システム構築とは?システム開発との違いや流れ・費用について初心者向けにわかりやすく解説!

システム開発事業に参入されたばかりの方や、これから参入を検討されている方の中には、「システム開発」と「システム構築」の違いについて理解が曖昧な場合があります。

この2つは類似した用語ですが、対象範囲が異なるため混同されがちです。システム開発に携わる上で、それぞれの違いを正しく理解しておくことはとても重要です。

本記事では、システム開発とシステム構築の概要、相違点、工程の詳細などを解説します。システム開発事業を円滑に遂行するためには、この基礎的な知識が不可欠です。

Nao Yanagisawa
監修者 Jitera代表取締役 柳澤 直

2014年 大学在学中にソフトウェア開発企業を設立

2016年 新卒でリクルートに入社 SUUMOの開発担当

2017年 開発会社Jiteraを設立
開発AIエージェント「JITERA」を開発

2024年 「Forbes 30 Under 30 Asia 2024」に選出

執筆者 JohnE_writer

システム開発と構築に精通するエンジニア。多様な業務システムの設計・開発経験を持ち、効率的なプロジェクト管理と品質保証を得意としています。

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    システム構築とは?

    システム構築とは、企業が業務をより効率的に行うために、コンピューターシステムを導入・構築する一連のプロセスのことを指します。

    システム構築の目的

    システム構築を行う目的は、業務の効率化や生産性の向上、顧客サービスの充実化、情報管理の一元化、決算業務などの定型業務の自動化などが挙げられます。これらを実現することで、企業の業務プロセスを改善し、経営効率化を図ることができます。

    具体的には、在庫管理・販売管理・生産管理といった基幹業務システムを導入することで、膨大なデータをリアルタイムに処理し、業務効率の向上を図ります。

    顧客管理システムやWEBシステムを構築することで、顧客データとの連携を強化し、きめ細かい営業活動やサービス提供を可能にします。さらに業務システム間の結合、クラウド化を進めることで、社内の情報共有を活性化させます。

    他にもビッグデータとAIを活用した自動化、RPAツールの導入による定型業務の自動処理など、デジタルトランスフォーメーション(DX)の推進にもシステム構築は欠かせません。業務プロセスの改善や付加価値の向上を図る上で、システム構築は目的達成に向けた重要な役割を果たすのです。

    システム構築とシステム開発の違い

    システム構築 システム開発
    定義 既存の材料や部品を使用して、目的に合ったシステムを構築するプロセス 新しいアイデアや技術を基に新しいシステムを創造し、実用化するプロセス
    目的 すでにあるモノ(材料や部品)を組み立て築き上げる 新しいものを作り実用化する
    手順 既存の設計に基づいて組み立てる 要件定義から設計、実装、テストまでの一連の工程を経る
    使用するリソース 材料や部品、人材はすでに存在している 新規性があるもの、研究開発
    成果物 既存の設計図に基づいたシステム 新しい設計図に基づいたシステム
    期間 比較的短期間で完了 新規性が高いため、長期間を要する

    「開発」と「構築」という言葉の本来の意味が異なることが、システム開発とシステム構築の違いの本質です。
    「開発」とは、新しいものを作り出し実用化することです。一方「構築」とは、すでに存在する材料や部品、要素を組み立てて築き上げることを指します。

    システム開発は、プログラムの設計から実際の開発、テストに至る一連の工程において、新規性の高い作業が行われます。
    一方でシステム構築は、すでに存在するシステムの構成要素を組み合わせ、実際に運用可能な形に「仕組み化」するプロセスとなります。

    つまり、システム開発が新しいシステムそのものを生み出すのに対し、システム構築はその開発した成果物を活用し、実運用に備えた組立て作業に当たるのです。

    システム構築のための効果的な手法とモデル

    システムを構築するにあたり、いくつかの手法やモデルを使い分ける必要があります。目的とするシステムの特性やプロジェクトの規模によって、最適なアプローチは異なります。

