ハイブリッドITとは?実現に必要な2つの手法から注意点まで

今日のビジネス活動において、ITを始めとしたテクノロジーは、技術領域にとどまらず、その企業の経営方針そのものにまで影響を与えています。また、今日のIT技術の進歩は目を見張るものがあるため、常にそのトレンドには目を光らせておく必要があります。

しかしここで注意したいのが、何でも最新化すれば良いというものではないことです。仮に最新の技術を導入したとしても、それを運用できるだけの人員や予算などのリソースがなければ宝の持ち腐れとなってしまいます。

時には最新化自体を踏みとどまったり、部分的な最新化に留めておくことも必要です。この記事では、古いIT技術と新しいIT技術を上手く併用する、ハイブリットITについて解説します。

Nao Yanagisawa
監修者 Jitera代表取締役 柳澤 直

2014年 大学在学中にソフトウェア開発企業を設立

2016年 新卒でリクルートに入社 SUUMOの開発担当

2017年 開発会社Jiteraを設立
開発AIエージェント「JITERA」を開発

2024年 「Forbes 30 Under 30 Asia 2024」に選出

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執筆者

文系大学出身で、25歳の時にIT業界に足を踏み入れました。ヘルプデスクから要件定義まで、下流から上流まで文字通り叩き上げでキャリアを築き上げました。取得した資格もいつの間にかもう2桁に。趣味も資格取得。あと、映画鑑賞と飲み会。

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    ハイブリッドITとは?

    ハイブリットITとは端的に言うと、クラウドサーバとオンプレミスサーバを併用して管理することを意味します。クラウドサーバとは、外部のデータセンターの一部をレンタル若しくはリースすることで利用できるサーバのことで、AmazonやMicrosoft、NTTなどが提供しています。

    オンプレミスサーバとは簡単に言うと社内サーバのことで、会社が買い上げたサーバ機器や場所で利用するサーバを意味し、一昔前までは一般的なものでした。

    ハイブリットITの概要

    ハイブリットITとは前述したように、クラウドサーバとオンプレミスサーバを併用して管理することを意味します。

    データの秘匿性の都合上、社外のデータセンターなどに格納することが難しいデータなどがあった場合、クラウドサービスにIT資産全てを移すことは出来ません。

    しかし、クラウドサービスの技術は日々進化しており、ビジネスの効率を飛躍的に高めるツールがいくつも展開されているため、クラウドサービスの存在を無視すると、ビジネスの質を上げるのが難しくなります。

    今日のビジネスにおいて、顧客データなどの秘匿性が非常に重要視されることを考慮すると、ハイブリットITはITシステムに最適なアーキテクチャであると言えます。

    ハイブリットITを実現させる2つの手法

    ハイブリットITを実現するには2つの手法があり、それはマイグレーションとモダナイゼーションです。どちらもメリットとデメリットがあるため、どちらを選択するかはその時の状況に寄ります。ただ、注意する点として、現行のシステムをそのままずっと使い続けても良いか、という点です。

    もし既存のシステムの構造が陳腐化し、システムの拡張性や処理スピードが乏しくなってきているのであれば、クラウドサービスに移行するのと同時に、モダナイゼーションでシステムの構造についても変えた方が長期的にはメリットが多いです。

    勿論これは全てに言えることではなく、現状のシステムの構造が1番都合が良く、尚且つ特に不具合が起きていないのであればシステムの構造まで無理に変える必要はありません。

    マイグレーションの概要

    マイグレーションの概要

    この章では、ハイブリットITを実現させるための方法の1つであるマイグレーションについて解説します。マイグレーションとは簡単に言うと、システムやソフトウェア、データなどを別の環境に移行させることを意味しています。

    この方法ではシステムの構造などを大きく変えることはないため、移行に必要となる費用や時間などを比較的低く抑えることが可能になる点がメリットとしてあげることができます。また、マイグレーションと一口で言っても、その中に様々な以降の方法があります。

    マイグレーションとは?

