近年、AIを活用した画像解析について関心が高まっています。しかし、画像解析の仕組みや具体的な活用方法がよく分からないという方も多いのではないでしょうか。
そこで本記事では、画像解析の基礎から実践的な活用方法までを一通りわかりやすく解説をしていきます。具体的には画像解析の仕組み、AIを使った解析手法、有用なツールやアプリの紹介、業界別の活用事例と細かく分けて紹介しいきます。
画像解析に関する総合的な知識を、短時間で効率的に学びたい方は必見です。
IT関連の会社でWebコーダー、某携帯キャリアでネット回線や携帯販売を行っていました。現在はライターを中心に、仕事で得た知識を活かして幅広く活動中。音声や動画の制作など、もの造りが好きです。
画像解析とは?

画像解析とは、コンピュータを使って画像の中から必要な情報を取り出し、解析・認識する技術のことを指します。具体的には、画像から物体の形や色、文字などを認識したり、画像の特徴をデータとして抽出ができます。
日常生活で利用するアプリケーションや業務上のシステムへの活用と、画像解析は最早人々の生活には欠かせない技術の一種です。以下、画像解析の目的・メリット・できることについて詳しく解説していきます。
画像解析の活用事例

画像解析は製造業や医療、観光業を例にさまざまな業界で活用されています。主な活用事例を紹介します。
製造業
製造業では、製品の表面検査で画像解析が利用されています。カメラで製品の画像を撮影し、AIが表面の傷や汚れを検出し、欠陥品を自動選別できます。人の目視作業に比べて正確で迅速に選別するので、同時に作業の効率化が可能です
例えば、自動車のボディー検査では、ボディー表面を高解像度カメラで撮影し、AIが微細な傷や塗料の剥がれを検出します。機械学習で欠陥パターンを学習しているため、人の目には見えにくい欠陥でも高精度に判断できます。
検査工程の自動化で、コストと時間の大幅な削減を見込めるでしょう。電子部品や食品など、幅広い製造現場で画像検査の導入が進んでいます。
医療
医療分野では、X線やMRIの画像診断で画像解析が活用されています。医師が見落としがちな異常パターンをAIが画像から検出し、病気の前兆の早期発見に役立っています。
がんの検査では、AIがX線やCTの画像からがんの病変部位を提示します。医師はその支援情報も参考にして、診断の見落としリスクを低減可能です。また、糖尿病の目の画像を撮影し、AIが網膜症の兆候を検出するシステムも実用化されています。
医師不足の課題解決にも貢献している画像解析は、今後も医療分野で重要性を増していくでしょう。
交通・運輸業
交通・運輸業界では、ドライブレコーダーの映像解析が注目されています。映像から道路上の障害物や路面の異常を検知でき、事故予防に活用可能です。
現段階では、トラックやタクシーのドライブレコーダー映像を、クラウド上でAIが解析するサービスが登場しています。映像から車両、二輪車、歩行者を検知し、危険運転や障害物回避を判断して運転者に警告します。合わせて映像データの集積と分析で、事故多発地点の特定も容易です。
ドライブレコーダーとAIの組み合わせは、事故の未然防止と運転技能の向上に大いに貢献するでしょう。
観光業
観光業では街中の監視カメラ映像を解析し、人の流れの可視化や混雑状況を判断ができます。観光地の効率的運用の手段といえるでしょう。
具体的には、街の各所に設置した監視カメラの映像をクラウドに送信し、人物の流れをAIでトラッキングします。結果として画像解析は、データに基づく合理的な観光地の運営を可能にし、旅行者の満足度向上につながっています。
また、人口密度の画像処理でリアルタイムの混雑度合いを判断でき、観光客の誘導等に活用できます。そのため観光客の動線や混雑する場所、渋滞する場所を明らかにでき、観光地の改善点を発見可能です。
セキュリティ
セキュリティ対策として、不審者の顔認証や車両ナンバー検知など、監視カメラと画像解析を組み合わせられます。犯罪抑止に大きな効果が見込めます。
明確には、カメラの映像から人物や車両を検知し、顔認識やナンバー自動読取りが可能です。事前に登録した規制対象者のリストとの照合で、警備対象施設への不審者侵入を事前検知できます。
駐車場の監視カメラでナンバー認識をし、車両の入出庫をログ管理するソリューションも実用化されています。AIのリアルタイムの映像解析は防犯効果が高く、人員削減も期待できます。セキュリティ業界において、監視カメラの高度化が急速に進んでいる要因です。
画像解析の目的