    このセクションでは、代表的な構築手法とモデルについてその特徴と適用場面を詳しく見ていきます。

    ウォーターフォールモデル

    ウォーターフォールモデル

    向いている開発内容 要件が明確で変更が少ないプロジェクト
    プロジェクトの規模 大規模で、予定通りに進めやすいプロジェクト
    メリット プロジェクト計画が立てやすく、進捗管理が明確である。予算と人員配分がスムーズに行える
    デメリット 変更に伴う工数の増加、ユーザーフィードバックの遅れ。要件変更に対応しにくい

    ウォーターフォールモデルは、要件定義から設計、開発、テストと順を追って下流のフェーズへ段階的に作業を進めていく手法です。上流工程が完了した後に次のフェーズへ移行するため、滝に例えられ名付けられました。特徴としては、計画性が高く各プロセスの成果物を定量的に測定しやすい半面、要件変更への柔軟性が低いのがデメリットです。

    ウォーターフォール型は、要件がある程度固定化されている「業務システム」などの開発に向いています。具体的には、1年規模で数十億円クラスの大規模プロジェクトの場合などがあります。

    一方、要件変更への対応が不得意なため、昨今よく使用されるアジャイル型と比較すると適用分野が狭まっています。ただし、大規模構築時の全体スケジュールとコスト管理という意味では、期待できるプロセスでもあります。

    アジャイル開発

    アジャイル開発

    流れ リリース計画:おおまかな仕様と要求を決定

    イテレーション: 短期間のサイクルで「要件定義→設計→実装→テスト」を繰り返し、開発を進めます。

    向いている開発内容 技術の進歩が著しい分野

    市場の変化が激しい製品

    プロジェクトの規模 小規模から中規模のプロジェクト
    メリット 変更に柔軟に対応できる

    開発途中でのフィードバックを反映しやすい

    ユーザーの要求に素早く応えられる

    デメリット 計画性に欠ける場合がある

    ドキュメントが不足しがち

    アジャイル開発は、要件定義と設計を完了後ではなく、開発を並行して行う手法です。小規模な開発単位(スプリント)を短期間で繰り返しつつ、顧客とのコミュニケーションを頻繁にとることを特徴としています。変更への対応がしやすく、開発工程も見える化できる一方、全体最適化が難しく工数がかさむデメリットがあります。

    アジャイル開発の代表的な手法に、スクラム開発があります。要件が固まっていない段階から、反復による実装を繰り返すことで、顧客要望を開発に反映させていきます。短期間でプロトタイプを提供するため、目に見える成果を頻繁に確認できることが大きな特徴です。

    プロトタイピング型開発

    プロトタイピング型開発

    流れ 要件定義→プロトタイプ開発→ユーザー評価→修正と改善→

    完成版開発

    向いている開発内容 新規開発のプロジェクト

    UIが重要なシステム

    クライアントがシステム開発に不慣れなプロジェクト

    プロジェクトの規模 小規模から中規模のプロジェクト
    メリット 開発初期での認識のズレを最小限に防げる

    ユーザーのフィードバックを早い段階で取り入れられる

    システムの品質を高めることができる

    デメリット プロトタイプを作成するコストがかかる

    開発者の負担が大きくなる場合がある

    大規模開発には向かない場合がある

    プロトタイピング型開発は、試作品を短期間で複数回開発する手法です。具体的な機能イメージがつかみにくい段階で、実際の形でシステムを提示することで、要件を固めていくアプローチです。試作段階で利用者と仕様をすり合わせるため、要望に合致したシステムを構築しやすいのが特徴です。一方工数がかさむデメリットがあります。

    プロトタイピング開発では、はじめに基本画面と主要機能の概要の実装を行った上で、利用者の評価を受け改善を繰り返していき、徐々に機能を追加していくスタイルが一般的です。

