画像解析とは?解析の仕組みやAIを使ったツール、活用事例などをわかりやすく紹介

最近、AIを活用した画像解析について関心が高まっています。しかし、画像解析の仕組みや具体的な活用方法がよく分からないという方も多いのではないでしょうか。

この記事を読むと、画像解析の基礎から実践的な活用方法までを一通り理解することができます。

特に、画像解析の仕組み、AIを使った解析手法、有用なツールやアプリの紹介、業界別の活用事例を詳しく解説しています。

画像解析に関する総合的な知識を、短時間で効率的に学びたい方には特におすすめの内容となっています。

Nao Yanagisawa
監修者 Jitera代表取締役 柳澤 直

2014年 大学在学中にソフトウェア開発企業を設立

2016年 新卒でリクルートに入社 SUUMOの開発担当

2017年 開発会社Jiteraを設立
開発AIエージェント「JITERA」を開発

2024年 「Forbes 30 Under 30 Asia 2024」に選出

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執筆者 kannba

大学院を修了後、金融系SIerでSEとして従事。現在も外資系ITサービス企業で金融部門のSEとして勤務しています。ITの知見を活かしてWebライターとしても活動中です。

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    画像解析とは?

    画像解析とは?

    画像解析とは、コンピュータを使って画像の中から必要な情報を取り出し、解析・認識する技術のことを指します。具体的には、画像から物体の形や色、文字などを認識したり、画像の特徴をデータとして抽出することができます。以下、画像解析の目的・メリット・できることについて詳しく解説していきます。

    画像解析の目的

    画像解析は、以下のような目的で活用されています。

    画像から必要なデータを得る

    例えば、衛星画像から道路、森林、水域などの地物を自動認識し、これを地図情報としてデジタル化することができます。この技術は、Googleマップなどの地図サービスで活用されています。地図作成の工程を自動化することで、膨大な衛星画像データから、効率的で正確な地図情報を抽出できるのです。

    画像の内容を理解する

    文字画像からテキストを読み取ったり、画像に映っている人や物体を認識することで、画像の内容をコンピュータが理解できるようになります。

    例えば、スマートフォンのカメラアプリには、撮影した文字画像をOCR(光学文字認識)技術でテキストデータに変換する機能があります。これにより紙の書類をスキャンしなくても、カメラで文字を読み取りPCに入力できるのです。

    画像処理や編集を自動化する

    顔認証で自動補正したり、背景を自動切り抜くなど、画像処理を効率化できます。

    例えば、スマートフォンのカメラアプリでは、顔認証によって目の部分を自動補正したり、被写体を切り抜いて背景をぼかしたりする機能が搭載されています。こうした画像処理は手作業では時間がかかる為、画像解析を活用することで瞬時に処理ができます。

    画像から有用な情報を発見する

    医療画像から病気のサインを自動検出したり、画像検査で製品の欠陥を発見することができます。

    このように、画像解析はコンピュータビジョンと呼ばれる画像認識・理解技術の根幹を成す重要な技術といえます。

    ※コンピュータビジョン・・・コンピュータを使って画像や動画から有用な情報を取り出し、認識や理解を行う技術の総称です。画像処理やパターン認識、深層学習などの技術を活用し、コンピュータによる「視覚」の実現を目指しています。

    画像解析でできること

    画像解析を活用することで、以下のようなことが可能となります。

    物体検出

    画像から、特定の物体の位置や大きさを検出することができます。例えば、自動運転の障害物検知などに用いられています。

    顔認識

    画像や動画から人の顔を検出し、個人を識別することができます。セキュリティや画像整理などの用途があります。

    OCR(文字認識)

    文書画像や文字画像から、その文字情報を抽出することができます。

    画像分類

    画像に含まれる主要な被写体(人、動物、乗り物など)を判断する画像分類ができます。

    画像検索

    解析した特徴量をもとに、特定の画像を検索できるようになります。

    画像変換

    スタイル変換や解像度変更など、画像の編集処理を自動で行うことも可能です。

    このように画像解析は、コンピュータビジョンを支える中心となる技術です。業務効率化や新しいサービスの創出など、幅広い分野での応用が期待されています。

    画像解析が注目される理由

    画像解析が注目される理由は多岐にわたりますが、主な理由は以下の3つです。

    精度の向上

    AIによる画像解析は、人間の目では見逃しがちな細かいところまで検出することができます。
    医療画像診断などでは、AIによる画像解析の高い精度が診断の質を向上させることに貢献しています。

