仮想現実(Virtual Reality、略してVR)は、ゲーム、教育、医療など、多岐にわたる分野で注目されている技術です。
最近では、多くのツールやプラットフォームが初心者向けに設計されており、基本的なプログラミング知識があれば、VR開発を始めることが可能です。
VR開発には、3Dモデリング、アニメーションなど、さまざまな技術が関わっていますが、適切な学習リソースとツールを使用することで独自のコンテンツを制作することができます。
2014年 大学在学中にソフトウェア開発企業を設立
2016年 新卒でリクルートに入社 SUUMOの開発担当
2017年 開発会社Jiteraを設立
開発AIエージェント「JITERA」を開発
2024年 「Forbes 30 Under 30 Asia 2024」に選出
VR開発とは
VR開発とは、仮想現実(Virtual Reality)の世界を創り出すためのプロセスです。VR開発を行うことによって、ユーザーはリアルな体験や没入感のある世界に入り込むことができます。
VRの基本的な定義とは、コンピュータグラフィックスやセンサー技術を駆使し、ユーザーに現実感のある映像や音響による体験を提供する技術のことを指します。
VRの中心には、3D映像技術と空間認識技術があります。VR開発の目的は、ユーザーに没入感や臨場感を体験させることです。
また、教育や訓練分野では、危険な状況や特殊な状況を安全に体験することができます。VR開発は初心者でも取り組むことができますが、一定のハードウェアやソフトウェア、プログラミングの知識が必要です。
また、費用や時間もかかることがありますが、その分一層魅力的な体験を提供することができるので、多くの人に興味を持たれています。
VR開発できるもの
VR開発で開発できるものは様々ありますが、その中でも主要な次の4つについて紹介します。
- VRゲーム
- VR体験アプリ
- VRトレーニング
- VRコラボレーション
VRゲーム
VRゲームは、仮想現実を体験できるゲームのことです。
VRゴーグルを装着すると、360°のリアルな三次元映像が視界全体に映し出され、まるでゲームの中に入り込んだような体験ができます。
ゴーグルのセンサーが体の動きを感知し、VR空間に反映するため、プレイヤーはゲームの主人公のような感覚を得られるのです。プレイヤーは仮想空間を自由に動き回り、ゲームを進めていきます。
アクション、シューティング、スポーツ、アドベンチャーなど、多彩なジャンルのゲームを開発することができます。
VR体験アプリ
VRアプリは、仮想現実を体験できるソフトウェアで、iPhoneやAndroidにインストールするだけで、バーチャル空間を疑似体験できます。
スマホとヘッドマウントディスプレイがあれば手軽にVRの世界に入り込めるのが特徴で、中にはヘッドマウントディスプレイが不要なアプリもあります。
多彩なジャンルやコンテンツのアプリ開発をすることができます。
VRトレーニング
VRトレーニングは、仮想現実技術を使ってリアルな環境や状況を再現する訓練プログラムです。
ヘッドセットやコントローラーを用いて仮想空間に没入し、実際の環境を模倣したシナリオで学習をすることができます。これにより、安全な環境でリスクを冒さずに実践的なスキルや知識を習得できるのです。
VRコラボレーション
VRコラボレーションとは、複数のユーザーが離れた場所から同じVR空間にアクセスし、共同作業ができるシステムです。
離れた場所にいるメンバーが同じ仮想空間で作業をすることができるため、地理的な制約がありません。VRコラボレーションはリモートワークの普及に伴い注目を集めています。
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VR開発に必要なハードウェア
VRを開発するためには様々なハードウェアが必要となります。
ここでは、代表的な次の3つのハードウェアについて解説をします。
- 高性能なパソコン
- VRヘッドセット
- モーションコントローラー
高性能なパソコン
「仮想現実」を作り出すためには、大量の画像データの処理を行います。
そのため、画像を処理する装置であるGPUの性能が高いパソコンが必要となります。
GPU性能が満たしていないと画像処理に時間を要してしまい、思うように開発が進みません。
市販のPCを購入する場合は「GeForce」や「Radeon」を搭載したWindows のゲーミングPCを選ぶことをお勧めいたします。
GPU以外には、できるだけ高速なCPUや16GB以上のメモリが搭載されているとスムーズにVR開発を行うことができます。
VRヘッドセット
VR開発にはVRヘッドセットが必須になります。
VRヘッドセットには、大きく分けて次の3つのタイプが存在します。
- オールインワンタイプ
本体のみで完結できるタイプのVRヘッドセットです。
VRゴーグルと映像を処理するコンピュータが一体化していることが特徴です。 - PC接続タイプ
パソコンに接続して使用するタイプのVRヘッドセットです。
クオリティの高い映像を見る場合にお勧めです。 - スマホ対応タイプ
動きや傾きを感知するジャイロ機能が搭載されたスマホをVRヘッドセットに設置することでVRを楽しむことができます。
比較的安価な製品が多いことが特徴です。
