昨今多くの人工知能やAIが普及し、プライベートでもビジネスでも、多くのシーンで利用されるようになってきました。
この記事では、Runway Gen-2 というクリエイター向けの動画生成AIをご紹介します。SNSでの発信に力を入れたいけれど、そのために撮影や編集を行うのが大変で、手を付けられていないビジネスオーナーの方や、興味本位で人工知能やAIに触れてみたい方も、ぜひ最後まで目を通してください。
Runway Gen-2とは
Runway Gen-2 とは、クリエイター向けにサービスを展開しているRunway社の最新プロダクトで、2023年8月にリリースされました。単なる動画の編集だけでなく、動画はもちろん、画像やテキストから新しい映像やイメージの生成が可能です。
いくつかの種類の違う情報から、他の種類のものを生成することができるため、マルチモーダルAIとも言われています。Runway Gen-1 から大きく進歩したと言われているRunway Gen-2ですが、まずは何が進化したのかを見ていきましょう。
Runway Gen-1との違い
利用機能 | Gen-1 | Gen-2 |
Text to Video | – | ◯ |
Image to Video | – | ◯ |
Video to Video | ◯ | ◯ |
Runway Gen-1 では、素材となる動画を基に、新たな動画を自動生成する機能がリリースされていました。それに対して、Runway Gen-2 では、動画だけでなく、画像を基にした動画生成、テキストを基にした動画生成、また画像にテキストで補足を加えた内容を基にした動画生成が可能となりました。
昨今、テキストから動画を生成できるAIがいくつか出てきており、Chat GPTでも、テキストを基にアートを生成するAIも出てきています。
Runway Gen-2は、その中でも精度の高い動画、クリエイターの意図に沿った動画を生成できるAIと言われていますので、その特徴を見ていければと思います。
Runway Gen-2の主な機能と使用例
それでは、Runway Gen-2で何ができるのか具体的に見ていきましょう。
Mode 01:Text to Video
テキストや文章を入力すると、テキストに基づいて、その内容に合った映像や動画が生成されます。320文字以内での入力制限があります。
サムネイルやアイキャッチに使いたい画像がなく、撮影しに行くのも手間がかかる、という場合もあるかと思います。そんな時にちょうど良い動画を生成し、簡易的に活用することもできます。
Mode 02: Text + Image to Video
テキストと、画像を追加して動画を生成する機能です。基となる画像にテキストでストーリー性を加えることができます。
ひとつの画像から、入力されるテキストの違いにより様々な動画が生成されるため、多くの可能性を秘めています。
Mode 03: Image to Video
テキストと画像から動画を生成します。画像に動きを持たせたい場合に活用できます。
SNS広告などで、静止画だけだと魅力に欠けるような場合に、動きのある画像を生成できます。
Mode 04: Stylization
任意の画像やテキストのスタイルをビデオの各フレームに転送します。
アニメーションにしたい動きが明確に決まっている場合におすすめです。アニメーションの動きの表現は動画で撮影して、アニメーションの基となる画像を素材として入れておくことで、意図した動きをするアニメーションを簡単に生成することができます。
Mode 05: Storyboard
モックアップをスタイリングされた画像やアニメーション画像に変換できます。
ジオラマの撮影から、よりリアルな街の風景映像を生成するなど、実際に足を運ばなくても動画の生成ができるようになります。
Mode 06: Mask
画像にテキストで補足を入れることで、対象となる被写体の一部、例えば肌や布の色、模様などを変えることができます。
サンプル画像の通り、ゴールデンレトリーバーに「黒い点をつける」とプロンプトにテキストを入力すると、ダルメシアン柄のようにすることが可能です。
Mode 07: Render
入力画像やプロンプトを適用することで、テクスチャなしのレンダリングをリアルな出力に変換します。
なお、「Extend 4s(4秒追加)」ボタンを4回押すことで、合計16秒の動画を作成できます。画像をアップロードしたり、プロンプトを入力したりしたのちに、生成ボタンをクリックするだけで、ダイナミックなビデオが出来上がります。
Mode 08: Customization
より高度な制作技術として、動作を伝えるモックアップと、AIに学習させるいくつかの画像を組み合わせて、動きを指定したアニメーションを生成することができます。
この機能はより精度の高いアニメーションを求める方にとって、Runway Gen-2を利用する最大のメリットとも言えるでしょう。
(参照元: Runway 公式サイト)
Runway Gen-2の使い方ガイド
ここまでで、どのようなことが出来るものなのか、概要をご理解頂けたかと思います。続いて、さっそく実際に利用する際のイメージについても紹介したいと思います。
ここでは、Runway Gen-2のインターフェースと、動画制作の流れについて解説していきます。ライトにお試しされるだけであれば、無料でも十分お試しできます。Googleアカウントでログイン可能なので、すぐに使えるようになります。
Runway Gen-2のインターフェースと操作
ユーザーインターフェースの概観と、基本的な動画編集操作方法について説明します。
まずはRunway Gen-2にアクセスしてみましょう。
「Try Gen2 in Runway」をクリック。Welcome to Runway のページにて、会員登録を行うか、Googleアカウントでログインします。
「Try Gen-2」から、動画制作画面に入ります。無料会員でも、100秒ほどの動画を生成できるだけの無料クレジットが受け取れます。
この画面で、画像をアップロードしたり、下部のプロンプトにテキストを入力し、「Generate 4s」をクリックします。
動画制作の流れとコツ
ここでは、動画を作成するための一連の流れと、効率的に制作するためのコツを紹介します。