    要件変更への柔軟な対応が、必要なシステム構築に適している手法といえます。ただし工程管理が難しく、開発リソースが浪費されるリスクもあるため、適度な工数と期間の管理に注意が必要です。

    スパイラル型開発

    スパイラル型開発

    流れ 要件定義→基本設計→詳細設計→開発・テスト→評価・改善
    向いている開発内容 品質重視の大規模プロジェクト

    システム開発に慣れていないクライアントとのプロジェクト

    最新技術を導入するプロジェクト

    プロジェクトの規模 大規模プロジェクトで品質を重視するプロジェクト
    メリット 仕様やスケジュールの変更に対応しやすい

    プロダクトの品質を保ちやすい

    デメリット プロジェクトの全体像を把握しにくい

    開発コストがかさむケースもある

    スパイラル開発とは、計画から評価、解析と定期的に同じ工程を繰り返しながらシステムを構築する手法です。

    ウォーターフォールモデルをベースとしつつ、設計や工程の見直しを柔軟に行うため、より現実的な開発管理が可能となります。一連のプロセスサイクルを、段階的に上方へ向かうスパイラルに例えられています。ただし、成果物の測定が困難なため進捗管理に工夫が求められるデメリットがあります。

    スパイラル型は、1回のサイクルでシステム要件や詳細設計の一部を確定させ、次のスパイラルで実装やテスト、プロトタイプ作成を行う、というアプローチを取ります。

    不確定要素が多い段階から、イテレーション型でシステム化していく手法ですので、要件変更への柔軟な対応がメリットとして挙げられます。

    ※イテレーション型・・・小規模な開発サイクルを頻繁に繰り返しながら、システムを構築していく手法のこと。要件定義から設計、コーディング、テストと毎回同じ工程を回すスタイルを指します。

    DevOps

    DevOps

    流れ プラン→コード→ビルド→テスト→デプロイ→運用→モニター
    向いている開発内容 継続的なデリバリーと迅速なリリースが求められるプロジェクト

    ソフトウェアとサービスの品質向上を目指すプロジェクト

    開発と運用の密接な連携が必要なプロジェクト

    プロジェクトの規模 小規模から大規模まで幅広いプロジェクト
    メリット 開発スピードの向上

    生産性の向上

    信頼性の向上

    拡張性の向上

    デメリット 導入には組織全体の文化変革が必要

    開発と運用の連携に時間がかかる場合がある

    自動化ツールの導入には初期投資が必要

    DevOpsとは、開発(Development)と運用(Operations)を連携させる考え方です。互いの部署が協調することで、システム構築全体を最適化させ、品質とスピード感を高めようというものです。

    具体的には、開発者同士のコミュニケーションを活性化したり、運用担当者が開発工程に参画することで、リリース後の問題を事前に回避できるようにします。このアプローチによって、チームの垣根を越えた協業体制を構築することが可能となります。

    DevOpsを実現する手法の一つとして、継続的インテグレーション/継続的デリバリー(CI/CD)があげられます。自動テストや本番反映プロセスの自動化を行うことで、開発からサービス提供までを高速で実行できる体制を整えます。

    MVCモデル

    MVCモデル

    流れ Controller がクライアントからのリクエストを受け取る。

    Controller が Model にデータ処理を指示する。

    Model がデータベースからデータを取得し、Controller に送信する。

    Controller が View にデータ表示を指示する。

    向いている開発内容 Webシステム開発

    複数人での共同作業がしやすいプロジェクト

    プロジェクトの規模 中規模から大規模のプロジェクト
    メリット 役割分担が明確で開発効率が向上1

    保守性が高く、コードの再利用性が高い1

    エラーの特定が容易

    デメリット コード記述に制約が増え、小規模開発では時間がかかる

    機能拡張により処理速度が遅くなる

    ModelとControllerの依存度が高くなることで独立性が損なわれる

    MVCモデルは、システムの構成要素をModel(データ)、View(表示)、Controller(制御)の3つに分離して開発する手法です。データと画面表示の役割を切り離すことで、柔軟性と再利用性の高いシステム設計が可能となります。

