人流分析とは、人々がどのように移動し、どこで滞在するのかを データで把握し、分析することです。
簡単にいうと、人の流れを可視化して、その情報を生かすことです。
この記事では、人流分析が 何に役立つのか、どのように活用されているのか、注目される理由は何かなど、人流分析の基本 について分かりやすく解説します。
さらに、人流分析に用いられる代表的な手法も紹介するので、 企業が自社ビジネスへの活用を検討する際の参考にしてください。
![Nao Yanagisawa](https://xs691486.xsrv.jp/wp-content/themes/JITERA/images/director-nao-1.png)
2014年 大学在学中にソフトウェア開発企業を設立
2016年 新卒でリクルートに入社 SUUMOの開発担当
2017年 開発会社Jiteraを設立
開発AIエージェント「JITERA」を開発
2024年 「Forbes 30 Under 30 Asia 2024」に選出
アプリ・システム開発は生成AIを活用することで、従来の開発ではあり得なかった、低コスト・高品質開発・スピード開発が同時に実現できます。
▼従来の開発とAIを使った開発の違い
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システムソリューションを得意とし、新規事業からDX推進まで幅広いジャンルの開発実績があります。
人流分析とは?定義から基礎知識を解説
人流分析とは、人々の移動や行動パターンを把握し、得られたデータを分析・活用することです。
主に都市計画や商業施設、交通機関などの分野で利用され、施設の効率的な運営やサービス向上に役立てられています。
人流分析を活用した具体的な事例として、トイレの利用状況を分析することが挙げられます。
まず、男子トイレと女子トイレそれぞれの利用回数をカウントします。もし男性の利用回数が多い場合、男子トイレの数が不足している可能性があります。
この場合、男子トイレを増設すると、利用者の利便性を高め、混雑を緩和することが可能です。
人流分析は、IoTセンサーやビデオ解析、GPSデータなどさまざまな技術を用いられ、リアルタイムで把握できます。
人流分析が注目されている理由
人流分析が近年特に注目を集めている理由の中でも、主に以下の3つの理由があります。
- IoTとビッグデータの進展
- 感染症対策
- 競争力強化
IoTとビッグデータの進展
センサー技術やデータ処理技術の発達により、大量の人流データの収集・分析ができるようになりました。
スマホやビーコンなどのデバイスを通じて、リアルタイムの人流情報を取得できるようになり、より精度の高い分析が可能です。
この技術的進歩が、人流分析の活用範囲を大きく広げています。
感染症対策
新型コロナウイルスの流行を契機に、人流把握の重要性が改めて認識されました。
感染リスクの高い場所の特定や、ソーシャルディスタンス確保のために、人流分析が積極的に活用されています。
感染症対策における人流分析の有用性が広く認知されたことで、その注目度が大きく高まっています。
競争力強化
商業施設や小売業界では、人流分析を活用することで、競合他社との差別化を図り、競争力が高まります。
客層や来店パターンを分析し、最適な店舗配置やマーケティング戦略を立てることで、収益の拡大につなげられます。
激化する競争環境の中で、人流分析によるデータ活用が企業の成長に不可欠です。
人流分析の5つのメリット
人流分析には、以下のようなメリットが存在します。
- リアルタイムで情報収集ができる
- 消費者の行動パターンがわかる
- 顧客に適切なアプローチが取れる
- 競合の状況を分析できる
- 人々の行動パターンに合った集客ができる
順番に確認しましょう。
リアルタイムで情報収集ができる
人流分析では、センサーやカメラ、GPSデータなどを活用することで、リアルタイムで人の動きを捉えられます。
現在の混雑状況や人気のエリアをすぐに把握できるようになり、迅速な対応が可能です。例えば、商業施設では、リアルタイムの人流情報を基に、スタッフの配置を最適化したり、レジの開閉を調整したりすることで、顧客の待ち時間を短縮できます。
また、交通機関においても、リアルタイムの人流データを用いて、需要に応じた運行計画の調整が可能です。
混雑する路線や時間帯に臨時便を増発したり、乗客が少ない時間帯は運行本数を減らしたりするなど、効率的な運営ができるようになります。
その場の状況に応じた最適な対応が可能となり、顧客満足度の向上や業務の効率化につながります。
