パナソニック社専用「ConnectAI」とは?自社に特化した生成AIの魅力を事例とともに解説

パナソニックが社内で活用しているAIアシスタントサービスが「ConnectAI」です。

自社内のさまざまな課題を解決するために開発されたAIサービスであり、幅広い業務に活用されています。自社に特化した生成AIは今後の進化が期待されている分野であり注目度が高いです。

本記事ではConnectAIの特徴や活用事例、将来性についてまで解説します。自社のニーズに合ったAIサービスの開発に興味のある方は参考にしてください。

Nao Yanagisawa
監修者 Jitera代表取締役 柳澤 直

2014年 大学在学中にソフトウェア開発企業を設立

2016年 新卒でリクルートに入社 SUUMOの開発担当

2017年 開発会社Jiteraを設立
開発AIエージェント「JITERA」を開発

2024年 「Forbes 30 Under 30 Asia 2024」に選出

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執筆者 rushx1202

WEBライター歴12年です。IT系の記事執筆経験は豊富にあります。

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    ConnectAIとは?

    ConnectAIはパナソニックコネクトとMicrosoft社が協力をして開発されたAIアシスタントサービスです。

    パナソニック社内で活用することを前提として開発されたため、他企業向けに提供されていません。パナソニック社のすべての社員を対象として提供されており、幅広い業務に適用されてきました。

    業務生産性の向上や社員のAI活用スキルの向上などに大きく寄与しています。以下ではConnectAIとは何なのか、基本的な情報を紹介します。

    パナソニックコネクトとMicrosoft社の協力を得て開発

    ConnectAIはパナソニックコネクトとMicrosoft社の協力をもとにして開発されたサービスです。

    システムの基盤としてMicrosoft Azure OpenAI Serviceが活用されています。Microsoft Azure OpenAI Serviceとは、Microsoft社の運営するクラウドサービス上で利用できるAIサービスです。

    パナソニックコネクトはMicrosoft社の技術を取り入れて自社内の問題解決に特化したAIアシスタントを実現しました。Microsoft社と協議を行い、パナソニックの社内システムにConnectAIを組み込むことに成功し、全社員を対象に提供されています。

    自社内に特化したAIアシスタントサービス

    ConnectAIはパナソニック社内で使われることを前提に開発されたAIサービスです。

    他企業や開発者向けに提供されておらず、パナソニック社内でのみ運用されています。パナソニック社内の業務生産性の向上や社員のAIスキルの向上、シャドーAI利用のリスク軽減などを目的として開発されたのがConnectAIです。

    1日に平均して5,000回以上利用されており、社員が日常的に業務で活用しています。質問に対する回答や文章の自動生成、文章の分類といった役割を果たしており、多くの業務の効率化に寄与しました。

    パナソニック社内の固有な情報について正確な回答をしてくれるAIとして重宝されています。

    ConnectAIの特徴

    ConnectAIの特徴をまとめると以下の通りです。

    • Azure OpenAI Serviceによる構築
    • GPT3.5-Turboを活用
    • 社外秘データを含めたAIサポート

    Microsoftの提供するAzure OpenAI ServiceやOpenAIの提供するGPT3.5-Turboが活用されています。

    社外秘データも含めて豊富なデータを活用してAIサポートを行うのが特徴です。以下ではConnectAIの特徴について詳しく解説します。

    Azure OpenAI Serviceによる構築

    ConnectAIは、Azure OpenAI Serviceによって構築されたサービスです。

    Azure OpenAI Serviceでは、Microsoft Azureで提供されているサービスで生成AIをAPI経由で利用可能です。クラウドサーバー上で利用できるAIサービスであり、強固なセキュリティで保護されているため安全性が高いことで知られています。

    Azure OpenAI Serviceを用いればOpenAIの各種AIモデルを活用でき、ConnectAIもこの技術を使用しています。

    GPT3.5-Turboを活用

    ConnectAIはAzure OpenAI Serviceで利用できるAIモデルの中でもGPT3.5-Turboを活用しているのが大きな特徴です。GPT3.5-Turboとは2023年の3月にOpenAIによって発表されたAIモデルで、会話用のモデルとなっています。

    ChatGPTのシリーズの1つであり、GPT3.5-Turboを用いればテキストで質問をするとAIが回答してくれるサービスの開発が可能です。

    ConnectAIが開発された時点ではGPT3.5-TurboはChatCPTの最新モデルでした。ConnectAIでもGPT3.5-Turboを活用することで、精度の高い回答を実現しています。

