この記事ではSSL対応の基本的な概念から、ホームページをSSL化するメリット、さらにはSSL証明書の選び方まで簡単に解説します。
インターネットは誰もが自由に使え、さまざまなデータがやり取りされています。
通常、やり取りされるデータは平文と呼ばれる誰でも読める形で送受信されており、専門知識や技術(そして悪意)があれば盗み見ることが不可能ではありません。
さらに盗み見るだけではなく、中身の書き換え、いわゆる改ざんも不可能ではありません。
それらの悪意ある行為を防ぐためにSSLという安全に通信するための技術が広まり、今では当たり前の技術となっています。
プログラマー兼ネットワークエンジニア。 24歳でエンジニアの世界に飛び込むも、いきなり大手企業機器の検証担当に。 その後も検証をこなしていく中で、自動的にできないものかと試行錯誤しているといつの間にかプログラマーへとステップアップ。 現在はプログラミングの方が好き。
SSLとは

SSLとはSecure Sockets Layerの略で、インターネット上でデータを安全に送受信するための暗号プロトコルです。
この技術は、あなたが使っているブラウザとアクセス先のWebサーバー間の通信を暗号化し、第三者によるデータの盗み見や改ざんを防ぎます。
SSL対応とは、このSSL技術を用いてWebサイトが安全な通信を保証することを指します。
例えばWebサイトを利用する際に、SSLでデータを暗号化することで、パスワードやクレジットカード情報などの機密情報を保護します。
またSSL証明書を導入することで、サイトの身元が保証され、アクセスしてきた利用者に対して信頼性を示すことができ、なりすましによる被害を防ぎます。
SSL対応のメリットや必要性

SSL対応はデータの暗号化により不正を防ぐことが最大のメリットですが、他にもいくつかのメリットがあります。
サイト利用者に対しての信頼性の向上やSEO対策、また法令要件遵守や通信速度の向上にも貢献が期待できます。
ここではそれぞれについて詳しく解説します。
情報漏洩のリスクを軽減できる
ホームページをSSL化することは、情報漏洩のリスクを大幅に軽減させる重要な対策です。
SSL技術を用いることで、利用者とWebサーバー間のデータ送受信が暗号化され、外部からの盗み見やデータの改ざんを防ぎます。
特に、個人情報やクレジットカード情報などの機密データを扱う場合にSSL化は必須といえます。
SSL化された通信はデータがインターネットを介して送信される際に、読み取り不能な形式にデータが変換されます。
このため、万が一情報が第三者によって傍受されたとしても、内容を解読することは非常に困難になっています。
SSLは情報漏洩のリスクを効果的に軽減し、ユーザーのプライバシー保護に貢献します。
ユーザの信頼性が向上する
SSL化されたサイトのULRは「https://」ではじまり、Microsoft EdgeやApple Safariなどのブラウザのアドレスバーに鍵アイコンが表示されます。
Google ChromeはURL先頭のサイト情報を表示をクリックすることで鍵アイコンが表示されます。
逆に、SSL化されていないサイトのURLは「http://」ではじまります。
加えて、ブラウザのアドレスバーにセキュリティ保護されていない旨のメッセージや安全ではない旨のメッセージが表示されたり、鍵アイコンに取り消し線がついて表示されたりして、利用者に注意喚起する形になっています。
この鍵アイコンは、利用者にそのホームページが信頼できることを保証し、安心して情報を送信できる環境であることを示します。
SEO対策になる
ホームページをSSL化することはセキュリティを強化するだけでなく、SEO(Search Engine Optimization:検索エンジン最適化)対策としても重要です。
Googleをはじめとする多くの検索エンジンは、安全なWebサイトを利用者に提供することを重視しているため、SSL化されたサイトは検索結果で優遇される傾向があります。
これはSSL技術によって情報の安全性が保たれ、信頼できるWebサイトとして評価されるためです。
また、ユーザー体験もSEOの重要な要素であり、SSL化することでサイトの信頼性が高まりユーザー体験を改善します。
SSL化されていないサイトは利用者に向けて注意喚起がブラウザからされ、その結果ユーザーのサイトへの不信感からサイト離脱につながります。
このようにホームページをSSL化することはセキュリティの向上だけでなく、検索エンジンによるサイト評価を高める重要なSEO対策となります。
法令の遵守につながる
多くの国や地域ではオンラインでの個人情報の取り扱いに関して厳格な規制が設けられており、ホームページをSSL化することは法的要件を満たす上でも非常に重要です。
例えば、欧州連合(EU)ではGDPR(General Data Protection Regulation:一般データ保護規則)が施行されており、個人データの保護に関する厳しい基準があります。
SSL化はGDPRに準拠するための基本的なステップの一つとされており、個人情報を扱うすべてのWebサイトに推奨されています。
また、アメリカのカリフォルニア州ではCCPA(California Consumer Privacy Act:カリフォルニア州消費者プライバシー法)があり、これもまたSSL化を通じて個人情報の安全な取扱いを要求しています。
このようにホームページをSSL化することは、セキュリティ対策としてのみならず、法的要件への対応という観点からも重要な意味を持ちます。
通信速度が向上する
ブラウザとアクセス先のWebサーバー間の通信で使われるプロトコルのhttpにもバージョンがあります。
長い間バージョン1(HTTP/1.1)が使われていましたが、より効率よくデータをやり取りし通信速度が向上したバージョン2(HTTP/2)が使われるようになっています。
しかしこのHTTP/2を利用するためにはSSL化していないと使えません。
少し詳しい話をすると、HTTP/2では暗号化された通信と暗号化されていない通信のどちらも利用できるのですが、一般的なブラウザではHTTP/2の暗号化された通信のみ対応するようになっています。
そのため暗号化通信、いわゆるHTTPSが必須となっており、SSL化は通信速度向上にも貢献します。
SSLの仕組み

