「Web3.0って何?」と思っているあなたへ。
この言葉を聞いたことはあるけれど、具体的に何を指すのか、どうして重要なのか、よく分からない方も多いのではないでしょうか?
調べてみたものの、内容がいまいち入ってこないと思っている方もいるかもしれません。
そんな方に向けて、この記事ではWeb3.0の全体像をわかりやすく徹底解説します。
また、Web3.0に関する話題に必ず出てくる「メタバース」や「ブロックチェーン」といったキーワードも、分かりやすくお伝えするので、ぜひ最後までお読みください。
この記事を読めば、Web3.0が注目されている理由やその意義を理解できるようになります。
2014年 大学在学中にソフトウェア開発企業を設立
2016年 新卒でリクルートに入社 SUUMOの開発担当
2017年 開発会社Jiteraを設立
開発AIエージェント「JITERA」を開発
2024年 「Forbes 30 Under 30 Asia 2024」に選出
Web3.0とは何か?
Web 3.0は、次世代のインターネットとして知られています。
従来のインターネットは、大きな会社がデータを管理する中央集権的なシステムでしたが、Web 3.0ではそうではありません。
このプラットフォームは、多くの異なるコンピュータが協力してデータを管理し、保存するため、個人同士で情報の送受信や取引ができます。
この仕組みにより、一つの会社に依存せず、もっと自由で安全なインターネットの利用が可能です。
Web 3.0の概念は、イギリスのコンピューター科学者ギャビン・ウッド氏によって提唱されました。
ウッド氏は、仮想通貨の分野でも知られており、Polkadot(ポルカドット)やKusama(クサマ)などのプロジェクトに関わっています。
Web 3.0の大きな特徴は、ブロックチェーン技術を活用している点です。この技術により、データの安全性が高まり、透明性が保たれます。
ブロックチェーンの概要
ブロックチェーンは、インターネット上の端末同士がつながって形成される、革新的なデータ構造です。
この技術は、暗号技術を用いて取引情報を処理し、安全に記録することにあります。
ブロックチェーンの最大の特徴は分散性です。
データを一箇所に集中させるのではなく、世界中の多くの端末に分散して保存し、セキュリティの強化を図ります。
その結果、データの改ざんや不正アクセスの防止が可能です。
データは「ブロック」と呼ばれる単位で管理されていて、取引情報やデータが時系列ごとに「チェーン」のように連なっています。
一つ一つのブロックが互いにつながり、全体として一連のデータチェーンを形成する構造がブロックチェーンの堅牢性と信頼性の源です。
そのため、仮にデータが改ざんされると他と一致しなくなるため、ネットワーク全体によって拒否されるようになります。
改ざんを有効にするには、全体のブロックを全て書き直す必要があるため、作業が膨大になってしまうわけです。
このような理由からブロックチェーンは、データをより安全に、そして効率的に管理するための新しい方法として、今後も大きな注目を集めるでしょう。
Web 3.0の目的
Web 3.0の主な目的は、テクノロジーの進化を通じてインターネットをより安全で使いやすくすることです。
現代のインターネット環境は、多くのサービスが中央集権的なプラットフォームを経由して運営されています。
このような環境は、プライバシーやセキュリティの面でさまざまな問題を抱えています。
例えば、SNSは基本的に無料で使えますが、検索キーワードやフォロワーなどの情報は取得され、マーケティング活動に利用されています。
また、情報とアルゴリズムのフィルタリングにより、ユーザーが受け取る情報が限られたり偏ったりするケースも少なくありません。
Web 3.0により、それぞれのユーザーがデータやサービスの管理をできるようになります。
その結果、個人のプライバシーが保護され、データの安全性が高まるとともに、よりパーソナライズされた情報アクセスが可能です。
Web 3.0とメタバースの違いは?
