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Gitは、ソフトウェア開発にてソースコードやファイルの変更履歴管理するためのツールで、Xcodeと連携することでより効率的な開発が可能です。
この記事では、GitをXcodeから利用するための基礎知識や、GitとXcodeを使いこなす方法も解説しています。
この記事を読んで、御社でのXcodeとGitの活用方法をぜひご検討ください。
PHPを独学で勉強した後にWeb業界に参入。大手企業でプログラマーとして活躍後、自社サービスの立ち上げ、大手検索エンジンサービスの保守運用作業、ソーシャルゲーム開発などに携わりながら、SE・管理職の道を歩んで現在に至る。現在は、管理職に携わる傍ら、これまでの経験を活かした執筆活動を続けている。
XcodeとGitの基本的な連携方法
Xcodeは、Appleが開発した統合開発環境（IDE）で、おもにmacOSやiOS向けアプリケーションやソフトウェアを開発するためのツールセットを提供しています。このツールは、ソースコードの編集・デバッグ・ビルド・テスト・デプロイなどの開発タスクを効率化するために設計されています。
Gitは、分散型バージョン管理システム（DVCS）の一種であり、ソフトウェア開発にてソースコードやファイルの変更履歴を管理するためのツールです。
XcodeとGitをうまく組み合わせて開発を行うことで、より効率よく開発を進めることができます。
ここでは、XcodeとGitの基本を知るために、以下の項目に分けて解説します。
- XcodeにGitリポジトリを設定するステップ
- Gitの基本的な操作とXcodeでの実行方法
それぞれみていきましょう。
XcodeにGitリポジトリを設定するステップ
XcodeにGitリポジトリを設定するステップは以下のとおりです。
- Xcodeを起動する
- プロジェクトを作成する
- Gitリポジトリを設定するプロジェクトを選択する
- メニューを表示してGitを初期化する
- プロジェクトの場所を確認する
- コミットするファイルを選択する
- コミットメッセージを入力
- 変更をコミットする
Xcodeを起動した上で、プロジェクトを作成し、リポジトリとの連携を行います。連携を行ったら、リポジトリを初期化して、プロジェクトの場所を確認した上で開発を進めましょう。
実装したプログラムコードのテストが完了したら、コミットを行います。コミットメッセージを入力しておくと、どのような変更が行われたかがわかりやすくなり便利です。
コミットを行うことで、Git上に変更が登録され、Xcodeでの基本的な操作が完了します。
Gitの基本的な操作とXcodeでの実行方法
Gitの基本的な操作とXcodeでの実行方法を以下の表にまとめました。
| 操作 | 機能概要 | 実行方法 |
| リポジトリのクローン | クローンを行って、Gitリポジトリでの作業環境を作成します。 | Xcodeを開いて「Source Cantrol」メニューから「Clone」を選択し、リポジトリのURLを入力してクローンします。 |
| 変更の追跡と状態確認 | 変更の追跡と状態確認を行うことで、該当ファイルが現在どのような状態（どのような変更が行われたか）の確認ができます。 | プロジェクトナビゲータで変更を右クリックし、「Source Control」メニューから「Add」を選択して変更を追跡を可能な状態にします。 |
| 変更のコミット | コミットを行えば、変更内容をGitに登録することが可能です。 | プロジェクトナビゲータでステージングされた変更を右クリックして「Source Control」メニューから「Commit」を選択してコミットします。 |
| リモート変更へのプッシュ | リモートへプッシュを行うことで、Gitリポジトリへ変更内容を登録し、変更内容をGitを利用しているメンバーへ共有することが可能です。 | 「Source Control」メニューから「Push」を選択して、リモートリポジトリに変更をプッシュします。 |
| リモート変更からのプル | メンバーと共同で開発をおこなっている場合、ほかメンバーの変更内容を取り込む必要があります。 プルでGitから最新情報を取り込むことができ、リポジトリ全体を最新状態にすることが可能です。 |
「Source Control」メニューから、「Pull」を選択し、リモートリポジトリから変更をプルします。 |