    そもそもマイグレーションとは前述したように、システムやソフトウェア、データなどを別の環境に移行させることを意味しています。オンプレミスの環境からクラウド環境に移行することは勿論、ハードウェアの機器を更新することもマイグレーションに含まれています。

    この方法を実現するに当たってはまず、クラウド環境、若しくは新しいハードウェアであっても動作するシステムであることが求められます。プログラミング言語やシステムの構造によっては、特定の機器でしか正常に動作しないこともあり得ます。

    前述したようにマイグレーションにおいては、システムの構造などを大きく変更することはないため、既存のシステムの状況について熟知しておくことが必要不可欠になります。

    もし特定の機器でしか正常に動作しない構造のシステムであった場合、システムの構造を大きく変える必要が生じるため、大きな費用と労力が必要になってきます。

    マイグレーションの種類

    マイグレーションには大きく分けて2つの種類があり、サーバマイグレーションとデータマイグレーションという方法があります。サーバマイグレーションとは、すでに稼働しているシステムの環境を異なるサーバ環境へ移行することのことで、オンプレミス環境からクラウド環境に変更することもこの方法に含まれます。

    データマイグレーションとは、あるシステムから別なシステムにデータを移すことを意味しています。ハイブリットITにおいても、システムと同様にデータをクラウドサーバに移動させることはあり得ます。前述したようにデータの秘匿性なども影響してくるため、全てのデータが移行可能という訳ではありません。

    しかし、データ分析に適したツールやサービスを提供しているクラウドサーバも多くあるため、データについてもクラウドサーバに移行することができれば、自社のビジネスにおいて大きなメリットを享受することができます。

    マイグレーションのメリット

    マイグレーションのメリットとしては前述したように、システムの構造などを大きく変えることはないため、移行に必要となる費用や時間などを比較的低く抑えることが可能になることです。

    既に稼働させているシステムの汎用性が高く、尚且つ既存のものとは異なるハードウェアでも問題なく稼働できるのであれば、わざわざシステムの構造を変えなくても良いです。下手にシステムの構造を変えようとすると、きちんと今まで通り稼働するかわからなくなるため、テストは勿論、設計などの業務にも多くの時間と労力をかけなければならなくなります。

    従って最初にシステムを作る段階で、やっつけで片づけたりせずに時間と労力をかけて取り組むことで、その後の運用や改善に必要となるコストを低くすることができる、ということになります。これはベンチャー企業のように、予算繰りが大企業に比べて制限される状況であればある程、気をつけなければならないことです。

    モダナイゼーションの概要

    モダナイゼーションの概要

    この章ではハイブリットITを実現させるためのもう1つの方法である、モダナイゼーションについて解説します。モダナイゼーションとは、要するにシステムの移行とともにシステムそのものの構造についても変更、修正するという方法を意味します。

    このような方法であるため、移行の際に必要となるコストや時間は多くなります。しかし、その時代のトレンドに合ったシステムにすることができるため、システムの価値をその時点において最大化することができます。

    モダナイゼーションとは?

    モダナイゼーションとは、既存のシステムを最新のテクノロジーのトレンドに合わせて構造そのものから作り直すこと意味します。それに加えて、ハードウェアの更新やシステムのプログラミング言語を新しいものにすることも行われる場合もあります。

    マイグレーションの場合は基本的にシステムやデータをそのまま別なシステムやサーバに移行する方法であるため、構造そのものを刷新することはありませんでしたが、モダナイゼーションの場合はシステムやデータの移行に加えて、構造そのものも刷新することが最大の違いです。

    マイグレーションに比べてお金や労力、時間が多く必要となる場合が多いですが、得られるメリットも多いです。

    モダナイゼーションの方法

    モダナイゼーションに関してもいくつかの方法があり、それはリプレイスとリホストです。まずリプレイスは既存のシステムを新たなシステムに置き換える手法です。オンプレミスでの運用からクラウドでの運用、もしくは一部だけクラウドでの運用にして、尚且つシステムの構造についても見直すことができます。

    対してリホストはハードウェアやOSなどを刷新することを意味するため、リプレイスよりもマイグレーションに近い意味になります。どちらの方法でもシステムの質を一定程度上げる事は可能ですが、予算や時間、人員などのリソースに余裕がある状態であればリプレイスを選択した方がよりベターです。

