「デジタルマーケティングとWebマーケティングの違いとは?」
「具体的にどんな事例があるのか?」
マーケティング施策を考える際に上記のような疑問が生じた方は多いのではないでしょうか。
デジタルマーケティングとWebマーケティングは言葉が似ているのですが、実際には異なる概念です。
それぞれの手法の定義や特徴を把握し、違いを理解しておきましょう。
本記事ではデジタルマーケティングとWebマーケティングの特徴や事例などを紹介しているため、何が違うのか正しく理解できるようになります。
![Nao Yanagisawa](https://xs691486.xsrv.jp/wp-content/themes/JITERA/images/director-nao-1.png)
2014年 大学在学中にソフトウェア開発企業を設立
2016年 新卒でリクルートに入社 SUUMOの開発担当
2017年 開発会社Jiteraを設立
開発AIエージェント「JITERA」を開発
2024年 「Forbes 30 Under 30 Asia 2024」に選出
デジタルマーケティングとは
デジタルマーケティングとはデジタル技術やデータをフル活用してマーケティングを行うことです。
ECサイトやSNSなどから得られるデータだけではなく、店頭から得られるデータを活用するケースもあります。
幅広いチャネルから消費者のデータを収集して分析を行います。収集したデータに基づいて店舗やECサイトなどで展開する施策を考える手法です。
そんなデジタルマーケティングについて、定義と特徴を以下で詳しくみていきましょう。
デジタルマーケティングの定義
デジタルマーケティングとはデジタル技術を活用したマーケティングの総称です。さまざまなチャネルからデータを集めて分析を行い、施策の立案に活用します。
データの収集には、デジタルデバイスやデジタルメディア、デジタルテクノロジーを組み合わせて利用されるケースが多いです。
たとえば、ECサイトからユーザーの行動履歴を収集し、アプリから購買履歴を収集し、それらのデータを蓄積して分析します。データ分析の結果を活用すれば、個々の顧客に最適な提案をすることが可能です。
活用するデバイスやメディア、テクノロジーによって無数の選択肢が存在します。目的に合わせて最適な方法でデータを収集・分析することが大切です。
また、デジタルマーケティングは明確な定義がある用語ではありません。各団体や提唱者ごとに意味合いが異なっているケースがあります。
デジタルマーケティングの特徴
デジタルマーケティングの特徴を以下にまとめました。
- 幅広い領域を含む
- 高度な個人化ができる
- データ分析に基づいた最適化ができる
デジタルマーケティングで扱われる技術は無数に存在し、幅広い領域を含みます。
たとえば、動画やSNS、コンテンツ制作などはすべてデジタルマーケティングの範疇です。IoT活用やMAなどが活用されることもあります。
高度な個人化ができるのもデジタルマーケティングの大きな特徴です。さまざまなチャネルから膨大な量のデータを収集し分析します。その結果、高い精度で消費者について理解し、高度な個人化が可能です。
豊富なデータを集めて分析を行えば、個々に最適化したアプローチができます。経験や勘に頼らず、確かな根拠に基づいた施策に取り組めば、高い効果を期待できるでしょう。
Webマーケティングとは
WebマーケティングはWeb上で行うマーケティング手法を指します。
たとえば、Webサイトで訴求力のあるコンテンツを配信し、Webサイトへの流入を促す施策です。
Web上にはさまざまなメディアが存在し、施策の選択肢はたくさんあります。
現在は多くの方がインターネットで情報発信や情報収集をする時代になりました。そのため、かつてよりWebマーケティングの重要性は高まっています。
以下ではWebマーケティングの定義や特徴について詳しく紹介しましょう。
Webマーケティングの定義
Webマーケティングとは、WebサイトやSNSなどを通じて行うマーケティングのことです。Web上に存在するさまざまなメディアを活用してマーケティング活動を進めます。
基本的にWebマーケティングはWeb上ですべて完結するものです。Web上で施策を行いWebサイトへの集客を促し、サイト上で商品やサービスを購入してもらいます。
Webを利用する人が増えており、Web上での消費活動が盛んです。スマートフォンの普及により、ECサイトを利用する人は増えました。高齢者でもネットショッピングを抵抗なく行っています。