画像解析の利用シーンはさまざまです。主流の利用目的を以下に4点紹介していきます。
画像から必要なデータを得る
例えば、衛星画像から道路、森林、水域などの地物を自動認識し、地図情報としてデジタル化ができます。有名な例では、Googleマップの地図サービスで活用されています。地図作成の工程の自動化で、膨大な衛星画像データから効率的で正確な地図情報を抽出可能です。
画像の内容を理解する
文字画像からテキストを読み取ったり、画像に映っている人や物体を認識し、画像の内容をコンピュータが理解できるようになります。
有名な活用法に、アプリケーションなどで撮影、読み込みした画像データをOCR(光学文字認識)技術でテキストデータに変換する機能があります。そのため紙の書類をスキャンせずとも、カメラで文字を読み取りPCに入力できます。
画像処理や編集を自動化する
顔認証で自動補正したり、背景を自動切り抜くといった、画像処理を効率化できます。
スマートフォンのカメラアプリでは、顔認証によって目の部分を自動補正したり、被写体を切り抜いて背景をぼかしたりする機能が搭載されています。従来の画像処理は手作業では時間がかかる為、画像解析の活用で瞬時に処理がで可能です。
画像から有用な情報を発見する
医療画像から病気のサインを自動検出したり、画像検査で製品の欠陥を発見できます。画像解析はコンピュータビジョンと呼ばれる画像認識・理解技術の根幹を成す重要な技術です。
※コンピュータビジョン:コンピュータを使って画像や動画から有用な情報を取り出し、認識や理解を行う技術の総称です。画像処理やパターン認識、深層学習といった技術を活用し、コンピュータによる「視覚」の実現を目指しています。
画像解析でできること

画像解析は多岐にわたる技術で応用ができます。以下はその一例です。
物体検出
画像から、特定の物体の位置や大きさを検出できます。主に自動運転の障害物検知に用いられています。カメラやセンサーを通して目の前、あるいは左右との距離をAIが自動で解析し、ブレーキや車間を保つように運転の補助が可能です。生活の中で人々の助ける欠かせない技術といっても過言ではないでしょう。
顔認識
画像や動画から人の顔を検出し、個人を識別できます。セキュリティや画像整理の用途があります。スマートフォンの顔認証システムも同様に、登録者の目、鼻、口、骨格を細かく解析可能です。一般的な顔認識システムは平面のデータから識別をしていましたが、近年では赤外線センサーを活用してAIが自動で顔の凹凸を認識し、飛躍的に精度が上昇しました。
OCR(文字認識)
文書画像や文字画像、写真から、その文字情報を抽出できます。人気のものではGoogleレンズが存在します。画像データを読み込むだけで文字に起こすだけでなく、多国語であれば翻訳も可能です。AIを活用した文字認識は、年々精度が高まりつつあります。
画像分類
画像に含まれる主要な被写体(人、動物、乗り物など)を判断する画像分類が可能です。具体的には、1枚の画像全体に対して写っている情報が何かをパターンで示します。動物の分類であれば、犬、猫、鳥、と被写体を大まかに分野分けをします。
画像検索
画像分類と似てますが、解析した特徴量をもとに特定の画像を検索します。画像の植物の名前を瞬時に判別し表示するPlantSnapや、ガーデニング情報を教えてくれるFLOWERYが一例に挙げられます。画像情報を検索し表示するので、大規模なAIモデルの使用が大半です。
画像変換
スタイル変換や解像度変更と、画像の編集処理を自動で可能です。画像データをマウスのドラッグで、PNGデータをJPGデータに変換する方法は、よくある画像変換に当てはまります。他に、写真データを元にAIがイラストに変換する技術も近年では話題です。
画像解析が注目される理由