    新たな応用分野の開拓

    画像解析技術は、セキュリティ、農業、交通管理など、さまざまな分野で新しい利用方法が提案、実施されています。
    例えば、顔認識技術はセキュリティ分野での利用が進んでおり、ドローンを使った作物の健康状態の監視など、農業分野でも活用されています。

    ビッグデータとの組み合わせ

    画像解析はビッグデータと組み合わせることで、より複雑な問題解決に役立てられます。
    例えば、交通量や流れの分析を通じて、都市計画の最適化に活かすことが可能です。

    以上のようにAIを活用した画像解析は発展が著しく、多くの分野で注目が集まっています。

    画像解析の仕組み

    画像解析の仕組みは、主に以下の5つに分類されます。

    • 画像補正
    • 画像加工
    • 画像分類
    • 画像検出
    • 画像セグメンテーション

    それぞれ紹介します。

    画像補正

    画像解析を行う前に、画像データを解析しやすい状態に整える補正処理を行う必要があります。補正処理で主に行うのは、明るさとコントラストの調整、ノイズの除去、色補正の3つです。

    明るさとコントラストの調整では、画像の全体的な輝度や、最も明るい部分と最も暗い部分との差を調整します。

    続いて、ノイズの除去です。ノイズはカメラの設定やスペック、画像の保存形式によって発生します。画像のノイズを除去することで、より鮮明になります。

    最後に色補正です。色の色調を調整し、色の偏りを修正します。

    以上の処理は、画像が最終的にどのように見えるかに大きく影響します。画像補正は、画像解析の結果を改善し、より正確な結果を得るために重要な工程です。

    画像加工

    画像加工は、コンピューターが認識しやすいように画像の特定の部分を強調したり、不要な部分を削除したり、画像を変形させる工程です。画像加工で主に行うのは、フィルタリング、マスキング、クロッピング、回転とスケーリングの4つです。

    フィルタリングでは、画像の特定の部分を強調または抑制します。例えば、エッジ検出フィルタは、画像のエッジを強調し、物体の形状を明確にします。

    画像の特定の部分を選択的に隠すマスキングや画像の特定の部分を切り取るクロッピングを行うことで、画像の特定の部分を強調したり、不要な部分を削除します。

    最後に、回転とスケーリングです。画像の向きやサイズを変更します。

    ここまでが画像解析の準備の工程です。準備を正確に行うことで画像解析の精度が高まります。

    画像分類

    画像の補正と加工が後、画像を特定のカテゴリに分類します。

    画像を分類すために画像の特徴量を抽出します。画像内の色や形状、テクスチャなどの視覚的特性を評価し、数値データに変換します。

    例えば、顔の画像では、顔の向きや表情、目鼻の位置や色などの特徴量を抽出し、それぞれを数値化します。

    続いて、抽出された特徴を用いて、コンピューターに分類器を学習させます。分類器とは、入力された画像がどのカテゴリに属するかを判断するための指標です。

    顔の画像では、特徴量の数値をもとに男性と女性の基準を決め、入力された画像の特徴量が男性のものであれば男性へ、女性のものであれば女性に振り分けます。

    分類器をコンピューターに学習させることで、例に合ったように男性の顔の画像と女性の顔の画像に振り分けることが可能です。

    画像検出

    画像検出の工程では、画像内の特定の物体を識別し、位置を特定するための検出器を作成します。

    検出器は、前工程で抽出された特徴量をもとに作成されます。人物の画像であれば、顔を検出するための特徴量を定義し、学習させることで画像の中から顔を識別することが可能になります。

    手順としては、画像分類の分類器を学習させる手順と同様です。

    画像セグメンテーション

    画像セグメンテーションとは、画像を複数の領域に分割し、それぞれの領域がどのクラスに該当するのかを予測する技術です。

    画像セグメンテーションでは、画像内のピクセルの特性にもとづいて行います。たとえば、ピクセル値が突然不連続になる部分を探すことで領域を検出します。

    この画像セグメンテーションは、画像分類や画像検出よりも正確で詳細な検出が必要な場合に用いられます。例えば、画像から病名を診断する場合や建築物の0.1mm前後の異常を検出する場合などが挙げられます。

