「アクセスコントロールって何?」「自社の情報セキュリティをどう強化すればいいの?」などと悩んでいませんか?
アクセスコントロールは、企業や組織の情報セキュリティを強化するための重要な仕組みです。適切なアクセスコントロールを導入することで、不正アクセスや情報漏洩のリスクを大幅に低減できます。
本記事では、アクセスコントロールの基本概念や主な機能について詳しく解説します。アクセスコントロールを実装させる方法についてもまとめているため、ぜひ参考にしてみてください。
2014年 大学在学中にソフトウェア開発企業を設立
2016年 新卒でリクルートに入社 SUUMOの開発担当
2017年 開発会社Jiteraを設立
開発AIエージェント「JITERA」を開発
2024年 「Forbes 30 Under 30 Asia 2024」に選出
アクセスコントロールとは?
アクセスコントロールは、特定の情報やシステムへのアクセスを適切に制御し、管理するプロセスです。コンピュータやネットワーク内のデータへのアクセスを特定のユーザーに限定することで、不正アクセスやデータ漏洩のリスクを低減できます。
アクセスコントロールの目的は、情報の機密性と整合性を保護し、企業や組織のセキュリティ基準を維持することです。管理するプロセスによって、許可されたユーザーのみが重要な情報やシステム機能にアクセスできるようになり、セキュリティの強化が図られます。
ここでは、アクセスコントロールの具体的な定義や目的、日常生活での身近な例について詳しく見ていきましょう。
アクセスコントロールの定義
アクセスコントロールはアクセス制限ともいい、ユーザーの操作や情報を読み書きする権限を制御する事を意味します。情報技術の分野において、特定のリソースへのアクセスを制御するプロセスです。
「誰が」「いつ」「どのリソースにアクセスできるか」を決定する権限管理が含まれます。アクセスコントロールシステムは、不正アクセスを防ぎ、データの機密性と完全性を保つために不可欠です。
アクセスコントロールのおかげで企業は機密情報を安全に保ちながら、必要なユーザーにのみアクセス権を提供できます。
アクセスコントロールの目的
アクセスコントロールの主な目的は、情報や機密性を維持し、保護することです。企業や組織が保有する機密情報や個人データを不正アクセスや情報漏洩から守るために、アクセスコントロールが重要な役割を果たします。
アクセスコントロールのシステムを通じて、許可されたユーザーのみがアクセス権を持ち、不正なアクセスを試みる攻撃者から企業のデータを保護することが可能です。また、アクセスコントロールは情報の不正使用を防ぎ、企業のセキュリティポリシーに基づいた情報管理を実現します。
サイバー攻撃や内部不正から情報を守る
アクセスコントロールは、サイバー攻撃や内部不正による情報漏洩のリスクを軽減するために不可欠です。企業が直面するセキュリティの脅威は多岐にわたり、アクセスコントロールを適切に実装することで、脅威から企業の貴重な情報資産を保護できます。
例えば、多要素認証はパスワードだけでなく以下の情報を要求することで、セキュリティを強化します。
- スマートカード
- モバイルデバイス
- パスコード
アクセス権限を厳格に管理し、不審なアクセス試行を検知して迅速に対処することが可能です。アクセスコントロールによって外部の攻撃者だけでなく、内部からの情報漏洩や不正行為を防ぐことが可能になります。
重要な情報の管理
アクセスコントロールは、企業や組織が保有する重要な情報を効果的に管理するためにも重要です。特定のデータやシステムへのアクセス権を持つユーザーを明確に定義することで、情報の機密性を保ちながら、必要な人には適切な情報を提供できます。
例えば、人事部門の従業員は従業員の個人情報にアクセスできますが、販売部門の従業員にはそのアクセス権が与えられません。このように、アクセスコントロールを通じて、情報の適切な管理と利用を実現し、企業の運営効率を高めることができます。
身近な例
アクセスコントロールは、駅の改札ゲートやオフィスビルの入室管理システムなど、私たちの身の回りで広く利用されています。コントロールシステムはカードキーや暗証番号、顔認証や指紋認証などの認証手段を用いて、特定の個人のみがアクセスできるように制御しているのが一般的です。
物理的な制限としては、電気錠やフラッパーゲートが設置され、不正な侵入を防ぎます。また、これらのシステムを管理・制御するためのソフトウェアが、アクセスコントロールを実現する上で欠かせません。
日常生活の中で私たちの安全とセキュリティを守るために不可欠であり、企業や公共施設など様々な場所で効果的に利用されています。アクセスコントロールの技術は、私たちが安心して生活し、働くための基盤を提供しており、重要性は日々高まっている状態です。