画像解析が注目される理由は多岐にわたりますが、主な理由は以下の3つです。
精度の向上
AIによる画像解析は、人間の目では見逃しがちな細かい部分まで検出ができます。医療画像診断では、AIによる画像解析の高い精度が診断の質の向上に貢献しています。学習情報が豊富で、AI自身の解析能力が高いほど精度は向上します。
新たな応用分野の開拓
画像解析技術は、セキュリティ、農業、交通管理と、多方面な分野で新しい利用方法が提案、実施されています。特に顔認識技術はセキュリティ分野での利用が進んでいます。農業分野ではドローンを使った作物の健康状態の監視に活用されており、今後も多種多様な分野での活躍が期待できるでしょう。
ビッグデータとの組み合わせ
画像解析はビッグデータとの組み合わせ、より複雑な問題解決に役立てられます。交通面では、道路の交通量や流れの分析を通じて、都市計画の最適化に活かすことが可能です。人間では管理と解析をすぐに行うには難しい内容でも、AIに任せれば画像から情報を用意に参照できます。
画像解析の仕組み

画像解析の仕組みは、主に以下の5つに分類されます。それぞれ解説をしていきます。
画像補正
画像解析を行う前に、画像データを解析しやすい状態に整える補正処理が必要です。補正処理で主に行うのは、明るさとコントラストの調整、ノイズの除去、色補正の3つです。
明るさとコントラストの調整では、画像の全体的な輝度や、最も明るい部分と最も暗い部分との差を調整します。続いて、ノイズの除去です。ノイズはカメラの設定やスペック、画像の保存形式によって発生します。画像のノイズの除去で、より鮮明になります。最後に色補正です。色の色調を調整し、色の偏りを修正します。
以上の処理は、画像が最終的にどのように見えるかに大きく影響します。画像補正は、画像解析の結果を改善し、より正確な結果を得るために重要な工程です。
画像加工
画像加工は、コンピューターが認識しやすいように画像の特定の部分の強調、不要な部分の削除、画像を変形させる工程です。画像加工で主に行うのは、フィルタリング、マスキング、クロッピング、回転とスケーリングの4つです。
フィルタリングでは、画像の特定の部分を強調または抑制します。主に使用されるエッジ検出フィルタは、画像のエッジを強調し、物体の形状を明確にします。
画像の特定の部分を選択的に隠すマスキングや画像の特定の部分を切り取るクロッピングで、画像の特定の部分を強調したり、不要な部分を削除します。最後に、回転とスケーリングです。画像の向きやサイズを変更します。
画像解析の工程で準備を正確に実施すると、画像解析の精度が高まります。
画像分類
画像の補正と加工後、画像を特定のカテゴリに分類します。画像を分類するために画像の特徴量を抽出します。画像内の色や形状、テクスチャの視覚的特性を評価し、数値データに変換します。
例えば、顔の画像では、顔の向きや表情、目鼻の位置や色などの特徴量を抽出し、それぞれを数値化します。続いて、抽出された特徴を用いて、コンピューターに分類器を学習させます。分類器とは、入力された画像がどのカテゴリに属するかを判断するための指標です。
顔の画像では、特徴量の数値をもとに男性と女性の基準を決めます。入力された画像の特徴量が男性のものであれば男性へ、女性のものであれば女性に自動で振り分けます。分類器をコンピューターに学習させれば、男性の顔の画像と女性の顔の画像に振り分けが可能です。
画像検出
画像検出の工程では、画像内の特定の物体を識別し、位置を特定するための検出器を作成します。検出器は、前工程で抽出された特徴量をもとに制作します。人物の画像であれば、顔を検出するための特徴量を定義し、AIの学習で画像の中から顔の識別が可能です。
手順としては、画像分類の分類器を学習させる手順と同様です。
画像セグメンテーション
画像セグメンテーションとは、画像を複数の領域に分割し、それぞれの領域がどのクラスに該当するのかを予測する技術です。主に画像内のピクセルの特性にもとづいて実施されます。既存の方法では、ピクセル値が突然不連続になる部分を探し領域を検出する手段が主流です。
画像セグメンテーションは、画像分類や画像検出よりも正確で詳細な検出が必要な場合に用いられます。画像データを使用した病名の診断、建築物の0.1mm前後の異常を検出する場合などが挙げられます。
画像解析のメリット

