インターネットの接続を安定させるために、有線LANの設置を検討している方は少なくありません。
有線LANの設置工事を実施すれば、ONU(光回線終端装置)から離れた場所からでも有線接続ができます。
しかし、次のような疑問が湧いてきませんか?
- 有線LANを設置する具体的な工事内容は?
- 工事費用はどれくらいかかるか?
- 工事を進める上での注意点は何か?
そこで本記事では、有線LANの概要をまとめた上で、メリットやデメリット、ポイントを詳しく解説します。
自分で設置工事をするべきか、それとも専門業者に依頼すべきかといった疑問にも答えていきますので、最後までお読みください。
安定したインターネット環境をつくるために、第一歩を踏み出しましょう。
2014年 大学在学中にソフトウェア開発企業を設立
2016年 新卒でリクルートに入社 SUUMOの開発担当
2017年 開発会社Jiteraを設立
開発AIエージェント「JITERA」を開発
2024年 「Forbes 30 Under 30 Asia 2024」に選出
アプリ・システム開発は生成AIを活用することで、従来の開発ではあり得なかった、低コスト・高品質開発・スピード開発が同時に実現できます。
▼従来の開発とAIを使った開発の違い
システムソリューションを得意とし、新規事業からDX推進まで幅広いジャンルの開発実績があります。
有線LANを設置するとは?
有線LANを設置するとは、LANケーブルと呼ばれる専用ケーブルを使ってインターネットに接続することです。
▼LANケーブル
引用:https://www.ntt-west.co.jp/collabo/setting/new/
LANとは、端的にオフィスや家庭内などのエリアで利用するインターネット環境のことです。Local Area Networkの略称で、限られたエリアで接続できるネットワークを指します。
要は、オフィスや家庭で使用するインターネット環境を有線で接続する方法と考えて問題ありません。
光回線を契約し工事が完了すると、設置業者が設置した機器(ONU)からLANケーブルで接続します。
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ONUーPC
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オフィスの場合、LANポートと呼ばれるLANケーブルの差し込み口を設置して、接続箇所を増やすのが一般的です。
そのため、ハブという機器で分岐させて、以下のようにLANポートを増加させます。
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ONUーハブーLANポートーPC
L LANポートーPC
L LANポートーPC
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実際はもっと複雑な配線になる場合がありますが、ざっくりのイメージ図としてお考えください。
有線LANと無線LANの違いは?
有線LANと無線LANは、どちらもオフィスや家庭内など限られたエリア内でインターネット接続ができる手段ですが、接続方法に大きな違いがあります。
- 有線LAN: LANケーブルを使用して物理的にデバイスをネットワークに接続。この方法は、デバイスがLANポートのある場所に位置している必要がある
- 無線LAN: Wi-Fi技術を使用して、電波を介してデバイスをネットワークに接続。無線ルーターを設置しWi-Fiが届く範囲であれば、デバイスを自由に移動させられる
有線LANと無線LANの違いは、接続方法です。
有線LANは安定した接続を提供する一方で、デバイスの配置に制約があります。無線LANは利用場所の自由度がある一方で、設置とセキュリティに特別な注意が必要です。
どちらを選択するかは、ニーズに応じて検討しましょう。
有線LANを設置するには工事は必要?
有線LANの設置を検討する際、多くの方が抱く疑問が、設置に工事が必要かどうかです。
有線LANの設置工事は、接続したいデバイスの位置や既存のネットワーク構成によって異なります。
前提として、ONUから直接LANケーブルでデバイスに接続できれば、有線LANの設置工事をする必要はありません。
シンプルな接続方法で、ONUの近くにデバイスを配置できる際に最適です。
しかし、デバイスがONUから離れている場合、LANケーブルで接続するのは現実的ではありません。
そのようなケースにおいて、LAN配線工事が必要です。
工事内容は、壁を通してケーブルを引き回す作業や、追加のLANポートの設置、ハブなどのネットワーク機器の設置などです。
有線LANの設置工事はいつ実施する?