アクセスコントロールの機能
アクセスコントロールシステムは、情報セキュリティを強化するために不可欠な役割を果たします。システムの核となるのは、「認証」「認可」「更新」という三つの基本機能です。
アクセスコントロールの機能は、組織や企業が保有するデータの安全性を確保し、不正アクセスや情報漏洩のリスクを最小限に抑えるために設計されています。認証機能はユーザーが誰であるかを確認し、認可機能はユーザーがアクセスできる情報や操作を制限する機能です。
更新機能は、アクセスの試みや行われた操作の記録を保持し、後から監査やレビューを可能にします。それぞれの機能を組み合わせることで、アクセスコントロールシステムは情報セキュリティの強固な基盤を提供するのです。
認証:ログインできる権限の有無を識別
認証機能は、アクセスコントロールシステムの最前線に位置し、セキュリティの最初の防衛線として機能します。認証機能では、ユーザーがシステムにログインする際にIDやパスワード、生体認証などを用いて正当なアクセス権を持つユーザーであるかを確認します。
認証は不正アクセスを防ぎ、システムやデータへのアクセスを許可されたユーザーに限定するために不可欠です。強力な認証プロセスは、セキュリティを大幅に向上させることができ、多要素認証などの技術を用いることで更なる効果を高めます。
認可:操作の範囲を設定・制限する機能
認証プロセスを通過した後、ユーザーがアクセスできる情報や実行できる操作の範囲を決定します。認可の機能はユーザーの役割や責任に基づいて、適切なアクセスレベルを割り当てることで、情報の機密性と整合性を保護する点が特徴の1つです。
たとえば、一般的な従業員には限られたデータへの読み取り権限のみが与えられ、管理職にはより広範なアクセス権が与えられる場合があります。認可プロセスにより、不必要なアクセスや権限の乱用を防ぎ、組織内の情報セキュリティポリシーに従ったアクセス制御が実現されるのです。
更新:アクセス履歴をログとして記録・残す機能
更新機能は、アクセスコントロールシステムにおける重要な監査トレイルを提供します。更新機能により、誰がいつどのリソースにアクセスしたか、どのような操作を行ったかという情報が記録されます。
アクセス履歴を記録する機能により、セキュリティ侵害の調査やユーザー行動の分析、コンプライアンスの確保などが可能です。更新機能は、組織がセキュリティインシデントに迅速に対応し、将来的なリスクを予防するための貴重な情報を提供します。
また、定期的な監査を通じてセキュリティポリシーの遵守を確認し、必要に応じてアクセス権限を調整できます。
アクセスコントロールの方式
アクセスコントロールの方式には、以下の主要な3つの方式があります。
- 任意アクセス制御
- 強制アクセス制御
- 役割ベースアクセス制御
上記の方式は、組織や企業が情報セキュリティを確保するために、ユーザーのアクセス権をどのように管理するかについて異なるアプローチを提供します。各方式は独自の特徴と利点、デメリットを持ち、特定のセキュリティ要件やビジネスニーズに応じて選択されます。
適切なアクセスコントロール方式を選択することは、不正アクセスの防止、データ漏洩のリスク軽減、組織のセキュリティポリシーの効果的な実施に不可欠です。
任意アクセス制御:一般ユーザーがファイルの操作権を個別に設定できる方式
任意アクセス制御(DAC)は、個々のユーザーやグループが自らのファイルやリソースに対するアクセス権を設定できる方式です。任意アクセス制御方式の最大の利点は柔軟性にあり、ユーザーは自分のニーズに応じてアクセス権を細かく調整できます。
しかし、この自由度がセキュリティの弱点となることもあり、不適切な設定が情報漏洩や不正アクセスを引き起こす可能性が高いです。任意アクセス制御は、ユーザーが自己のデータをコントロールする環境に適しています。
しかし、組織全体のセキュリティを確保するためには、より厳格なアクセス管理が求められる場合があるため注意しましょう。
強制アクセス制御:特定の管理者が権限を設定する方式
強制アクセス制御(MAC)は、セキュリティポリシーに基づき、中央管理者がユーザーやグループのアクセス権を設定する方式です。強制アクセス制御方式では、個々のユーザーやグループは自らのアクセス権を変更できず、すべてのアクセス権は事前に定義されたセキュリティポリシーに従って管理されます。
強制アクセス制御の最大の利点は高いセキュリティレベルにあり、不正アクセスや情報漏洩のリスクを効果的に低減できます。しかし、この方式は設定と管理が複雑であり、柔軟性に欠ける点がデメリットです。
役割ベースアクセス制御:MACで管理・ユーザーの役割ごとに必要な権限を追加で付与する方式