画像解析は、医療や建築現場と幅広い業界で利用されています。画像解析を取り入れるメリットは多岐にわたりますが、ここでは例を踏まえながら4つ紹介します。
労働環境の改善につながる
画像解析は、労働環境の改善に大きく影響を及ぼします。まず、画像解析の活用で危険箇所を検出し、労災を未然に防止可能です。
工場内の機械の異常の早期検出で、作業者の安全を確保できます。また、長時間労働や過酷な作業環境の改善に画像解析を活用できます。レントゲンなどの画像診断で画像解析を取り入れれば、作業者の負担を軽減し生産性を向上させられます。
加えて、画像解析を使用した作業者の体調や姿勢のモニタリングで、適切な休憩やストレッチのタイミングを提案が可能です。結果、労働者の健康をサポートにつながります。
業務の自動化によるコストの削減
画像解析の活用で業務の自動化が可能となり、コストの削減につながります。
一般的な使用用途では人件費の削減が挙げられます。製品の検査作業を画像解析で自動化し、人による作業を軽減と効率化が可能です。また、コンピューターは人よりも早く画像解析を処理できます。大量のデータを迅速に処理し、作業時間の短縮が期待できるでしょう。
人為的なミスの削減も見込めます。人の手ではケアレスミスが発生しますが、画像解析に置き換えて作業の高い精度を実現できれば、ミスの発生を抑制できます。
検査の精度の向上により不良率が低下
画像解析は、製品の検査精度を向上させ、不良率を低下させる効果があります。画像を分析して微細な欠陥や不良を高い精度で検出できます。そのため、不良品の流通を防ぎ、品質を向上させます。
製造ラインでリアルタイムで画像解析をすることにより、不良品の早期発見も可能です。早い段階で不良品を除去できれば不良品の数を減らせるので、生産効率を向上させられます。
データの蓄積と活用
画像解析によって蓄積されたデータは、ビジネスにおいて有用な情報源となります。
商品の画像データを収集し、データをもとにした顧客の好みや購買履歴の分析に活用すれば、ターゲット市場を理解できます。ターゲット市場が理解できれば、新商品の開発やマーケティング戦略の改善に役立てられます。
合わせて、競合他社の商品や広告キャンペーン画像の分析で、市場トレンド把握が可能です。より適切に自社の戦略を図れます。画像解析によるデータの蓄積と活用は、ビジネスの競争の鍵となるでしょう。
画像解析のデメリット

画像解析には、生産性の向上やビジネスの競争力の向上と幅広いメリットがあります。その一方で、画像解析にはデメリットも存在します。以下に2点解説していきます。
導入に費用が発生
画像解析ツールを導入する際には、画像を撮影するカメラや画像を解析するコンピューター、解析ソフトなどの機材が必要です。また、専門的な知識や技術が必要であり、学習に伴うコストがかかります。そのため、画像解析の導入費用が高額になることがあります。
画像解析の導入にかかるコストと画像解析によって削減されるコストの比較、検討が必要です。
自社に合った画像解析アプリやソフトウェアが少ない
画像解析のツールやアプリは多種多様に存在しますが、自社のニーズに合った内容の選定は簡単ではありません。特定の業界や用途に特化したツールが少ない場合、選択肢が限られることがあります。そのため、導入前に慎重に選定する必要があります。
おすすめの画像解析のツール

