インターネット上の氷山の一角として知られる『ダークWeb』は、表面上ではアクセスできない深層部に位置する領域です。一見神秘的で謎に含まれているようにも思えますが、実はダークWeb上では薬物の売買などの違法取引が活発に行われています。
興味本位でダークWebにアクセスしてしまうと取り返しのつかないことにもなりえます。特に企業においては、社員がダークWeb上で犯罪に巻き込まれてしまうと大きな被害が生じます。
ダークWebでの被害を防ぐにはアクセスをしないのが基本ですが、それ以外にもできることは多いです。しかし、ダークWeb対策をしていない企業も多いでしょう。
そこで、本記事ではダークWebの違法性や危険性について解説します。また、企業にとって必要なダークWebのモニタリング方法も紹介するので、ぜひ最後までご覧ください。
現役のシステムエンジニアとして10年程度のキャリアがあります。 Webシステム開発を中心に、バックエンドからフロントエンドまで幅広く対応してきました。 最近はAIやノーコードツールも触っています。
ダークWebは見るだけでもアウト?その危険性

ダークWebは一般的には閲覧できないWebで、犯罪行為の取引が行われています。中には、「取引せずに見るだけでも違法?」と思う方もいるでしょう。
結論、ダークWebを見るだけなら違法ではありません。違法でないなら問題ないと思ったかもしれませんが、アクセスするリスクはあるので、安易に覗くのは避けましょう。
違法コンテンツへの接触
ダークWebは、違法コンテンツの流通や活動が広く行われているので、違法コンテンツへの接触のリスクが高いです。つまり、一般のユーザーが不用意にダークWebにアクセスすると、自分の知らぬ間に違法コンテンツに接触してしまう可能性があります。
例えば、ダークWeb上で一見普通のサービスやコンテンツを閲覧していたとしても、実は違法コンテンツだったという場合もあります。
ダークWeb上にはハッカーなど高い技術を持っている人がたくさん存在しているので、いくらでも悪用は可能です。
ただ、アクセスするだけなら違法ではないので、問題ないと思うかもしれませんが、危険な目に遭うこともあるので注意しましょう。
個人情報の流出
ダークWebは匿名性が高いとは言え、完全なものではありません。なので、アクセスした人の特定も可能です。
通常のWebサイトと異なり、セキュリティが脆弱であるため、個人情報や機密情報が漏洩するリスクがあります。
特定されてしまえば、個人情報が盗まれてしまうのも時間の問題です。自分の個人情報が盗まれてダークWeb上で流出してしまうと、売買されてしまい、クレジットカードの不正利用などの被害に遭うでしょう。
企業の場合は、もしも社員が社内のパソコンでダークWebにアクセスしてしまえば、会社情報だけではなく、顧客情報まで流失するリスクも考えられます。
匿名だからと言って完全に保証されているわけではないので、ダークWeb上で個人情報を晒す行為は絶対に避けましょう。
犯罪に巻き込まれる
ダークWebにアクセスすると、犯罪に巻き込まれてしまいます。自分自身が犯罪の被害者、あるいは加害者のどちらにもなってしまいます。
ダークWebは匿名性が高く、違法な取引や活動が盛んに行われる場所であり、違法なサービスや商品の入手が簡単です。
不正アクセスやハッキング、サイバー攻撃の依頼、児童ポルノの配布など、悪質な犯罪行為が横行しています。ダークWebには犯罪者や犯罪組織が存在しているので、無関係な第三者が犯罪に巻き込まれる可能性があります。
犯罪に巻き込まれると法的な罰則を受けるリスクもあり、自身や周囲の人に迷惑をかけてしまうので、注意しましょう。
マルウェア感染
ダークWebへのアクセスは、マルウェア感染の危険性があります。技術のある人にとって、マルウェアの感染も簡単です。ダークWebにはこのような人が多いので、ウイルス感染の危険性は高くなります。
マルウェアに感染すると、個人情報や機密データの盗難、ランサムウェアの要求、ウイルス感染の拡大などさまざまな被害に遭ってしまうでしょう。
また、自分自身がウイルスを周りにばら撒いてしまい、加害者となるリスクもあります。
マルウェアの発生元の特定がされにくく、対処が難しいです。そのため、ダークWebへのアクセスは慎重に行い、信頼できるセキュリティ対策を整えることが重要です。
ダークWebモニタリングの必要性

