APM(アプリケーションパフォーマンス管理)とは?ビジネスへのメリットを解説

みなさんはAPM(アプリケーションパフォーマンスモニタリング)という言葉を耳にしたことはありますでしょうか。

APMは、昨今のデジタル化によって複雑化したアプリケーション環境で常に最適なサービスを顧客に提供するために必要な考え方の1つです。

APMを適切に実施するためには、そもそもAPMが何なのか、ビジネスにどんな影響があるのかを理解することが重要になります。

本記事では、APM(アプリケーションパフォーマンスモニタリング)の基本的な考え方や種類、ビジネスへのメリットについて解説していきます。自社システムのAPM実施を検討している方はぜひ参考にしてみてください。

Nao Yanagisawa
監修者 Jitera代表取締役 柳澤 直

2014年 大学在学中にソフトウェア開発企業を設立

2016年 新卒でリクルートに入社 SUUMOの開発担当

2017年 開発会社Jiteraを設立
開発AIエージェント「JITERA」を開発

2024年 「Forbes 30 Under 30 Asia 2024」に選出

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執筆者 ムラ

金融機関常駐SEとして、常駐先の社内システム開発に携わっている現職SE。 開発に関する上流から下流まで経験。最近ではSalesforceなどのSFAツールを用いたシステム開発に着手。

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    アプリケーションパフォーマンスマネジメント(APM)とは何か

    アプリケーションパフォーマンスマネジメント(APM)とは何か

    APM(アプリケーションパフォーマンスマネジメント)とは、「Application Performance Management」の略称で、アプリケーションやシステムの性能を管理・監視するプロセスを指します。

    簡単に言えばシステムの監視を行うことで、システム監視を通してアプリケーションが正常に運用されていることをリアルタイムでモニタリングを行うことが目的です。

    昨今のデジタル化で多くの企業がDX化の推進を進めており、さまざまな業務がシステムやアプリケーションに置き換わり、アプリケーション精度がそのまま顧客満足度に繋がってしまいます。

    APMによる分析で現状のアプリケーションがもつ課題を見つけて改善することでアプリケーションの精度や価値を高めることが可能です。

    常に最適なサービスを提供し、都度最適化を行うことが重要な昨今のアプリケーション環境においてAPMは重要といえるでしょう。

    アプリケーションパフォーマンスマネジメント(APM)ツールの種類と特徴

    昨今、APM需要の高まりで、数多くのAPMツールがリリースされています。しかし一概にAPMツールといっても、何をベースに管理するかによって種類が異なります。

    APMツールの活用を考えている場合、各APMツールの種類の特徴を理解することは重要です。

    理解せずに導入した場合、本来管理したかった観点が管理できない可能性があるため、こちらではAPMツールの種類と特徴についてみていきます。

    APMツールの種類は、主に以下の通りです。

    • パフォーマンス指標ベース
    • コードプロファイリングベース
    • ネットワークベース

    それぞれ、詳しくみていきましょう。

    パフォーマンス指標ベース

    パフォーマンス指標ベースのAPMツールは、アプリケーションのパフォーマンスをKPI等の特定指標に基づいて継続的にモニタリングするよう設計されていることが特徴です。

    リアルタイムトラッキングで顧客体験やレスポンスタイム、エラー発生率などのKPIを計測することでアプリケーションの変動や問題に迅速に対応できます。

    リアルタイムトラッキングの利点はその他にもあり、アラート機能を活用することで事前に設定された値を超えた場合に担当者に通知が行くようにすることで問題発生前に対処可能です。

    予防措置などを講じることができるため顧客体験の維持向上が可能で、顧客満足度向上に繋がります。

    APMツールの多くは、このパフォーマンス指標ベースのツールとなっており、最適な性能維持のためにもパフォーマンス指標の種類や閾値の概念を理解しておくとよいでしょう。

    コードプロファイリングベース

    コードプロファイリングベースのAPMツールは、アプリケーション内のコード実行に焦点をあててアプリケーションのパフォーマンス改善やボトルネックを特定するAPMツールです。

    世に出ているアプリケーションのほとんどはコーディングされた内容をコード実行して顧客にサービスを提供しています。既存のコーディングでサービス提供に問題はなくとも、不要な処理などで無駄なロード時間などが発生することがめずらしくありません。

    コードプロファイリングベースのAPMツールは、コーディングに使われている各関数やメソッドの実行時間、メモリ使用量、呼び出し関数などの処理のデータを収集して、コーディングされた内容のどこに問題や改善点があるのかを追求してくれます。

    コードプロファイリングベースのAPMは、大規模で複雑なアプリケーション開発プロジェクトにおいて、品質やリソースの適切な利用を判断するうえで必要不可欠です。そのため、コードプロファイリング機能がAPMに搭載されているのか確認することも重要といえるでしょう。

    ネットワークベース

    ネットワークベースのAPMツールはネットワークの視点からアプリケーションパフォーマンスの管理を行うことが特徴です。

    顧客にとってアプリケーションの通信時間が長いことは、それだけでストレスとなり顧客満足度の低下を招きます。そのためアプリケーションに利用されているネットワーク環境の精度を管理して、ロード時間が長すぎないか、長くなる原因は何かを特定することは重要です。