消費者の行動パターンがわかる
人流分析を通じて、消費者の行動パターンを詳細に理解できます。
どの時間帯に来店が多いのか、店内のどのエリアに滞在時間が長いのかなど、消費者の動きを可視化できます。
これらの情報を活用すれば、店舗レイアウトの改善や商品配置の最適化など、消費者のニーズに合わせた施策を打ち出すことが可能です。
例えば、ある衣料品店では、人流分析の結果、店舗の奥にある試着室付近に長時間滞在する顧客が多いことが分かったとします。
この情報から、試着室付近に関連商品を配置したところ、販売数が大きく伸びました。
また、レジ付近での滞在時間が短い場合、レジ前に衝動買いを促す商品を配置することはおすすめです。
顧客に適切なアプローチが取れる
人流分析から得られる顧客の行動データを活用することで、一人ひとりの顧客に適したアプローチが可能です。
例えば、来店頻度の高い顧客にロイヤルティプログラムを提供したり、特定の商品に関心を示す顧客にはターゲティング広告を配信したりするなどです。
このようにパーソナライズされたマーケティングを実施すれば、顧客満足度が向上し、リピート購入のきっかけにもなります。
競合の状況を分析できる
人流分析は、自社の店舗だけでなく、競合他社の状況も把握するのに役立ちます。
競合店舗の来客数や滞在時間、客層などを分析すると、自社との差別化ポイントが明確になり、競争戦略の策定に活かすことが可能です。
例えば、人流分析により、競合店舗が特定の時間帯に集客力を発揮していることが分かったとします。
その場合、店舗でその時間帯に特別なイベントやプロモーションを実施できれば、自社に集客できる可能性があります。
競合店舗との差別化を確認し、対策を打つようにしましょう。
人々の行動パターンに合った集客ができる
人流分析で得られた知見を基に、人々の行動パターンに合わせた集客施策を展開できます。
例えば、平日の昼間に来店が少ない場合は、ランチタイムの特別メニューを提供したり、ワーケーションスペースを設けたりするなど、その時間帯ならではの需要を掘り起こすことが大切です。
週末の家族連れが多い時間帯には、キッズスペースを設置したり、ファミリー向けのワークショップを開催したりするなど、ターゲットに応じた施策で集客力が高まります。
また、人流分析で得られた情報を活用し、天候や季節、イベントなどの外的要因に合わせた集客施策もおすすめです。
雨の日には店内でドリンクを1杯無料にしたり、夏休みシーズンにはお子様向けの企画を展開したりするなどです。
このようにきめ細やかな集客施策を実施すると、来店客数の増加と顧客満足度の向上を同時に実現できます。
人流分析の5つの手法
人流分析には、以下のような手法があります。
- センサー技術
- ビデオ解析
- GPSデータの解析
- Wi-FiやBluetoothデータの利用
- 人間の観察
上記の手法を複数組み合わせることで、より包括的な人流分析ができるようになります。
センサー技術
カウンターセンサー・赤外線センサー・RFID(Radio Frequency Identification)などのセンサーを使用して、人々の通過や滞在を検出します。
これらのセンサーを使用することで、人の動きを自動的かつ連続的に検出できるため、長期間の人流データを効率的に収集できます。
また、センサーの種類によっては、人数カウントだけでなく、方向や速度なども検出可能です。
通常、出入り口や通路など、特定の場所に設置されるケースが多く、見たことがある方もいるでしょう。
ビデオ解析
カメラを使用して人々の動きを記録し、ビデオ解析ソフトウェアを使用して人数や移動パターンを抽出します。
AIやディープラーニングの発展により、ビデオ解析の精度が向上しているため、近年精度高く検知可能です。
また、プライバシーに配慮した分析手法(個人が特定されない形での分析など)の重要性も高まっています。
顔認識や歩行パターン解析などの技術も利用して、解析する場合もあります。
GPSデータの解析
スマホや車両などに搭載されたGPSデバイスを使用して、人々の移動を追跡し、位置データを解析します。
GPSデータを活用すると、人々の移動経路や滞在場所を詳細に把握することが可能です。
この手法は、都市計画や交通計画、観光分野などでも広く活用されていて、特に屋外での移動分析には向いています。
例えば、都市計画の分野では、GPSデータを用いて人々の通勤・通学ルートを分析し、公共交通機関の最適化に役立てられています。
また、観光分野では、観光客の動向を把握し、効果的な誘客策を立てるために活用されています。