SSL は、Webサイトとユーザー間の通信を暗号化し、安全なデータのやり取りを可能にしています。
ここでは、SSLの仕組みについて、以下の項目別に詳しく解説します。
- ハンドシェイク
- 鍵交換
- セッション確立
- データ暗号化
- 通信終了
これらのプロセスを通じて、SSLはインターネット上で安全な通信を実現しています。
ハンドシェイク
ハンドシェイク は、SSL通信の最初の段階で行われるプロセス で、サーバーとクライアントが接続を確立するための手順です。
ハンドシェイクでは、クライアントとサーバーが互いの暗号化方式を確認し合い、通信に使用する鍵交換の方法を決定 します。
これにより、両者間で信頼性のある通信が開始できるようになります。
鍵交換
鍵交換 は、SSL通信のクライアントとサーバーが安全にデータをやり取りするための共通鍵を生成するプロセスです。
鍵交換では、公開鍵と秘密鍵を使用して安全な通信路を確立し、共通された暗号鍵を共有します。
具体的には、クライアントはサーバーから受け取った公開鍵を使って暗号化した情報を送信 し、サーバー側でその情報を秘密鍵で復号する ことで、共通鍵が正常に生成されます。
これにより、以降のデータ通信が安全に行われるようになります。
セッション確立
セッション確立 は、SSL通信において、クライアントとサーバーが共有した共通鍵を用いて安全な通信セッションを開始するプロセス です。
クライアントとサーバーの間で交換された共通鍵が使用され、以降の通信が暗号化されることでデータの機密性が保たれます。
これにより、セッション中のすべての通信が安全に行われることが保証されます。
データ暗号化
データ暗号化 は、SSL通信においてクライアントとサーバー間でやり取りされるデータを保護するための重要なプロセス です。
暗号化されたデータは、共通鍵を使用して安全に送信され、第三者が内容を解読することを防ぎます。
このプロセスにより、通信経路上でデータが盗聴されても解読できない ようにし、データの機密性と整合性を保ちながら安全な通信を確保します。
通信終了
通信終了 は、SSL通信の最後のプロセス で、クライアントとサーバー間の安全な接続を適切に終了させる手順です。
通信終了では、両者が通信の完了を確認し、セッションを閉じるためのメッセージを交換します。
これにより、セッションが正常に終了し、接続が確実に切断されることで、次回以降の接続に影響を及ぼさないようにします。
SSLとHTTPSの違い