モーションコントローラー
VRにおけるモーションコントローラーでは、モーションコントロールとボタン操作を行うことができます。
モーションコントロールとは、コントローラーを手で動かす操作で、VRゲームであれば敵との格闘や銃の操作などに使われます。
一方、ボタン操作は物理ボタンを押す操作で、ジャンプやメニュー操作に用いられます。
モーションコントローラーでは、モーションコントロールによる操作が特徴ですが、すべての操作をモーションコントロールで行う必要はなく、適宜ボタン入力も可能です。
家庭用ゲーム機にもモーションコントロールはありますが、VRでは「仮想空間にいる体験」が大きく異なります。
VR開発に必要なソフトウェア
VR開発で必要なソフトウェアには次のようなものがあります。
- ゲームエンジン
- VR SDK
- 3Dモデリングソフト
ゲームエンジン
ゲームエンジンはVR開発において必須のソフトウェアです。
さまざまなゲームエンジンが存在しそれぞれ特徴も様々あります。
代表的なものには「Unity 5」や「Unreal Engine 4」、「OROCHI 4」などがあります。
- Unity 5
Unity 5とEpic Games社が開発をしているゲームエンジンです。
WindowsやMac OS、iOS、Andoroidなど様々なOSに対応するクロスプラットフォーム開発環境です。 - Unreal Engine 4
Crytek社が開発しているゲームエンジンです。
WindowsやLinuxなどに対応するクロスプラットフォーム開発環境です。 - OROCHI 4
シリコンスタジオ社が開発している国産のゲームエンジンです。
PlaystationやXboxといったゲーム用ハードに対応しています。
VR SDK
SDK(Software Development Kit)は、Webサービスやソフトウェア、アプリケーションの開発に必要なプログラム、サンプルコード、仕様書などをパッケージ化したツールです。
3Dモデリングソフト
モデリングソフトとはVRでモデリング作業を行う際に使用します。
実際存在するかのようにモデルを動かしたりすることで細かく作りこむことができます。
ヘッドセットとモデリングソフトを用意することでVRモデリングを行うおことができます。
ただし、「Oculus Quest」のようにVRモデリングに対応したヘッドセットを用意する必要があるため注意が必要です。
VR開発ができるプログラミング言語
VR開発に使用することができる代表的なプログラミング言語には次のようなものがあります。
- C#
- C++
- JavaScript
C#
C#はマイクロソフトが開発したオブジェクト指向のプログラミング言語で、Javaに似た文法を持ちます。
初心者にはやや難しいと感じるかもしれませんが、人気な言語であるため学習サイトや学習教材が豊富にあります。
特に、Javaの経験があればスムーズに習得でるでしょう。
C#を利用するとゲーム開発が可能で、Unityを使ってC#を学ぶという方法も人気があります。
C++
C++は、大規模な基幹システムや国の公共機関のシステムで広く用いられ、世界的に需要と人気が高いプログラミング言語です。
C#やJavaScriptと同じオブジェクト指向の言語であり、特に高度な性能が求められるVRゲーム開発やスマートフォンアプリ、Webアプリの開発に利用されています。
その柔軟性から、エンタープライズレベルのアプリケーションやゲームエンジンなどでも重宝されています。
JavaScript
JavaScriptは、Webブラウザ上で動作するスクリプト言語で、動的なWebページを作成するために使用されます。
ブラウザの機能を制御し、動的な操作、アニメーション、ユーザーとのインタラクション、データの検証や処理を実現できます。
VR開発においてJavaScriptはC#やC++と並んで人気なプログラミング言語となっています。
VRコンテンツの作り方
VRコンテンツの制作は基本的には次の順序でコンテンツを制作していきます。
- 企画
- 開発環境の構築
- コンテンツ制作
- テスト
企画
VRコンテンツの企画立案では、視聴者が360°自由に視点を変えられることを考慮し、どの方向にも情報を配置することが重要です。
リアルな擬似体験を具体化し、臨場感や没入感を高めましょう。
また、各シーンの時間が通常よりも長くなるため、登場人物や背景など細部に工夫が必要です。
興味を引く要素や驚きを取り入れて、視聴者が長時間視聴しても飽きないコンテンツ作りを心がけるとよいでしょう。
開発環境の構築
VR開発をはじめるためには、適切な環境を構築する必要があります。具体的な手順は以下の通りです。
- PCのスペックを確認し、必要なソフトウェアをインストールします。
- VRヘッドセットを接続し、ドライバーソフトウェアをインストールします。
- 開発プラットフォームを選択し、プロジェクトを作成します。
- 必要なツールやリソースをインポートし、開発を始めます。
これらの手順を踏むことで、VR開発環境を構築することができます。
コンテンツ制作
企画が決まり、開発環境が構築されたら、いよいよコンテンツの制作に取り掛かることができます。
コンテンツの制作には360度カメラで撮影を行います。