    例えば、表示する見た目を変更してもデータや処理の内部的なコードに影響を及ぼさない、といったメリットが生まれます。Webアプリケーション開発を中心に、広く利用されているモデルです。

    MVCモデルの考え方を適用することで、データ構造や業務処理のルールをシステムの基盤的な部分として再利用しやすくなります。

    また、役割ごとの開発者を分散させることができ、プロジェクト規模が大きくなっても開発生産性を確保できるというメリットも大きいです。大規模システム開発においては、標準的な設計手法として広く利用されているといえます。

    ここまで、システム構築のおける効果的な手法とモデルを紹介してきました。

    株式会社Jiteraでは、柔軟な設計と工程の見直しを組み合わせた開発手法で、お客様のニーズに対応した最適なシステムを構築し、続的な改善を重ね、高品質なプロダクトを提供します。

    これからシステム構築を考えているという方や、まずは相談をしてみたいという方でもお気軽にご連絡ください。

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      システム構築の流れ

      システム構築の流れ

      企業におけるシステム構築には、大きく分けて要件定義、設計、構築、テスト、運用と保守の5つのフェーズがあります。それぞれのフェーズで実施する主な作業は以下の通りです。

      要件定義

      まず、どのようなシステムが必要かを文書で定義する作業から始まります。これを要件定義と呼びます。

      要件定義では、業務上解決したい課題やニーズを洗い出し、システムに求められる機能とその優先順位を明確化します。

      例えば、「在庫管理業務を効率化したい」「顧客情報を一元管理したい」などの要望がシステム要件として抽出されます。この抽出作業はヒアリングといい、利用部門や経営陣への聞き取り調査を通じて要件を網羅的に収集していきます。

      その上で、収集した要件を文書化した要求定義書を作成します。要求定義書には、機能要件(システムができること)と非機能要件(性能やセキュリティ等の品質要件)の両面から必要事項を明記します。これにより、以降の設計・開発作業において共通認識のもとでシステム化を進めることができます。

      外部設計

      要件定義をもとに、次のフェーズとして外部設計を行います。

      外部設計では、システムの全体像や処理の流れを定める作業を行います。具体的には、各機能のインプット(入力)とアウトプット(出力)の対応関係を整理し、モジュール間のインターフェースを設計します。

      また、メイン処理と副処理の役割分担、画面遷移や帳票デザインのイメージ図を作成することが多いです。データフローやネットワーク構成、ハードウェア構成の概要についても検討します。これにより、システム全体の枠組みが定まり、見積りやテスト計画立案などの基礎資料が得られます。

      外部設計書として、システム概要設計書や機能設計書などがドキュメントとして作成されます。外部から見たシステムの姿が、明確化する段階といえます。

      外部設計の段階では、要件定義で描いたシステムイメージを、より具体的で技術的な文書へと移行させる作業が重要です。ハードウェアの規模や処理時間の計算などは、システム全体像を左右する要素であるため、納期とコストの面からも十分な検討が必要不可欠です。

      システム担当者と利用部門が詳細スペックをすり合わせることで、最適な仕様が導き出されていくイメージです。

      内部設計

      外部設計でシステムの全体像を定めた後、次のフェーズとして内部設計を行います。内部設計では、システム内部での実際の処理手順や、データの流れを細かく定義していきます。

      具体的には外部設計の各機能を、どのモジュールやコンポーネント、クラスが担当するかを割り当てます。またデータベースやテーブルの詳細定義、入力画面のフォーマット詳細、エラー処理の考え方、例外処理の仕組みなどを詳細に記述します。

      コードレベルでの設計が主体となるため、効率的で保守しやすいシステム設計を目指します。内部設計書には、画面定義書のほか、各種テーブル定義書類、処理フロー図、クラス図やER図などが含まれます。プログラム作成のための、実作業の指示書としての意味合いが強いといえます。