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      画像解析のメリット

      画像解析は、医療や建築現場など様々な業界で利用されています。

      画像解析を取り入れるメリットは多岐にわたりますが、ここでは以下の4点について紹介します。

      • 労働環境の改善につながる
      • 業務の自動化によるコストの削減
      • 検査の精度の向上により不良率が低下
      • データの蓄積と活用

      労働環境の改善につながる

      画像解析は、労働環境の改善に大きく影響を及ぼします。

      まず、画像解析を活用することで、危険箇所での労災を未然に防ぐことが可能です。例えば、工場内の機械の異常を早期に検出し、作業者の安全を確保できます。

      また、長時間労働や過酷な作業環境を改善するために、画像解析を活用できます。例えば、レントゲンなどの画像診断で画像解析を取り入れることで、作業者の負担を軽減し、生産性を向上させることができます。

      そして、画像解析を使って、作業者の体調や姿勢をモニタリングすることで、適切な休憩やストレッチのタイミングを提案することが可能です。これにより、労働者の健康をサポートします。

      業務の自動化によるコストの削減

      画像解析を活用することで、業務の自動化が可能となり、コストの削減につながります。

      まず、画像解析を活用することで、人件費を削減することが可能です。例えば、製品の検査作業を画像解析で自動化することで、人手による作業を減らすことができ、人件費の削減を実現します。

      さらにコンピューターは人よりも早く画像解析の処理を行うことができます。大量のデータを迅速に処理することにより、作業時間の短縮が可能です。

      また、人為的なミスを減らすことができます。人の手で作業をするとどうしてもミスが発生します。画像解析に置き換え、作業の高い精度を実現することで、ミスの発生を抑制することが可能です。

      検査の精度の向上により不良率が低下

      画像解析は、製品の検査精度を向上させ、不良率を低下させる効果があります。

      画像解析を使って、微細な欠陥や不良を高い精度で検出できます。そのため、不良品の流通を防ぎ、品質を向上させます。

      また、製造ラインでリアルタイムで画像解析をすることにより、不良品の早期発見が可能です。早い段階で不良品を除くことで、不良品の数を減らし、生産効率を向上させます。

      データの蓄積と活用

      画像解析によって蓄積されたデータは、ビジネスにおいて有用な情報源となります。

      例えば、商品の画像データを収集し、顧客の好みや購買履歴を分析することで、ターゲット市場を理解できます。ターゲット市場がわかれば、新商品の開発やマーケティング戦略の改善に役立てることができます。

      また、競合他社の商品や広告キャンペーンの画像を分析することで、市場トレンド把握することが可能です。そうすることで、より適切に自社の戦略を立てることができます。

      画像解析によるデータの蓄積と活用は、ビジネスの競争力を高めるために重要です。

      AI導入に関することはJiteraにご相談ください!

      画像解析のデメリット

      画像解析には、生産性の向上やビジネスの競争力の向上など多くのメリットがあります。

      その一方で、画像解析にはデメリットも存在します。ここでは、以下の2点について紹介します。

      • 導入に費用が発生
      • 自社に合った画像解析アプリやソフトウェアが少ない

      導入に費用が発生

      画像解析ツールを導入する際には、画像を撮影するカメラや画像を解析するコンピューターや解析ソフトなどの機材が必要です。また、専門的な知識や技術が必要であり、学習に伴うコストがかかります。

      そのため、画像解析の導入費用が高額になることがあります。

      画像解析の導入にかかるコストと画像解析によって削減されるコストを比較、検討することが必要です。

      自社に合った画像解析アプリやソフトウェアが少ない

      画像解析のツールやアプリは多種多様に存在しますが、自社のニーズに合ったものを見つけることは簡単ではありません。

      特定の業界や用途に特化したツールが少ない場合、選択肢が限られることがあります。

      そのため、導入前に慎重に選定する必要があります

      AIを使った画像解析

      最近では、AIを使った画像解析が主流となっています。AIは画像から特徴を自動的に学習することができるため、高精度な画像解析が可能です。

      深層学習

      画像解析の分野でAIを活用する場合、深層学習と呼ばれる技術が用いられます。これは人の脳の仕組みを参考にしたニューラルネットワークを活用し、画像から特徴を抽出する仕組みです。膨大な学習データをもとに特徴を自動で学んでいきます。

