開発スピードを早める要因は?DevOpsの重要性も解説

下記リンクの「開発スピードを高める トヨタ流 五つの技」にもあるように、製造業において開発スピードを高めることは非常に重要です。これはIT業界でも同様で、アジャイル方式であろうとウォーターフォール方式であろうと変わりありません。

開発スピードが遅くなってしまうと、人件費などのコストが高くなるだけでなく、欲しい機能を作れないなど、多大なデメリットを被る可能性が大きくなります。

だからと言って、製品の品質を犠牲にしてスピードだけ上げてしまったとしても、顧客やエンドユーザーからの信用を失ってしまい、ビジネスの存続が不可能になってしまっては本末転倒です。

本記事では、品質も確保しながら開発スピードを上げ、コストを抑えつつも良質な製品を生産できるようになるためにはどのようなことをしなければならないかを解説します。

参考:特集1 トヨタ流 五つの技 開発スピードを高める トヨタ流 五つの技 | 日経SYSTEMS | 日経BP記事検索サービス (nikkeibp.co.jp)

Nao Yanagisawa
監修者 Jitera代表取締役 柳澤 直

2014年 大学在学中にソフトウェア開発企業を設立

2016年 新卒でリクルートに入社 SUUMOの開発担当

2017年 開発会社Jiteraを設立
開発AIエージェント「JITERA」を開発

2024年 「Forbes 30 Under 30 Asia 2024」に選出

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執筆者

文系大学出身で、25歳の時にIT業界に足を踏み入れました。ヘルプデスクから要件定義まで、下流から上流まで文字通り叩き上げでキャリアを築き上げました。取得した資格もいつの間にかもう2桁に。趣味も資格取得。あと、映画鑑賞と飲み会。

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    開発スピードを決める要因とは?

    ソフトウェア開発は基本的に、品質を維持しながら開発スピードを最大限早くすることが求められますが、それを達成するにはまず、開発スピードの進捗に影響する事柄とはそもそも何なのかを理解しておくことが必要不可欠です。

    そこから各々の要素に対して、状況に適応した対応策を考え、そしてそれを実行していく必要があります。従ってこの章では、開発スピードを決める要因についてそれぞれ以下のように解説していきます。

    プログラムが複雑かどうか

    プログラムは開発スピードを決める、非常に大きな要因の1つですが、これを更に細かく分析していくと、単純なコード量だけでなく、作成しようとしているプログラムの複雑さも大きな影響力を持っています。

    プログラムが複雑になると、どのようなプログラムを作成すれば良いのか、完成形を頭に思い浮かべるだけでも苦労します。

    仮にコーディングやテストが始まったとしても、考慮不足でプログラムの修正が何度も発生し、更に時間を費やしてしまう可能性が大きくなります。

    また、そもそも複雑なプログラムというのはそれだけコードの量も多い場合が多いため、コーディングやテスト自体にもそれなりに時間を費やさなければなりません。

    プロジェクトに携わる開発者の人数

    これはソフトウェア開発に限定される話ではなく、製造業全体に共通する話ですが、製造者や開発者の数が多ければ多いほど、1日当たりに生産できる量も多くなります。つまりソフトウェア開発で言えば、プロジェクトに携わる開発者の人数が多ければ多いほど開発スピードも向上させることができます。

    開発者の人数が多いプロジェクトでタスクを上手く割り振り、尚且つ開発者がコードのバージョン管理をルール通りに行った場合、非常に速度の早いプログラミングを行うことが可能になります。

    逆にプロジェクトに携わる開発者の人数が少なかった場合、開発者1人が責任を持つ業務の量も種類も非常に多くなってしまうため、プロジェクトが難航してしまう場合が多いです。

    高品質なコードかどうか

    コードの品質は開発スピードに大きな影響を与えますが、新たに開発するコードの品質だけでなく、既存のコードの品質についても影響力は非常に大きいです。

    所謂スパゲッティコードと呼ばれる、品質の低いコードの場合、読み解くだけでも苦労する場合が多いですし、保守性が非常に低いため、想定よりもコードの修正量が多くなります。

