声紋認証とは?導入のメリットや仕組み、実例も解説

人々のセキュリティ意識の高まりに応じて、新たなセキュリティ技術も次々と誕生しています。

話題となっているセキュリティ技術の中でも、「声紋認証(声認証)」をご存知でしょうか。

声紋認証とは人の身体の一部を使って行う生体認証の一種であり、人によって異なる声紋(=声の高さや周波数といった声音)を利用して本人確認を行う認証方式です。

この記事では声紋認証がどういったものなか、その仕組みや種類、導入するメリット・デメリットについて解説します。

Nao Yanagisawa
監修者 Jitera代表取締役 柳澤 直

2014年 大学在学中にソフトウェア開発企業を設立

2016年 新卒でリクルートに入社 SUUMOの開発担当

2017年 開発会社Jiteraを設立
開発AIエージェント「JITERA」を開発

2024年 「Forbes 30 Under 30 Asia 2024」に選出

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執筆者 shu-ichi

とある企業のシステム管理者として10年以上勤めています。 自身の経験や知識を活かし、誰にでも分かりやすい記事をお届けしたいです。

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    声紋認証とは?

    声紋認証とは、人の”声”を使って本人確認を行うセキュリティ技術の一種です。

    指紋が人それぞれ異なるように、声の高さや周波数といった「声の特徴」も1人1人異なります。

    声紋認証ではその声の特徴を解析し、個人を特定。他人が真似るのが難しいので偽造や盗難のリスクが低く、高いセキュリティ性を実現できる仕組みです。

    一般的には認証で使うフレーズをあらかじめ登録しておき、認証機器に向かって発声して本人確認を行います。

    認証で使うフレーズは長文にする、もしくは繰り返し行うほど認証精度が高まるとされ、認証方法は提供サービスによって異なる点に注意が必要です。

    声紋認証の仕組み

    声紋認証は人の身体的特徴を使って認証をする生体認証の一種であり、従来からの方式である「指紋認証」や「虹彩認証」などと仕組みや認証のプロセス自体はほぼ同じです。

    声紋認証は様々な場面で活用されており、ビジネスシーンでの利用はもちろん、ご家庭に設置するスマートスピーカーやスマートフォンなどにも活用されています。

    ここでは声紋認証の仕組みを「登録」と「認証・判定」のステップに分けて解説しますので、どういった流れで認証を行うのか確認してみてください。

    Step1:声紋登録

    まずは認証する際の鍵といえる「声紋」を登録しますが、ここで言う「声紋」とはその名の通り「声」の「紋(模様)」です。

    この”声の模様”を使って認証を行うわけですが、もちろん声は肉眼では見えないため、まずは人の声を録音(収集)してコンピューターで分析を行います。

    そして分析によって完成した音声信号の分布図(サウンドスペクトログラム)を、認証システムに登録してあるユーザーと紐づけて声紋登録は完了となります。

    Step2:声紋認証・判定

    次は実際に声紋認証を行います。ユーザーが認証機器の前で発声を行うと、システム上に登録された声紋パターンと照合され、一致していれば認証成功です。

    ただし、声紋認証は”音”を使った認証であるが故に、周囲の環境音や声の強弱によって認証エラーが発生する可能性があります。

    認証精度を高めたいのであれば、複数回の認証を行う「多層認証」を用いるか、後述する声紋認証方式の変更を試してみるといいでしょう。

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      声紋認証の方式

      声紋認証にはいくつかの認証方式があります。

      • テキスト依存型(別名:キーワード方式、パスフレーズ方式など)
      • テキスト独立型(別名:フリーワード方式、自由発話方式など)

      どちらも認証してもらいたい人がフレーズを発声して認証を行うのは同じですが、発声するフレーズの内容が異なるのが特徴です。

      ここでは、声紋認証の方式について詳しく解説します。

      テキスト依存型

      テキスト依存型

      テキスト依存型は、発話するフレーズ(テキスト)があらかじめ決められている方式です。

      私たちが普段この方式を利用している身近な場面として、スマートスピーカーであるGoogleHomeなどで「OK,Google」のように決まったフレーズを声に出して認証を行うものが当てはまります。