画像解析を行う上で、バラエティ豊かなツールを活用できます。代表的なツールとその特徴を紹介します。
OpenCV

OpenCVは、画像処理・解析のためのライブラリやSDKとして無料で利用できます。顔認識のアプリケーションを手軽に開発可能です。
OpenCVには、画像フィルタリング、形状解析、画像変換と機能が多数搭載されています。C++で記述されているため実行速度が非常に速く、リアルタイムの画像認識などを実現できます。また、PythonやJavaのインターフェースも備えているので、C++に馴染みがない開発者でもOpenCVを活用できます。
代表的な用途としては、顔認識、物体検出、ARアプリ、画像分類が挙げられます。無料で利用でき、ドキュメントも充実しているので、画像認識関連のアプリケーション開発に広く使われているツールです。
※SDK:ソフトウェア開発キット(Software Development Kit)の略称で、特定のソフトウェアの機能を利用してアプリケーション開発を行うためのツールセットです。
MATLAB

MATLABは、画像処理やパターン認識、ディープラーニングに強力な機能を備えた数値計算ソフトです。豊富な画像処理用の関数が用意されており、自動運転や医用画像処理に利用されています。
MATLABには画像解析からディープラーニングまで、画像認識に関する幅広いの機能が搭載されています。具体的には、エッジ抽出、形状検出、画像変形といった基本的な画像処理から、物体認識、セグメンテーション、GANを用いた画像生成と高度な処理が備わっています。
直感的なGUIベースの操作が可能で、簡単に複雑な画像処理を実行できる点が特徴です。自動運転システムや医用画像診断などの実応用にも広く使われており、研究・開発から製品化までを一貫して支援できる汎用性の高いツールといえます。
ImageJ

ImageJは、Java言語で記述された画像処理・解析用のフリーソフトウェアです。インターフェースがシンプルで、操作方法が直感的で初心者でも扱いやすい点が特徴です。画像の切り抜き、回転、フィルタリング、形態計測と基本的な処理がGUIベースで簡単に行えます。
生物学実験の画像解析に広く利用されており、顕微鏡画像から細胞の計測やパターン認識できます。加えてプラグインの利用で機能を拡張でき、画像スティッチングや3D画像処理への応用も可能です。
開発者向けの高度な機能は少ないものの、基礎的な画像処理を手軽に行いたいユーザにとって有用なツールといえます。携帯電話のパノラマ機能や、衛星画像をつなぎ合わせて地図を作成するのに利用されています。
※画像スティッチング:複数の画像をつなぎ合わせて、より大きな画像を作成する処理のことです。部分的に重複する画像を入力して、画像間の類似度を照合して位置を特定し、つなぎ目をなめらかにつなげて1枚のパノラマ画像を合成します。
AT-Image

AT-Imageは、日本人開発者が作成したフリーの画像処理ツールです。Windows上で動作するシンプルなインターフェースが特徴で、画像処理の学習目的に適しています。
基本的な画像入出力や変換、照明補正、フィルタリング、2値化といった画像処理がGUI操作で直感的に実行できます。
フーリエ変換を使ったフィルタリングや、輪郭抽出、形状検出と画像認識の基礎的な機能が揃っています。機械学習は利用できませんが、画像処理の原理を学ぶ入門練習に利用できる便利なツールといえます。画像処理や認識の基礎を学んでいく際の第一歩として、おすすめのツールの 1つです。
RStudio

RStudioは、統計解析用言語Rを扱うフリーの開発環境です。画像処理関連の豊富なパッケージをインストールして、R言語で画像解析アプリケーションが開発できます。
RStudioはR言語のスクリプトエディタ、コンソール、グラフ、ファイル管理を1つのウィンドウで提供する統合開発環境です。画像の前処理、セグメンテーション、特徴抽出、分類他、画像認識に関する多くのパッケージが用意されています。
RStudioを使えば、パッケージを利用して簡単に画像認識アプリケーションを開発できます。画像データの前処理から分析、モデリング、可視化までをR言語だけで実現可能です。機械学習統計モデルを使った画像分類も強みです。開発コストが低く、ある程度の画像認識機能を実装したい場合に有効な選択肢といえます。
Vision API

Vision APIは、Google Cloud Platformが提供する画像認識のためのAPIサービスです。事前に学習された高精度なAIモデルを、簡単にアプリケーションから呼び出して利用できます。Vision APIには画像分類、物体検出、OCR、顔認証と豊富な機能があり、REST APIやRPC APIでアクセスできます。
膨大な画像データで事前学習したモデルを使うため、高速かつ高精度な認識が可能です。そのため短期間で画像認識機能を実装できるのが大きなメリットです。
Vision APIの活用で、手軽に高性能な画像解析アプリケーションを効率的に構築できます。
画像解析を使った無料アプリ・ソフト