      具体的には、複数のニューロンの層からなる深層ニューラルネットワークを作成し、大量の画像データを入力することでネットワーク内のつながりを最適化していきます。

      ネットワークは入力画像から段階的に特徴を抽出していき、最終出力層で目的の認識結果を得る構造になっています。単純なニューラルネットでは表現力が弱いですが、層を多段にすることで、画像の高度な特徴を、自動で学習できるのです。

      画像認識の分野では、深層学習の技術が精度を飛躍的に向上させました。特に畳み込みニューラルネットワーク (CNN) は、画像入力に適したネットワーク設計がなされており、高性能な画像解析を実現しています。

      ※畳み込みニューラルネットワーク (CNN)・・・画像認識に特化したニューラルネットワークの一種です。画像の局所的な特徴を自動抽出する「畳み込み層」と、画像全体から特徴を得る「プーリング層」を組み合わせることで、画像認識に最適な仕組みを実現しています。最近の画像認識分野ではCNNが主流となっており、高精度な認識が可能です。

       画像認識

      深層学習を使った画像認識では、動物の種類や人の表情など、目的にあった特徴量をAIが自動で学習します。大量の学習データを使うことで、精度が従来よりも格段に向上しています。

      例えば、画像認識の学習モデルに、犬と猫それぞれの画像を入力します。モデル内部の重みパラメータが調整され、犬画像なら「犬」、猫画像なら「猫」と判別できるように学習していきます。

      大量の犬猫画像を使えば使うほど、二者の視覚的特徴の違いを洗練された特徴量で表現できるようになり、判別精度が高まります。深層学習なら入力画像から自動で適切な特徴抽出を行うため、手作業で特徴設計する従来手法よりも、はるかに高性能な画像認識が実現できるのです。

      AI開発環境

      画像解析のAIは、TensorFlow、Keras、PyTorchなどのディープラーニングフレームワークを使って開発できます。大量の画像データを入力してモデルを訓練するには、GPUサーバーなどの高性能な環境が必要です。

      TensorFlowやPyTorchでは、学習用のニューラルネットワークをプログラム上で構築できます。Kerasはその上で、ネットワークを簡単に設計できる高水準なAPIを提供しています。

      一方で、大規模なネットワークを訓練するには膨大な計算力が必要なため、NVIDIAのGPUを多数搭載したサーバー環境が利用されます。GPUを全力で使って同時に計算することで、訓練にかかる時間を大幅に短縮できます。ディープラーニングの時代には、プログラミングできる開発者と並んで、大規模なGPUリソースを活用できる環境が重要になっています。

      AI画像解析の活用シーン

      AI画像解析は様々な場面で活用されています。

      ここでは、AI画像解析の活用シーンとして以下の2つを紹介します。

      • 航空写真を解析
      • 人間の姿勢を正確に推定

      航空写真を解析

      AI画像解析を用いて、航空写真から家屋など土地の利用状況を把握することができます。

      例えば、群馬県前橋市では航空写真から家屋を特定し、固定資産税業務の効率化が試みられています(参考:航空写真AI解析による課税客体把握の省力化や課税公平性に向けた取組 【群馬県前橋市】)。

      まだ実証実験の段階ですが、固定資産税業務にAI画像解析を取り入れることができれば、これまで職員の現地調査で行われていた業務をAIに置き換えることができます。

      人間の姿勢を正確に推定

      AI画像解析によって、人間の姿勢を正確に推定することが可能になりました。

      ヘルスケアの分野では、患者の歩行パターンを解析してリハビリテーションの進行具合を評価したり、正しい運動やストレッチのフォームのコーチングに利用されています。

      また、製造業などでは、作業者の姿勢や動きを解析し、無駄な動きを削減し、効率的な動きへの改善に利用されています。

      おすすめの画像解析のツール

      画像解析を行う上で、様々なツールを活用することができます。代表的なツールとその特徴を紹介します。

      OpenCV

      (引用:OpenCV)