Wi-FiやBluetoothデータの利用
Wi-FiやBluetoothなどの無線通信技術を使用して、人々のスマートデバイスの位置情報を収集し解析します。
Wi-FiやBluetoothデータを利用することで、屋内での人流分析ができるため、商業施設やイベント会場などでの活用例が増えています。
人々の屋内での移動や滞在を追跡できる点が大きなメリットです。
人間の観察
サンプリングやアンケート、フィールド調査などの手法を使用して、人々の行動や動機を直接観察又は調査します。
人間の観察では、人々の行動や心理的な側面も把握できます。
アンケートやインタビューなどを通じて、人々のニーズや満足度を直接的に把握できるのが特徴です。
人流分析の実際の利用事例
人流分析データを活用できれば、店舗・施設管理やマーケティングへさまざまなメリットがあることがわかりました。
次に、より具体的な利用事例をみていきましょう。
ここでは、以下2つの利用事例から、人流分析の実際の利用事例を解説します。
- 小売店/商業施設
- イベント会場
それぞれみていきましょう。
小売店/商業施設
小売店や商業施設における、人流分析の利用事例は多岐にわたります。
- レイアウト最適化
- 顧客接触ポイントの特定
- 需要予測と在庫管理
- 新規出店場所の選定
レイアウト最適化
人流分析データを活用して、店舗内の陳列や配置を最適化します。
需要が高いエリアに商品を配置したり、購買意欲を高めるための特設コーナーを設けたりすることで、売上向上を狙うことが可能です。
顧客接触ポイントの特定
人々の通行量や滞在時間を分析して、顧客と接触する機会の高いエリアやポイントを特定します。
このようなポイントに特設のディスプレイやプロモーションを配置することで、顧客とのコミュニケーションを促進し、購買につなげます。
需要予測と在庫管理
需要のピークや需要が低い時間帯を、人流分析データから把握します。
人流分析データから、必要とされる商品の状況を把握し、適切な在庫レベルを維持して在庫の過不足を防ぐことができます。
新規出店場所の選定
人流分析データを活用して、需要高いエリアや競合店舗の少ない地域を特定します。
このようなデータに基づいて新規出店場所を選定すれば、売上の伸長や市場シェアの拡大をはかることが可能です。
イベント会場
イベント会場での人流分析の利用事例を、以下の通りです。
- セキュリティ強化
- イベント運営の最適化
- 施設配置の最適化
- マーケティングとスポンサーシップ活動
セキュリティ強化
イベント会場では大勢の人が集まるため、セキュリティ強化が重要です。
人流データを分析すれば、危険な状況や異常な行動を検知して早期に対処できます。
例えば、人が密集しすぎたエリアや急激な動きがあった場合には、警告を発することができます。
イベント運営の最適化
人流分析データを活用して、イベント会場内の施設配置の最適化が可能です。
適切な案内や誘導を行って、スムーズな入場や移動を促進することができます。
大きな会場の場合、人の目だけでは会場全体の動きを把握することは困難なため、人流分析データが役立ちます。
施設配置の最適化
人々の導線や滞在時間を分析して、イベント会場内の施設配置を最適化します。
例えば、飲食ブースやトイレ、休憩スペースなどを適切な場所に配置することで、利用者の利便性を向上させることができます。
休憩スペースを設置していても、人流分析データの解析結果から動きが見えないようであれば、休憩スペースを増設することで人の動きが生まれ、混雑を緩和することが可能です。
マーケティングとスポンサーシップ活動
イベント会場内での人の動きや行動パターンを分析して、スポンサーシップの効果やブランド露出度を評価します。
スポンサーとの提携やマーケティング活動の最適化をはかることが可能です。
コラボしたスポンサーとの共同で開催するイベントに人が集まることがわかれば、次回も同じようなイベントを実施したり、同じスポンサーと別のイベントを実施することを検討できます。
人流分析を始めるためのおすすめサービス提供会社
人流分析は、小売店や商業施設、イベント会場で利用されていることがわかりました。
では、人流分析を始めるためにどのようなサービス会社を利用すると良いのでしょうか。
ここでは、おすすめのサービス会社を以下4社選別して、紹介します。
- 株式会社Agoop
- LocationMind株式会社
- データワイズ株式会社
- 株式会社unerry
それぞれみていきましょう。
株式会社Agoop