| SSL | HTTPS | |
| 定義 | データを暗号化して安全な通信を実現するプロトコル | SSL/TLSを用いて暗号化されたHTTP通信 |
| 特徴 | Webサイトのデータを保護し、盗聴や改ざんを防ぐ | 「https://」で始まり、Webサイトのセキュリティを強化する |
| 主な違い | 通信の暗号化を行う技術そのもの | 暗号化されたHTTPプロトコルとして、SSL/TLSを使用する |
SSLはインターネット上でデータを暗号化して送受信するためのセキュリティ技術の一つです。
SSLはその仕組みの改善のためにいくつかバージョンがあり、今ではTLS(Transport Layer Security)という技術に移行しています。
しかしSSLの時代が長かったため、TLSが使われていても一般的にはまだSSLと呼ばれることが多いです。
HTTPS(HyperText Transfer Protocol Secure)は、平文で通信していたHTTPを安全にしたバージョンです。
SSL/TLSプロトコルを使ってHTTPで通信するデータを暗号化することで盗み見や改ざんを防ぎ、より安全にインターネットを利用できるようにしています。
SSL対応のサイトは、URLが「https://」からはじまり安全な通信を示す信頼の印となっています。
SSL証明書の種類と選び方

ブラウザとWebサーバー間の通信を暗号化して通信中の不正に対応できるようにしても、やり取りの相手のWebサーバーがなりすましでデータの送信先が悪意あるWebサーバーだった、では意味がありません。
そのため通信先のWebサーバーが正しい相手先か証明する仕組みとしてSSL証明書があります。
SSL証明書 とは、Webサイトの運営者が信頼できる存在であることを証明 し、ユーザーとWebサーバー間の通信を暗号化するためのデジタル証明書 です。
証明書の発行は、信頼された認証局(CA) が行い、Webサイトのセキュリティを保証する役割を果たします。
SSL証明書は認証局(CA:Certificate Authority)が発行し、発行の際に認証局がサイト運営元の確認を行います。
確認内容により3つのレベルがあり、確認項目が少ない代わりに素早く低価格で出せる証明書や確認項目が多く、より確実な証明書などがあります。
| ドメイン認証(DV)型 | 企業認証(OV)型 | EV認証型 | |
| 認証レベル | ☆★★ | ☆☆★ | ☆☆☆ |
| 認証項目 | ドメインの所有権 | ドメインの所有権
組織の法的実在性 |
ドメインの所有権
組織の法的・物理的実在性 組織の運営 承認者・署名者の確認 |
| 対象 | 個人
法人 |
法人 | 法人 |
| 発行期間 | 即時〜1日以内 | 即日〜1週間前後 | 数日〜2週間前後 |
| 費用 | 無料〜 | 数万円〜数十万円 | 数万円〜数十万円 |
ドメイン認証型
ドメイン認証型SSL証明書は、最も基本的で手軽に取得できるSSL証明書です。
このSSL証明書はドメインの所有権のみ確認を行い、組織に関する確認は行いません。
そのため早いと即時発行され、費用も無料のものからあります。
しかしその反面、組織の特定はしていないため商用のなりすましへの対策としては効果が薄いです。
また、このドメイン認証型以外の証明書は組織の実在性の確認が必要になるため、個人で取得できるのはこのドメイン認証型のみになります。
商用のなりすましへの対策としては効果が薄いと書きましたが、個人情報を扱わないような小規模なWebサイト(例えばブログや情報提供サイト)やスタートアップであればドメイン認証型SSL証明書でも十分な場合があります。
サイトの規模や取り扱う情報の種類など考慮して、最適な証明書を選定するのが良いでしょう。
企業認証型
企業認証型SSL証明書は、ドメインの所有権に加え、帝国データバンクなどの第三者データベースの組織情報を照合することで実在の組織であることを確認します。
そのため個人で利用することはできません。
提出する書類もドメイン認証型より増え、確認項目も増えるためSSL証明書発行まで時間がかかる場合があります。
ドメイン認証型より手間や時間がかかりますが、この証明書を導入することでWebサイトの利用者に対して安心感を与えられます。
顧客情報を扱うオンラインショッピングサイトや金融サービスを提供するWebサイトにおいては、高レベルの信頼性とセキュリティが求められ、企業認証型SSL証明書はこれらの要求に応えられる優れた選択肢となります。
EV認証型
EV(Extended Validation)認証型SSL証明書は、最も厳格な認証プロセスを経て発行される最も信頼性の高いSSL証明書です。
確認にはドメインの所有権確認、第三者データベースの組織情報の確認に加え、電話認証として担当者が在籍していること、組織の運用状況などの確認が行われます。
確認が多く発行には時間がかかる可能性があるため、SSL証明書発行やサーバー準備のスケジュールは余裕を持った計画を立てることをおすすめします。
また一点注意があり、EV認証型はワイルドカード証明書の発行ができません。
そしてEV認証型は最も信頼性の高いSSL証明ではありますが、暗号化の機能や強度の面では他の種類の証明書との違いはありません。
EV認証型SSL証明は取得までに手間や時間やコストがかかりますが、企業にとって顧客の信頼を獲得し、ブランド価値を高めるための貴重な投資となるでしょう。
SSL設定をする方法