有線LANの設置工事のタイミングは、下記のいずれかがおすすめです。
- インターネット環境を高速化したいとき
- 新規で光回線を導入するとき
- ネットワーク設備の老朽化が進んだとき
- ネットワークのセキュリティ強化が必要なとき
新規に光回線を導入する際や乗り換えるとき、光回線の工事と同時に有線LANの配線工事を実施できるケースがあります。
同時対応により、工事の手間やコストを削減できますが、別途費用が発生する点は押さえなければなりません。
既に光回線が導入されている場合は、LAN配線工事の業者に依頼します。詳細な見積もりと計画に基づいて工事する流れです。
有線LANを設置する3つのメリット
有線LANを設置するには、以下のメリットがあります。
- 安定したインターネット接続ができる
- セキュリティレベルが向上する
- 大量データの転送がしやすくなる
特に、重要な3点について見ていきましょう。
安定したインターネット接続ができる
有線LANの最大の利点は、通信の安定性です。Wi-Fiなどの無線接続と比較して、有線LANはより安定したインターネット接続ができます。
なぜなら、ほかの機器から発せられる電波干渉を考慮する必要がないからです。
有線LANは一貫した通信速度を提供するため、データ通信の速度や品質が距離によって低下しにくい特性があります。
加えて、有線LANは外部環境からの影響を受けにくいため、天候や周囲の電子機器の操作による影響がほとんどありません。
そのため、データ通信が重要なビジネス環境やオンラインゲーム、多数が参加するオンラインミーティングなどにおすすめです。
セキュリティレベルが向上する
有線LANの設置がセキュリティ面で大きな利点を持つ理由は、LANケーブルを介してインターネットに接続される点にあります。
この接続方式により、電波を通じた不正アクセスやデータの傍受といったセキュリティリスクを軽減することが可能です。
無線LANのセキュリティレベルが低いと、ログインIDやパスワード、クレジットカード番号を取られるリスクが高まります。
それに対して有線LANでは、データ伝送がケーブル内で完結し、外部から電波を利用した悪意のあるアクセスを防止できます。
そのため、特に機密情報を扱うビジネス環境や、セキュリティを重視するシステム設計においては、有線LANを利用しましょう。
大量データの転送がしやすくなる
有線LANを利用すると、大量のデータを転送する際の効率が大きく向上します。
このメリットは、高速で信頼性の高いデータ通信を必要とするさまざまな状況で重要です。
有線LANの設置により、データ送受信の遅延が顕著に減少します。
遅延の低減は、具体的に以下の場面で有用です。
- オンラインゲーム
- ビデオ会議
- ライブストリーミング
有線LANはデータを物理的なケーブルを介して直接伝送するため、信号の遅延や干渉が少なく、結果として通信速度が向上します。
さらに、有線LANの利用はパケットロスを大幅な減少にもつながります。
パケットロスとは、データ伝送中に情報の一部が途中で失われる現象のことです。
この現象が多発すると通信の品質や信頼性が低下し、ユーザーはネット環境に大きなストレスを感じるでしょう。
有線LANではLANケーブルを使って物理的に接続しているため、安定したデータ伝送ができます。
結果として、パケットロスのリスクが少なくなるわけです。
有線LANを設置する4つのデメリット
有線LANを設置するデメリットも存在します。
- 設置の手間とコストがかかる
- 配線が邪魔になる
- 利用できる範囲が限定される
- 損傷を受けるリスクがある
有線LANの設置は、上記4つのデメリットを考慮した上で検討しましょう。
設置の手間とコストがかかる
有線LANを設置する大きなデメリットは、手間とコストが発生する点です。
インターネットからの信号を受け取り、有線で接続されたデバイスに分配するため、ネットワークの基盤となるハブやルーターの設置は欠かせません。
これらの機器に加えて、特に家全体やオフィス内で広範囲に有線LANを利用する場合、LANケーブルを壁に通す工事が必要です。
壁に穴を開ける作業が含まれ、床下や天井裏を利用する場合もあります。
このような作業が大掛かりになると、自分で対応することはまずできません。専門業者に依頼する場合が多くなります。
設置費用はプロジェクトの規模や複雑さによって大きく変動しますが、一般的には10,000円から60,000円です。