Web上で施策を展開することで幅広い層にアプローチできて、高い効果を期待できます。
ただし、Webマーケティングの定義には曖昧な部分があります。法的あるいは学術的に明確な定義があるわけではありません。それぞれの文脈ごとに意味合いが微妙に異なるケースがあるため注意しましょう。
Webマーケティングの特徴
Webマーケティングの特徴を以下にまとめました。
- Web特有の双方向性がある
- リーチの広さ
- 効果を計測しやすい
- 低コストで始められる
たとえば、SNSでユーザーからの質問に直接答えることが可能です。双方向のコミュニケーションを取れば、ファンの獲得につながるでしょう。
国や地域を問わず世界中の人達にアプローチできることが、リーチの広さです。たとえば、海外の人にアピールしてWeb上で購入してもらうこともできます。
Webサイトへのアクセス数や広告のクリック数など多くのデータを収集できるため、施策の効果を測定しやすい点も特徴です。
効果の測定と改善を短期間で繰り返すことができ、マーケティング施策の精度を徐々に高められます。
比較的低コストでスタートできる点も大きな特徴です。WebサイトやSNSの運用などは、実際に広告出稿をするのと比較して費用を抑えられます。
上記のような特徴があるのがWebマーケティングです。
デジタルマーケティングとWebマーケティングの違い
デジタルマーケティングとWebマーケティングの違いは以下の通りです。
項目 | デジタルマーケティング | Webマーケティング |
領域の広さ | Webメディア、デジタル技術、デジタルデバイス | Webメディア |
個人化の程度 | 高度な個人化が可能 | 個人化の確度は低い |
リサーチ | Webや位置情報、AI、IoTなどからデータ収集が可能 | Webからのリサーチ |
営業方法 | メール配信、訪問営業など | コンテンツの見直し、SNSの発信、Webサイトの内部構造の最適化など |
活用ツール | CMS、メール配信ツール、顧客管理ツールなど | CMS |
活動内容 | 顧客データの管理・分析、スコアリングの自動化、セグメンテーションなど | Webサイトの集客改善、CRMの改善 |
目的 | 新規顧客の獲得、既存の顧客の育成、見込み顧客の発掘 | 新規顧客を獲得し自社サイトへの流入を増やして購買行動に結びつける |
デジタルマーケティングとWebマーケティングの違いを詳しくみていきます。
領域の広さの違い
Webマーケティングよりデジタルマーケティングの方が扱う領域が広いです。デジタルマーケティングの中にWebマーケティングが含まれています。
デジタルマーケティングとはデジタル技術を活用したマーケティングの総称です。その中にWebマーケティングも含まれます。
WebマーケティングはWebサイトやSNSといったWeb上のメディアを用いた手法です。デジタルマーケティングでは、Webメディアに加えてAIやIoTなどデジタル技術も活用します。
Webメディアだけでは得られる情報が限定的です。IoTやAI、位置情報といった技術を活用すれば、さらに多くの情報を得られます。
扱う領域が広ければターゲティングの精度が高まり、確度の高い施策を実現できるでしょう。
個人化の程度の違い
デジタルマーケティングとWebマーケティングは個人化の程度が違います。デジタルマーケティングの方がより高度な個人化が可能です。
WebマーケティングはWebサイトへのアクセス解析やSNSの反響などを利用してデータを収集します。収集されたデータを分析した結果を用いて施策を実行します。
デジタルマーケティングの場合はWebメディアに加えて、デジタルデバイスやデジタルテクノロジーを用いる点が大きな違いです。
デジタルマーケティングの方がより多くの詳細なデータを集めることができます。顧客の好みやニーズを正確に把握することができ、個人に最適なサービスや情報のカスタマイズが可能です。
リサーチの違い
デジタルマーケティングとWebマーケティングではリサーチ力が違います。デジタルマーケティングの方が広い範囲でデータの収集ができるからです。
Webマーケティングがリサーチを行う範囲はWeb上に限られています。一方、デジタルマーケティングの場合は、IoTやAI、位置情報なども活用し、より広い領域からデータ収集が可能です。