SSL設定を行う には、いくつかの手順を正確に進める必要があります。
ここでは、SSL設定を行うための具体的な手順 について、以下の項目別に詳しく解説します。
- 証明書の取得
- サーバーへの証明書のインストール
- Webサーバーの設定
- HTTPSポートの有効化
- リダイレクト設定
- セキュリティヘッダーの追加
- 設定のテストと動作確認
これらの手順を踏むことで、SSL設定を適切に完了し、Webサイトの安全性を高めることができます。
1. 証明書の取得
SSL設定の最初のステップは、SSL証明書を取得する ことです。
証明書の取得は、信頼された認証局(CA)から行い、Webサイトの運営者であることを証明します。
手順としては、以下のように進めます。
- Webサイトのドメイン名を確認する
- 適切な証明書の種類を選び、購入手続きを進める
- 認証局(CA)が証明書を発行する
- 発行された証明書をWebサイトに適用する
証明書の取得は、SSL設定の基本であり、安全な通信を確保するための最初の重要なステップです。
2. サーバーへの証明書のインストール
証明書のインストール は、WebサーバーがSSL通信を行うための準備を整える 重要な工程です。
手順としては、以下のように進めます。
- サーバーにアクセスし、証明書管理の設定画面を開く
- 取得したSSL証明書ファイルをアップロードする
証明書を正しくインストールすることで、WebサーバーはSSL対応が可能になり、暗号化通信を実現します。
3. Webサーバーの設定
Webサーバーの設定 では、SSL通信を有効にするための詳細な構成を行い 、サイト全体でのセキュアな接続を実現します。
手順としては、以下のように進めます。
- Webサーバーの設定ファイル(例: Apacheのhttpd.confやNginxのnginx.conf)を開く
- SSL証明書と秘密鍵のファイルパスを設定する
- サーバーが対応するSSL/TLSプロトコルや暗号化方式を指定する
- サーバー設定を保存し、設定内容を反映するためにWebサーバーを再起動する
これらの設定を正確に行うことで、WebサーバーはSSL/TLSを介した暗号化通信を実行できるようになります。
4. HTTPSポートの有効化
HTTPSポートの有効化 は、WebサーバーでHTTPS通信を使用するために必要な設定 です。
手順としては、以下のように進めます。
- Webサーバーの設定ファイルでHTTPSポート(通常は443番)を指定する
- SSL/TLSが有効な仮想ホストの設定を追加または更新する
- サーバーのファイアウォール設定でHTTPSポートへのアクセスを許可する
- 設定を保存し、Webサーバーを再起動または設定を反映する
これにより、HTTPSポートが有効化され、Webサイトは安全なHTTPS接続を確立できるようになります。
5. リダイレクト設定
リダイレクト設定 は、HTTPでのアクセスを自動的にHTTPSに切り替える ための設定です。
手順としては、以下のように進めます。
- Webサーバーの設定ファイルにリダイレクトルールを追加する(例: Apacheでは.htaccess、Nginxではnginx.conf)
- HTTPリクエストを受け取った際にHTTPSにリダイレクトする設定を記述する
- 設定ファイルを保存し、Webサーバーを再起動または設定を反映する
これにより、全てのアクセスがHTTPSにリダイレクトされ、サイト全体のセキュリティが向上します。
6. セキュリティヘッダーの追加
セキュリティヘッダーの追加 は、Webサイトのセキュリティを強化するために必要な設定です。
手順としては、以下のように進めます。
- Webサーバーの設定ファイルにセキュリティヘッダーの追加設定を行う
- ヘッダーの設定内容を適切に記述し、クロスサイトスクリプティング(XSS)やクリックジャッキングを防止する
- 設定ファイルを保存し、Webサーバーを再起動または設定を反映する
- セキュリティヘッダーが正しく追加されているかを検証する
これにより、Webサイトのセキュリティが向上し、ユーザーに安全なブラウジング環境を提供できます。
設定のテストと動作確認
設定のテストと動作確認 は、SSL設定が正しく適用されているかを確認するために重要なステップです。
手順としては、以下のように進めます。
- Webサイトにアクセスし、SSL接続が正常に確立されているか確認する
- ブラウザのデベロッパーツールを使用して、証明書の有効期限や設定内容をチェックする
- オンラインのSSL検証ツールを使って、SSLの設定が適切かどうかをテストする
- 発見された問題点を修正し、再度テストを行う
これにより、SSL設定の確実な動作とWebサイトのセキュリティが保証 されます。
SSL対応を簡単に導入する方法