株式会社Agoop(アグープ)は、位置情報ビッグデータ事業を運営する企業です。
Agoopは、スマートフォンアプリから位置情報やセンサー情報を集積したデータを独自の技術での解析して、人の動きを可視化することを実現しています。
このデータを基に、高精細な商圏分析・店舗開発・売上予測・観光分析など、さまざまな場面で活用できる人流データを提供しています。
Agoopが提供するサービスの料金プランは、以下のとおりです。
- バリュープラン(10アカウント):月額税別25万円から
- スタンダードプラン(5アカウント):月額18万円から
- ライトプラン(3アカウント):月額12万5000円から
詳しくは公式サイトの料金プランを参考ください。
Agoopは、「Shop Studio」「Papillio」「マチレポ」など、それぞれの分野や市場に適した人流分析データを提供できるサービスを展開しています。
LocationMind株式会社
LocationMind株式会社は、予測サービス・位置認証サービスなどの位置情報から人流解析を行う、コンサルティング企業です。
LocationMind株式会社は、2023年5月31日より、不動産・ディベロッパー業界に特化した人流分析SaaSサービス「LocationMind 」の提供を開始しました。
LocationMindはGPSデータを活用し、人の流れを可視化することで業務判断に必要なインサイトの取得、業務課題解決に向けた分析を可能にするサービスです。
このサービスの料金プランは、以下のとおりです。
<データ更新なしプラン>
- 1〜50施設:30万円(税抜)
- 51〜100施設:50万円(税抜)
<データ更新ありプラン>
- 1〜50施設:60万円(税抜)
- 51〜100施設:100万円(税抜)
詳しくは公式サイトの料金プランを参考ください。
データ更新ありプランの方が料金は高くなりますが、常に最新のデータで業務判断に利用できるため、便利です。
データワイズ株式会社
株式会社データワイズは、ドコモの位置情報ビッグデータを扱うビッグデータコンサルティングファームです。
データワイズは、ドコモdポイントクラブアプリの位置情報と属性データの情報に基づいて、人流マーケティングツール「Datawise Area Marketer」を提供しています。
データワイズは、独自で開発したAIのアルゴリズムを活用して、大量の人流データに対して高い精度を実現しています。
利用料金プランは、以下のとおりです。
- 利用ID数 1:200万円
- 利用ID数 2〜5:400万円
- 利用ID数 6〜10:600万円
利用者ID数によって利用料金が変わるため、自社でどのような活用をしたいか検討することが重要です。
株式会社unerry
株式会社unerryは、ビッグデータとAI解析を活用し、リテールやまちづくりの分野でサービスを提供しています。
月間300億件以上の人流ビッグデータをAI解析し、リアルな行動データを可視化、分析して提供する企業です。
ビーコンやGPS、IoTセンサー技術を組み合わせ、リアル社会の「人」や「場所」を網羅的にデータ化し、リアル購買行動マーケティングに活用できるソリューションを提供しています。
リアルな行動を分析することで、人々の意識していない癖や習慣・関心などを技術的に見出してそこにアプローチできるIoTプラットフォームを展開しているのが特徴です。
料金プランは、以下のとおりです。
- パーツ提供プラン:お買物混雑マップと同等のWEBパーツを提供
- データ提供プラン:混雑推定データを提供
店舗数や業態に応じて月額30,000円(税別)から利用できます。
詳細な料金は、公式サイトの料金プランを参照ください。
人流分析のまとめ
人流分析とは、人々の移動や行動パターンを把握し、データを分析・活用することです。
主に都市計画、商業施設、交通機関などの分野で用いられ、来客数や顧客の行動パターンを理解する際に役立ちます。
人流分析には多くの手法があり、センサー技術、ビデオ解析、GPSデータ、Wi-FiやBluetoothデータの利用、人間の観察などが挙げられます。
これらを組み合わせることで、より包括的で詳細な分析が可能です。
人流分析は、ビジネスの意思決定や課題解決に大きく貢献する手法です。データドリブンな経営を目指す上で、人流分析は非常に有用なツールと言えます。
株式会社Jiteraでは、AIを使ったシステム開発が得意で、大手企業の開発実績も多くあります。
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