    ネットワークベースのAPMでは、ネットワークトラフィックや通信パターンを管理・監視することでアプリケーションのネットワーク帯域の使用状況や通信速度が遅い箇所の特定をすることができます。

    アプリケーションの安定性やパフォーマンスに関するネットワーク上の問題を特定することでアプリケーションの課題を迅速に解決可能です。

    アプリケーションパフォーマンスマネジメント(APM)ツールを使用するメリット

    APMツールがどうしてアプリケーション開発や運用などビジネス上で重要になってくるのか理解することは大切です。こちらでは、APMツールのビジネスにおけるメリットについて解説していきます。

    パフォーマンスの可視化

    APMツールは、アプリケーションパフォーマンスの可視化ができることがメリットです。

    通常アプリケーションのパフォーマンスは目には見えず利用時の体感などで判断するケースが多くありました。APMツールはそんな目には見えないアプリケーションのパフォーマンスを数値化することで可視化し、数値的にアプリケーションのパフォーマンスを判断し迅速な解決策の判断に役立てることが可能です。

    アプリケーションパフォーマンスの可視化はさまざまな影響をもたらし、例えばアプリケーションで発生した問題の発生源を特定することで迅速な課題解決を実現できます。

    また可視化を通じてアプリケーションの問題が顧客体験に与える影響も可視化されることで、顧客体験の向上をはかることが可能です。また可視化はデータをもとにした意思決定のサポートをしてくれるため、問題解決の優先順位付けにも役立ちます。

    アプリケーションの問題点を特定し、課題解決につなげることができるため、APMの重要なメリットの1つといえるでしょう。

    パフォーマンスを分析できる

    APMはパフォーマンスの数値化をすることができ、各数値をもとにアプリケーションのさまざまなパフォーマンスの分析ができます。

    アプリケーションのパフォーマンスを分析することで、サービスの利用状況の違いを分析することで、顧客ニーズの判断や使用頻度の少ないサービスの特定と改善に動き出すことが可能です。

    また過去のデータを分析してトレンドや特定のイベントに対するアプリケーションの動きを理解して、将来的な改善の参考にすることができます。

    パフォーマンスの分析は、現状の課題や顧客の動向を理解するうえでも重要なため、APM活用のメリットといえるでしょう。

    システム効率の向上

    APMツールは、既存システムの効率を向上させるのに役立ちます。

    APMツールがシステム効率向上に寄与する要因として、ボトルネックや性能低下を特定することでシステムの品質向上に繋がることが大きいです。

    パフォーマンスデータを管理・活用することで、どの機能がどのように使われているのか、性能に問題がないかを確認でき効果的なシステムの最適化を実施できます。

    システム効率の向上はユーザーがリソースを適切利用できるよう促進してくれるだけでなく、不要なリソースを削減することでアプリケーション全体の負荷を軽減し、コストも削減してくれます。

    そのため、APMツールの導入はシステム効率だけでなく将来的なコスト削減にも役立つため大きなメリットといえるでしょう。

    トラブルシューティングの強化

    APMツールはトラブルシューティングの強化に寄与してくれることも大きなメリットの1つです。

    システムやアプリケーションをまとめて管理することができ、アプリケーションに問題が発生した場合に、問題の原因を迅速に究明できます。

    また過去のアプリケーションパフォーマンスのデータを分析することで、周期的な問題や特定イベントに対する挙動の違いを理解でき、将来的なトラブルシューティングに活かすことが可能です。

    トラブルシューティングの強化は、アプリケーションの安定性と効率を向上させて、品質の高い顧客体験を実現してくれるため、APMツール導入のメリットといえるでしょう。

    アプリケーションパフォーマンスマネジメント(APM)の導入ステップ

    APMツールをビジネスに導入して成功するためには、正しいプロセスで導入することが重要です。

    導入プロセスを疎かにしてしまうと、自社のビジネスと合わないツールを選択して効果が十分に得られない可能性もあります。

    こちらでは、APMツールをビジネスに導入するためのステップと、APMツールの利用が成功するためのポイントについて解説していきます。

    目標の設定

    APMツールの導入で成功するために、まずは目標の設定をしましょう。

    APM導入におけるビジネス目標を具体的に定義することで、ビジネス目標達成のために必要な機能を搭載したアプリケーションやパフォーマンス指標を理解可能です。

    目標が曖昧だと、そもそも必要な機能が分からずに不必要な機能が搭載されていたり、本来の目的に合わないAPMツールを選んだりしてしまう可能性があります。

    明確な目標設定は、自社のビジネスに合ったAPMツール選びに必要不可欠なため、APMツール導入プロセスでは、まず始めにAPMツール導入の目標を明確に設定しましょう。