| ブランチの作成と切り替え | Gitを活用した開発では、ブランチを作成してこれを切り替えながら開発を行うことが多いです。 ブランチを作成することで、案件ごとに開発を進めたり、テスト用のブランチを作成して開発を進めたりすることが可能です。 |
メニューバーの「Source Control」から「Branch」を選択して、ブランチを作成したり切り替えたりします。 |
これらの基本的なGitの操作をXcodeで行いながら、開発を進めます。
Xcodeは、Gitの多くの機能をサポートしており、プロジェクトの管理やバージョン管理を効果的に行うことが可能です。
Gitを使ったバージョン管理の基礎知識
XcodeとGitを活用できれば、より効率よく開発が進められることがわかりました。
次に、Gitを使ったバージョン管理の基本をみていきましょう。
ここでは、以下の項目に分けて、Gitの基礎知識を解説します。
- バージョン管理とは？Gitの役割
- Xcodeでのブランチ操作とマージ
それぞれみていきましょう。
バージョン管理とは？Gitの役割
バージョン管理（Version Control）とは、ソフトウェア開発やファイル管理において、ファイルやプロジェクトの変更履歴を記録して管理するプロセスのことです。
バージョン管理システム（VCS）は、変更履歴を管理するためのツールやソフトウェアです。
バージョン管理のおもな役割は以下のとおりです。
- 変更の追跡
- バージョン管理
- 変更の統合化
- 履歴の可視化と分析
バージョン管理システムは、ファイルやプロジェクトの変更を追跡して、「誰が」「いつ」「どのような変更を行ったか」を記録するものです。これらの情報を記録しておけば、変更点を記録することができるため、変更が発生した時点の過去の状態に戻すことが可能となります。
VCSは、複数のバージョンを管理して、それぞれのバージョンに識別可能なラベルやタグをつけることが可能です。これらのラベルやタグをつけることで、特定の時点での状態に戻したり、特定のバージョンをリリースしたりすることができます。
Gitを活用した開発では、一人ではなく、チームで開発を行うことが多いです。
VCSは、複数の開発者が、同じプロジェクトで同時に作業している状況での変更などを一つに統合することができます。各開発者は独自のブランチで作業した後、変更を統合して、競合を解消することなどが可能です。
変更履歴を可視化して、プロジェクトの進捗状況や変更の傾向を分析するのは、Gitの役割の一つです。プロジェクトの管理や問題の追跡が容易になれば、プロジェクトの進行をより円滑に進められるでしょう。
Gitは、VCSの一つであり、その柔軟性・効率性・分散型などの特性から幅広く使用されています。これは、ソフトウェア開発におけるバージョン管理を効率的に行うための強力なツールであり、多くの開発者やチームにとって重要な役割を果たすでしょう。
Xcodeでのブランチ操作とマージ
Gitのブランチとマージとはどのようなものなのでしょうか。
以下、二つの項目に分けて解説します。
- ブランチ
- マージ
それぞれみていきましょう。
ブランチ
Gitのブランチとは、Gitバージョン管理システム内での開発の流れを分岐させるためのメカニズムです。ブランチは、プロジェクトの異なるバージョンや機能の変更を独立して追跡および開発するために使用されます。
ブランチを活用して開発を行うことで、複数の案件を並行して開発を進めたりテストバージョンを作成して開発したりすることが可能となり、効率よく開発が進められるでしょう。
マージ
Gitのマージは、複数の異なるブランチやコミットの変更を統合する操作です。おもに、複数の開発者が別々のブランチで作業を行い、その変更を一つの統合されたバージョンにまとめるために使用されます。
ただし、同じファイルを複数人が変更していた場合などには、コンフリクト（競合）が起こる可能性があるため、注意が必要です。
マージは、基本的には自動マージすることができますが、コンフリクトが起きた際は手動マージを行う必要があります。
次に、これらブランチとマージをXcodeで行う方法をみていきましょう。
Xcodeでの操作方法は、以下の表のとおりです。
| 操作 | 説明 |
| ブランチの作成 | 「Source Control」から「Branch」を選択して、新しいブランチ名を入力し「Create」を押下します。 |
| ブランチの切り替え | 「Source Control」から「Checkout」を押下して、ブランチの切り替えを行います。 |
| マージ | 「Source Control」から「Merge…」を選択したあと、マージ元となるブランチとマージ先のブランチを選択し「Merge」を押下します。 |