      OpenCVは、画像処理・解析のためのライブラリやSDKとして無料で利用できます。C++言語で記述されており、実行速度が速い特徴があります。顔認識などの様々なアプリケーションを手軽に開発できます。

      OpenCVには、画像フィルタリング、形状解析、画像変換などの機能が多数搭載されています。C++で記述されているため実行速度が非常に速く、リアルタイムの画像認識などを実現できます。また、PythonやJavaなどのインターフェースも備えているので、C++に馴染みがない開発者でもOpenCVを活用できます。代表的な用途としては、顔認識、物体検出、ARアプリ、画像分類などが挙げられます。無料で利用でき、ドキュメントも充実していることから、画像認識関連のアプリケーション開発に広く使われているツールです。

      ※SDK・・・ソフトウェア開発キット(Software Development Kit)の略称で、特定のソフトウェアの機能を利用してアプリケーション開発を行うためのツールセットのことです。

      MATLAB

      (引用:MATLAB)

      MATLABは、画像処理やパターン認識、ディープラーニングに強力な機能を備えた数値計算ソフトです。豊富な画像処理用の関数が用意されており、自動運転や医用画像処理に利用されています。

      MATLABには画像解析からディープラーニングまで、画像認識に関する非常に多くの機能が搭載されています。エッジ抽出、形状検出、画像変形といった基本的な画像処理から、物体認識、セグメンテーション、GANを用いた画像生成などの高度な処理までが備わっています。

      直感的なGUIベースの操作が可能で、簡単に複雑な画像処理を実行できるのが特徴です。自動運転システムや医用画像診断などの実応用にも広く使われており、研究・開発から製品化までを一貫して支援できる汎用性の高いツールといえます。

      ImageJ

      (引用:ImageJ)

      ImageJは、Java言語で記述された画像処理・解析用のフリーソフトウェアです。インターフェースがシンプルで、画像フィルタリングや形態計測など簡単な画像解析が手軽にできます。

      ImageJは操作方法が直感的で初心者でも扱いやすいのが特徴です。

      画像の切り抜き、回転、フィルタリング、形態計測など基本的な処理がGUIベースで簡単に行えます。

      生物学実験の画像解析に広く利用されており、顕微鏡画像から細胞の計測やパターン認識を行うことができます。また、プラグインの利用で機能を簡単に拡張でき、画像スティッチングや3D画像処理などの応用も可能です。

      開発者向けの高度な機能は少ないものの、基礎的な画像処理を手軽に行いたいユーザにとって有用なツールといえます。

      ※画像スティッチング・・・複数の画像をつなぎ合わせて、より大きな画像を作成する処理のことです。部分的に重複する画像を入力して、画像間の類似度を照合して位置を特定し、つなぎ目をなめらかにつなげて1枚のパノラマ画像を合成します。

      携帯電話のパノラマ機能や、衛星画像をつなぎ合わせて地図を作成するのに利用されています。

      AT-Image

      (引用:AT-Image)

      AT-Imageは、日本人開発者が作成したフリーの画像処理ツールです。Windows上で動作するシンプルなインターフェースが特徴で、画像処理の学習目的に適しています。

      基本的な画像入出力や変換、照明補正、フィルタリング、2値化といった画像処理がGUI操作で直感的に実行できます。

      フーリエ変換を使ったフィルタリングや、輪郭抽出、形状検出など、画像認識の基礎的な機能が揃っています。機械学習は利用できませんが、画像処理の原理を学ぶ入門練習に利用できる便利なツールといえます。画像処理や認識の基礎を学んでいく際の第一歩としてオススメの 1つです。

      RStudio

      (引用:RStudio)

      RStudioは、統計解析用言語Rを扱うフリーの開発環境です。画像処理関連の豊富なパッケージをインストールして、R言語で画像解析アプリケーションが開発できます。

      RStudioはR言語のスクリプトエディタ、コンソール、グラフ、ファイル管理などを1つのウィンドウで提供する統合開発環境です。Rには画像の前処理、セグメンテーション、特徴抽出、分類など、画像認識に関する多くのパッケージが用意されています。