      特に大規模システムの場合、保守性や拡張性を高めることが重要視されるため、内部設計の段階でしっかりとしたシステムの構成や枠組みの設計が欠かせません。

      プログラミング

      設計書に基づき、実際にソースコードを作成しアプリケーションとして構築する作業を、プログラミングといいます。主に使用する言語は、目的と開発環境によって決定しますが、基幹業務システムではCOBOL、Java、C#などが多く利用されます。

      プログラマーが担当機能ごとに、モジュールを分担してコーディング作業を進めていきます。作業成果物としてはソースコードのほか、テスト仕様書やテストデータなども合わせて作成します。

      プログラミング作業と並行し、コードレビューも実施することが多く、複数人でソースコードを確認し合うことで品質を高めていきます。大規模システム開発の場合、複数者が分担するとコードの統一感が失われるリスクがあるため、コーディング規約を事前に定めることもポイントのひとつです。

      コーディング作業は通常、開発者が自席のPC上で個別に実施しますが、ソースコードをバージョン管理システムに登録し共有することで、複数名の作業状況をリアルタイムで把握することもできます。プロジェクトマネージャーが全体の進捗状況を適切に管理する上でも、重要なポイントといえます。

      テスト

      プログラミングされたシステムに対し、設計書などとの整合性や機能動作を確認する作業を、テストと呼びます。

      テストではまず単体テストから始め、個々のプログラムが正しく動作するかを確認します。次いで、複数プログラム間の連携動作をチェックする結合テスト、さらにはシステム全体としての正当性を検証する総合テストへと段階を追って実施していきます。

      テスト工程では、事前に網羅的なテスト計画書やテストデータ、テスト手順書を用意し、効率的に品質確認を進めます。テスト担当者とは、別の第三者が実施する場合も多く、開発者側の想定を超えた場面でも問題ないことを確認する狙いがあります。

      特に大規模システムの場合、膨大なテストパターンが発生するため、テスト項目の設定と実施計画の立案がテスト全体の成否を大きく左右するポイントとなります。

      納品

      テストを経て品質が保証されたシステムを、顧客先に引き渡す一連の手続きになります。

      納品に際しては、システム自体のほか、操作マニュアルやデータ移行支援ツールなど付随している、書類データやツールも合わせて納品する必要があります。

      また、事前に顧客側担当者に対する操作説明会を実施し、システムの概要理解と基本操作の習得支援を行います。さらに本番切替作業にて、既存システムから新システムへの移行プロセスを円滑に進めることも重要です。

      一連の納品プロセスを通じ、顧客側でのシステムの使い方を定着させることが大切です。特に大規模システムの場合、移行作業に要する期間が長くなる傾向にあるため、計画的に段階的切替を進めていく等の配慮が必要となります。

      運用保守

      リリース後のシステム運用を支えるため、継続的にバグ修正や機能改善を実施していくことを指します。

      リリース後に顧客業務で発生したバグや操作性の改善要望に対応するとともに、法改正への対応や業務拡大に伴う機能拡張などを実施します。

      運用保守には、問題発生時の対応力や切替作業の安全性も重要視されるため、開発チーム内に専門組織を設けて対処するケースが多いです。

      またヘルプデスク機能や問題管理データベース、運用する手順書などを充実させて、迅速な保守体制を整えることが望まれます。特に、24時間365日の高いサービスレベルが求められる基幹システムの場合は、複数拠点でバックアップ体制を構築することや、運用業務のアウトソーシング利用も検討する必要があります。

      システム構築の費用と予算管理

      システム構築・開発の依頼を検討する際、費用相場が気になるのは当然のことです。見積金額が適正かどうか判断しづらい場合も多々あります。
      システム会社のWebサイトでは、幅広い費用範囲が示されていることが多く、具体的な相場感が掴みにくいのが実情です。
      そこで本章では、システム構築・開発の費用相場について、種類別で解説します。

