LinuxではCLI(コマンドラインインターフェース)での利用が主流ですが、GUI(グラフィカルユーザーインターフェース)でも利用が可能です。GUIで利用する際、GUIアプリを利用して使用することが多いです。
LinuxでのGUIアプリ開発は、さまざまなプログラム言語を活用して開発を行いますが、どのように行うのでしょうか。
この記事では、開発する方法やおすすめの開発環境を解説しています。
この記事を参考に、GUIアプリ開発をはじめてみてください。
GUI(グラフィカルユーザーインターフェース)アプリ開発とは何か?
GUI(グラフィカルユーザーインターフェース)アプリ開発とは、コンピューターソフトウェアを開発するプロセスの一環のことを指します。
ユーザーが直感的かつ視覚的に操作できるようにするために、グラフィカルな要素を使用して、アプリケーションのユーザーインターフェース(UI)を構築するものです。テキストベースのコマンドラインインターフェース(CLI)とよく比較され、より親しみやすく、使いやすいものです。
マウス・タッチスクリーンなどのデバイスを利用し、ボタン・メニュー・テキストボックス・チェックボックスなどの視覚的な要素を介して、アプリケーションとのやり取りを行います。このようなGUIアプリは、CLIで動いているシステムに導入すると、操作性が向上し便利に利用が可能です。
Linuxはオープンソフトウェアの代表格ともいえるOSで、安定性とコストの低さが評価されて、企業向けITシステム構築で多く採用されてきました。Linuxはサーバー構築やシステム構築に適したOSですが、WindowsともMacOSとも異なるGUIを持つため、初心者には扱いづらい一面があります。
このため、Linuxで利用できるGUIアプリ開発を行うことで、利便性の向上が期待できます。
LinuxでのGUIアプリ開発の基礎
Linuxで利用できるGUIアプリ開発を行うことで、利便性の向上がはかれることがわかりました。
LInuxでのGUIアプリの開発は、さまざまな言語での開発が可能です。
ここでは、以下3つの言語のGUIアプリ開発を解説します。
- Pythonを使用したGUIアプリ開発
- C言語を使用したGUIアプリ開発
- C#を使用したGUIアプリ開発
それぞれみていきましょう。
Pythonを使用したGUIアプリ開発
Python(パイソン)は、汎用の高水準プログラミング言語で、シンプルで読みやすい構文が特徴です。PythonではおもにTkinterやPyQtなどの、GUIライブラリやフレームワークを使用して、開発を行います。
PythonでのGUIアプリ開発のメリットは、シンプルな構文でプログラミングが容易な点と、クロスプラットフォーム性があることです。一度GUIアプリ開発を行えば、LinuxだけでなくWindowsやmacOSなど、さまざまなオペレーティングシステムで動作します。
ほかのオペレーティングシステムでも利用できるため、開発者はGUIアプリを提供しやすくなるでしょう。
C言語を使用したGUIアプリ開発
C言語はプログラミング言語の一つで構造化プログラミングをサポートしており、システムプログラミングやアプリケーション開発など、幅広い領域で広く使用されています。C言語は、高性能で制御が細かいアプリを開発するのに適しているため、GUIアプリ開発で多く採用されています。
低水準の言語であるために直接メモリやハードウェアを制御できるため、高いパフォーマンスが期待できるのも、C言語が採用される理由の一つです。
一方で、低水準の言語であることから、プログラミングの生産性が比較的低いといわれています。このため、高水準なプログラミング言語と比べて、開発に時間を要する可能性があります。
C#を使用したGUIアプリ開発
C#(シーシャープ)は、Microsoftによって開発されたプログラミング言語で、.NETフレームワーク上で動作するアプリケーションを開発するために設計されています。
C#のGUIアプリ開発では、Monoプロジェクトなどのツールを活用して、クロスプラットフォーム開発が可能です。クロスプラットフォーム開発が可能であるため、Linuxだけでなくほかのオペレーションシステムでも利用ができるのがメリットです。