SSL対応はWebサイトのセキュリティと信頼性を確保するために不可欠です。
SSL対応するには、レンタルサーバーの無料独自SSLの利用、自動化ツールの使用、手作業での設定といったアプローチがあり、各々メリットと注意点があります。
ここでは、それぞれのアプローチのメリットと注意点、またアプローチの選択ポイントを解説します。
レンタルサーバーの無料独自SSLを利用する
レンタルサーバーが提供する無料の独自SSLを利用することは、SSL対応を簡単かつ効率的に行う一つの方法です。
多くのレンタルサーバー事業者は無料SSL証明書を一括で管理し、利用者が簡単にサイトにSSL対応を施せるようにサポートしています。
この手法のメリットは専門的な知識がなくてもサーバーの設定画面などのコントロールパネルから数クリックでSSL証明書を発行し設定できる点です。
しかし注意として、無料の独自SSLで提供されるSSL証明書はドメイン認証型に限られることが多いです。
レンタルサーバーの無料独自SSLを利用することでコストを抑えつつ迅速にSSL対応を実現できますが、サイトの要件やセキュリティの必要性によっては無料独自SSLで提供されるSSL証明書では役不足な場合もあります。
特に、個人情報を取り扱うサイトやオンラインショッピングサイトの運営者は、セキュリティと信頼性を確保するために、より高度な証明書の検討をおすすめします。
自動化ツールを使う
SSL対応を自動化するツールを利用することは、SSL証明書の取得と管理を簡単かつ効率的に行う方法の一つです。
SSL証明書の更新は1年や数年おきの作業になり、ついつい忘れがちです。
しかしSSL証明書の更新忘れによる有効期限切れは、セキュリティリスクやサイト訪問者からの信頼失墜につながります。
また、システムでSSL証明書を使っている場合に有効期限切れになると、そのシステムのエラーにつながる可能性があります。
証明書の期限切れによってエラーになった場合、エラーの原因になかなか気づきにくくシステムの復旧に時間がかかることも少なくないです。
更新作業においても、滅多にやらない作業のため作業ミスをしてしまう可能性があります。
その点自動化しておけば手作業でのミスもなくせ、サイト運営者は他の重要な業務に集中することができます。
代表的なSSL認証プロバイダー