      ごく短い時間(0.5秒~3秒)の発声だけでいいので認証が早く、機器によっては認証で使う特定のフレーズを変更できるのも特長です。

      テキスト独立型

      テキスト独立型

      テキスト独立型は、発声するフレーズが限定されておらず、発声された声質をチェックする方式なので、フリーワード方式や自由発話方式などとも呼ばれています。

      テキスト独立型でチェックするのは声質だけなので、認証精度を高めるためには最低でも5秒以上の発声が必要です。

      その代わり、雑音が多いなど周辺環境が悪い場所で認証を行っても、精度が落ちないといった特長もあります。

      また、自然な会話で認証できるため、発声スピードやアクセント、使用する言語などに左右されないのもテキスト独立型のメリットといえるでしょう。

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      声紋認証のメリット

      認証の種類が様々ある中、声紋認証を選ぶメリットとは何でしょうか。

      カードなどの物理的媒体ではなく、指や目といった他の生体認証でもない、「声」で認証するからこそ得られるメリットをついて解説します。

      高いセキュリティ性

      声紋認証は、認証する際に「声」を使うからこそ高いセキュリティ性を実現できています。なぜなら、声は偽造や盗難のリスクが低いからです。

      もしも他者に声を録音されたとしても、録音機械から発せられる「声」は登録していた音声信号とは異なるため、認証を突破できません。

      もちろん、「声」は人体から直接出てくるものなので、盗難されてしまう可能性が限りなく低いのは言うまでもありません。

      利便性

      声紋認証で使用する「声」は、いつ何時でも出せるものであるため、利便性にも優れているといえます。

      パスワードや暗証番号を記憶したり、ICカードといった物理媒体を携帯したりする必要がないため、従来の認証方式に比べて圧倒的な利便性を誇ります。

      認証登録に関してもあらかじめ準備しておく必要もないため、認証が必要な人だけでなく、施設の管理者側にとっても便利な仕組みといえるでしょう。

      非接触性

      声紋認証は「認証機器に触れる必要がない」という非接触性も兼ね備えています。

      同じ生体認証でもある指紋認証の場合、認証機器へ指を接触させなければなりません。その点、声紋認証は認証を行う機器に対して声を出すだけで認証を行えます。

      感染対策の観点からも非常に有効な認証手段であり、指まで隠れる指定の服装へ着替えが必要になる工場内の清潔区域などでも利用できる認証方式です。

      ストレスフリー

      声紋認証は、他の生体認証と比較しても認証にかかる時間が短く、認証が必要な人にとってストレスフリーな認証環境を構築できます。

      認証方式が「テキスト依存型」か「テキスト独立型」かによっても若干の差はありますが、早くて0.5秒、長くとも5秒ほどで認証可能です。

      同じ生体認証である指紋認証だと、認証のスピードこそ声紋認証と遜色ないですが、指紋登録をした指の状態(汚れやケガ)などによってスムーズな認証ができないパターンも多く、声紋認証は認証にかかるストレスが軽減できるといえます。

      声紋認証のデメリット

      良い点ばかりのように思える声紋認証ですが、デメリットもいくつか存在しています。

      デメリットに関しても、上述のメリットと同様に声紋認証で用いるのが「声(音)」であるが故に生まれてしまうデメリットとも言えるため、メリット・デメリットを比較して検討するのがおすすめです。

      音声品質の影響を受けやすい

      声紋認証は認証登録時に用いるマイクなどの録音機器や、録音時の周辺で発生していた環境音など、本人以外の要因によって音声品質の影響を受けやすいといったデメリットがあります。

      声紋認証はあらかじめ登録された「音声信号の分布」と照合して認証を行うため、登録(録音)時と認証時で周囲の環境が異なっていると認証エラーが発生しやすいです。

      できる限り認証エラーを回避するため、周囲が静かな環境で登録(録音)するのが望ましいといえます。

      発声者の体調の影響を受けやすい

      身体の一部分を使って認証を行う生体認証の中でも、特に声紋認証は認証者の体調の影響を受けやすいといえるでしょう。

      風邪を引いて喉の調子が悪い、出し過ぎによる声のかすれなど、声の状態は日によって変化しやすいものです。声紋認証を採用する場合は、こういったリスクも想定しておかなければなりません。