特に、既存の建物に有線LANを後から導入する場合、必要な工事範囲が広がるため、追加の費用が発生する可能性が高まります。
配線が邪魔になる
有線LAN設置のもう一つの考慮すべきデメリットは、配線が邪魔になりやすい点です。
有線LANの構築には、インターネット接続を各デバイスに届けるために、LANケーブルを床や壁を通して引き回す必要があります。
特に複数の部屋や広いオフィススペースにネットワークを設置する際に、配線管理が大きな課題です。
配線が床を横切ったり、壁に沿って引かれたりすると、通行の障害になるだけでなく、部屋の整頓された印象を損ねるケースにもなりかねません。
特に、インテリアデザインに配慮した空間では、LANケーブルの存在が美観を損なう原因となりやすいです。
目立たないように壁の中や床下、天井裏を利用して配線を隠す工事を実施できますが、このような工事にはコストと手間が余計にかかる点に注意してください。
利用できる範囲が限定される
有線LANを利用すると、インターネットに接続できる範囲がLANケーブルの範囲に限定されます。
有線LANの性質上、ケーブルが直接届かない場所ではインターネットに接続できません。
布団に寝転がってパソコンを使いたいときや、リビングで家族とデバイスを共有したいときなどに不便です。
この制限は、特に広い家庭やオフィス、複数の階を持つ建物などで顕著となります。
一例として、以下のようなケースでは光コンセント(LANケーブルをさせる差し込み口)が設置されるのが一般的です。
- 例:1階にONUがあり、2階に有線LANを設置する場合は、1階から2階にLANケーブルを壁の中から通して、光コンセントを設置する
このLAN配線工事は単体の場合、半日ほど時間がかかります。
損傷を受けるリスクがある
LANケーブルを使用すると、物理的に損傷を受けるリスクがあります。
日常生活の中では、ケーブルが家具の下に挟まれたり、人々が通行する際に踏まれたりするケースです。
室内でペットを飼っていると、噛んでしまい断線してしまう場合も珍しくありません。
LANケーブルが損傷すると、インターネット接続が不安定になったり、最悪の場合は完全に途切れたりします。
正常な通信を回復させるためには、損傷を受けたケーブルは新品に交換してください。
LANケーブルが壁の中や床下を通っている場合には、工事が必要なケースがある点に留意しましょう。
有線LANの設置工事
有線LANの設置工事は、ONUから有線接続したい部屋までLANケーブルを伸ばす作業です。
1.LANケーブルの配線
2.必要なネットワーク機器の設置
3.光コンセントの設置
4.接続テスト
上記4つのステップをそれぞれ確認しましょう。
LANケーブルの配線
有線LANの設置におけるLANケーブルの配線は、重要な工程です。
通常、この配線は家庭やオフィスの入り口近くにあるONUから出発し、光コンセントを通して壁の中や床下を経由し、インターネットを使用したい部屋まで引き入れます。
この配線作業の際に、LANケーブルが外部の損傷から守られるよう配管が利用されるのが一般的です。
もし配管がなければ、LANケーブルをカバーして保護します。
また、配線する際は、感電防止のために、ONUの電源を切りましょう。安全に作業することが大切です。
必要なネットワーク機器の設置
有線LANの設置に際して、信号の分配や管理を実施するネットワーク機器の設置が不可欠です。
特にハブやルーターは、インターネット接続を複数のデバイスに供給する上で中心的な役割を果たします。
これらの機器はONUからの信号を受け取り、家庭内やオフィス内の各デバイスに効率的に分配するために使われます。
ネットワーク機器の選定や設置に迷われる方は、専門業者に依頼することを検討してください。
最適な機器の選定から設定、セキュリティ対策まで、一貫したサポートを提供できるため、安心して依頼できます。
費用はかかるものの、自宅やオフィスに安定したインターネット環境を構築できるわけです。
光コンセントの設置
目的の場所までLANケーブルを伸ばしたら、壁に光コンセントを設置します。
光コンセントとは、LANポートが付いた差し口のことです。コンセントが一体になった一体型と別れた分離型があります。
光コンセントがない場所であれば、壁に穴を開けなければなりません。
そのため、賃貸物件であれば、事前に管理会社や大家さんに確認しましょう。
接続テスト