インターネット上で安全な通信を確保するために不可欠なSSL証明書。
その信頼性を保証する認証プロバイダーは数多く存在しますが、ここでは特に代表的なSSL認証プロバイダーをピックアップして紹介します。
安全なウェブサイト運営には欠かせないこれらのプロバイダーを通じて、より信頼性の高いセキュリティ環境を構築しましょう。
Sectigo(旧Comodo)

| Sectigo | |
| 特徴 | ・世界的に信頼されるSSL証明書プロバイダー ・迅速な発行プロセス ・多様な証明書オプションを提供 |
| 料金 | ドメイン認証型(DV):4,500円〜 / 年 企業認証型(OV):20,000円〜 / 年 EV認証型:49,000円〜 / 年 |
EV認証型SSL証明書の基準を策定するCA/Browser Forumの発起人であるComodo(現Sectigo)はSSL証明書提供で高いシェア率を誇っています。
2020年7月にコモドジャパンからセクティゴジャパンに会社名を変更しました。
Sectigoでは、EV認証型、企業認証型、ドメイン認証型をはじめ、Eメール用の証明書やMicrosoftエクスチェンジサーバー用の証明書など、幅広いニーズに応える商品を取り揃えています。
また面白い商品として、Sectigo商品を最大で20万円もお得に購入できるマネーチケットも販売しています。
信頼性とサポートの質に定評があるSectigoは世界中で広く使われており、SSL証明書を必要とする企業やWebサイト運営者にとって、優れた選択肢の一つです。
DigiCert(旧Symantec)

| DigiCert | |
| 特徴 | ・高い信頼性とセキュリティを提供するSSL証明書プロバイダー ・大企業向けのソリューションに強み ・迅速な証明書発行とサポート体制が充実 |
| 料金 | 要問い合わせ |
Symantecは、かつてノートンアンチウイルスなどのセキュリティソフトウェアで名を馳せた、セキュリティ業界の巨人でした。
しかし、Googleが指摘したSSL証明書の発行プロセスに関する一連の問題がきっかけで、Chromeブラウザを中心にSymantecの証明書への信頼が揺らぎ始めました。
この重大な挑戦に直面し、Symantecは2017年に事業の再構築を図る一環として、SSL証明書事業をDigiCertに売却する決断を下しました。
売却後、DigiCertは品質管理と発行プロセスの全面的な見直しに着手し、業界内での信頼を速やかに回復させました。
現在DigiCertはEV認証型、企業認証型、ドメイン認証型の証明書をはじめ、IoTデバイスのセキュリティやPKIソリューションなど、幅広いセキュリティ製品を提供しています。
GeoTrust