これらの手順で、Xcodeでブランチを作成・切り替え・マージすることが可能です。
開発者は、プロジェクトの異なるバージョンを管理することができ、複数の開発者が同時に作業することが可能となります。
GitをXcodeで使いこなすための実践的な技術
Gitのブランチとマージ機能を利用することで、プロジェクトの異なるバージョンを管理することができ、複数の開発者が同時に作業が可能となることがわかりました。
次に、このGitをXcodeで使いこなすための実践的な技術をみていきましょう。
ここでは、以下2つの項目を解説して、実践的な技術をみていきます。
- コンフリクトの解決方法
- 効率的なコミット戦略
それぞれ解説します。
コンフリクトの解決方法
Gitのコンフリクトは、通常、複数のブランチで同じファイルの同じ箇所を修正しそれらの変更をマージしようとした時に発生するものです。
Gitは自動的にマージを試みますが、同じ部分に対して競合が発生した場合、Gitはコンフリクトを検出します。検出されたコンフリクトは、Gitが自動で解決することができないため、手動で解決する必要があります。
以下は、コンフリクトをXcodeで解決するための手順です。
まずは、マージツールを使用して以下の手順でコンフリクトを解決します。
- プロジェクトナビゲータでコンフリクトしたファイルを選択する
- メニューバーの「Editor」→「Resolve Conflicts」を選択する
- マージツールが表示されるので、ここで、手動でコンフリクトを解決する
- 解決したら右上の「Accept Merge」をクリックして変更を適用する
次に、コンフリクトを解決した内容で、以下の手順でマージを完了させます。
- メニューバーの「Source Control」→「Commit…」を選択する
- コミットメッセージを入力して「Commit」を押下してコミットを実行する
上記手順でコミットまで完了させたら、最後にプッシュをして、Gitに変更内容を反映させます。
- メニューバーの「Source Control」→「Push」を選択する
上記の手順で、XcodeでのGitコンフリクトの解決が完了し、変更がリモートリポジトリに反映されます。
効率的なコミット戦略
Xcodeで効率的なコミット戦略を実践するためには、以下のポイントを考慮することが重要です。
- 小さなコミットを行う
- 意味のあるコミットメッセージを使用する
- 変更セットをまとめる
- 頻繁にコミットする
- ステージングを活用する
- ブランチを適切に利用する
大きな変更を一度にコミットするのではなく、小さな変更を段階的にコミットすれば、コミットの粒度を細かく保つことが可能です。細かなコミットは、変更が理解しやすくなり、バグを見つけやすくなるためおすすめです。
コミットメッセージに、意味のある内容を記載することも、重要ポイントになります。コミットメッセージには、変更の内容や目的を明確に伝える必要があるため、簡素でわかりやすいメッセージを使って変更の背景や理由を説明するようにしましょう。
関連する変更を一緒にコミットすることで、コードの変更履歴を整理して追跡しやすくすることが可能です。一つのコミットには、一つの変更セット（変更のまとまり）を含めるようにすると良いでしょう。
小さな変更を頻繁にコミットすることで、変更を途中で失うリスクを減らして、迅速なバックアウトやコードの復元ができます。
コミットする前に変更をステージングして、不要な変更を除外し、必要な変更だけをコミットするのも重要なポイントです。
ブランチを適切に利用することは、効率的なコミット戦略の一つです。大きな変更や実践的な変更は、新しいブランチで作業して完了したらマージするようにすれば、メインの開発ブランチを安定した状態に保ったまま開発を続けられるでしょう。
これらの戦略を実践すれば、Xcodeでの効率的なコミットが可能となります。
良いコミット戦略を活用してコードの品質を向上させられれば、チーム全体のプロセスをスムーズに進行できるでしょう。
XcodeとGitの統合におけるベストプラクティス
Xcodeでの実践的な技術には、コンフリクトやコミット戦略などがあり、これらを活用できればプロジェクトの進行をよりスムーズに進行できることがわかりました。
次に、XcodeとGitの統合における、ベストプラクティスをみていきましょう。
ここでは、以下2つの観点から、XcodeとGitを統合するベストプラクティスを解説します。
- プロジェクトの効率的な管理方法
- チームでのGit使用時のコツ
それぞれみていきましょう。
プロジェクトの効率的な管理方法