Web 3.0とメタバースは、それぞれ異なる概念です。
Web 3.0は、分散型のインターネット技術を指し、セキュリティやプライバシーの向上、個人間の直接的なデータ交換ができることを目的にしています。
これに対して、メタバースは「Meta(超越)」と「Universe(宇宙)」を組み合わせた概念です。
仮想現実(VR)や拡張現実(AR)などの技術を用いてつくられる没入型の仮想世界です。
メタバースは、Web 3.0の技術を活用して、より透明性が高く安全な仮想空間を提供するプラットフォームとなります。
つまり、Web 3.0はインターネットの「基盤」であり、メタバースはその上に構築される「体験」の領域です。
アプリ・システム開発は生成AIを活用することで、従来の開発ではあり得なかった、低コスト・高品質開発・スピード開発が同時に実現できます。
▼従来の開発とAIを使った開発の違い
システムソリューションを得意とし、新規事業からDX推進まで幅広いジャンルの開発実績があります。
Web1.0〜Web 3.0までの歴史
インターネットの進化は、Web1.0からWeb 3.0まで、以下のように大きく3つのフェーズに分けられます。
名称 | 特徴 |
Web1.0 | 一部(企業や専門家)が情報を発信 |
Web2.0 | 個人が自由に情報を発信 |
Web3.0 | 個人同士が自由に情報をやり取り |
それぞれ見ていきましょう。
Web1.0:1990年代
Web1.0はインターネットの黎明期です。この時代のウェブサイトは主にテキスト中心で、情報は限られた情報発信者、主に企業や専門家によって提供されていました。
一般のユーザーは情報を読むだけであり、相互のコミュニケーションはほとんどありません。
Web1.0はまさに、情報の受信側に重点が置かれた一方的な対話です。Webサイトとのやり取りは限られていました。
Web2.0:2000年代〜2020年代
Web2.0の時代は、インターネットがよりユーザーとの相互作用に変化した時期です。
テキストに加えて、動画や画像など多くのコンテンツが利用されるようになりました。
SNSやブログなど、ユーザー自身がコンテンツを作成し、共有するプラットフォームが登場し、ユーザー同士の交流ができるようになります。
例えば、日本では「2ちゃんねる」が匿名での活発な意見交換の場として、また「Facebook」が実名を基にしたSNSとして利用されました。
さらに、個人が自由に情報を発信できるブログも人気を集め、多くのユーザーが自分の意見や体験をインターネット上で共有し始めました。
ただし、これらのサービスは中央集権型のサーバーを通して運営されており、プラットフォーム側の管理と制御が必要です。
Web3.0:2018年〜
Web3.0は先ほどお伝えした通り、分散型インターネットの時代です。
この新しいフェーズでは、データは中央集権型のサーバーではなく、ユーザー間で直接やり取りされます。
ブロックチェーン技術を活用することで「ブロック」と呼ばれるデータの単位に管理され、それぞれがチェーンのように連結して保存されます。
結果として、データの透明性が高まり、セキュリティを強化することが可能です。
そのため、インターネットの使い方を根本的に変える可能性を秘めているため、注目されています。
Web3.0の5つのメリット
Web3.0には以下のメリットがあります。
- セキュリティを強化できる
- データの改ざんが基本的にできない
- プライバシーの保護ができる
- サーバーに障害が起きても影響がない
- グローバルな取引が進む
概要でお伝えした内容と重なりますが、それぞれ確認しましょう。
セキュリティを強化できる
Web3.0の大きな魅力の一つは、セキュリティの強化です。
従来のWeb2.0では、サービス提供者がデータを一元管理しているため、サイバー攻撃のリスクや情報漏洩の危険が常に存在しています。
しかし、Web3.0ではブロックチェーン技術を用いることで、この問題に対処することが可能です。
ブロックチェーンは、データを分散して保存するため、一箇所のサーバーが攻撃を受けてもデータ全体の安全性を維持できます。
そのため、ユーザーのデータはより安全に保護されるようになります。
データの改ざんが基本的にできない
ブロックチェーンの特性として、一度記録されたデータの改ざんが非常に困難である点があります。
各ブロックにはユニークな情報と、前のブロックへのリンクが含まれており、それぞれが連鎖的につながっています。
そのため、一つのブロックを改ざんしようとすると、それ以降の全てのブロックを変更しなければなりません。
