ゴールシークプロンプトは、生成AIに入力するプロンプトの書き方の一種です。

生成AIに指示は出すけれど、思ったような回答を得られないという方は多いでしょう。

本記事では、ゴールシークプロンプトの基本的な流れやメリット、注意点を解説します。

記事を読めば、ゴールシークプロンプトを使いこなし、生成AIから理想的な回答を引き出せるようになるのでぜひご覧ください。

ゴールシークプロンプトとは？

ゴールシークプロンプトとは、生成AIに入力するプロンプトの書き方の一種です。

ゴールシークプロンプトに関する以下の2点について紹介します。

• ゴールシークプロンプトはChatGPTの一部
• プロンプトデザインがChatGPTの精度を上げる理由

ゴールシークプロンプトはChatGPTの一部

ゴールシークプロンプトは、ChatGPTのプロンプトの一つです。

プロンプトとは、ChatGPTなどの生成AIから答えを引き出すための文章の書き方のことです。

ゴールシークプロンプトは、Goal（目標、目的）をSeek（探す、求める）するという名前の通り、ある具体的な目標に対して様々な手順で答えにたどり着く方法をとります。

曖昧な情報を排除し、明確なゴールに向かって具体的な質問を繰り返し、答えを引き出すのが、ゴールシークプロンプトの基本的な手法です。

プロンプトデザインがChatGPTの精度を上げる理由

プロンプトデザインは、ChatGPTの性能向上に大きく影響をおよぼします。

なぜなら、ChatGPTはプロンプトの内容をもとに文脈や意図を分析し、大量に学習したテキストデータの中から、正解の確率が高い答えを導き出すからです。

プロンプトが曖昧で意図が明確でなければ、ChatGPTが正解と判断するテキストデータが大量になります。

そのため、ChatGPTの回答の範囲が広くなり、ユーザーが求める回答から遠のく可能性があります。

一方で、ユーザーの意図が明確でより具体的なプロンプトを入力すると、ChatGPTが分析する範囲が限定的となり、ユーザーの意図に沿った回答を得られやすくなるでしょう。

以上のように、プロンプトデザインはChatGPTの精度を上げる上でとても重要です。

ゴールシークプロンプトの基本的な流れ

ゴールシークプロンプトを作成する基本的な流れは以下の通りです。

1. 目標を設定する
2. プロンプトを作成する
3. 軌道修正しゴールに到達する

それぞれ紹介します。

1.目標を設定する

ゴールシークプロンプトを使用する際には、まず明確な目標を設定することが重要です。

ChatGPTがユーザーが求めている意図を正確に把握し、適切な解答を生成できるようになります。

2.プロンプトを作成する

設定した目標に基づいて適切なプロンプトを作成します。

ユーザーが求めているものや条件などを明確に記載することが必要です。

また、よりよい回答を作るためにどんな情報が必要か質問するような指示を含めると、やり取りを繰り返していく中でより良い回答が得られます。

3.軌道修正しゴールに到達する

ChatGPTの回答を見て、欲しい回答ではなかったら、プロンプトに条件を追加して再度入力します。

また、ChatGPTから質問をされたら、質問に対する回答をプロンプトに含め、入力します。

以上のようなやり取りを繰り返して、適切な回答を導きます。

ゴールシークプロンプトを使う4つのメリット

 