光コンセントの設置が完了したら、ONUを電源につなげます。最後に、LANケーブルを接続して、インターネットにつなげれば完了です。
有線LANを設置する際の3つのポイント
有線LANを設置する際は、以下の点を押さえるのがポイントです。
- 見積もりは最低でも3〜4社取る
- 配線のレイアウトを考える
- 有線と無線を使い分ける
順番に見ていきましょう。
見積もりは最低でも3〜4社取る
有線LANの設置工事において、重要なポイントは複数の業者から見積もりを取ることです。
有線LANの設置工事の費用について、ざっくり10,000円から60,000円とお伝えしましたが、あくまで目安です。
作業内容によっては、この範囲を超えるケースもあります。
最低でも3〜4社、できれば5社は見積もりを取って、各社の提案内容を比較しましょう。
その理由は、複数社の見積もりを取ることで、相場を確認できるからです。有線LANの設置に関する知識も付いてくるため、変な業者に騙されるリスクが減ります。
配線のレイアウトを考える
有線LANの設置を成功させるためには、事前に全体のLAN配線のレイアウトを綿密に計画することが重要です。
この計画には、必要なLANケーブルの本数や長さ、さらにはネットワーク機器の配置などが含まれます。
特に、新規に光回線を導入する際には、どのエリアで有線接続をし、どのエリアで無線接続を利用するかを明確にするといいでしょう。
このように事前に配線のレイアウトを計画すると、設置工事後に追加で配線する必要がありません。
結果として、無駄なコストを削減し、効率的なネットワーク環境を構築することが可能です。
加えて、将来のネットワークの拡張や変更にも柔軟に対応できるようになります。
有線と無線を使い分ける
インターネット接続の設計において、全エリアで有線接続を提供する必要はありません。
Web閲覧やメールの確認など、比較的軽量なオンライン活動には無線接続でも十分と言えます。
一方で、安定性と高速なデータ転送が求められる活動には、有線LANが不可欠です。
下記のような大量のデータ転送や低遅延を要する用途は、有線接続が推奨されます。
- YouTubeのライブ配信
- Zoomを用いた会議
- オンラインゲーム
これらの活動は、接続の切断や遅延に直接影響するため、有線LANの安定した接続が望ましいです。
一方スマホやタブレット、あるいは家のいくつかのエリアでは、無線接続の利便性と柔軟性が重視されます。
自由に移動しながらインターネットに接続できるため、多様なニーズに対応できます。
このように、用途に応じて有線と無線を適切に使い分けることが大切です。
有線LANの設置工事:自分で設置するべきか?外注するべきか?
有線LANの設置工事の際、多くの方が抱く疑問の一つが、自分で設置作業を行うべきか、専門の業者に外注するべきかということです。
実際、多くのケースでは資格は不要で、基本的な技術知識があれば個人でも対応できます。
しかし、電気工事士の資格に関する疑問が生じることもありますが、LANケーブルで扱う電気量は微量であるため、特別な資格は必要ありません。
自分で設置するのが向いている方
自分で有線LANを設置する場合のメリットは、コスト削減や自分の都合に合わせて作業を進められる点です。
基本的な工具(ドライバーやワイヤーなど)や必要な長さのLANケーブルを用意すれば、配線作業は実施できます。
特に、室内配線などの簡単な作業の場合は、DIYによる設置が最適です。
外注するのが向いている方
専門業者に外注するメリットは、専門的な知識や経験を持つプロフェッショナルが作業する点です。
複雑な配線や大規模な設置プロジェクトでも、高い品質と安全性が保証されます。
また、壁内配線や特定の建築構造に対応する必要がある場合や、時間や手間を削減したい場合には、外注がおすすめです。
まとめ:有線LANを配置するメリットは大きい
有線LANの設置は、以下の点からおすすめできます。
- 安定したインターネット接続ができる
- セキュリティレベルが向上する
- 大量データの転送がしやすくなる
特に、ビデオ会議やオンラインゲーム、大容量データのダウンロードやアップロードなど、帯域幅を大量に消費する活動をする方に向いています。
自分で設置するか、専門業者に依頼するかにかかわらず、有線LANの設置は、時間と労力を投資する価値があります。
有線LANの設置についての不明点や相談があれば、JITERAまでお気軽にお問い合わせください。