360度カメラを使うことで、1度の撮影で全方向の映像を取得可能です。
撮影の際は、カメラマンや撮影道具が映り込まないように注意し、視聴者の没入感を高めることが重要です。
さらに、撮影場所の選定やカメラの設置位置にも工夫を凝らし、映像のクオリティを最大限に引き出し、視覚的に魅力的で没入感のあるシーン作りを心掛けるとよいでしょう。
テスト
コンテンツの制作が終了したら、公開前に必ずテストを行いましょう。
実際にユーザーがコンテンツを利用することを想定し、コンテンツのチェックを行います。
例えば、映像のタイミングや明るさ、映り込みなど細かくチェックをすることが必要です。
特に動画のつなぎ合わせの作業である「スティッチング」の完成度は動画のクオリティに大きな影響を与えると言われています。
VR開発における注意点
VR開発に置ける注意点として次の3つを紹介します。
- コンテンツとハードウェアの動作スペックを確認する
- 酔いを予防する
- ユーザビリティを意識する
コンテンツとハードウェアの動作スペックを確認する
VR開発においてハードウェアの動作スペックには注意が必要です。
VRに適したPCの必要動作スペックはVRゴーグルのメーカーやソフト、コンテンツによって異なりますが、安定した動作が可能な基準があります。
推奨スペックは、OSはWindows 10 64ビット以上、CPUはIntel® Core™ i5-4590またはAMD Ryzen™ 5 1500X以上、グラフィックボードはNVIDIA® GeForce GTX 1060もしくはAMD Radeon™ RX 590以上、メモリは8GB以上です。
この基準を満たすPCを使用すれば、安定したVR体験が可能と言えるでしょう。
酔いを予防する
VRコンテンツでリアルな体験を提供するためには、ユーザーが仮想空間内で移動する必要がありますが、この移動操作により一部のユーザーが酔いやめまいを感じることがあります。
これを予防するための基本的な方法として、テレポーテーションやワープを用いることで、ユーザーは身体を動かさずに目的地に移動でき、酔いのリスクを軽減することができます。
さらに、移動速度の制御も重要で、ユーザーが高速で移動する場合は酔いやすくなるため、移動速度を適切に制限することで酔いを予防できます。
また、視点の固定も効果的で、視点が一定になるように位置や角度を制御することで、酔いを感じにくくします。
ユーザビリティを意識する
VRは没入型体験を提供し多分野での応用が期待されていますが、ユーザーに受け入れられるためにはユーザビリティが重要です。
ユーザビリティとは一言で表すと「ユーザーにとっての使いやすさ」です。
優れたユーザビリティはより良いユーザー体験(UX)を提供するために重要です。
VR開発の成功事例
ここでは、VR開発の成功事例として次の3社の事例を紹介します。
- Beams
- 株式会社ソニー・ミュージックレーベルズ
- 川崎重工業
Beams
Beamsは、世界最大のVRイベント「バーチャルマーケット」に4回出展し、メタバース内でアバター用のデジタルアイテムやリアル商品の販売を行っています。
デジタルアイテムとしては、Tシャツやワンピースなどが提供され、芸能人を起用したバーチャルライブも開催されました。
また、リアルでの商品販売も行われ、バーチャルマーケットの記念商品がBeamsのオンラインショップで販売されました。
Beamsの社員もバーチャル接客に参加し、VR上での接客活動が実店舗への来客につながっています。
株式会社ソニー・ミュージックレーベルズ
株式会社ソニー・ミュージックレーベルズは「ReVers3:x(リバースクロス)」という新しい仮想空間プロジェクトを立ち上げました。
このプロジェクトでは、独自制作した仮想空間で様々なアーティストのライブを楽しむことができます。
第1弾としてラッパーのKEIJUのライブが配信され、東京のストリートを再現した仮想空間のステージ上にはデジタルアートも配置されています。
音楽だけでなく空間としても楽しめるコンテンツとなっています。
川崎重工業
川崎重工業はマイクロソフトの「Build2022」カンファレンスで、「インダストリアルメタバース」の構築に取り組むと発表しました。
この取り組みにより、工場全体の全工程を仮想空間に再現し、遠隔地からでも各工程の状況を確認・操作できるデジタルツインを構築します。
マイクロソフトのIoTクラウドやHoloLens 2、Azure Perceptを活用し、複数拠点で同時にリアルタイムな支援を受けられる体制を整えます。
これにより、ロボットの故障対応や予知保全が強化され、Azure Digital Twinsを活用して過去・現在・未来の稼働状況を把握し、問題の原因を特定・解決することが可能になるのです。
まとめ:VR開発で独自のコンテンツ作りを活性化
VRの可能性は広がっており、今後ますます様々な分野で活用されることが期待されています。
例えば、医療分野では手術のトレーニングやリハビリテーションへの利用が進んでいます。
建築分野では、デザインの検討やマーケティングのためのプレゼンテーションに活用されることもあります。
VR開発を検討している方に限らず、開発に関するお悩みがありましたらぜひJitera社へ一度ご相談してみてはいかがでしょうか。