膨大な数になるため、実質的に不可能です。
さらに、ブロックチェーンネットワーク上の全ノードが一貫したデータを保持しているため、改ざんされたデータはほかの正しいデータと矛盾し、ネットワーク全体によって拒否されます。
プライバシーの保護ができる
Web3.0では、各ユーザーが自分のデータをコントロールし、どのように共有するかを選択できます。
このシステムの大きな利点は、従来の中央集権型プラットフォームと比べて、個人のプライバシーをより強固に保護できる点です。
例えば、ブロックチェーンを使用したアプリケーションでは、ユーザーのデータは分散化され、各々がアクセス権を持ちます。
ユーザーは自分の情報を適切に管理し、必要に応じてのみ共有することが可能です。
また、使用条件も明確に定義できるため、利用者の同意に基づいたデータ共有ができるようになります。
サーバーに障害が起きても影響がない
Web3.0ではサーバーが仲介しないため、障害が起きても影響がありません。
その理由は、サーバーやネットワークポイントに障害が発生しても、ほかのノードが機能しシステム全体が維持されるからです。
さらに、データが複数の場所に分散して保存されているため、一箇所で問題が発生しても、全体のデータの安全性やアクセス可能性は保たれます。
そのため、サービスのダウンタイムやデータ損失のリスクが大幅に低減され、ユーザーはより信頼性の高いサービスを利用可能です。
グローバルな取引が進む
Web 3.0を活用すると、グローバルな取引が進むようになります。
従来のインターネットでは、特定の国や地域でのみアクセス可能なWebサイトが存在し、国によっては特定のサイトにアクセスできません。
しかし、Web 3.0では分散型のネットワークとブロックチェーン技術で、同一のURLで世界中どこからでもアクセスできるようになります。
この特性により、地理的な制約や政治的な制限による影響を受けにくくなり、グローバルな市場での取引やコミュニケーションがしやすいです。
例えば、分散型のアプリケーション(DApps)は、世界中のユーザーが平等にアクセスし、サービスを利用できるため、グローバルなビジネスの機会を拡大します。
Web 3.0により、新たな市場開拓が進むのではないでしょうか。
Web3.0の3つのデメリット
Web3.0には多くのメリットがありますが、以下のデメリットがある点を忘れてはいけません。
- 専門知識が欠かせない
- 規制を受ける場合がある
- トラブルが発生しても自分で解決する
すべての人にとって使いやすいシステムではない点をチェックしてください。
専門知識が欠かせない
Web3.0では、ブロックチェーンや仮想通貨などの新しい技術の知識が求められます。
Web2.0のようにプラットホーム側のサポートやガイドラインが少ないため、ユーザー自身が勉強して使い方を覚えなければなりません。
しかし、この学習の必要性は一部のユーザーにとってハードルが高くなります。
自由にシステムを構築し、好きな方とつながることができる一方で、これらの技術の利用や管理には専門的な知識が不可欠です。
ある程度、リテラシーが必要な点について覚えておきましょう。
規制を受ける場合がある
Web 3.0は、その急速な発展と新しい技術的特性により、現行の法整備に追いついていません。
そのため、国や行政機関、立法機関からの規制を受ける可能性が存在します。
特に、ブロックチェーン技術や仮想通貨の取引に関する法規制は、国によって大きく異なり、急速に変化するかもしれません。
例えば、ビットコインや他の仮想通貨の取引に関して、一部の国では予期せぬ高い税率が適用されるケースがあります。
また、仮想通貨の使用を完全に禁止している国もあり、そのような場所ではWeb 3.0を利用した取引や活動が制限される可能性があります。
このようなデメリットを回避するために、利用目的や場所に応じてどのような法的な影響があるかを事前に確認しましょう。
トラブルが発生しても自分で解決する
Web3.0では、トラブルが発生した際に自己責任で解決する必要があります。
従来の中央集権型のプラットフォームでは、ユーザー間でトラブルが生じた場合、プラットフォーム運営会社が介入し、問題解決をサポートしてくれました。
しかし、Web3.0にはこのようなサポートはなく、発生した問題については各ユーザーが自己責任で対応しなければなりません。
例えば、仕事の受発注に関して、未入金などのトラブルが生じた場合、クラウドソーシングサービスでは基本的にプラットフォーム側が補填してくれます。
Web3.0ではこのようなサポートは期待できないため、事前に契約書を結ぶなどして契約や取引を慎重に進める必要があります。