ゴールシークプロンプトには、主なメリットが4つあります。

• 問題解決能力が向上する
• 創造的なアイデアが浮かぶ
• 問題解決する際に時間の節約ができる
• 柔軟性が高まる

それぞれ紹介します。

問題解決能力が向上する

プロンプトを改善し、ChatGPTに与える過程で、問題解決のプロセスを学ぶことができるため、自身の問題解決能力を向上させることができます。

ゴールシークプロンプトを作るには、どうやったらChatGPTが自分の望んだ形で回答してくれるのかを考えることが必要です。

試行錯誤を繰り返す中で、自分の問題解決能力が自然と向上するでしょう。

創造的なアイデアが浮かぶ

ChatGPTは、人間では処理できないほどの大量のテキストデータを学習しています。

そのため、あらゆるデータを組み合わせて、自分の発想だけでは思いつかない解決策やアプローチを提示してくれることがあります。

ゴールシークプロンプトを活用することで、新しい視点から問題に取り組むことができます。

問題解決する際に時間の節約ができる

ゴールシークプロンプトを使い回すことで、問題解決にかかる時間を短縮することができます。

一度作ったゴールシークプロンプトをフォーマットととして、ゴールや条件を変更することで別の課題にも活用できます。

0からプロンプトを作成する必要がないので、問題を解決する際に時間を節約することが可能です。

柔軟性が高まる

ゴールシークプロンプトは、様々な問題に対してChatGPTから回答を引き出す有用な手法です。

そのため、多くの問題に対してゴールシークプロンプトを適用し、柔軟な問題解決アプローチを身につけることができます。

ゴールシークプロンプトを使うときの注意点

ゴールシークプロンプトには、多くのメリットがある一方で、注意しなければならない点があります。

• 時間がかかる
• フォーマット作成が手間になる
• 出力された答えに依存し過ぎない

それぞれ紹介します。

時間がかかる

ゴールシークプロンプトで求めている回答を得るのに時間がかかることがあります。

なぜなら、ゴールシークプロンプトは一発で回答を引き出すものではなく、ChatGPTと何回も会話を重ねる必要があるからです。

適切にプロンプトを修正しながら、求めている回答に導く必要があるので、時間を要することがあります。

フォーマット作成が手間になる

ゴールシークプロンプトのフォーマット作成には手間がかかることがあります。

適切な指示を与えるためには、プロンプトの構造や内容を慎重に考える必要があります。

回答の形式によっては、条件をいくつも考え、設定することが必要です。

そのため、ゴールシークプロンプトのフォーマットを作成するには手間と時間がかかります。

出力された答えに依存し過ぎない

ゴールシークプロンプトによって生成された回答に過度に依存しないよう注意が必要です。

ChatGPTの回答はあくまで参考程度であり、自身の思考や判断力を持って問題に取り組むことが重要です。

出力された回答に固執しすぎると自分の思考が制限されてしまいます。

ゴールシークプロンプトの具体的な活用方法とテンプレート

例として、「現状の社内リソースと体制を分析し、不足している点を洗い出す」プロンプトを作成します。

まず、下記のプロンプトを入力します。

あなたは、プロンプトエンジニアです。
あなたの仕事は、私のニーズにあった最高のプロンプトを作成することです。
できたプロンプトは、ChatGPTで使用します。

次のプロセスに従ってください。

1. まず最初に、何についてのプロンプトであるかを私に確認してください。
私が質問の答えを提供するので、次のステップを経て、継続的な反復を通じて改善してください。

2. 私の入力に基づいて、3つのセクションを生成します。
a) 改訂されたプロンプト（書き直したプロンプトを提示してください。明確、簡潔で、簡単にあなたが理解できるものしてください）
b) 提案（プロンプトを改善するために、プロンプトを含めるべき詳細について提案してください）
c) 質問（プロンプトを改善するために必要な追加情報について、関連する質問をしてくだい）

3. この反復プロセスは、私があなたに追加情報を提供し、あなたが改訂されたプロンプトセクションのプロンプトを更新し、私が「完了」というまで続けます。

上記のプロンプトに対し、ChatGPTは以下のように返答しました。

はい、あなたの要求に従ってプロンプトを作成することができます。しかし、最初に、あなたがどのようなプロンプトを求めているのかをもう少し具体的に教えていただけますか？ 例えば、あなたが求めているプロンプトは、特定のトピックに関連していますか？ それとも、特定の形式（例えば、物語、詩、コードなど）が必要ですか？ それとも、特定の目的（例えば、学習、エンターテイメント、情報提供など）がありますか？ これらの詳細を提供いただければ、より適切なプロンプトを作成することができます。よろしくお願いいたします。

ChatGPTに対し、以下のように返します。

「現状の社内リソースと体制を分析し、不足している点を洗い出す」プロンプトを作成します。

ChatGPTの返答は以下の通りです。

了解しました。以下に、あなたの要求に基づいて作成したプロンプトを示します。

a) 改訂されたプロンプト:

あなたの組織の現状のリソースと体制を分析し、その中で不足している点を洗い出してください。具体的には、以下の観点から分析を行ってみてください。
1. 人的リソース：スキルセット、経験、人数など
2. 物的リソース：設備、技術、ソフトウェアなど
3. プロセスと体制：業務フロー、コミュニケーション、意思決定のプロセスなど

b) 提案: このプロンプトは、組織の現状分析と改善点の特定に焦点を当てています。それぞれの観点について具体的な質問を追加することで、より詳細な分析を促すことができます。

c) 質問: このプロンプトが目指す結果は何ですか？ 例えば、組織の効率化、新たなプロジェクトの計画、または組織の再構築などが考えられます。これらの目的によって、プロンプトの焦点や詳細度が変わる可能性があります。より具体的な目的を教えていただけますか？

ChatGPTの1回目の質問に対し、以下のように回答します。

このプロンプトが目指す結果は新たなプロジェクトの計画です。

1回目の質問に対するChatGPTの回答は以下の通りです。

了解しました。新たなプロジェクトの計画に向けたリソースと体制の分析を目指すとのことですね。それでは、以下に改訂したプロンプトを示します。

a) 改訂されたプロンプト:

新たなプロジェクトの計画に向けて、あなたの組織の現状のリソースと体制を分析し、その中で不足している点を洗い出してください。具体的には、以下の観点から分析を行ってみてください。
1. 人的リソース：スキルセット、経験、人数など
2. 物的リソース：設備、技術、ソフトウェアなど
3. プロセスと体制：業務フロー、コミュニケーション、意思決定のプロセスなど
これらの分析結果をもとに、新たなプロジェクトの計画を立てるための改善点を特定してください。

b) 提案: このプロンプトは、新たなプロジェクトの計画に必要なリソースと体制の分析に焦点を当てています。それぞれの観点について具体的な質問を追加することで、より詳細な分析を促すことができます。また、新たなプロジェクトの目標や期待される成果についても考慮に入れると、より具体的な改善点を特定することができるでしょう。

c) 質問: 新たなプロジェクトの具体的な内容や目標は何ですか？ また、そのプロジェクトを成功させるためには、どのようなリソースや体制が必要だと考えていますか？ これらの情報を提供いただければ、より具体的なプロンプトを作成することができます。よろしくお願いいたします。

ChatGPTの2回目の質問に対し、以下のように回答します。

１．新たなプロジェクトの具体的な内容や目標は何ですか？
→プロジェクトの目標は年間売上2億円です。
２．そのプロジェクトを成功させるためには、どのようなリソースや体制が必要だと考えていますか？
→プロジェクトを推進するマネージャーが必要です。

ChatGPTは以下のように回答します。

ありがとうございます。それでは、あなたの提供した情報に基づいてプロンプトを改訂します。

a) 改訂されたプロンプト:

新たなプロジェクトの計画に向けて、あなたの組織の現状のリソースと体制を分析し、その中で不足している点を洗い出してください。このプロジェクトの目標は年間売上2億円であり、プロジェクトを推進するマネージャーが必要とのことです。具体的には、以下の観点から分析を行ってみてください。
1. 人的リソース：スキルセット、経験、人数など
2. 物的リソース：設備、技術、ソフトウェアなど
3. プロセスと体制：業務フロー、コミュニケーション、意思決定のプロセスなど
これらの分析結果をもとに、新たなプロジェクトの計画を立てるための改善点を特定してください。

b) 提案: このプロンプトは、新たなプロジェクトの計画に必要なリソースと体制の分析に焦点を当てています。それぞれの観点について具体的な質問を追加することで、より詳細な分析を促すことができます。また、新たなプロジェクトの目標や期待される成果についても考慮に入れると、より具体的な改善点を特定することができるでしょう。

c) 質問: 新たなプロジェクトの具体的な内容は何ですか？ また、そのプロジェクトを成功させるためには、どのようなスキルセットを持つマネージャーが必要だと考えていますか？ これらの情報を提供いただければ、より具体的なプロンプトを作成することができます。よろしくお願いいたします。

ここで、ChatGPTとのやり取りを完了させます。

以上のように、ゴールシークプロンプトを活用し、自分の目標に合ったプロンプトを作成します。

ゴールシークプロンプトと関連するシュンスケと深津式

ゴールシークプロンプトに関連するプロンプトの作成手法が2つあります。

• シュンスケ
• 深津式

それぞれ紹介します。

シュンスケ

シュンスケ式プロンプトは、ゴールシークプロンプトの一種で生成AI活用普及協会協議員である林駿甫氏によって考案されたプロンプトデザインです。

ChatGPTに質問するのではなく、質問させるという発想を取り入れています。

シュンスケ式プロンプトは、問題解決や意思決定のプロセスを効率化し、より正確な回答を得ることができます。

深津式

深津式プロンプトもまた、ゴールシークプロンプトの一種であり、特定の目標やゴールに向かってChatGPTを導くための手法です。

命令と条件を明確に分けて記載する点と追加情報が必要な場合、逆質問させる点が特徴です。

深津式は、ChatGPTに対して適切な指示を与えることで、より高度な問題解決や意思決定を促進します。

まとめ：ゴールシークプロンプトとはAIと協働して目標達成する思考プロセス

ゴールシークプロンプトの基本的な流れやメリット、注意点を紹介しました。

ゴールシークプロンプトは、具体的なゴールを決めてChatGPTとのやり取りを繰り返し、回答を引き出す手法です。

ゴールシークプロンプトのメリットは、問題解決能力の向上やプロンプト作成時間の節約です。一方で、最初にプロンプトを作る際に手間と時間がかかることなどに注意が必要です。

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