      システム構築の費用

      システム構築の種類 費用
      コアシステム開発 500万円〜1,000万円以上
      業務支援システム開発 300万円〜1,000万円程度
      Web系システム開発 20万円~1,000万円程度
      スマホアプリ開発 50万円~1,000万円程度

      システム開発のコストは、その規模や複雑さによって変わるため一概には言えません。
      一般的には、「基幹システム」「業務支援システム」「Web系システム」「スマートフォンアプリ」という4つの主要なカテゴリーに分類されます。

      ここでは、これらの各カテゴリーにおける開発コストの概算について紹介します。

      基幹システム開発の費用相場

      基幹システムとは、企業の中核業務を支える重要な情報システムのことを指します。会計、人事、生産、販売管理など、企業活動の根幹に関わる業務を担う基幹系システムは必ず必要なものです。

      基幹システムの導入費用は、その業務の複雑性や重要度、利用者数などによって大きく変わってきます。

      例えば、販売・生産管理システムは業務の複雑さや重要性が非常に高く、複数の利用者が使用するため、概算で500万円から1,000万円以上の費用がかかることが一般的です。
      一方、人事や財務会計システムは、やや単純な業務であり、利用者数も限られることから、300万円から600万円程度と、比較的低コストで導入できるでしょう。

      業務支援システム開発の費用相場

      業務支援システムとは、顧客情報の管理や営業活動のサポート、プロジェクト管理など、主に顧客対応や現場業務をサポートするためのシステムを指します。
      以下のようなシステムが該当します。

      顧客管理システム(MA/SFA/CRM)
      営業支援システム
      プロジェクト管理システム
      ワークフロー管理システム

      このような、企業の顧客とのインタフェース業務を下支えする重要なシステムが業務支援システムと位置付けられています。
      業務支援システムの導入費用は、一般的に300万円から1,000万円程度が相場です。
      ただし、必要とされる機能の多さや開発の複雑度によって、費用は大きく変動します。

      Web系システム開発の費用相場

      Webシステムは、インターネットを介してアクセス可能なサービスやシステムを指します。顧客の情報を管理するCRMのようなクラウドベースのサービスが含まれ、近年特に普及しています。
      Webシステムは、利便性と効率性を高めるために企業や個人に広く採用されています。

      コーポレートサイト 20~300万円
      マッチングサイト 100~500万円
      予約管理サイト 80~500万円
      Q&Aサイト 60~300万円
      ECサイト 60~1,000万円
      CMS 50~400万円
      掲示板 50~300万円

      開発プロジェクトの費用は、機能の複雑さや提供する会社の規模によって大きく異なります。
      機能が多岐にわたるほど、また大手企業やオフショア開発を選択すると、費用は増加する傾向にあります。

      一方で、中小企業に委託することでコストを抑えることも可能です。
      最終的な開発費用は、プロジェクトの要件と選択した開発パートナーによって決まります。

       

      スマホアプリ開発の費用相場

      スマートフォンアプリケーションは、iOSおよびAndroidデバイスで利用可能です。
      これらは一般ユーザー向けのものから、企業が社内業務で使用するシステムまで、幅広い用途に対応しています。

      アプリ開発のコストはプロジェクトによって異なりますが、一般的な費用相場を把握することは重要です。

      ショッピングカート 50~300万円
      カタログ・フリーペーパー 50~100万円
      通話・メッセージアプリ 100~500万円
      ゲーム系 200~1000万円

       

      費用を抑えるためのポイント

      システム開発には高額な投資が必要ですが、コストを削減したい企業は少なくありません。ここで、開発費用を節約するための4つのポイントを提案します。

      複数社から見積もりを取る

      システム開発会社はそれぞれ強みとする領域や提供サービスが異なります。そのため、3社から5社程度に見積もりを依頼するのがベストな方法です。

      複数社の見積もりを比較することで、適正な費用相場を把握できます。また、各社の見積内容を精査し、予算内に収まっているか、必要な機能が盛り込まれているかを確認できます。