C#でのGUIアプリ開発のメリットは、Vidual Studioを利用できることでしょう。C#のおもな開発環境であるVisual Studioは、デバッグ・コード補完・リファクタリングなどの豊富な機能を利用でき、効率高く開発ができます。
おすすめのLinux GUIアプリ開発環境
LinuxのGUIアプリ開発は、さまざまなプログラミング言語での開発が可能で、それぞれ特徴があることがわかりました。
次に、LinuxのGUIアプリ開発を行うのにおすすめな開発環境を、以下の項目に分けて解説します。
- UbuntuでのGUIアプリ開発
- GUIアプリ開発に適したLinuxディストリビューション
それぞれみていきましょう。
UbuntuでのGUIアプリ開発
Ubuntuは、Linuxディストリビューションの一つで、オペレーティングシステムの一つとして知られています。Ubuntuは、Debianベースのディストリビューションであり、Linuxコミュニティで人気を誇っています。
デスクトップアプリケーション開発に向いており、多くのツールやライブラリでの利用が可能です。
UbuntuでのGUIアプリ開発のおもなメリットは、以下のとおりです。
- 豊富なツールとライブラリがある
- GtkとQtをサポートしている
- デスクトップ環境での統合が可能
- Snapパッケージをサポートしている
- 開発者向けドキュメントが豊富
- クロスプラットフォーム開発が可能
- システムの一貫性がある
この中でも特筆すべきは、システムに一貫性のある開発ができることでしょう。
Ubuntuは標準的なUI/UXガイドラインに基づいているため、開発者はシステムの一貫性を保ちつつ、使いやすいGUIを開発できます。システムの一貫性が保たれているため、どのようなシステムでも同じく利便性高く利用できるGUIアプリを開発できることは、メリットです。
GUIアプリ開発に適したLinuxディストリビューション
Linuxディストリビューションとは、Linuxカーネルとそれに関連するユーティリティ・システム・パッケージ管理システム・デスクトップ環境などを組み合わせた、完全なオペレーティングシステムのパッケージのことを指します。
GUIアプリに適したものは、おもに以下のようなものです。
- Ubuntu
- Fedora
- Arch Linux
- openSUSE
- Manjaro
先述したUbuntuだけでなく、さまざまなLinuxディストリビューションで、GUIアプリの利用が可能です。
これらにはそれぞれ特徴があるため、GUIアプリ開発を行う際には、どれを選ぶかが重要です。自身が開発したいとするGUIアプリと相性の悪いものを選んでしまうと、開発効率が悪くなる可能性があります。
GUIアプリを開発する際は、開発するアプリに適したものを選ぶようにしましょう。
Linux GUIアプリ開発に必要なツール
LinuxでのGUIアプリ開発では、その開発に適したLinuxディストリビューションを選択が重要であることがわかりました。
次に、LinuxでのGUIアプリ開発に必要なツールをみていきましょう。
ここでは、以下の項目に分けて、LinuxでのGUIアプリ開発に必要なツールをみていきます。
- 開発ツールの選定
- デザインツールの活用
それぞれ解説します。
開発ツールの選定
LinuxでGUIアプリを開発する際は、総合開発環境(IDE)を活用するのが一般的です。
IDEは、ソフトウェア開発者がアプリケーションやソフトウェアを開発する際に使用する、さまざまな機能が包括されたツールセットです。IDEには、さまざまな種類や特徴があるため、GUIアプリ開発で利用する際は、これら特徴などを理解して選択する必要があります。
IDEを選択する際のポイントには、おもに以下のようなものがあります。
- どのGUIフレームワークを使用するか
- どのプログラミング言語を利用するのか
- GUIデザインはどのようなものが良いか
- デバッグ機能が充実しているか
- コード補完機能やリファクタリング機能があるか
- プロジェクト管理機能があるか
- コミュニティやサポートは充実しているか
- クロスプラットフォームに対応しているか
この中でも重要なのは、どのプログラミング言語を利用するのか、ということです。