ダークWebモニタリングは企業のリスク管理とセキュリティ戦略の一環として不可欠です。
ダークWebでは、個人情報や企業の機密情報が販売されたり悪用されたりする可能性があり、しっかりとした体制を整えていないと巻き込まれてしまうリスクがあります。
ここでは、なぜダークWebのモニタリングが必要かを解説します。
評判の管理
ダークWebモニタリングは、企業や個人の評判を守るために重要です。ダークWeb上では、不正取引や悪質な活動が行われることがあり、企業や個人の評判が悪化してしまう恐れがあります。
この評判がダークWebだけではなく、一般にまで広まれば、企業や個人の信頼性が低下し、ブランドイメージが損なわれるでしょう。
ダークWebモニタリングを実施することで、こうした不正活動や否定的な情報をすぐに発見でき、広まる前に対処できます。
データ侵害の監視
ダークWebモニタリングは、データ侵害の監視において重要な役割です。
ダークWebモニタリングを通じて、企業は自社の情報が不正に取引されていないかを定期的に監視し、自社のデータが侵害されていないかどうかをすぐに調査できます。
潜在的な脅威に対してより効果的な対策を取れて、データ侵害のリスクを最小限に抑えることが可能です。データ侵害のリスクが少なければ少ないほど、企業の信頼度も高められます。
脅威に対する情報収集
ダークWebモニタリングの重要性は、脅威に対する情報収集にも繋がっています。ダークWebで情報が流出した場合、大きなリスクです。
ダークWebモニタリングを行うことで、企業は自社や顧客の情報がダークWeb上で流出しているかをすぐに発見でき、適切な対策が取れます。
さらに、ダークWeb上で行われている攻撃や侵害の手口や傾向を把握することで、企業は自らのセキュリティ対策を強化するための情報が得られます。
また、サイバー犯罪者の動向や新たな脅威についても把握し、セキュリティ対策を強化することが可能です。これにより、企業はリスクを最小限に抑え、セキュリティを強化できます。
ダークウェブのモニタリング方法

ダークウェブはサイバー犯罪者の温床であり、個人情報や機密データが売買される場所として知られています。
そのため、企業や個人が自らの情報を保護するためには、ダークウェブのモニタリングが不可欠です。
ここではダークウェブのモニタリング方法として以下の3つを紹介します。
- 専用ツールを使用する
- Webクローラーを利用する
- アラートを設定する
これらの方法を適切に実装し、定期的に見直すことが、組織のデジタル資産を守る上で重要な役割を果たします。
専用ツールを使用する
ダークウェブのモニタリングには、専用のツールを利用することが効果的です。
ここでは専用ツールとして以下の2つを紹介します。
- Dark Web Monitoring Services
- Threat Intelligence Platforms
Dark Web Monitoring Services
Dark Web Monitoring Servicesは、ダークウェブ上の情報を継続的に監視し、関連する脅威や漏洩データを検出するサービスです。
これらのサービスは、自動化されたスキャニング技術を用いて、リアルタイムでアラートを生成し、データ漏洩の早期発見を可能にします。
専門知識がなくても利用できる点や、広範囲のダークウェブコンテンツをカバーできる点がメリットですが、サービスの質と範囲は提供者によって異なるため、選択時には慎重な評価が必要です。
主要な Dark Web Monitoring Servicesはこちら
Threat Intelligence Platforms
Threat Intelligence Platformsは、さまざまなソースからの脅威情報を統合し、分析する包括的なプラットフォームです。
これらのプラットフォームは、高度な分析と可視化ツールを提供し、カスタマイズ可能なダッシュボードを通じて情報を効果的に表示します。
Threat Intelligence Platformsは、包括的な脅威インテリジェンスを提供し、組織固有のリスクに対応できる点が大きな強みですが、導入と運用には専門知識が必要で、初期コストが高くなる場合があることに注意が必要です。
主要なThreat Intelligence Platformはこちら
Webクローラーを利用する
Webクローラーは、ダークウェブ上の情報を自動的に収集し、インデックス化するツールとして非常に有効です。
これらのクローラーは、ダークウェブ上のウェブサイトやフォーラムを定期的にスキャンし、潜在的な脅威情報を収集します。大量のデータを効率的に処理し、新しいコンテンツを迅速に発見できる点が大きな利点です。
ただし、ダークウェブの特性上、全ての情報にアクセスできるわけではありません。また、収集したデータの解析には追加のツールが必要になることがある点も覚えておきましょう。
アラート設定をする
ダークウェブモニタリングの成功には、適切なアラートシステムの構築が欠かせません。
主要なアラートタイプには、キーワードベースのアラート、データ漏洩検知アラート、新規脅威発見アラート、異常活動検知アラートなどがあります。
効果的なアラート設定のためには、いくつかのベストプラクティスを押さえておく必要があります。
まず、アラートを優先度に基づいて分類し、フォールスポジティブを減らすためのフィルタリングを行います。また、関連部署や担当者へのエスカレーションパスを確立し、定期的なアラートレビューと最適化を行うことが重要です。
さらに、アラートが発生した際の対応プロセスも重要です。アラートの初期評価を行い、必要に応じて詳細な調査を実施しましょう。
まとめ:中小企業こそダークWeb対策をすぐに取り組みましょう

今回は、ダークWebの概要や危険性、企業がとるべき対策を解説しました。ダークWebとは、一般のWebサイトよりも匿名性の高いWebサイトで、違法性の高い活動が行われています。
ダークWebはアクセスしないのが基本ですが、可能な限り対策を取るのが大切です。
情報漏洩の防止と法的措置や、社員の意識向上が対策となります。また、企業側も定期的にダークWebのモニタリングも必要です。
企業にとってのデータ侵害や脅威を把握し、最小限に抑えるために、そして未然に被害を防ぐためにも重要な対策です。
もしもダークWeb対策でお困りなら、実績豊富な株式会社Jiteraに一度ご相談ください。貴社の要件に対する的確なアドバイスが提供されると期待できます。