      初期段階で正確な予算を提示する

      見積もりを依頼する際には、開発会社が予算の範囲を尋ねたら、明確な数字を提供することが重要です。もし予算が不明な場合は、要望するシステムの詳細を細かく説明することが求められます。

      例えば、「ゼロからECサイトを構築し、運用がスムーズに行えるまでサポートを受けたい」「CMSは設置済みだが、企業に合ったデザインを実現するために外部の力を借りたい」といった具体的な要望を伝えることで、開発会社はより正確な費用見積もりを提供することができます。

      システム開発会社に丸投げしない

      システム開発を外部の専門家に完全に丸投げすると、正確な実行と社内リソースの節約を可能にしますが、コストが増加する可能性があります。

      コストを抑制するためには、外部委託を全面的に行うのではなく、自社に必要な知識を蓄え委託範囲を限定することが重要です。

      例えば、ECサイトの立ち上げ後数ヶ月間だけ外部のサポートを利用したり、コーポレートサイトの運営方法を学んで日常のメンテナンスを社内で行うなど、自社で対応可能な業務を増やしてコストを削減しましょう。

      このように、開発プロセスを内製化することは、コスト削減につながります。

      例えば、オウンドメディアを立ち上げる際にCMSを使用する場合、インストールや設定を自社で行うことで、外部のシステム開発会社に支払う費用を節約できます。

      開発を外注する前に、プロジェクトの流れを見直し、自社で対応可能な作業を特定することも、効果的な戦略です。

      システム構築の成功具体例

      システム構築の成功具体例を紹介します。

      具体例①作業所業務支援システムの開発事例

      システム構築の成功具体例

      大成建設と富士通は、建設現場の作業効率を高めるために「作業所ダッシュボー」という新しいシステムを共同開発しました。

      このシステムは、人手不足と労働環境改善という建設業界の課題に対応するため、ICTを駆使して作業所の運営を効率化することを目的としています。作業所ダッシュボードを使用することで、工事のスケジュール、閉所情報、職員の個人スケジュール、さらには現場カメラの映像など、重要な情報が関係者間で円滑に共有されるようになります。

      本社や支店は作業所の進捗をリアルタイムで確認でき、報告業務の負担が軽減されると同時に、より迅速な指示が可能になります。
      企業全体の業務効率が向上し、建設業界の現代化に貢献しています。

      参照元:大成建設株式会社|大成建設と富士通、作業所業務支援システム「作業所ダッシュボード」を開発

      具体例②発注業務自動化システムの開発事例

      システム構築の成功具体例

      株式会社ワークマンと株式会社日立製作所が、デジタル技術を活用した発注業務自動化システムを共同で開発しました。

      ワークマンでは約10万品目の商品を取り扱っており、1店舗当たり約13,000品目を有しています。従来の発注業務では、1店舗あたり1日約30分を要していたため、業務負荷が大きく、適切な在庫管理やタイムリーな商品入れ替えが困難でした。

      このような課題を解決すべく、ワークマンは日立と共同で、発注・在庫管理業務の自動化システムを開発しました。このシステムでは、在庫回転率に応じて「自動補充型」と「AI需要予測型」のアルゴリズムを動的に切り替え、最適な発注量を自動計算します。

      新システムを導入することで、現行の店舗棚割に基づいた適正在庫水準を維持しつつ、こまめな補充により欠品リスクを抑制できるようになりました。
      発注作業自体もシステムが推奨する発注量を確認し確定ボタンを押すだけで済むため、作業時間が従来の30分から約2分に大幅に短縮されました。

      ワークマンと日立のデジタル発注システムにより、発注業務の自動化と適正在庫管理の両立を実現し、ワークマンの業務効率化に大きく貢献することが期待されています。

      参照元:日立製作所|ニュースリリース(2021年4月19日)