たとえば、IoT化された家電からユーザーのデータを収集できます。利用された日時や場所、機能などのデータを収集し、ユーザーの利用傾向やニーズなどを把握できれば、施策の精度が向上するでしょう。
実店舗のレジに記録されたPOSデータを活用する事例もあります。いつどこで何が売れたのかを把握でき、他のデータと組み合わせて分析すれば、ユーザーの行動やニーズを正確に理解できます。
営業方法の違い
Webマーケティングとデジタルマーケティングは営業方法に違いがあります。
WebマーケティングはWebサイトやSNSを中心とした営業スタイルです。コンテンツを配信し、興味を持ったユーザーに訪問してもらいます。
一方、デジタルマーケティングは営業方法の選択肢がより広くなるのが特徴です。たとえば、既存顧客へのメール配信をするケースがあります。
デジタルマーケティングでは既存顧客についてさまざまなデータを集めて分析します。それぞれの顧客の好みやニーズを正確に把握できるため、確度の高い営業が可能です。
データ分析の結果を営業部門と連携し、訪問営業するケースもあります。
豊富なデータの収集して分析をした結果は、さまざまな営業方法で活かせるでしょう。
活用ツールの違い
Webマーケティングとデジタルマーケティングは活用するツールに違いがあります。
Webマーケティングで用いるツールは主にCMSです。CMSとはWebサイトの画像やテキスト、デザインなどを一元管理できるシステムを指します。CMSによってWebサイトのカスタマイズを行い、施策の実行が可能です。
デジタルマーケティングではCMS以外にも幅広いツールを活用します。たとえば、メール配信ツールや顧客管理ツール、商談管理ツールなどです。
メール配信ツールでは、メールの作成や送信、トラッキングなどができます。顧客管理ツールは顧客情報や分析などが可能です。
さまざまなツールを活用することで業務の効率化や施策の精度の向上などを実現できます。
活動内容の違い
Webマーケティングとデジタルマーケティングでは、実施する活動の内容に違いがあります。
WebマーケティングはWebサイトへの集客改善やCVRの改善を図る活動がメインです。たとえば、コンテンツの見直しやSNSの発信などでWebサイトへの流入を増やします。
また、導線の見直しやランディングページの最適化などでCVRの改善を目指すケースもあります。
デジタルマーケティングの主な活動内容は、顧客データの管理・分析やスコアリングの自動化、セグメンテーションなどです。
データを扱うためのオペレーションの業務も含まれています。豊富なデータから顧客の好みや行動傾向などを分析し、施策立案へ活かします。
目的の違い
Webマーケティングは新規顧客の獲得を主な目的としています。自社サイトへの流入を増やし、購買行動に結びつけることが最終目標です。
デジタルマーケティングでは、既存の顧客の育成や見込み顧客の発掘も目標に含まれています。
たとえば、潜在顧客にアピールして見込み顧客に転換するための戦略を考えます。潜在ニーズを特定した上でコンテンツを作成し自社のサービスや製品に興味を持ってもらうといったアプローチです。
また、業務の効率化を目的としているケースもあります。たとえば、MAを導入してマーケティング活動の自動化を図るケースです。
以上のようにデジタルマーケティングは新規顧客の獲得や育成、業務の効率化まで幅広い目的を持っています。
デジタルマーケティングの事例
デジタルマーケティングに取り組む上で具体的な事例を参考にすることは大切です。各企業が独自の施策に取り組んで大きな効果を得ています。
それぞれの企業ごとに採用する施策の内容は千差万別です。抱えている課題やユーザーの傾向などに違いがあります。
そのため、企業の抱えている課題や達成したい目標などに合わせて戦略を考えることが重要です。
それでは、以下でデジタルマーケティングの具体的な事例を紹介しましょう。
株式会社USENのAIを活用した事例
株式会社USENはBtoB商材でリード獲得するために「極予測AI」を活用して成功しました。
「極予測AI」は株式会社サイバーエージェントの提供するシステムです。AIを活用して広告効果の高い商品画像を生成できます。
USENは「極予測AI」を用いて自社製品のUレジのSNS上の広告バナーの作成に取り組みました。マーケット分析や競合分析を行い、スコアリングをした上で「極予測AI」によるバナー作成を進めます。
「極予測AI」の活用によるバナー作成の結果としてコンバージョンが2.3倍になりました。リードを獲得するためのコスト削減にも成功しています。