    リホストの場合、より各種のコストを低く抑えることができますが、システムの構造の刷新という、いつかは取り組まなければならない課題を先延ばしにしているだけとも言えます。従って、長期的に見ればリプレイスの方がメリットは大きいです。

    モダナイゼーションのメリット

    モダナイゼーションには多くのメリットがあり、まずセキュリティの強化があげられます。IT技術は近年凄まじい勢いで進化していますが、それはサイバー犯罪に使用される技術も同様です。古いシステムの場合、新手の手口のサイバー攻撃に耐えられなくなる可能性もあります。

    もしサイバー攻撃を受けた場合、システムダウンや情報流出による信頼とビジネス機会の損失など、甚大な被害を被る可能性があるため、これらのリスクを予め少なくしておくことは企業の責務と言っても過言ではありません。

    次に生産性の向上があげられます。最新技術を適切に使用することでより多くの機能を実装することが可能になりますし、処理速度も上がるため、生産性を上げることが可能になります。

    ハイブリッドITを実現させる際の注意点3つ

    ハイブリットITを実現させるには上述したように複数の方法がありますが、どの方法を取るにしても、事前にしっかりと計画を練る必要があります。

    ハイブリットITは決して安価にできるものではないため、もし失敗した場合は、決して少なくないお金と時間を喪失してしまうことになります。

    ハイブリットITを成功させるには下記のように、システムの構造・従業員のスキル・ガバナンスの3つについて注意する必要があります。

    構造が複雑にならないよう留意する

    ハイブリットITは前述した用に、クラウド環境とオンプレミス環境を使い分けてシステムを運用することを意味します。

    従って、オンプレミスで受け持つ処理とクラウドで受け持つ処理について、しっかりと線引きをして複雑にならないようにする必要があります。

    ここの線引きを曖昧にしてしまうと、そもそもシステムの構造がわかりにくくなり、保守性が極端に落ちてシステムの改修がしにくくなる、オンプレミスとクラウド間のデータのやり取りが多くなって通信がひっ迫し、寧ろ生産性が下がってしまうなどのデメリットを被ってしまいます。

    実現に向けて必要なスキルを従業員に習得させる

    ハイブリットITを実現させて尚且つ運用できるようにするためには、専門的な知識や技術が必要になります。従って、ハイブリットITを実現させる際には予め従業員のスキルを把握し、足りないスキルを従業員に習得させる必要があります。

    1人で全ての領域の技術を習得する事は非常に困難であるため、例えばソフトウェア・ハードウェア・ネットワーク・クラウド、などといったように、幾つかの技術領域でグループに分けてスキルを習得させるのが現実的です。時には経験者を中途で採用して、現場の経験やノウハウを継承してもらいながら日々の業務をこなすことも必要になります。

    ガバナンスを厳しくする

    今までオンプレミスで運用してきたシステムやデータの一部をクラウドに移すということは、企業の情報を社外に移すということにもなります。また、ハイブリットITを実現させるうえで時には社外の人員に状況を開示してアドバイスを貰うことも考えられます。

    従ってプロジェクトのマネージメントを行う立場にある者は、どこまでの情報を誰に開示して良いのか、若しくは社外に移しても良いのか、その線引きをはっきりさせたうえで自社の社員に理解させる必要があります。情報化社会と言われている今日においては、情報の取り扱いには細心の注意を払う必要があります。

    ハイブリットITのまとめ

    ハイブリットITには前述した様に様々なメリットが存在しますが、しっかりと段階を踏んで行わなければ成功させるのは難しいです。最悪の場合、成功どころかセキュリティ事故などを起こして自社の信用を失うような事態になることすら考えられます。

    従って、ハイブリットITに興味はあっても、不安があると思った人は多いと思います。そのような場合、株式会社Jiteraに連絡をしてみることをお勧めします。株式会社Jiteraはシステム開発やDXプロジェクトに関する知見が豊富であるため、ハイブリットITについても有益なアドバイスをできる可能性が高いです。もし株式会社Jiteraに連絡したい場合は、こちらのリンクをクリックしてください。

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