| GeoTrust | |
| 特徴 | ・コストパフォーマンスに優れたSSL証明書を提供 ・中小企業向けに最適なセキュリティソリューション ・シンプルで使いやすい管理ツールを提供 |
| 料金 | ドメイン認証型(DV):13,800円〜 / 年 企業認証型(OV):27,800円〜 / 年 EV認証型:65,800円〜 / 年 |
GeoTrustは、そのシンプルかつコストパフォーマンスに優れたSSL証明書で、特に中小企業から高い評価を受けています。
2002年の設立以来、GeoTrustは安全なオンライン取引の信頼を築き上げてきました。
VeriSignによる2006年の買収、そしてその後Symantecを経てDigiCertに移行した現在も、GeoTrustはその品質と信頼性を維持し続けています。
DigiCertの一部としても、GeoTrustはEV認証型、企業認証型、ドメイン認証型といった幅広いセキュリティ製品を提供し、ビジネスのオンラインセキュリティニーズに対応しています。
GeoTrustのSSL証明書は、顧客が必要とするセキュリティを確保しつつ、管理のしやすさと経済性を兼ね備えていることで知られています。
RapidSSL

| RapidSSL | |
| 特徴 | ・手頃な価格で導入しやすいSSL証明書を提供 ・中小企業や個人サイト向けに最適 ・迅速な発行プロセスとシンプルな管理 |
| 料金 | ドメイン認証型(DV):4,730円〜 / 年 |
RapidSSLは迅速かつ手頃な価格で信頼性の高いドメイン認証型SSL証明書を提供することに特化した認証局です。
特に小規模から中規模のビジネスや個人運営のWebサイト向けに設計されており、その迅速な発行プロセスとコストパフォーマンスの高さで広く認知されています。
RapidSSLはユーザーが簡単に設定できるように、使い勝手の良さを追求しています。
即時に証明書を発行できるため、時間をかけずにセキュリティを確保したいWebサイト運営者にとって理想的な選択です。
小規模事業者やスタートアップが顧客と安全にやり取りするための手軽で確実な方法を求めるなら、RapidSSLはそのニーズに応える最適な選択肢の一つです。
Let’s Encrypt

| Let’s Encrypt | |
| 特徴 | ・無料で利用できるSSL証明書を提供 ・自動化された証明書の発行と更新 ・オープンで信頼できる認証局 |
| 料金 | 無料 |
Let’s Encryptはインターネットのセキュリティを強化することを目的とした、無料で自動化されたオープンな認証局(CA)です。
このプロジェクトは、非営利団体のインターネットセキュリティ研究グループ(ISRG:Internet Security Research Group)によって運営されており、Webサイトの運営者に対して無料でSSL証明書を提供しています。
その主な目的はWeb全体でHTTPSの使用を標準化し、ユーザーのプライバシーを保護することにあります。
Let’s Encryptは証明書の取得と更新を自動化することで、従来のSSL証明書の発行プロセスにおける手間とコストを大幅に削減しました。
ただし自動化されているため、企業認証型とEV認証型のSSL証明書は提供していません。
このアプローチにより、小規模なWebサイトから大規模なインターネットサービスまで、あらゆる規模のWebサイトが容易にHTTPSを導入できるようになりました。
まとめ:ユーザーの信頼を獲得するためにもSSL対応は重要

SSL対応は、Webサイト運営における信頼性とセキュリティの基盤を築くために必要不可欠です。
特に中小企業にとっては、顧客との信頼関係を構築しビジネスの持続可能性を確保する上で極めて重要な役割をします。
SSL対応のメリットは通信データの暗号化による不正の防止とサイトへの信頼性向上だけでなく、Googleをはじめとする検索エンジンの優遇によるSEO対策、また通信速度の向上も期待できます。
しかし中小企業ではリソースが限られることが多いため、いかに効率よくSSL対応を行うかが重要なポイントになります。
そのためにレンタルサーバーの無料独自SSLの利用や自動化の利用を検討しつつ、それぞれのニーズや状況に応じた最適なアプローチを選択することが大切です。
そうはいってもSSL証明書の種類やSSL認証プロバイダーは複数あり、専門知識がないと判断もなかなか難しいこともあると思います。
もし、そのようなSSL化でのお困りごとやご相談がありましたら、株式会社Jiteraに一度ご相談ください。
貴社のビジネスや理想に沿ったアドバイスを提供いたします。