AIの力を活用すれば、効率的に確度の高い施策を実行することが可能です。
ライオン株式会社のIoTを活用した事例
ライオン株式会社はIoT歯ブラシを活用したデジタルマーケティングに取り組んでいます。IoT歯ブラシから得られたデータに基づいて顧客へのフォローや製品の提案などを行った事例です。
ライオンの開発した「クリニカKid’s はみがきのおけいこ」は本体と専用アプリにデータが蓄積されます。具体的には、歯磨きの頻度や親の関心度、スキルといったデータです。
蓄積されたデータはLOHACOのビッグデータと連携されて分析が行われます。その結果からアイテムの提案や歯ブラシの交換タイミングなどを伝えることが可能です。
最終的には、ライオンの提供するオーラルケア商品への購買を促すことを目的としています。
IoTの技術を活用して確度の高いアプローチを実現できる事例です。
パナソニックの「オーブントースター ビストロ」の売上が2倍になった事例
パナソニックは「オーブントースター ビストロ」の売上アップのためにInstagramを活用した事例です。
パナソニックは自社のInstagramアカウントとして「Panasonic Cooking」を開いています。パナソニックの家電を用いたレシピを紹介していて人気です。
パナソニックは「オーブントースター ビストロ」やトーストがどのように認識されているかデータ収集しました。データ分析した結果を活用して動画の作成を進めます。
「オーブントースター ビストロ」の動画をFacebookで展開した結果として、前モデルと比較して売れ行きは2倍になりました。
緻密な調査と分析を行い、細かく設計をした上でコンテンツを作成しています。データを上手く活用して精度の高いプロモーションを打ち出した事例です。
Webマーケティングの事例
Webマーケティングは現在でも多くの企業が取り組んでいる手法です。Webに特化したマーケティングを行い、集客に成功した事例はたくさんあります。
YouTubeやInstagramなどSNSを活用した事例やSEOを意識したコンテンツを整えて成功した事例まであります。
さまざまな事例を確認し、参考にしながら自社に相応しい施策を検討しましょう。
それでは、Webマーケティングの具体的な事例をみていきます。
フセハツ工業株式会社がFacebookを活用した事例
フセハツ工業株式会社は、ばねの総合メーカーであり、Facebookの活用でWebマーケティングに成功しています。
Facebookでは製造ラインの動画を数日おきに投稿しています。動画によって、実際の製造ラインを確認できるのが特徴です。
さまざまなばねの製造現場を実際に確認できるため、メーカーとしての信頼性をアピールできます。
動画をチェックして興味を持った見込み顧客からの問い合わせを期待できます。
SNSを上手く活用して自社のイメージアップにつなげている事例です。
株式会社クラシコムのコンテンツマーケティングの事例
株式会社クラシコムは「北欧、暮らしの道具店」というECサイトを運営しています。単に商品を販売するだけではなく、コンテンツが充実しているのが特徴です。
サイト内には「読み物もの」というコンテンツがあり、さまざまな特集やミニコラムが掲載されています。
バイヤーによる新商品の情報からスタッフによるレビュー、暮らしのヒントになるアイデアを紹介するコラムまであります。
幅広い内容のコンテンツが揃っており、ターゲット層に興味を持たれる情報が豊富です。魅力的なコンテンツによりECサイトへの集客を促し、売上アップにつなげています。
デジタルマーケティングとWebマーケティングの違いのまとめ
WebマーケティングはWebサイトやSNSなどを活用した手法です。Webサイトのコンテンツを充実させる、SNSで訴求力のある動画を配信するなどで自社サイトへの流入を増やします。
デジタルマーケティングはデジタル技術を活用したマーケティング手法の総称です。AIやIoT、位置情報などの技術も活用してデータ収集・分析を行い、精度の高い施策を実行できます。
それぞれの手法は目的や営業方法、活用するツールなどに違いがあります。目的に合わせて最適な手法を選びましょう。
実際にマーケティングに取り組む際には専門的な知識や技術、ノウハウが必要になります。自社のリソースが不足しているならば、外注を検討することをおすすめします。
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