複合現実(MR)とは?仕組みやメリット導入事例も解説!

昨今のデジタル化やリモート作業の需要向上によって注目を集めている「複合現実(MR)」。製造業界や建築業界と幅広い業界でビジネスへのMR活用が進んでいます。

ただ複合現実(MR)の名前は聞いたことがあっても、その仕組みや詳細は知らないという人は少なくないでしょう。

本記事では、複合現実(MR)の仕組みから、メリット、導入事例まで詳しく解説しています。複合現実(MR)に関する基本的な情報を抑えているため、複合現実(MR)導入検討を考えている人は、ぜひ参考にしてみてください。

Nao Yanagisawa
監修者 Jitera代表取締役 柳澤 直

2014年 大学在学中にソフトウェア開発企業を設立

2016年 新卒でリクルートに入社 SUUMOの開発担当

2017年 開発会社Jiteraを設立
開発AIエージェント「JITERA」を開発

2024年 「Forbes 30 Under 30 Asia 2024」に選出

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執筆者 ムラ

金融機関常駐SEとして、常駐先の社内システム開発に携わっている現職SE。 開発に関する上流から下流まで経験。最近ではSalesforceなどのSFAツールを用いたシステム開発に着手。

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    複合現実(MR)とは?

    複合現実(MR)とは、「Mixed Reality」の略称で現実世界に仮想現実を組み合わせる技術のことです。

    VRやARと混同されることが多いですが、基本概念や仕組みは異なります。MRという名前は知っていてもその概要や仕組みは知らない人は少なくないでしょう。

    こちらでは複合現実(MR)に関する基本的な内容を理解するために以下の観点で解説していきます。

    • 複合現実(MR)の基本概念
    • 複合現実(MR)の仕組み
    • 複合現実(MR)のメリット

    それぞれ詳しくみていきましょう。

    複合現実(MR)の基本概念

    複合現実(MR)は、現実世界と仮想世界を合成させて相互に影響し合う空間を作り出す技術やツールのことです。カメラやセンサーを活用することで、現実世界に投影された仮想世界のオブジェクトを360度あらゆる角度から見たり、触れて操作したりすることができます。

    ユーザーが仮想世界のオブジェクトに直接干渉できるようにするために、現実世界を精密に認識するスキャン技術や3DCGの作成技術など求められるスキルは複雑なものが多いです。

    MRと同時に語られることが多い技術に、仮想現実(VR)や拡張現実(AR)があります。それぞれ似ている技術ですが、異なる概念や特徴をもちます。

    例えばVRは、デジタル上の仮想世界をベースとなっており、現実世界と切り離されたバーチャルな世界に没入させる技術です。現実世界をベースに仮想世界のオブジェクトを操作する複合現実とは明確に異なります。

    ARは、MRと同じく現実世界をベースとしており似ている技術ですが、MRと異なり仮想世界のオブジェクトを投影するだけで操作することができない点が大きな違いです。

    複合現実(MR)の仕組み

    複合現実(MR)の仕組み

    複合現実(MR)は、現実世界と仮想世界を合成させるためにセンサーやカメラを用いて現実空間やユーザーの動きをリアルタイムで検知してマッピングを行います。

    ユーザーの動きが正確に検知されることで、ユーザーが現実世界に投影されたホログラムに直接干渉できる仕組みです。

    複合現実の仕組みは、センサーやハードウェア、ソフトウェアで構成されています。

    センサーの役割

    センサーは、ユーザーの動きや周囲の環境をキャプチャしてデータとしてマッピングすることが役割です。この時にユーザーの位置や方向、および周囲の物体の情報が検知されます。

    ハードウェアの役割

    ハードウェアは、センサーでマッピングしたデータを収集や処理、投影を行うデバイスとしての役割を持ちます。

    例えば、ホログラムを投影するためのディスプレイやデータを処理するためのコンピュータやプロセッサー等がMRにおけるハードウェアです。

    ソフトウェアの役割

    ソフトウェアでは、センサーデータを解釈して現実世界とホログラムを統合することが役割の機能です。位置の追跡や物体の認証、リアルタイムレンダリングなどを行います。

    複合現実(MR)のメリット

    こちらでは、複合現実(MR)技術を活用するメリットを紹介していきます。

    生産性の向上

    MRを活用することで業務の生産性向上に繋がることがメリットです。従来平面ディスプレイ越しで行われていた確認業務などを、より実物に近いホログラムで確認ができるため問題解決の促進効果が期待されます。

    例えば、企業の製品デザインを行う際にMR技術を活用することで立体的なデザインで確認できるだけでなく、現実で行えないシュミレーションの実施を行うことが可能です。

    教育環境の効率化

    MR技術は従業員の教育環境の効率化にも役立つことがメリットです。紙や平面ディスプレイ上で確認していたマニュアルや教育資料がホログラムとして立体化するだけでなく、利用者が干渉できる特徴を利用して実践的な教育も同時に行えます。

    例えば、機械の操作方法の教育にMRを利用することで、実践に近い状態で操作手順を学習可能です。

    これまでマニュアルによる学習と実機によるシュミレーションで教育していた環境が、MRによって同時に実装できるようになったため教育環境の効率化はMR導入のメリットといえるでしょう。

