Vue.jsの世界では、状態管理のアプローチとしてReduxやVuexが長らく支持されてきました。しかし、最近のトレンドは、よりシンプルで柔軟な方法を求める方向に移り変わっています。この新しい波を代表するのがPinia(ピーニャ)です。PiniaはVue.jsのために特別に設計された状態管理ライブラリで、使いやすさと効率性を重視しています。Vuexと比較しても、より直感的で、学習曲線も緩やかです。Piniaは、Vue 3との相性が特に良く、コンポーネント間での状態の共有や管理をスムーズに行えます。
本記事では、そのPiniaの基礎や状態管理の仕組みなどについて解説します。

東京在住、大手IT企業出身、Web業界10年以上のアラサーです。新規事業開発やシステム開発にプロジェクトベースで関与したりこれまでの経験をもとに執筆活動を行っています。
Piniaとは?
Piniaは、Vue.jsの状態管理ライブラリです。コンポーネント間やページ間での状態の共有を容易にすることができます。Piniaは、Composition APIを使用するだけでなく、Options APIやVue 2にも適用することができます。
Piniaは、Vuex 5.xの要求事項のほとんどを満たしており、Vue公式の状態管理ライブラリとして指定されています。それだけでなく、サーバーサイドレンダリング(ViteやNuxt.js)にも対応しています。
Piniaは、ピーニャと読まれます(発音記号では「piːnjʌ」)。公式のドキュメントやサンプルを参考にしながら、Piniaを使用することができます。
Piniaの概念
Piniaの概念は、状態管理ツールとしてのコンポーネント間でのデータ共有を実現することです。状態管理はアプリケーション内で共有されるデータを管理し、一貫性とメンテナンス性を提供します。
データの更新やAPI通信などを管理するために状態管理が必要です。VueではPropsやEmitを使用してコンポーネント間でデータの受け渡しを行うことができますが、複雑なアプリケーションでは処理が煩雑になる場合があります。
ここで、Piniaが利用されます。Piniaを使用することで、コンポーネント間でデータを共有しやすくなります。これにより、アプリケーションの状態管理を効率的に行うことができます。
Piniaの起源と目的
Piniaは、Vueアプリケーションにおける状態管理の需要に応えるために生まれました。Vuexでは、デフォルトでは型推論がサポートされていないという課題がありましたが、PiniaではデフォルトでTypeScriptのフルサポートがされています。
また、PiniaではVuexと比較して、mutationsの概念がなくなり、ストアの更新はactionsを使用して行われます。これにより、よりシンプルで直感的なコードを記述することができます。
Piniaの目的は、Vueアプリケーションの状態管理をシンプルかつ効率的に行うことです。開発者が簡単に理解・使用できるツールを提供し、より良い開発体験を実現することを目指しています。
Piniaの基礎
PiniaはVue.jsの状態管理ライブラリであり、コンポーネント間でデータを共有するための仕組みとして使用されます。Piniaを使うことで、アプリケーション全体で一貫性のあるデータの管理やメンテナンス性の向上が可能になります。
Piniaの主要な特性
Piniaには以下のような主要な特性があります。
- Composition API、Options API、Vue2に適用可能
- Vuex5.xの要求事項をほとんど満たしており、Vue公式の状態管理ライブラリに指名されている
- サーバーサイドレンダリング(ViteやNuxt.js)にも対応している
- インストール方法はコマンドで行える
これらの特性により、開発者は自身の好みやプロジェクトの要件に応じてPiniaを使用することができます。
Piniaの使用方法
Piniaを使うためには、以下のステップがあります。
- PiniaインスタンスをVueアプリに適用するために、App.use()の引数にPiniaインスタンスを入れます。
- defineStore()を使用してStoreを作成します。Storeは一意なIDを指定し、定義を書くことで作成されます。
- 他のモジュールでStoreを使用するために、defineStore()の戻り値をエクスポートします。
- useStore関数を使用して、コンポーネント内でStoreを使用します。これにより、コンポーネント間で共有されるデータを扱うことができます。
以上の手順を踏むことで、Piniaを使用して状態管理を行うことができます。具体的な使用例やパフォーマンスについては、後述のセクションで詳しく解説します。
Piniaにおける状態管理
PiniaはVue.jsの状態管理ライブラリであり、コンポーネント間でデータを共有するための仕組みを提供します。状態管理はアプリケーションのコンポーネント間で共有されるデータを管理するための重要な実装であり、一貫性とメンテナンス性を提供します。
データの更新やAPI通信など、アプリケーションの状態を管理するためには、状態管理が必要とされます。VueではPropsやEmitを使用してコンポーネント間でデータの受け渡しを行うことができますが、複雑になると処理が煩雑になるため、状態管理ライブラリが利用されるのです。
PiniaはComposition APIを使用しており、Vue3に使用されている最新のAPIを利用しています。しかしながら、オプションAPIやVue2でも利用することが可能であり、互換性に配慮されています。
また、Vuexではデフォルトで型推論がサポートされていなかったのに対し、PiniaではデフォルトでTypeScriptのフルサポートがされているため、より安全な開発が可能です。
Piniaによる状態管理の方法
Piniaでは、defineStore()
