が高いことが分かります。
多様な管理機能
AWSマネジメントコンソールでは、各AWSリソースの利用状況のモニタリングやコスト予算作成、請求情報の更新など多様な管理機能が搭載されていることがメリットです。
システム状況のモニタリング機能では、モニタリングデータと運用データを収集してコンソールホーム上に統合されたビューとして表示できます。
そのため、各ユーザーが求める指標をコンソールホームからいつでも確認できることが魅力です。
その他にもユーザーやユーザーのアクセス管理ができる機能が搭載されており、リソース毎にユーザーのアクセス許可を実施できます。
機構改革などでユーザーの入れ替えが発生する場合も迅速に移管対応や修正作業が実施可能です。
AWS マネジメントコンソール使用時の注意点

AWS マネジメントコンソールを使用する際の注意点は以下の4つが挙げられます。
- セキュリティに気を付ける
- 不要なリソースは削除しコストを管理する
- 重要な変更を行う前にはバックアップを取る
- アクセス制御を厳格に管理する
ここでは、上記4つの注意点について解説します。
セキュリティに気を付ける
AWS マネジメントコンソールを使用する際は、セキュリティに細心の注意を払いましょう。
たとえば、作業後は必ずログアウトする、などのルールを決めることで、他人による不正アクセスを防ぐことができます。
また、二要素認証(MFA)を設定することで、ログイン時のセキュリティを強化することが可能です。
ルートユーザーを頻繁に使わないようにして、日常の操作はIAMユーザーに任せることで、アカウント全体の安全性を高められます。
不要なリソースは削除しコストを管理する
AWSでは利用していないリソースが残っていると、予期せぬコストが発生する可能性があります。
先ほどご紹介したコスト管理画面から定期的にコンソールでリソースを確認して不要なものは削除するようにしましょう。
また、使用量を確認しながら予算を超えないように管理するのもおすすめです。
重要な変更を行う前にはバックアップを取る
重要な変更がある場合は、事前にバックアップを取っておくことも非常に重要です。
データベースの設定変更やその他の変更を行う際に誤操作が起こると、データやシステムに予期せぬ影響が及ぶ可能性があります。
事前にバックアップを作成しておくことで、万が一の際にも迅速に復旧が可能になります。
アクセス制御を厳格に管理する
AWS マネジメントコンソールでのアクセス制御は、セキュリティを保つために厳格に管理する必要があります。
IAM(Identity and Access Management)を利用して、ユーザーごとに必要最低限のアクセス権限のみを与えることが大切です。
たとえば、管理者には全権限を付与して、他の利用者には範囲を限定してソースへのアクセスを許可することで、リスクを最小限に抑えられます。
また、定期的にアクセス権の見直しを行って不要な権限を削除することも重要です。
安全で効率的なAWS運用のために、アクセス制御の管理は徹底して行いましょう。
AWS マネジメントコンソールに関するよくあるトラブル

AWS マネジメントコンソールに関するトラブルとしてよくあるのが以下の4つです。
- ログインができない
- MFAコードがわからない
- IP制限がかかっている
- 言語設定を変えたい
ここからは、よくあるトラブル4つについてご紹介します。
ログインができない
AWS マネジメントコンソールでログインできない場合、まずは入力したメールアドレスやパスワードが間違っていないかをチェックしましょう。
もしパスワードがわからない場合は、「パスワードを忘れた場合」リンクを使って再設定できます。
また、複数のアカウントを持っている場合は、ログインするアカウントが正しいかも確認しましょう。
ルートユーザーでない場合は、IAMユーザー名とパスワードが必要なので、それぞれ確認することが大切です。
MFAコードがわからない
AWS マネジメントコンソールでMFAコードがわからない場合、まずはスマートフォンなどに設定しているMFAアプリ(Google AuthenticatorやAuthyなど)が正しく動作しているかをチェックしましょう。
もしMFAコードがわからない場合はAWSサポートに問い合わせることで、MFAの設定をリセットしてもらうことも可能ですが、本人確認が必要です。
MFAはセキュリティにおいて重要であるため、設定の管理には気を配りましょう。
IP制限がかかっている
AWS マネジメントコンソールへのアクセスがIP制限によりブロックされている場合、まずはサポートに連絡して許可されるIPアドレスリストに自分のIPが含まれているかをチェックしましょう。
会社のネットワークやVPNからアクセスしている場合、IPアドレスが異なることでアクセス制限がかかってしまうことがあります。
アクセスする場所が変わる場合は、事前にIPアドレスの登録や制限の緩和ができるよう手配するようにしましょう。
言語設定を変えたい
AWS マネジメントコンソールの言語設定を変更したい場合、右上のユーザー名をクリックし、「設定」メニューから言語オプションを選択できます。
日本語や英語など、お好きな言語に切り替えることができるので、好みに応じて設定を調整しましょう。
また、AWSマネジメントコンソールの表示が自動的に英語になっている場合でも、同じ手順で日本語に変更できます。
まとめ: AWS マネジメントコンソールでビジネスを加速

AWS マネジメントコンソールは、150以上のサービスを提供しているAWSのリソースやユーザー、コストの管理や各サービスへのアクセスをサポートしてくれるサービスです。
導入するサービスが増えるとコストや運用状況、運用ユーザーの管理が複雑化するため、AWS導入を検討している人はAWS マネジメントコンソールの導入をすることでより効果的にAWSの運用・管理ができるでしょう。
AWS マネジメントコンソールの導入や運用方法などに不安や不明点がある場合は、株式会社jiteraまでお問い合わせください。
また、その他AIに関するお困りごとも、株式会社Jiteraにご相談ください。