    工期短縮

    MR技術は、製品開発や製造にかかる工期の短縮を促すことができます。通常製品開発や製造では、試作品を作ることが必要不可欠です。

    適宜試作品を作成して改善していき、製品のクオリティを高めていきます。提供レベルまでに何度も試作品を開発する必要があり、実機で製造するとなると時間がかかります。

    実物に近いホログラムで試作品を作成することは、実際に実機で試作品製造を行うよりも時間が短縮されるため、工期短縮ができることはMR導入のメリットです。

    コスト削減

    MR技術の導入はさまざまな面でコスト削減が可能です。特に試作品開発をMR技術でデジタル化することで、実機で試作品を作成するよりもコストが抑えられます。

    大型の製品開発や製造を行う場合に、実際に試作品を開発するとなると多くのコストがかかるため、昨今ではMR技術を開発に組み込む製造業が増えてきています。

    遠隔業務のハードルが下がる

    MR技術を用いることで遠隔業務支援が比較的難しい製造業でも遠隔業務で支援することが可能です。

    MR技術でハンドトラッキングを行い、現場作業者にマニュアルや熟練者の作業映像を連携して伝達できます。遠隔業務のハードルが下がるためMR導入のメリットといえるでしょう。

    複合現実(MR)の事例紹介

    MR導入を検討する際に、事例を確認することはスムーズな導入において重要です。こちらでは、MRの導入事例について解説していきます。

    MRの活用事例として主に以下の3つのケースがあげられます。

    • MRゲーム
    • MR製作所
    • MRメタバース

    それぞれ詳しくみていきましょう。

    MRゲーム

    MRゲームは、現実世界とゲームの世界を融合させることでまるで現実世界にゲームのキャラクターが現れたかのような感覚を体験できることが魅力です。

    現実世界の空間や物体、ユーザーの動きをトラッキングすることで自分の動きに合わせてゲームが進行していきます。

    例えば、Meta(旧Facebook)が開発したVRコンテンツを視聴するためのVRヘッドセットである「Meta Quest3」や「Meta Quest Pro」で遊べるMetaストアではMR対応ゲームが多くリリースされており、部屋の壁や天井を認識して改変するゲームなど現実世界にホログラムを融合させる演出が楽しめます。実際にリリースされているMRゲームをいくつかみていきましょう。

    PianoVision

    PianoVisionは、楽譜に合わせて流れてくるマークをタイミングよくおすことでピアノの練習にもなる音楽系のMRゲームです。

    実際のピアノで弾くモードとバーチャルキーボードで弾くモードが選べます。1から12までのレベルで1,000曲以上が登録されており、カスタムソング機能を用いればMIDIファイルから読み込んで好きな曲も演奏可能です。

    LEGO® Bricktales

    LEGO® Bricktalesは、LEGOのジオラマの世界を現実世界に投影して楽しんだり、実際に作ったりできるMR対応ゲームです。

    ジオラマとして楽しむだけでなく自由にブロック建築が可能で、ブロックでかさばることもありません。自分でモノづくりができるゲームが好きな人にはおすすめのMRゲームです。

    MR製作所

    MR技術は、製造業で実用的に導入されており、主に生産プロセスの効率化や教育・トレーニングに活用されています。

    特に、ホログラムを使った検証やイメージを体感する際にMR技術は有効です。こちらでは製造業においてMR技術が活用されている事例についていくつかみていきましょう。

    技能の伝承や教育訓練|JFE スチール株式会社

    JFE スチール株式会社では、MR技術を活用して熟練工の技術の伝承や安全な環境でさまざまなシナリオの教育訓練を実施しています。

    これまで長い時間をかけて現場で教育してきた技術をMRを導入したことで訓練シュミレーターを構築して、安全な環境でのOJTが可能になりました。

    設備の作業性や安全性の確認 |トヨタ自動車株式会社

    トヨタ自動車株式会社では、MR技術を活用して生産設備導入前に設備の作業性や安全性を確認します。生産設備の現物がないため検証はヴァーチャル空間で行う必要がありました。

    ヘッドマウントディスプレイのカメラで自分の手や周囲のリアルな風景を取り込み、そこに設備画像のホログラムを合成します。実際の作業手順を身振りで確認可能です。

    MRメタバース

    現実空間をベースにバーチャル空間を複合させるMRと仮想空間やそこで提供されるサービスを指すメタバースを組み合わせることでより新しい体験をユーザーに与えられます。

    それぞれベースが異なるため、明確なつながりは少ないですが昨今さまざまな分野でMRとメタバースの組み合わせも検討されています。

    例えば、リアルなバーチャルアバターを作成して、MR技術を通して現実世界に反映させることでメタバースを通じて遠隔地のユーザーとも対話ができるようになるでしょう。

    複合現実(MR)のまとめ

    複合現実(MR)とは、現実空間をベースに仮想空間を組み合わせる技術の総称です。カメラやセンサーを用いてユーザーの動きや周囲の物体や環境の状況を検知して、現実空間にホログラムを投影します。

    現実空間をベースにホログラムが投影されるため、ゲーム以外にも製造業のデザインや試作品開発などに活用されています。

    生産量向上やコスト削減など業務にMRを導入するメリットは多いため、自社の業務改善をしたいと考えている人はぜひMRの導入を検討してみてはいかがでしょうか。

    自社にMRの導入を検討される場合や不明点がある場合は、ぜひ株式会社Jiteraに一度ご相談してみてはいかがでしょうか。

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