を使用してStore(ストア)を作成します。ストアはアプリケーションの状態を管理するためのオブジェクトであり、一つのストアは複数のコンポーネントから共有されることができます。
まず、ストアの一意なIDを指定し、ストアの定義を書きます。この定義には、状態(state)、ゲッター(getters)、アクション(actions)の3つのプロパティを指定します。
定義が完了したストアは、他のモジュールで使用するために`defineStore()`の戻り値をエクスポートします。これにより、他のコンポーネントでストアのデータやメソッドにアクセスすることができます。
Piniaでは、直接値を書き換えることでストアのデータを更新します。Vuexではmutationsを使用してデータの更新を行いますが、Piniaではこの概念がなくなり、ストアの更新はアクションを実行することで行われます。
また、Piniaではストアの一部のデータを更新するためのメソッドとして$patch()
と$reset()
が用意されています。これらのメソッドを使用することで、必要なデータのみを更新することができます。
以上がPiniaによる状態管理の方法です。Piniaを使用することで、簡潔で効率的な状態管理が可能になります。
PiniaとVuexの比較
Vuexとの違い
PiniaはVue.jsの状態管理ライブラリであり、Vuexと同様の役割を果たします。しかし、PiniaとVuexにはいくつかの違いがあります。
1. TypeScriptのサポート
PiniaはデフォルトでTypeScriptのフルサポートがされています。これにより、開発者は型推論や型チェックの恩恵を受けることができます。一方、Vuexではデフォルトでは型推論がサポートされていなかったため、開発者が明示的に型を指定する必要がありました。
2. ミューテーションの有無
Vuexでは、状態の更新はミューテーション(mutations)を介して行われます。ミューテーションを使用することで、状態の変更履歴をトラッキングし、デバッグや状態の変更のハンドリングが容易になります。一方、Piniaではミューテーションの概念がなくなり、ストアの更新はアクション(actions)で行われます。これにより、よりシンプルなコード記述が可能になります。
3. Composition APIのサポート
PiniaはVue 3のComposition APIを使用していますが、VuexはVue 2のOptions APIを使用しています。Composition APIはより柔軟で直感的な記述ができるため、開発者にとって使いやすい状態管理ライブラリと言えます。
4. Vueの公式の状態管理ライブラリ
PiniaはVuex 5.xの要件をほぼ満たしているため、Vueの公式の状態管理ライブラリに指定されています。これにより、Vueコミュニティでの開発やサポートが活発に行われています。
以上がPiniaとVuexの主な違いです。開発者は自身のプロジェクトの要件や開発スタイルに応じて、PiniaやVuexのどちらを選択するか検討する必要があります。
Piniaの実用例
具体的な使用ケース
Piniaは、状態管理を必要とするさまざまなアプリケーションで使用されます。具体的な使用ケースとしては、ショッピングカートの作成や操作が挙げられます。
例えば、ユーザーがアイテムをカートに追加する場合、Piniaを使用してカートの状態を管理することができます。Piniaのストアを作成し、カートアイテムの配列をstateとして保持します。ユーザーがアイテムを追加すると、actions内で新しいアイテムをstateに追加する方法を定義することができます。その後、ゲッターを使用してカート内のアイテム数や合計金額を計算することもできます。
このようにPiniaを使用することで、状態管理が容易になり、複数のコンポーネント間でデータを共有する必要がある場合でも、一貫性のあるデータ管理を実現することができます。
Piniaのパフォーマンスと典型的な使用法
Piniaは非常に高速でパフォーマンスの良い状態管理ライブラリです。Vue.jsのリアクティブシステムを利用しており、変更があった場合にのみ再レンダリングが行われるため、余計な再計算や再描画を行いません。
典型的な使用法としては、「ストア」を作成し、そのストア内に状態やアクションを定義することが挙げられます。ストアは複数作成することができ、それぞれのストアは独立して管理されます。
また、PiniaはTypeScriptのフルサポートを提供しており、型推論がデフォルトでサポートされています。これにより、開発者はコンパイル時に静的な型チェックが行われるため、エラーやバグを事前に防ぐことができます。
さらに、Piniaはサーバーサイドレンダリング(SSR)にも対応しており、ViteやNuxt.jsなどのSSRフレームワークで使用することができます。
これらの機能や特性により、Piniaは大規模なアプリケーションの状態管理において優れたパフォーマンスと柔軟性を提供します。
まとめ
Piniaは強力なVue.jsの状態管理ライブラリであり、コンポーネント間やページ間でグローバルに状態を共有することができます。PiniaはComposition APIやOptions API、そしてVue2にも適用可能であり、Vue公式の状態管理ライブラリによって推奨されています。
ピーニャは非常に柔軟で強力な状態管理ライブラリであり、Vue.jsプロジェクトでの開発を大幅にサポートします。公式ドキュメントや他のリソースを参考にして、ピーニャを使いこなしてください。
この記事ではPiniaの基礎知識をご紹介しました。Piniaについてまずはどのようなものか理解したいと考えている方、Piniaを取り入れるべきか検討されている方にとって、参考になりましたら幸いです。
Pinia含めた技術選定など開発課題をお持ちの方はぜひ一度Jiteraまでご相談ください。