    対象アプリケーションの選定

    APM導入の目標を設定したら、目標に基づいてAPMツールで管理する対象アプリケーションの選定を行います。

    ビジネス上の重要度や利用頻度の高いアプリケーションを選定してAPMツールを導入した際に最も価値が生まれる対象を選択することが重要です。

    特に複数のアプリケーションやシステムを業務に活用している場合は、導入初期からすべてのアプリケーションにAPMツールを導入すると管理が複雑になってしまいます。

    そのため、目標設定に適したアプリケーションを選択するために優先順位が高いツールに導入するようにしましょう。

    モニタリング項目の選定

    対象アプリケーションを選定したらモニタリング項目を選定します。

    モニタリング項目とは、APMツールで管理するアプリケーションの指標やデータのことです。

    例えば、アプリケーションの応答時間やトランザクションの成功率、エラー率、リソース使用率などさまざまあります。

    すべてモニタリングすることも出来ますが、まずは優先順位の高いモニタリング項目を選定することが重要です。モニタリング項目で選定した項目をAPMツールで管理・監視することでアプリケーションの品質管理を行えます。

    導入・運用の準備

    次にAPMツールの導入・運用の準備を行いましょう。

    このプロセスでは、主にリソースと運用担当者の確保、トレーニングを実施します。

    次に選定したアプリケーションとモニタリング項目の設定をAPMツールに行い、その後モニタリングデータを保存・分析するためのストレージを構築することが重要です。

    APMツールにレポートやダッシュボード機能がある場合は、レポートとダッシュボードを事前に設計しておくことで導入後すぐにAPMを効果的に活用することができます。

    導入・運用

    準備が整ったらAPMツールを実際に対象アプリケーションの運用環境に導入・運用をしていくプロセスです。

    導入では、APMツールを選定したアプリケーションやインフラストラクチャに組み込んで、データ収集します。

    運用プロセスでは、モニタリングで得たデータをリアルタイムで分析して、アプリケーションが持つ課題の早期発見や原因の特定を実施します。

    原因が特定されたら改修を行い、これを繰り返していくことで持続的な改善による品質維持・向上がはかれるでしょう。

    効果的なアプリケーションパフォーマンスマネジメント(APM)導入の成功ポイント

    最後に効果的にAPM導入し成功するためのポイントについて解説していきます。

    自社に合ったAPMツールを選択する

    自社に合ったAPMツールを選択することは、APM導入の成功のポイントの1つです。

    前述の通り、APMツールにはさまざまな種類があり搭載されている機能が異なり、目的によって求められる機能が変わってきます。

    また、選択するアプリケーションとAPMツールの互換性があるものを選ぶ必要があり、自社に適したAPMツールを選択しないとAPMツールの恩恵を十分に受けられません。

    そのため、APMツールとの相性や備わっている機能が自社に合っているか確認することが、APMツール活用成功のポイントといえるでしょう。

    APMツールを正しく導入する

    APMツールを正しく導入することも成功のポイントの1つです。

    正しく導入するには、ツールの綿密な運用計画やツールを運用する担当者への教育としてトレーニングやツールへの理解を得る取り組みが求められます。

    APMツールで継続的なモニタリングと改善サイクルの確立を行うためのアプローチとして必要不可欠です。ただAPMツールを導入するだけになってしまうと正しくAPMツール活用ができないだけでなく、担当者が理解するまで待たなくてはいけません。

    導入後すぐにAPMツールを業務に活用するために、事前の導入体制を整えて導入することが重要といえるでしょう。

    データの意味を理解する

    APMツールのモニタリングで得られるデータについて理解することはAPMツール導入成功のポイントの1つです。

    モニタリングによって得られるデータの種類は多く、それぞれを理解しないとただしくアプリケーションのパフォーマンスを評価することができません。データの意味を十分に理解することで、細かいデータの違いによる改善点やエラーに気づくことが可能です。

    自社がAPMツールで活用を考えているデータについて、理解を深めることで継続的なアプリケーション評価と最適化を実施することができるでしょう。

    適切な分析を行う

    APMツール導入において適切な分析を行うことは重要です。ツールが収集した膨大なモニタリングデータから的確に分析を行いインサイトや改善点を探ります。

    また、ビジネス目標と関連づけたKPIをレポートやダッシュボード機能で準備するなどをして、適切な分析を行う体制を整えておくことがおすすめです。

    適切な分析はただデータを取得するだけでなく、その結果が意味する内容を理解し、次のアプローチに繋げることで、アプリケーションのパフォーマンス向上やトラブル防止に繋がります。

    適切な分析のもと持続的な改善サイクルを構築し、迅速で的確な意思決定を行うことがAPMツール導入の成功に繋がるでしょう。

    まとめ:APMによるビジネスの最適化

    APMとは、アプリケーションのパフォーマンスを管理・監視を行い、アプリケーションの持続的な改善サイクルの構築を支援する仕組みです。

    デジタル化に伴い多くの業務がアプリケーション化している現代において、非常に重要な役割を持っているといえるでしょう。

    APMをビジネスで効果的に活用していくためには、自社のビジネス目標にあったツール選びや機能選択が重要になってきます。

    適切なツール選びをすることで、より効果的に自社のアプリケーションの改善方針を構築できるのです。

    自社のビジネスにAPMを取り入れようと考えている方でAPMに関して不明点や不安なことがある場合は、ぜひJiteraまでお問い合わせください。

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