Web3.0に関するトレンド技術
Web3.0の台頭とともに、いくつかのトレンド技術が注目を集めています。
これらの技術は、Web3.0の潜在能力を最大限に引き出し、デジタル世界に新たな価値を創造しています。
NFT(エヌエフティー)
NFTは「非代替トークン」と訳され、その名の通り、ほかとは交換できないユニークな価値を持つデジタルアセット(資産性のあるデジタルデータ)です。
それぞれのNFTには固有の識別情報があり、所有者の証明やアセットの真正性が保証されます。
NFTは特にアートや音楽、デジタルイラストなどの分野で利用されており、クリエイターが作品の独自性や希少性を持てるようになりました。
そのため、デジタルアートの所有権の証明や、クリエイターの収益化が生まれるようになります。
この技術は、デジタルコンテンツの価値創造に革命をもたらし、Web3.0の世界で重要な役割を果たしています。
DeFi(ディーファイ)
DeFiとはDecentralized Finance(分散型金融)の略称で、ブロックチェーン技術を活用した金融システムのことです。
このシステムでは、銀行や他の金融機関を介さずに、ユーザー同士で直接的に金融取引ができます。
そのため、振り込みや投資などが金融機関の時間外でも利用できるほか、手数料も大幅に削減されるケースが多くなります。
ブロックチェーンの透明性とアクセスの容易さにより、誰でも世界中どこからでもサービスを利用することが可能です。
金融の民主化を促進できますが、規制の不確実性やセキュリティリスクが存在する点には注意しましょう。
DAO(ダオ)
DAO、つまり「Decentralized Autonomous Organization」(分散型自律組織)は、従来のトップダウン型の管理構造を持たない新しい形の組織です。
この組織形態では、集中的な管理者や指導者が存在せず、ブロックチェーン技術を用いて組織のルールや決定が実行されます。
DAOの特徴は、そのメンバー全員が意思決定プロセスに等しく参加できる点です。
そのため、同じ目的を持ったメンバーが集まるため、組織運営は透明性が高く、公正性が保たれます。
メンバーは、トークンベースの投票システムを通じて、組織の方針やプロジェクトに関する意思決定の場に参加できます。
Web3.0を使ったサービス例
Web3.0の技術は、さまざまな分野で革新的なサービスを生み出しています。
最後に、Web3.0を活用した代表的なサービスの例を紹介します。
NFTマーケットプレイス「OpenSea(オープンシー)」
OpenSeaは、NFTを売買できる世界最大のプラットフォームです。
ここでは、デジタルアート作品やコレクターズアイテムなど、多くのNFTを取引できます。
ウォレットをプラットフォームに接続するだけで、誰でも簡単にNFTを作成、購入、販売することが可能です。
2023年7月時点で、OpenSeaは月間30万人以上のアクティブユーザーを抱え、取扱アイテム数は8000万点を超えています。
このデジタル取引所は、デジタルクリエイターにとって重要な収益源となっており、NFT市場の拡大を牽引しています。
ソーシャルネットワーク「Steemit(スティーミット)」
Steemitは、ブロックチェーン技術を基盤とするソーシャルメディアプラットフォームです。
このプラットフォームの最大の特徴は、ユーザーが記事を書いて投稿すると、報酬を得られる点にあります。
ユーザーが投稿したコンテンツにほかのユーザーから「アップボート(いいねのようなもの)」を受けると、その数に応じて仮想通貨で報酬として与えられます。
さらに、Steemitでは他人の投稿に投票することも報酬の獲得方法の一つです。
ユーザーが高品質なコンテンツを作成し、他ユーザーと積極的に交流するインセンティブを提供します。
このプラットフォームは、まさにブロックチェーンとソーシャルメディアの統合の優れた例です。
まとめ:Web3.0とは次世代のインターネット環境
Web3.0は、ユーザー同士が直接つながる次世代のインターネット環境です。
ブロックチェーン技術を利用しているため、データのセキュリティやプライバシーの保護が強化され、透明性が高まります。
また、DeFiやNFTのような革新的な技術が登場し、金融やアートの世界に新たな可能性をもたらします。
この技術の登場により、インターネットの使い方が根本的に変わり、より民主的で自由なデジタル社会が実現するのではないでしょうか。
Web3.0に関する不明点や相談があれば、株式会社Jiteraまでお気軽にお問い合わせください。