開発言語によって、利用できるIDEが変わってきます。たとえば、Pythonを使用する場合は、PyQtやPyGObjectをサポートするIDEを選ぶ必要があります。
間違ったIDEを選んでしまうと、プログラミング言語に対応しておらず、開発効率が低下することもあるでしょう。
デザインツールの活用
LinuxでGUIアプリを開発する際は、デザインツールの活用も必要です。デザインツールとは、UIやUXのデザインを補助して、効率的な開発を行うためのソフトウェアツールのことを指します。
これらのツールは、開発者やデザイナーがアプリの外観や操作性を設計するのに役立ちます。デザインツールには、おもに以下のようなものがあります。
- Inkscape
- GIMP
- Pencil Project
- Gravit Designer
- Krita
これらデザインツールは、それぞれ特徴があるため、自身が開発したいGUIアプリに適したデザインツールを選ぶと良いでしょう。
リソース不足でもできる開発方法
LinuxでのGUIアプリ開発は、Linuxをより便利に使うために必要なことですが、必ずしも自社だけで開発できるわけではありません。
自社にリソースが足りず、GUI開発ができない場合は、どのようにするとよいのでしょうか。
ここでは、リソース不足でもできる開発方法を、以下2つ解説します。
- アウトソーシングの活用
- オープンソースプロジェクトの参加
それぞれみていきましょう。
アウトソーシングの活用
LinuxでのGUIアプリ開発で、リソース不足となった場合、アウトソーシングの活用がおすすめです。
アウトソーシングとは、企業が特定の業務やプロジェクトを外部のサードパーティ(外部業者や専門企業)に委託する方法です。アウトソーシングを活用できれば、企業は自社の内部リソースを最適化し、外部の専門家やサービスプロバイダーの知識やスキルを利用できます。
LinuxでのGUIアプリ開発で、アウトソーシングを活用する際には、サードパーティがどのようなスキルを持っているかの確認が重要です。LinuxでのGUIアプリ開発では、特定のプログラミング言語やGUIフレームワークのスキルが必要であるため、これらスキルを持つサードパーティを選ぶ必要があります。
ほかにも、コミュニーケーションがしっかりとれるサードパーティを選ぶようにしましょう。コミュニケーションがしっかり取れないと、プロジェクトの進行状況や要件の変更などが正しく伝えられず、プロジェクト進行がうまくいかなくなる可能性があります。
オープンソースプロジェクトの参加
オープンソースプロジェクトへの参加は、LinuxでのGUIアプリ開発で有用な方法な一つです。オープンソースプロジェクトとは、そのソースコードが一般に公開されており、誰でも閲覧・使用・変更・再配布などが可能なソフトウェア開発プロジェクトのことを指します。
LinuxでのGUIアプリ開発のリソース不足を、このようなプロジェクトへ参加することで、問題解消することができます。
このようなプロジェクトには、以下のようなものがあります。
- Qt
- GTK
- Election
- KDE Frameworks
- Glade
これらプロジェクトでは、Linux上でGUIアプリを開発する際に有用なツールやリソースを提供しています。開発者は、プロジェクトのニーズや好みに合わせてこれらのツールを使用することができ、リソース不足を解消できるでしょう。
まとめ
Linux ではCLIでの利用が多いですが、GUIでの利用も多くGUIアプリ開発が盛んです。LInuxでGUIアプリ開発ができれば、操作性が向上し、開発効率が向上するでしょう。
GUIアプリ開発は、自社で全てまかなえればよいですが、特別なフレームワークやプログラミング言語を必要とするため、容易ではありません。このような場合、アウトソーシングの活用がおすすめですが、委託会社などのサードパーティはさまざまで、どの会社を選べばよいかわからないこともあるでしょう。
アウトソーシングの活用に迷った際は、GUIアプリ開発の実績が豊富な、株式会社Jiteraに是非ご相談ください。どのようなGUIアプリを開発したいかをしっかりとヒアリングさせていただき、その要望に沿った提案やアドバイスをさせていただきます。