      システム構築する際の事前準備

      システム構築を成功に導くためには、事前準備が不可欠です。このセクションでは、プロジェクト開始前に行うべき重要な準備工程について解説します。

      目指すべきゴールの設定

      まず最初に、システム構築で実現したい目標を設定します。システム導入の目的を明確化し、具体的な達成目標を定めることが重要です。

      例えば「受発注業務の効率を30%改善する」「顧客データの一元管理で商談成約率を20%向上させる」などのように、可能な限り数値目標を用いた明確なゴール設定が望まれます。併せて、目標達成のために必要な機能や業務プロセスの改善内容についても示します。

      これによって、後の要件定義や作業工程や必要人員の見積もりに必要十分な指針が得られます。目標設定があいまいだと、設計方針が確定しにくく、開発後の成果測定が困難になるリスクがあるため、事前準備として特に重視する必要があります。

      目標設定にあたっては、経営陣と利用する人たちが同じ認識を持つことが大切です。システム導入のコンセプトやテーマを経営側から提示し、業務の当事者である利用する人たちが具体的な目標値を設定する、という流れが一般的です。事前準備として、十分な目的の共有と議論を重ねることが欠かせません。

      必要な技術を理解する

      次に、目標を達成するために必要な技術を把握します。

      まず、業務要件からシステムで実現すべき機能を洗い出し、その機能を支える上で必要となるプログラムやシステムなどの技術要素をまとめます。例えば、大量取引データの即時処理を実現するためには、最新のサーバー機器の導入が必須である、といった感じです。

      次いで、実際に利用可能な技術の中から、最適な手段を選定していきます。クラウド利用かオンプレミスか、パッケージ製品の活用か自社開発か、といった判断が求められます。コストと工期のバランスを図りつつ、信頼性やセキュリティも考慮した技術選定が不可欠であり、十分な調査と比較検討が欠かせません。

      予算と人材の計画

      目標と技術が決まったら次のステップとして、期間やコスト、人材の計画を立てます。

      まず全体工程を立案し、要件定義からテスト、移行や保守に至るまでのフェーズごとに、必要工数と日数を推定します。これらと並行して、必要な機器調達やソフトウェアのライセンス、外部委託の費用などを算出していきます。工数とコストの見積もりを統合することで、プロジェクト全体の予算計画が作成できます。併せて実際に業務を遂行するための、適任者の明確化、外部リソースの活用計画、人員確保スケジュールの策定なども欠かせません。

      計画の見直しと先行投資が必要なことなども考慮し、ある程度の余裕を見込んだ資源計画を立てることが大切です。

      リスク管理

      システム構築におけるリスク管理では、計画の策定時に想定し得るリスクを洗い出し、影響度と発生可能性を評価した上で対策を立案します。

      例えば、突発的な仕様変更による工程の遅延などがあります。このリスクが実際に起こった際の影響度は大きいものの、発生可能性は低いため、仕様変更手続きの事前検討や工程に余裕を持たせることで対処できます。

      逆に設計ミスといったリスクは、発生頻度が高く日常的に注意が必要です。リスクリストの作成に当たっては、第三者の視点も取り入れ、思いつかない盲点を減らすことがポイントとなります。こうしたリスク検討を踏まえた上で、作業工程や必要人員の見積もりを再び考え直すことで、より現実的なプロジェクト計画を策定できます。

      まとめ

      今回の記事では、システム構築の基本的な意味から、構築プロセス、技術、コストの詳細までを解説しました。

      システム構築を検討中の方は、まずは株式会社Jiteraにご相談ください。豊富な実績とノウハウで、最適なシステム構築に向けてアドバイスいたします。

      具体的には、目的に応じた開発手法、コストと期間の算定、クラウド活用などのご提案を通じて、貴社に合った最適な構築方針を一緒に考えていきます。

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