役割ベースアクセス制御(RBAC)は、ユーザーの役割に基づいてアクセス権を設定する方式です。役割ベースアクセス制御方式では、ユーザーは特定の役割に割り当てられ、役割に応じたアクセス権が自動的に付与されます。
役割ベースアクセス制御の最大の利点は、管理の簡素化とセキュリティの向上を同時に実現できる点です。ユーザーが新たな役割に就く場合、役割に応じたアクセス権が自動的に設定されるため、セキュリティポリシーの一貫性を保ちつつ、管理の手間を軽減できます。
しかし、役割の定義や管理には注意が必要であり、不適切な役割設定がセキュリティの穴となる可能性があるため注意しましょう。
アクセスコントロールを実装させる方法
アクセスコントロールの実装は、組織の情報セキュリティ体制を強化し、貴重なデータを保護するための重要なステップです。アクセスコントロールは組織が直面しているセキュリティ上の課題を特定し、対応するための最適なシステムを選択して適切に設計し、効果的に管理することを含みます。
実装プロセスの各ステップは以下のとおりです。
- 導入する理由(ゴール)を決める
- 理想のソリューションを選ぶ
- アクセス制御のポリシーを設計
- 緊急アクセス アカウントを設定
上記のステップを通じて、組織は情報漏洩のリスクを最小限に抑え、セキュリティを強化できます。
導入する理由(ゴール)を決める
アクセスコントロールシステムを導入する主な目的は、組織のセキュリティを強化し、データ保護を確実にすることです。しかし、具体的な導入目的は組織によって異なります。
目的令をまとめると以下のとおりです。
- 不正アクセスの防止
- データ漏洩のリスク軽減
- 法的要件の遵守
- ユーザーのアクセス管理の効率化
導入の目的を明確にすることで、組織は最適なアクセスコントロールシステムを選択し、必要な機能や要件を特定できます。プロジェクトの成功に向けた明確な方向性を提供するためにも、ゴールを決めることは不可欠です。
理想のソリューションを選ぶ
アクセスコントロールシステムを選択する際には、組織の特定のニーズとセキュリティ要件を満たすソリューションを見つけることが極めて重要です。選択には以下の取り組みが含まれます。
- 利用可能な技術の範囲の理解
- システムの互換性や拡張性の評価
- コスト対効果の分析
- 将来の成長や変化に対応できる柔軟性の確保
理想的な解決策は、現在のセキュリティ脅威から組織を保護するだけでなく、新たな脅威の出現にも迅速に対応できることです。また、ユーザーの操作性や管理のしやすさも重要な考慮事項であり、従業員やIT部門の負担を軽減します。
効果的なセキュリティ対策を実施するためには、最適な解決策を選択する必要があります。
アクセス制御のポリシーを設計
アクセス制御ポリシーの設計は、組織のセキュリティ戦略を形成する上で中心的な役割を果たします。ポリシーは以下のポイントを明確に定義します。
- どのユーザーがどのリソースにアクセスできるか
- どのような条件下でアクセスが許可されるか
- どのような行動が制限されるか
効果的なアクセス制御ポリシーは組織のセキュリティ要件や業務プロセス、法的規制を綿密に考慮して策定されるべきです。ポリシーの設計には、セキュリティ専門家の知見を取り入れ、従業員の意見を聞き、組織全体での合意形成を図りましょう。
また、ポリシーは定期的に見直しと更新が必要であり、新たな脅威や技術の進化に対応できるように柔軟性を持たせる必要があります。
緊急アクセス アカウントを設定
緊急アクセスアカウントの設定は、予期せぬ事態や緊急時に迅速かつ効果的に対応するために不可欠です。アカウントはシステム障害やセキュリティインシデント、自然災害などの通常の運用プロセスが中断された際に使用されます。
緊急アクセスアカウントは、厳格なセキュリティ対策の下で管理され、限られたユーザーにのみ割り当てられるべきです。アカウントの使用は目的や使用条件、アクセス権限の範囲を明確に定義し、記録する必要があります。
また、緊急アクセスが行われた場合には活動を詳細に監視し、後でレビューできるようにすることが重要です。不正使用のリスクを最小限に抑えつつ、緊急時の対応能力を確保できます。
アクセスコントロールのまとめ
アクセスコントロールは、企業や組織が直面するセキュリティ上の課題に対処するための重要な戦略です。機密情報への不正アクセスを防ぎ、データ漏洩のリスクを最小限に抑えることを目的としています。
アクセスコントロールを効果的に実装することで、組織は情報の機密性や完全性、および可用性を保護して規制遵守の要件を満たします。アクセスコントロールは、組織がその最も価値のある資産を保護し、ビジネスの持続可能性と成長を支えるための基盤です。
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