    また、新たに開発するコードの品質が低かった場合は、出戻りが多くなって想定よりも多くの時間を費やすことになります。

    従って高品質なコード、つまり読み解きやすくて尚且つ後から新たな処理を追加しやすいコードでプログラミングを行うことを、ソフトウェアの開発者は常に心がけていなくてはなりません。

    優秀なチームメンバーがいるか

    チームメンバーの数だけでなく、質も高ければ開発スピードを上げることが可能になります。逆にチームメンバーの質が低かった場合、開発スピードが遅くなるだけでなく、開発したい機能のプログラミングが不可能となり、最悪の場合開発自体が停止する恐れがあります。

    優秀なチームメンバーの数が多ければ多いほど、複雑なプログラムを数多くこなせるようになるため、コーディングの質の量も飛躍的に高めることができます。

    また、優秀なチームメンバーがいると、その人が保持している知識を他のチームメンバーにも共有させ、チーム全体のレベルを底上げすることも可能になるなど、チーム全体に好影響を与えることができます。

    開発スピードを上げる施策は?

    ソフトウェア開発においては、開発スピードを早めることで多くのメリットを享受することができます。この章では、開発スピードを早めるための施策をいくつか紹介します。

    その施策には様々な種類のものがありますが、共通点として、プロジェクトの開発状況の現状や体制を視覚化して見えるようにすることがあげられます。

    このようにすることでプロジェクトの問題点をいち早く把握し、有効な対策を打つことができるようになります。

    作業改善でムダを取り除く

    開発スピードを上げるためには、まず作業を改善してムダを取り除く必要があります。ムダな作業を極力取り除くことで、本業であるコーディングやプログラムの考察により多くの時間や労力を投資することが可能になります。

    作業を改善してムダを取り除くためには、まず現在の作業フローや資料などをまとめて一覧化する必要があります。

    このようにすることでどの作業を省けるか、または統合することができるかがわかるため、ムダな作業を排除することができます。

    また、わからないことがあった場合はどこを調べれば良いか、誰に聞けば良いかなどのルールを作成させることもできるため、不足な事態が起こっても効率良く状況を改善することができます。

    他社との差別化や優位性確保のため商品計画より先行開発

    開発スピードを上げるためには、商品計画よりもまず先行開発を行うことも重要になります。

    しばしば、自社の商品に優位性を持たせるため、先行開発よりもまず商品計画を優先し、尚且つ時間をかけてしまう事例は非常に多いです。それ自体はそこまで悪いことではないのですが、結果として現実性の薄い計画となってしまい、絵に描いた餅になることも多いです。

    もしくは、非常に複雑なプログラミングをこなさなければならなくなる可能性が高くなります。

    このような事態を避けるためにもまず先行開発を行って商品のイメージを視覚化して、現実的な商品計画を練るのと同時に、プログラミングのタスクを早めに処理することができます。

    コンカレントエンジニアリング

    コンカレントエンジニアリングとは、ソフトウェア開発における複数のプロセスを同時並行で進める開発手法を意味します。複数のプロセスを同時に進めるため、開発スピードを飛躍的に高めることができます。

    この開発手法を行うに当たっては、まず開発開始から終了までの計画をしっかりと練る必要があります。行き当たりばったりに開発を進めてしまうと、同じテストを2重に行う羽目になるなど、寧ろ時間を浪費してしまう危険性すらあります。

    従って、計画の段階で、いつまでにどの開発を終わらせてテストを行い、テストの間に別チームはどの開発を行うか、スケジュールを視覚化してチームメンバーに共有・管理する必要があります。

    シミュレーションしながら製品設計

    先行開発をするかどうかは別として、常に完成品をシミレーションしながら製品設計することはソフトウェア開発において非常に重要です。

    完成品や現実的なコードを全く考えずに商品計画や要件定義を行う事例が多いですが、このような事態に陥った場合、顧客と設計を担当するチーム、プログラミングを担当するチームで論争になるか、複雑なプログラミングを行う羽目になります。どちらにしても開発スピードを著しく低下させてしまいます。