      RStudioを使えば、これらのパッケージを簡単に利用して画像認識アプリケーションを開発できます。画像データの前処理から分析、モデリング、可視化までをR言語だけで実現可能です。機械学習統計モデルを使った画像分類もRの強みです。開発コストが低く、ある程度の画像認識機能を実装したい場合に有効な選択肢といえます。

      Vision API

      (引用:Vision API)

      Vision APIは、Google Cloud Platformが提供する画像認識のためのAPIサービスです。事前に学習された高精度なAIモデルを、簡単にアプリケーションから呼び出して利用できます。

      Vision APIには、画像分類、物体検出、OCR、顔認証などの機能があり、REST APIやRPC APIでアクセスできます。

      膨大な画像データで事前学習したモデルを使うため、高速かつ高精度な認識が可能です。アプリケーション開発者は学習済みモデルを直接利用できるため、短期間で画像認識機能を実装できるのが大きなメリットです。

      Vision APIを活用することで、開発期間を短縮しながら高性能な画像解析アプリケーションを効率的に構築できます。

      画像解析を使った無料アプリ・ソフト

      スマートフォンで手軽に利用できる、画像解析機能を搭載した無料アプリやソフトを紹介します。

      FaceApp

      (引用:FaceApp)

      FaceAppは、自撮りした顔写真を入力して、髪型変更や老化などの効果をリアルに適用できる人気アプリです。顔認証と画像生成AIを組み合わせることで、ユニークなエフェクトを実現しています。

      FaceAppはまず、入力した顔画像から顔の位置や輪郭、表情などの特徴量を抽出しています。

      次に、その特徴量を入力して、変換後の顔画像を生成するAIモデルが適用されます。このAIモデルは、膨大な顔画像データセットを学習することで、様々な視覚効果をリアルに表現できるように訓練されています。

      サーバ上でこの一連の処理が高速に実行され、ユーザーの端末に変換後の面白い顔画像が返信されます。プライバシー面への配慮も行われており、安全に楽しめるアプリとなっています。

      Google Lens

      (引用:Google Lens)

      Google Lensは、カメラで撮影したものをAIが認識して、関連情報を検索できる便利なアプリです。文字を読み取ったり、植物や動物を特定したりと、多彩な画像解析機能が搭載されています。

      Google Lensはまず、カメラ入力の映像から物体検出などの画像認識を行い、映っているものを特定します。次に、特定した対象に関連するウェブ検索クエリを自動で生成し、関連情報を表示します。

      例えば、画像の文字をOCRでテキスト化し、そのテキストを入力してウェブ検索を行った結果を表示したり、撮影した植物の画像を認識し、解説記事を表示したりします。

      この一連のプロセスが端末上で高速に実行されるため、リアルタイムの画像解析と情報検索を手軽に楽しめるアプリとなっています。

      Picsart

      (引用:Picsart

      Picsartは、自由な画像編集が楽しめるアプリで、顔認識を使った自動補正機能も備えています。1タップで写真の色調補正や輪郭補正を行うことができ、誰でも簡単に写真を修正できます。

      Picsartではまず、入力画像から顔検出を行い、位置やサイズ、向きを特定します。次に、補正対象の顔画像を切り出して、色調均一化や階調補正、小じわ補正といった画像処理を施します。

      これらの補正処理は顔のパーツの位置関係を考慮して最適化されるため、自然な仕上がりになります。処理された顔画像を元の画像に合成することで、1タップの簡単操作で高品質な自動補正が実現しています。写真修整に慣れていなくても、誰でも簡単に自分の写真をきれいに編集できるのが特徴です。

      Remini

      (引用:Remini)

      Reminiは、古い低解像度の写真を高画質化できるアプリです。人工知能が画像の細部を解析し、鮮明な画像に変換することができます。思い出の写真を蘇らせるのに最適なアプリといえます。

      Reminiは入力画像からテクスチャ、エッジ、輪郭形状などの情報を抽出し、それらのパターンを学習データと照合していきます。学習データには高解像度の顔画像が多数含まれており、低解像度の入力画像のパターンを高解像度のものに変換することができます。

      例えば、ぼやけた部分はエッジを明瞭化し、ノイズはなめらかなトーンへ置換することで、鮮明でリアルな画像に生まれ変わります。過去の思い出の写真も、まるで最近撮影したかのようなクオリティに蘇えらせることができるため、アルバムを整理するのに最適なアプリといえます。