    社外秘データを含めたAIサポート

    ConnectAIは自社の公開情報についてだけではなく、社外秘情報についての回答もしてくれるのが特徴です。

    自社に固有の社外秘情報についても回答するAIサポートを実現しており、企業に関する幅広い質問について回答できます。たとえば、品質管理規定や過去の製品設計の品質に関する質問が可能になりました。

    回答の際のデータの引用元を表示する機能も実装されており、回答結果の正しさを社員が確認できるように工夫されています。

    ConnectAIから見る自社専用AIのメリット

    ConnectAIのような自社専用AIを開発して導入するメリットは以下の通りです。

    • 自社のノウハウを蓄積できる
    • 生産性の向上ができる
    • コスト削減ができる
    • イノベーションの推進が期待できる

    自社専用AIを実現すれば、生産性の向上やコスト削減、イノベーションの推進といった効果を期待できます。また、企業内に蓄積された幅広いデータをAIに整理・活用させることで、自社のノウハウの蓄積も実現できます。

    以下では自社専用AIを活用するメリットを詳しく紹介します。

    自社のノウハウを蓄積できる

    自社専用AIを導入することで自社のノウハウの蓄積が進みます。AIによって過去の業務記録やノウハウなどを整理・分析させることができるからです。

    AIの学習モデルとして自社のノウハウに関するデータを与えれば、AIは過去のデータから業務に関する正確な回答や提言を行います。

    自社専用AIによって、自社のノウハウの整理や分類が可能であり、業務に関する知識や情報の共有が促進されます。

    生産性の向上ができる

    自社専用AIに業務に関する疑問点や課題などを質問すれば的確な回答を得られるようになり、生産性の向上につながります。

    たとえば、新製品の企画案をAIに提案してもらうことでアイデア出しをさせることが可能です。これまで人力で行っていたデータ収集や分析の作業をAIに任せることもできます。

    人が行っていた業務をAIに効率的に行わせることで、より重要な業務にリソースを集中させることができ、生産性の向上を実現します。

    コスト削減ができる

    自社専用AIの導入は幅広いコストの削減につながり、企業の収益性を上げられます。たとえば、生成AIに一部の業務を担当させることで少ない人員で対応できるようになれば、人件費の削減につながります。

    また、AIに予測させることで無駄な在庫を削減し、廃棄コストを削減することが可能です。これまで外注していた業務をAIにさせられる場合は、外注コストの削減を実現できます。

    イノベーションの推進が期待できる

    自社専用AIに公開データから社外秘データまで学習させると、幅広い知識を組み合わせて斬新なアイデアを生み出せます。人間の常識では出てこない発想に基づいたアイデアや改善案の出力を期待できます。

    たとえば、新製品・サービスの企画開発の際にAIにアイデアを出してもらい、今までにないアイデアが生まれれば、イノベーションの推進につながります。

    AIに業務改善のアイデアを出してもらい、これまでのビジネスプロセスの常識を覆すアイデアが生まれるケースもあります。

    ConnectAIの活用事例

    ConnectAIはパナソニック社内においてさまざまな事例に活用されています。

    以下にConnectAIの活用事例をまとめました。

    • 質問に対する回答生成
    • 品質管理の課題を解消
    • プログラミング業務の短縮
    • アンケート結果分析の短縮
    • その他の利用ケース

    どんな活用事例があるのか具体的に紹介します。

    質問に対する回答生成

    ConnectAIへの質問に対する回答生成が業務に役立っています。社外秘情報も参照するため、業務に関する専門的な質問にも正確な回答を得ることが可能です。たとえば、リチウムイオン電池を活用する際の不具合事例や対策を教えてくださいと質問すれば、詳細な事例の紹介や対策まで回答してくれます。

    回答の引用元まで表示されるため、自分で一から資料を調べる手間を省けます。

    品質管理の課題を解消

    ConnectAIに品質についての質問が可能であり、さまざまな課題の解決に役立ちます。ConnectAIの学習元データの中には品質管理規定や過去の事例まで含まれているからです。

    品質管理に関するノウハウがデータとして用いられているため、ConnectAIのおかげでパナソニック社では品質管理のノウハウの共有が進みました。

    ConnectAIを用いることで、過去の事例の検索をして判断をする時間を短縮し、品質管理について迅速な対処が可能になります。

    プログラミング業務の短縮

    ConnectAIを導入したところ、従来は3時間かかっていたコーディング前の事前調査が5分に短縮されています。

    ConnectAIを導入する前までは複数拠点においてデータを収集する作業に時間がかかっていました。ConnectAIを活用すれば、AIがデータの収集から分析まで行うため、事前調査にかかる時間の大幅な短縮を実現しています。