どのような動画やアニメーションを求めているかによりますが、例えば、ビジネスの広告として利用したい場合、文字だけの説明だとSNS広告では魅力が薄いかも知れません。しかしながら、あらためて画像素材の撮影をしたり、動画を撮ったり、それを編集したりといったことはとても手間になるでしょう。
そんな時にこのRunway Gen-2を利用すれば、テキストの入力だけで、動画を生成することができます。イメージだけを伝えたい、もしくは単なるアイキャッチとして使いたい、という場合にはとても使い勝手が良くなるでしょう。
より精度の高い動画を生成したい場合には、人間が実際に動作している動画や、イメージとして使いたい実物の画像、アニメーションを用意しておきましょう。そうすれば、イメージから外れることなく、生成したい動画の期待に応えられるものが生成されます。
Runway Gen-2の料金体系と商用利用
料金プランの詳細と選び方
無料でも利用ができますが、有料プランとの違いも見ていきましょう。クレジットと生成できる動画の秒数との関係としては、無料会員でも4秒の動画を25回生成できるクレジットが与えられています。
ただ、商用利用を考えられている方は、利用する動画の秒数や本数に応じて有料版のサービスを利用したほうが良いでしょう。
プラン | 費用 | 提供サービス |
Free | 無料 |
|
Standard | $12/月 |
|
Pro | $28/月 |
|
Ultimate | $76/月 |
|
Enterprise | Ask | Ask |
商用利用のガイドラインと注意点
商用目的でRunway Gen-2を使用する際には、著作権等のガイドラインにも注意しておきたいですよね。Runwayの公式ページによると、下記の通り商用利用が可能で、生成された作品の著作権は作成者に帰属するということです。
As a user on any of our plans (Free, Standard, Pro, or Unlimited) you retain complete commercial rights to all content generated or edited using Runway. You’re 100% free to use any content you create using Runway both commercially or non-commercially, and all copyright for your creations and generations is held by you.
つまり、著作権については気にせず商用利用でお使いください、ということになりますね。利用するデータ量や生成する動画の秒数や本数により、プランの選定が必要になります。
多くの動画を生成する必要がある場合は有料版をオススメしますが、まずは無料版でお試し頂いて、操作性や機能を見て頂くのが良いかと思います。
(参照元: 公式サイト )
スマホでのRunway Gen-2活用法
さらに、Runway Gen-2 の利点はスマホでも簡単に利用できる点です。
容量の大きな素材を扱うときは、それ相応の筐体があった方が良いでしょう。しかし、スマホに保存されているの画像や動画を基にする場合や、テキストからの自動生成を試したい場合には、スマホだけでも十分です。
スマホでの操作の利便性
ここでは、スマートフォンでRunway Gen-2を操作する際の利便性と、モバイルデバイスに最適化された機能を紹介します。
Runway Gen-2 の中でも、スマホで扱いやすいのは「Mode1〜3」で紹介した
「Text to Video」、「Text + Image to Video」、「Image to Video」です。
「Text to Video」はテキストのみで動画を自動生成できるため、スマホでも十分利用できる機能です。
「Text + Image to Video」、「Image to Video」においては、基となる画像をスマホのデータからアップロードする必要があるため、あまり大きすぎる容量のデータは扱えないかも知れませんが、許容されるデータ量であれば、操作自体は上記の流れの通り、簡単に行うことができます。
スマホでの動画制作のポイント
スマホならではの良い点はやはり手軽さや、移動中にも利用できる利便性にあるでしょう。もちろん、Wi-Fi環境がなくても、データ量によっては十分に動画の生成が可能です。
また、一度にいくつかの動画生成の処理を開始した場合は、マルチスレッドに対応しているため、並列で処理が行われるようになっています。(東京都内の電車内で、Wi-Fiを使わずに4秒の動画生成をする際にかかった時間は2,3分ほどでした。)
しかしながら、ネットワークの遅い環境では4秒の動画を生成するために5分以上の時間がかかってしまうこともあります。そのため、生成する動画の長さや、基となる画像や動画のデータ量によっては、PCで操作をした方が良い場合もあるでしょう。
スマホを利用するのは、あくまで手軽に試したい、もしくは簡易的に映像やアニメーションの生成をしたい、という場合の手段として考えて頂く方が良いかなと思います。
まとめ:Runway Gen-2で高品質な動画制作
ここまで Runway Gen-2 のご紹介をして来ましたが、いかがだったでしょうか。世の中には自動生成AIがいくつも開発されていますが、筆者も今回Runway Gen-2を使ってみて、その中でも Runway Gen-2 は利用開始までのハードルが最も低いと感じました。
Runway Gen-2は、プライベートでも勿論活用できますが、ベンチャー企業や中小企業の代表者、情報システム部担当者にとって、手軽で高品質な動画制作を実現するための強力なツールであるとも言えます。
本格的にビジネス利用する場合には、扱うデータ量や、生成する動画も数多くなると思いますので、有料版の検討も必要になってくるかと思います。ただ、テキストだけでなく、静止画だけでなく、SNSマーケティングにおいて、動的な画像を簡単に生成できるという点は、広告主の方々にとっては魅力的なポイントではないでしょうか。
今後の進化も楽しみです。また、人工知能やAIの開発、導入のサポートに関する問い合わせや相談はJiteraが承ります。AIに関することなら何でも、お気軽にご相談ください。