    従って、自分の考えを常にドキュメントに落とし込み、そもそも実現可能なのかを意識しながら、ソフトウェア開発に関わる各チームと自分の考えを共有しながら作業を進めていく必要があります。

    開発スピードを早くするメリット

    ソフトウェア開発において、開発スピードを早くすることは多くのメリットをもたらします。開発コストを削減できる、開発できる機能の量が多くなるなどの物理的なメリットは勿論、開発の計画に余裕を持てるなど、精神的なメリットについても享受することができます。

    開発スピードを早くするためには、事前にある程度の時間や労力を投資する必要がありますが、上手く計画を練ってそれを管理・実施することができれば、それに見合うだけの見返りを期待できます。

    疑問点を洗い出すことができ余裕を持って開発できる

    開発作業を行う際、疑問点を持ったまま放置することは必ず避けなければなりません。もし疑問点を放置して開発を進めてしまうと、完成品がそもそもの目的や要件から外れたものになってしまう可能性があります。このような事態が起こった場合、大きな出戻りが発生してしまうことになり、貴重な費用と時間が大幅に失われてしまうことになります。

    ですが開発スピードを早くすることによって要件などの考慮に多くの時間をかけることができ、疑問点を解消しやすくなって完成イメージが想像しやすくなるため、出戻りのリスクが飛躍的に少なくなります。結果として心理的にも物理的にも余裕を持った開発を行うことが可能になります。

    早期にフィードバックをもらえる

    人間誰しも見落としや思い込みというものはあるもので、それはITの世界においても同様のことです。もし見落としや思い込みを放置したまま開発作業を進めてしまうと、深刻なバグやエラーが起こる可能性が高くなるため、こちらについても大幅な出戻りが発生するリスクがあります。

    従って、なるべく早く上司や同僚からのレビューを受け、フィードバックを貰う必要があります。レビューを受ける時期が早ければ早いほど、出戻りのリスクを小さくすることができます。また、もし仮に出戻りが発生したとしても、状況を既にチームメンバーに共有している状態のため、危機対応の初動を早くし、出戻りの被害を最小限に抑えることも可能になります。

    コードレビューからのフィードバックと改善

    開発スピードを上げてコードレビューに時間をかけることで、上記の出戻りのリスクを小さくする以外にも、保守性を高めることができるなどのメリットも享受することができます。

    要件の目的は達成しており、尚且つエラーが発生しないコードだったとしても、条件が不必要に複雑で読みにくいスパゲッティコードでは、次回以降の開発作業に支障が出て開発スピードが遅くなる要因になります。

    しかし、開発スピードを上げてコードレビューからのフィードバックや改善にも時間を使うことで、より読みやすくて保守性の高いコードにすることができます。つまり次回以降の開発のスピードを早くするための布石を打つことができるのです。

    リファクタリングの時間に余裕が出る

    前述した「コードレビューからのフィードバックと改善」に内容は少し似ていますが、開発スピードを早めることで、リファクタリングにも時間をかけることができます。

    新たに開発した部分だけでなく、コード全体についても改善をすることで、コードの読みやすさや保守性をより向上させ、次回以降の開発スピードを更に上げることが可能になります。

    また、リファクタリング作業を行う過程でコード全体を読み解くため、システムやアプリケーションに対する理解が深くなり、チームメンバーのスキルや知識が向上するというメリットも向上することができます。

    リファクタリングにも時間をかけることで、チームメンバーのスキル向上と次回以降の開発のスピードのアップという2つのメリットを得ることができます。

    テスト時間が多く取れバグに対応できる

    ITに限らず、製造業においてテストは非常に重要な業務です。製造業において度々製品の不具合を原因としたリコールが起こっていますし、ITにおいても富士通がイギリスで請け負ったシステムにバグが残っていた事例がありました。

    どちらも自社の信用や収益力を大いに損なう結果になりましたし、富士通の事例に至ってはエンドユーザーにまで多大な損害を負わせてしまいました。従って、テストの時間はなるべく多く取るようにしなければなりません。