      画像解析の活用事例

      画像解析は製造業や医療、観光業など、様々な業界で活用されています。主な活用事例を紹介します。

      製造業

      製造業では、製品の表面検査で画像解析が利用されています。カメラで製品の画像を撮影し、AIが表面の傷や汚れを検出することで、欠陥品を自動選別できます。人の目視作業に比べて大幅に効率化できます。

      例えば、自動車のボディー検査では、ボディー表面を高解像度カメラで撮影し、AIが微細な傷や塗料の剥がれを検出します。

      機械学習で欠陥パターンを学習しているため、人の目には見えにくい欠陥でも高精度に判断できます。検査工程が自動化されることで、コストと時間を大幅に削減できます。電子部品や食品など、さまざまな製造現でこのような画像検査の導入が進んでいます。

      医療

      医療分野では、X線やMRIの画像診断で画像解析が活用されています。医師が見落としがちな異常パターンも、AIが画像から検出可能です。病気の前兆の早期発見に役立っています。

      例えば、がんの検査では、AIがX線やCTの画像からがんの病変部位を提示します。医師はその支援情報も参考にして、診断の見落としリスクを低減できます。また、糖尿病の目の画像を撮影し、AIが網膜症の兆候を検出するシステムも実用化されています。

      医師不足の課題解決にも貢献している画像解析は、今後も医療分野で重要性を増していくと言えます。

      交通・運輸業

      交通・運輸業界では、ドライブレコーダーの映像解析が注目されています。映像から道路上の障害物や路面の異常を検知でき、事故予防に活用できます。

      トラックやタクシーなどのドライブレコーダー映像を、クラウド上でAI解析するサービスが登場しています。映像から車両、二輪車、歩行者を検知し、危険運転や障害物回避を判断して運転者に警告します。映像データを運輸会社が集積することで、事故多発地点の特定も可能になります。ドライブレコーダーとAIの組み合わせは、事故の未然防止と運転技能の向上に大いに貢献すると期待されています。

      観光業

      観光業では、街中の監視カメラ映像を解析し、人の流れを可視化したり混雑状況を判断したりすることができます。観光地の効率的運用に役立ています。

      具体的には、街の各所に設置した監視カメラの映像をクラウドに送信し、人物の流れをAIでトラッキングします。このように画像解析は、データに基づく合理的な観光地の運営を可能にし、旅行者の満足度向上につながっています。

      また、人口密度を画像処理することでリアルタイムの混雑度合いを判断でき、観光客の誘導等に活用できます。これにより、観光客の動線や混雑する場所、渋滞する場所を明らかにでき、観光地の改善点を発見できます。

      セキュリティ

      セキュリティ対策として、不審者の顔認証や車両ナンバー検知など、監視カメラと画像解析を組み合わせることができます。犯罪抑止に大きな効果があります。

      具体的には、カメラの映像から人物や車両を検知し、顔認識やナンバー自動読取りを行うことができます。事前に登録した規制対象者のリストと照合することで、警備対象施設への不審者侵入を事前検知できます。

      駐車場の監視カメラでナンバー認識を行い、車両の入出庫をログ管理するソリューションも実用化されています。AIによるリアルタイムの映像解析は、防犯効果が高く、人員削減も可能となります。セキュリティ業界において、監視カメラの高度化が急速に進んでいる要因です。

      画像解析のまとめ

      画像解析の仕組みやAIを使ったツール、活用事例を紹介しました。

      画像解析はAIなどの技術を使って、画像から必要な情報を取り出す処理です。製造、医療、交通など幅広い業界で活用されています。解析技術の向上により、ビッグデータから有用なパターンを発見したり、作業の自動化を実現したりできるようになっています。

      画像解析のメリットは、業務の自動化によってコストを削減できることや検査の精度を高めることで生産性を向上できることなどです。一方で、導入にコストがかかることや自社のニーズに適したツールを見つけるのが難しいことはデメリットとなるでしょう。

      株式会社Jiteraは、画像解析ツールの導入やAIを使ったシステムの開発、導入の支援を行っています。画像解析に関する質問や案件のご相談がある場合は、株式会社Jiteraへお問い合わせください。貴社のご要望に合わせたアドバイスを提供いたします。

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