      何らかの要因による声紋認証ができない場合に備え、認証方式が異なる第二・第三の方法も導入しておく必要があります。

      なりすましリスク

      声紋は偽造しにくいといっても、なりすましのリスクを完全に防げるわけではありません。

      機械へ録音された声紋は認証フレーズを変更すれば対応できますが、現代において音声合成の技術は日々進化しているため、特定人物の声紋を再現できるのも不可能ではない状況になっています。

      重要な情報が保管されているなど、高度なセキュリティを求められる場所では、このような万が一の事態に備えて他の生体認証や、ICカードやパスワード入力など、声紋認証に加えていくつかの認証方式を複合させるのがおすすめです。

      導入コストや運用コストがかかる

      既に普及が進んでいるICカードや指紋認証などの従来の認証方式と比べ、後発の方式である声紋認証は導入コストや運用コストがかかるのがデメリットといえるでしょう。

      声紋認証システムを提供しているベンダも、他の生体認証システムと比較しても多いとは言えないため、まだまだ選択肢の幅は狭いと言わざるを得ません。

      声紋認証の導入事例

      ビジネスや生活の身近な場所において、声紋認証が活用されているシーンが増え始めています。

      高度なセキュリティが求められる金融機関から、個人が持つ携帯電話やパソコンなど、実際に声紋認証が導入されている事例を具体的に見てみましょう。

      金融機関

      一部の金融機関では、ATMやオンラインバンキングにおける本人確認の方法として声紋認証が採用されています。

      例えばコールセンターや銀行アプリでの本人確認の際、預金者の声をAI(人工知能)技術で認証させて、実際に残高照会や送金手続きができるといったものです。

      個人の預金情報などは最も厳重に守りたい情報の一つでもあるため、セキュリティ性の高い声紋認証が今後も様々な金融機関での導入が進むと考えられています。

      携帯電話・パソコン

      私たちが普段使っている携帯電話やパソコンなどでも、声紋認証は既に活用されています。

      例えばiPhoneに搭載された音声アシスタント「Siri」を使えば、設定した音声フレーズを話すだけでSiriが画面ロックを解除してくれるので非常に便利です。

      新型コロナウイルスが猛威を振るっていた時期に、物理的な接触を避けられるので幅広い世代に普及したとも言われています。

      コールセンター

      コールセンターにとって最重要とも言える情報が「顧客情報」です。

      氏名や住所といった個人情報はもちろん、製品の購入状況や問い合わせ履歴など、顧客に関するあらゆる情報がまとめられています。

      これらの顧客情報は、いつ誰がどの情報を閲覧したのか厳重に管理しなければなりません。

      セキュリティ性の高い声紋認証を活用すれば、部外者の閲覧やなりすましによる顧客情報の詐取などを防止できるでしょう。

      入退室・出入管理

      声紋認証を導入している一般企業の多くは、入退室・出入管理にて活用しているケースが多く見られます。

      企業内にはサーバールームや重要書類の保管庫など、厳重管理が必要となる部屋が多数存在しており、声紋認証は特にこれらの部屋のセキュリティ対策として役立つでしょう。

      ただし、必要時にこれらの部屋に入室できない事態を防ぐため、声紋認証とは別の認証方法の準備についても考慮してください。

      声紋認証のまとめ

      この記事では声紋認証の仕組みや種類、導入するメリット・デメリットについてご紹介しました。

      身体の一部分を使って認証を行う生体認証の中でも、後発の方式なのが今回ご紹介した声紋認証です。

      指紋や虹彩と比べて偽造や盗難がやりにくいのでセキュリティ性が高く、認証情報も覚える必要がないので利便性が高いのが特長。認証が完了するのも早いため、様々なシーンで活用できるでしょう。

      声紋認証は金融機関サービスへのログインや一般企業での入退室管理などに活用されますが、実はスマートフォンやパソコンなどにも導入されていて私たちにとっても身近なセキュリティ技術といえます。

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