    開発スピードを早めることで多くのテスト時間を取ることができますが、それは自社のビジネスの信用や自社で作成したシステムやアプリケーションのエンドユーザーの利益を守ることにもつながります。

    パーキンソンの法則への対策ができる

    パーキンソンの法則とは要するに、仕事というものは必要以上に時間をかけ、期限ギリギリに完遂するような状況になることが多い、というものです。この法則から逃れるためには仕事のスピードを早め、完遂までの道のりをなるべく明確にする事です。

    完遂までの道のりがイメージできないとモチベーションが上がらず、仕事の進捗も悪くなってしまいがちです。しかし、仕事のスピードを早めて完遂までの道のりを明確にすることでモチベーションも上がり、作業も捗ります。

    従って開発スピードを上げることでパーキンソンの法則にも対応することができ、開発作業のマンネリ化やモチベーションの低下などの事態も防ぐことができます。

    DXのシステム開発に適した新しい手法「DevOps」と「アジャイル開発」

    DevOpsとは簡単に言うと、開発担当と運用担当が密に連携しあう体制のことで、アジャイル開発はソフトウェア開発を短い期間で区切り、何度も繰り返す開発手法のことです。どちらもスピードやアジリティに優れており、DX関連の開発に適した、比較的新しい体制の方式や開発手法になります。

    DevOpsとアジャイル開発は非常に親和性が高いため、一緒に導入することで、強みをより発揮し、開発スピードを上げることができます。

    担当部署 開発ステップ数
    DevOps 開発・運用 7
    アジャイル開発 開発 3

    DevOps

    DevOpsとは前述した通り、開発担当と運用担当が密に連携を取ったうえで双方のプロセスを極力自動化し、一体となって運営する開発体制のことです。このような体制にすることで開発スピードを飛躍的に高めたうえで品質も確保することができます。

    開発担当はスピードを上げたいと思うことが多いですが、運用担当は安全性や安定性を重視することが多いです。重視するものが違うため、開発担当と運用担当の意見は対立することが多いですが、この2つを一体にすることで双方のギャップを埋め合わせやすくなります。

    「プラン」「コード」「ビルド」「テスト」「デプロイ」「運用」「モニター」という7つのステップで構成され、これらを1つのチームや部署で担当します。開発と運用の情報が即座に共有されるため、「スムーズな開発の実現」「生産性の向上」「リリースの高速化」というメリットを享受することができます。

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    アジャイル開発

    アジャイル開発とは、ソフトウェアを機能ごとに小さく分解し、「計画」「開発」「リリース」というステップを短い期間にまとめて何度も繰り返すソフトウェアの開発手法のことです。

    メリットとしては要求変更や仕様変更を頻繁に行われたとしても柔軟に対応できることで、その時代のトレンドに合わせてソフトウェアの価値を最大化することに重点が置かれているのが特徴です。

    アジャイルとは素早い、という意味合いで、元々はサービスインまでの時間を短縮することができることがこの開発手法の名前の由来です。

    開発スピードを高めることで開発期間を更に短くすることができるため、強みである柔軟性を更に強めることが可能になります。

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    開発スピードのまとめ

    この記事で既に述べたように、ソフトウェア開発において開発スピードを上げることは非常に重要で、成功すればプロジェクトにポジティブな影響を与えることができます。しかし、むやみに人員や予算、時間を投資しても成功は難しく、綿密な計画や準備が必要になります。

    この記事を最後まで読んで、開発スピードを上げるための方法などについては何となくわかったが、自社のビジネスや仕事のやり方に上手く落とし込めないと思った方も多くいると思います。

    そのような方は株式会社Jiteraに連絡をすることをお勧めします。株式会社Jiteraが抱えているエンジニアやプロダクトマネージャーは、クライアントの新規事業の推進やプロダクト開発の推進に関する経験が豊富です。つまり、ビジネスとIT、両方の知見が豊富であるため、クライアント個々のソフトウェア開発の状況に適したアドバイスを行える可能性も高いということです。

    もしも株式会社Jiteraに連絡をしたい場合、このリンクをクリックしてください。

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