    プログラミング業務にかかる時間を短縮することでより重要な業務に時間をかけられるようになり、生産性の向上に大きく寄与しています。

    アンケート結果分析の短縮

    ConnectAIを導入した結果、約1,500件のアンケートの結果分析にかかる時間が9時間から6分に短縮されました。

    これまで人力で行っていた分析作業をAIで自動化することに成功したからです。アンケートの結果分析は所定の手順に従って機械的に判定していくものであり、AIによって自動化しやすい分野といえます。

    アンケート結果分析にかける時間を短縮したことで、コア業務へ注力できるようになり、生産性向上の効果を得ています。

    その他の利用ケース

    資料作成業務においてConnectAIが活用されています。情報収集から情報整理、ドラフト作成までの業務の自動化を実現しています。AIによる自動化により、人間は創造性が必要とされる仕上げの部分に集中できるようになりました。

    他には文章の翻訳をAIにさせるケースや、キャリアに関する質問を行うケースまで公表されています。

    今後のConnectAIの展望

    ConnectAIはAI活用をさらに深化させることで大きな業務変革を目指しています。新しい機能を追加し、より幅広い分野に適用できるようにすることが今後の目標とされています。以下では今後のConnectAIの展望について具体的に紹介します。

    プロンプト添削機能の追加

    ConnectAIはプロンプト添削機能の追加を2024年6月に実現しました。生成AIで精度の高い回答を得るためにはプロンプトの内容が重要になります。

    しかし、正確なプロンプトを作成するには専門的な技術や経験が必要であり、すべての社員が対応できるわけではありません。

    そこで、プロンプト添削機能を追加することで、社員がAIを活用しやすくしました。社員が入力したプロンプトをAIが添削を行い、より精度の高い回答を得られるプロンプトを生成してくれます。

    使用者の知識や技術、経験などに左右されず、誰もがAIを有効活用できるようになります。

    自社特化AIから個人特化AIへ

    これからConnectAIは自社特化AIから個人特化AIになることを目指して開発が進められていきます。従来の自社特化AIは公開情報や自社固有の社外秘情報のみを活用して回答を生成していました。

    個人特化AIになると、個人の役割に応じた回答ができるようになります。社員はそれぞれ職種や役割が異なっており、AIに行う質問や期待する回答は異なるものです。

    個人特化AIを実現することで、社員はAIからより役に立つ回答を得られるようになり、生産性向上に大きく寄与します。

    オートノマスエンタープライズを目指す

    ConnectAIの開発を通してパナソニック社が最終的に目指しているのはオートノマスエンタープライズです。

    オートノマスエンタープライズとは自律型企業のことであり、人の介入を最小限にしてAIが業務をこなす企業形態を指します。AIが担当する業務は限定的であり、未だに多くの業務は人が担当するのが現状です。

    今後は、AIが長期的な目標を立てた上で計画から立案、実行、最終確認まで行えるようになることを目標にしています。

    ConnectAIが大部分の業務を人の介入なしで行えるようになれば、企業運営の形は大きく変化するでしょう。

    ConnectAIから見るAI活用の将来

    ConnectAIのような業務をサポートするAIは今後さらに発展していき、多くの会社で活用されるようになると予想できます。

    日本は労働力の減少が大きな課題となっており、解決策として注目されているのがDXです。人が行っていた業務をAIが担えるようになれば、人手不足の問題を解決できます。

    今後はあらゆる領域においてAIの活用が進んでいき、多くの仕事をAIが自律的にこなしていくようになるでしょう。

    また、人が判断するのが難しい作業はAIが代わりにこなすようになると考えられます。

    たとえば、社内のシステムに問題が起きたときに、AIが自動的に調査を行い修復まで担当できるようになれば、保守管理の業務を大幅に短縮化・効率化できます。

    これまで人が担当していた難しい作業や判断などの多くがAIに置き換わっていくでしょう。

    まとめ:自社用AIの可能性を広げるConnectAIに今後も注目!

    パナソニック社が自社専用のAIとして活用するConnectAIは多方面から注目されています。自社用AIを実現できれば、多くの課題を解決し、業務効率化や生産性の向上に寄与するからです。

    ConnectAIはプロンプト添削機能が追加され、個人特化AIを目指し、最終的には自律して多くの業務を担当できることを目指しています。自社用AIが進化すれば、AIに大部分の業務を任せることができるようになり、新しい企業運営のスタイルが生まれるでしょう。

    自社のニーズに合ったAI開発に興味のある方はJiteraにご相談ください。AIを利用したシステム開発で豊富な実績があるのがJiteraです。AIやシステム開発に関連したお悩みはいつでもJiteraまでお問い合わせください。

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