プロジェクトにてXcodeとGitを効果的に利用するためには、おもに以下のような方法があります。
- 適切なGitを使用する
- Xcodeのプロジェクト設定を整理する
- 定期的なコードレビューを実施する
- テストとCI/CDの統合を行う
Gitを使用してバージョン管理を行い、リモートリポジトリを使用してプロジェクトのバックアップと共有を行いながら、チームメンバーとの連携強化を目指します。このためには、ブランチを適切に活用して、新機能の開発・修正・実践的な変更などを分けて管理するのがポイントです。
さらに、コミットメッセージを意味のあるものにして、変更の目的や背景を明確に伝えるようにしましょう。
Xcodeでは、適切なフォルダ構造を使用して、プロジェクトファイルやソースコードを整理するのがポイントです。グループやフォルダを使用して関連するファイルをまとめることが可能であるため、試してみるとよいでしょう。
ビルド設定やターゲットの管理を適切に行い、複数の設定や環境に対応することも重要です。
定期的なコードレビューは、プロジェクトの効率的な管理方法の一つです。
コードの品質やスタイルを確認し、コーディング規約などに準拠するようにします。
コードレビューした結果は、その都度Gitでコミットして、変更履歴を作っておくとよいでしょう。
Xcodeのテストフレームワークを使用して、自動化されたユニットテストやUIテストの作成が可能です。
CI/CDツール（Jenkins・TravisCI・CircleCIなど）を使用して、自動的にビルド・テスト・デプロイメントを行うことができます。テストとCI/CDツールを組み合わせて、品質の高いコードの開発と効率的なリリースプロセスを確立します。
チームでのGit使用時のコツ
XcodeでGitをチームで使用する際のコツは、おもに以下の通りです。
- コミットメッセージの明確化
- ブランチの命名規則の確立
- 定期的なプルとプッシュを行う
- コンフリクトの適切な解決
- コードレビューの実施
- プロジェクト構造の共有
コミットメッセージには、変更の内容や目的を明確に記述することが重要です。明確な記述があれば、チームメンバーがコミットの目的や意図を理解しやすくなるため、意味のあるコミットメッセージを使うようにしましょう。
チーム全体で統一されたブランチの命名規則を確立するのがポイントです。たとえば、機能の追加や修正ごとに新しいブランチを作成するのであれば、それらのブランチ名に一貫性を持たせるとよいでしょう。
チームメンバーが、定期的にリモートリポジトリから変更をプルして最新の状態に保ち、自分の変更をプッシュしてチームと共用することが重要です。
定期的なプルとプッシュは、コードの競合や不整合を防ぐことができます。
コンフリクトが発生した場合は、素早く対処して競合を解決する必要があります。コミュニケーションをとりながら、チームと協力してコンフリクトを解決することが重要です。
チームのメンバー同士でコードレビューを実施し、コードの品質や基準を満たしているかを確認することで、チーム全体のコード品質を向上することができます。
プロジェクトのフォルダ構造や、ビルドなどの設定情報をチームメンバー間で共有することで、これらの一貫性を保ちます。一貫性が保たれていれば、新しいメンバーがプロジェクトに参加する場合でも、プロジェクトの構造やルールについて明確に伝えられるでしょう。
これらのポイントをおさえてプロジェクトを進行できれば、チーム全体が効果的にGitを使用し、協力してプロジェクトを管理することができます。
まとめ：XcodeとGitで開発を効率化
Gitは、分散型バージョン管理システム（DVCS）の一種であり、ソフトウェア開発にてソースコードやファイルの変更履歴を管理するためのツールです。
通常はコマンドラインでGitコマンドを使用して各機能を利用しますが、Xcodeと組み合わせることで、GUIを利用したGitの活用が可能となります。Gitのコミットやプッシュといった機能も、Xcodeで利用すれば、難しいコマンドを打たなくても機能の利用が可能です。
このように、GitとXcodeを組み合わせて活用できれば、より効率よく開発が進められます。
今回解説した内容をご活用いただければ、効率よく開発を進められますが、より細かな操作がわからなかったりさまざまな問題が発生することもあるでしょう。
このように、XcodeでのGitの活用方法で困ったことや相談したことがあれば、株式会社Jiteraへご相談ください。
プロジェクト開発でどのようにXcodeやGitを活用したいかをヒアリングさせていただき、適切なご提案をさせていただきます。