スマートフォンでも手軽に利用できる、画像解析機能を搭載した無料アプリやソフトを紹介します。
FaceApp

FaceAppは、自撮りした顔写真を入力して、髪型変更や老化の効果をリアルに適用できる人気アプリです。顔認証と画像生成AIの組み合わせで、ユニークなエフェクトを実現しています。
FaceAppはまず、入力した顔画像から顔の位置や輪郭、表情などの特徴量を抽出しています。次に、その特徴量を入力して、変換後の顔画像を生成するAIモデルが適用されます。AIモデルは、膨大な顔画像データセットの学習で、多種多様な視覚効果をリアルに表現できるように訓練されています。
サーバ上で一連の処理が高速に実行され、ユーザーの端末に変換後の面白い顔画像が返信されます。プライバシー面への配慮も行われており、安全に楽しめるアプリです。
Google レンズ

Google レンズは、カメラで撮影したものをAIが認識して、関連情報を検索できる便利なアプリです。文字を読み取ったり、植物や動物を特定したりと、多彩な画像解析機能が搭載されています。
Google レンズではカメラ入力の映像から物体検出や画像認識を行い、映っているものを特定します。次に、特定した対象に関連するウェブ検索クエリを自動で生成し、関連情報を表示します。また、画像の文字をOCRでテキスト化し、テキストを入力してウェブ検索が可能です。他に、撮影した画像を認識した解説記事を表示する機能も搭載しています。
一連のプロセスは端末上で高速に実行されるため、リアルタイムの画像解析と情報検索を手軽に楽しめるアプリとなっています。
Picsart

Picsartは、自由な画像編集が楽しめるアプリで、顔認識を使った自動補正機能も備えています。1タップで写真の色調補正や輪郭補正を行えます。
Picsartは入力画像から顔検出を行い、位置やサイズ、向きを特定します。次に、補正対象の顔画像を切り出して、色調均一化や階調補正、小じわ補正といった画像処理を施します。
補正処理は顔のパーツの位置関係を考慮して自動で最適化されるため、自然な仕上がりになります。処理された顔画像を元の画像に合成し、1タップの簡単操作で高品質な自動補正が実現できます。写真修整に慣れていなくても、誰でも簡単に自分の写真をきれいに編集できる点が魅力です。
Remini

Reminiは、古い低解像度の写真を高画質化できるアプリです。人工知能が画像の細部を解析し、鮮明な画像に変換できます。思い出の写真を蘇らせるのに最適なアプリといえます。
Reminiは入力画像からテクスチャ、エッジ、輪郭形状とさまざまな情報を抽出し、パターンを学習データと照合していきます。学習データには高解像度の顔画像が多数含まれており、低解像度の入力画像のパターンを高解像度のものに変換ができます。
ぼやけた部分はエッジを明瞭化し、ノイズはなめらかなトーンへ置換で、鮮明でリアルな画像に生まれ変わります。過去の思い出の写真も、まるで最近撮影したかのようなクオリティに蘇ります。
画像解析のまとめ

画像解析はAIの技術を使って、画像から必要な情報を取り出す処理です。製造、医療、交通他、幅広い業界で活用されています。解析技術の向上により、ビッグデータから有用なパターンを発見したり、作業の自動化を実現できるようになっています。
画像解析のメリットは、業務の自動化によってコストを削減できることや、検査の精度を高めて生産性を向上できる点です。一方で、導入にコストがかかる点や、自社のニーズに適したツールを見つけるのが難しい部分はデメリットとなるでしょう。
株式会社Jiteraは、画像解析ツールの導入やAIを使ったシステムの開発、導入の支援を行っています。画像解析に関する質問や案件のご相談がある場合は、株式会社Jiteraへお問い合わせください。貴社のご要望に合わせたアドバイスを提供いたします。

