GDPR(EU一般データ保護規則)とは?日本企業に与える影響をわかりやすく解説

欧州連合(EU)で施行された一般データ保護規則(GDPR)は、日本企業に多かれ少なかれ影響を及ぼします。

一方で、どんな影響があるのか、どのように対応すればよいのかなど詳しいことはわからないという方も多いでしょう。

本記事では、一般データ保護規則(GDPR)が日本企業に与える影響や対応するべきケースなどを詳しく紹介します。

記事を読むと、一般データ保護規則(GDPR)への対応しつつ、ビジネスを行う方法がわかるので、ぜひご覧ください。

Nao Yanagisawa
監修者 Jitera代表取締役 柳澤 直

2014年 大学在学中にソフトウェア開発企業を設立

2016年 新卒でリクルートに入社 SUUMOの開発担当

2017年 開発会社Jiteraを設立
開発AIエージェント「JITERA」を開発

2024年 「Forbes 30 Under 30 Asia 2024」に選出

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執筆者 kannba

大学院を修了後、金融系SIerでSEとして従事。現在も外資系ITサービス企業で金融部門のSEとして勤務しています。ITの知見を活かしてWebライターとしても活動中です。

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    GDPRとは?

    一般データ保護規則(GDPR)は、個人情報の保護とプライバシーの権利を守るために欧州連合(EU)で施行された法令です。

    GDPRは、データの安全性を高め、個人の自由と基本的権利を保障することを目的としています。

    この規制は、個人データの処理に関する透明性を要求し、データ主体の同意なしに個人データを処理することを厳しく制限しています。また、データ漏洩が発生した場合の迅速な報告や、データ主体の権利を強化する多くの規定を含んでいます。

    ここでは、GDPR施行の背景と日本企業への影響について紹介します。

    GDPR施行の背景

    情報技術の進展により、個人データの国際的な流通が増加し、それに伴いプライバシー侵害のリスクも高まっています。このような背景の中、個人の権利と自由を保護するために、EUはGDPRを2016年に制定し、2018年に施行しました。

    GDPRは、個人データの安全な処理を確保し、データ主体の権利を強化することを目的としています。データ主体とは、個人データが関連する当該個人を指します。

    特に、データ主体の同意なしに個人データを収集・利用することを厳しく制限し、データ漏洩が発生した場合には迅速な報告を義務付けています。

    また、データ主体は自らのデータに関する透明性とコントロールを持つことができ、不適切なデータ処理に対しては異議を唱える権利も保証されています。

    GDPRの施行は、グローバルなデータ保護の基準を新たに定め、世界中の企業に影響を与える重要な転換点となりました。

    日本企業にどのような影響があるか?

    GDPRの施行は、日本企業にとって無視できない影響をもたらしています。

    特に、欧州経済領域(EEA)内でビジネスを展開する企業、またはEEAの市民にサービスを提供する企業は、GDPRの規定に従う必要があります。GDPRには、個人データの収集、利用、保存方法の見直しや、データ主体の権利を尊重するための体制整備が含まれます。

    また、データ漏洩が発生した場合の報告義務や、データ主体の同意を得るための手続きも厳格化されています。

    これらの規定に違反した場合、企業は売上の最大4%または2000万ユーロの罰金を科される可能性があるため、適切な対応が求められます。さらに、日本企業は、EEA外でのデータ処理においても、適切なデータ保護措置を講じることが期待されており、グローバルなデータ保護基準に準拠することが重要です。

    GDPRへの対応は、企業の信頼性と競争力を高めるためにも不可欠な取り組みとなっています。

    GDPRで日本企業が対応するべきケース

    EEAにおけるビジネス活動は、GDPRの厳格な規制の下で行われます。日本企業も例外ではなく、特定の条件下でGDPRの適用を受けることになります。

    ここでは、GDPRで日本企業が対応するべき以下の4つのケースについて紹介します。

    • EEA域内に子会社や支店がある場合
    • EEA域内のユーザーに商品やサービスを提供している場合
    • EEA域内のユーザー行動を把握・分析する場合
    • EEA域内から個人データの処理について委託を受けている場合

    EEA域内に子会社や支店がある場合

    EEA域内に子会社や支店を設置している日本企業は、GDPRの規定に従う必要があります。なぜなら、EEA域内での活動がEUのデータ保護法の適用範囲内にあるからです。

    企業は、個人データの収集から処理、保存に至るまでの全ての段階でGDPRの基準を遵守し、データ主体の権利を尊重する体制を整えることが求められます。

    また、データ漏洩が発生した場合には、速やかに関連する監督機関への報告と、影響を受けるデータ主体への通知が義務付けられています。

    EEA域内のユーザーに商品やサービスを提供している場合

    EEA域内のユーザーに対して商品やサービスを提供する日本企業は、GDPRの規定に基づいた適切なデータ保護措置を講じる必要があります。

    データ保護措置には顧客の同意を得るプロセスの確立、個人データの安全な転送と保存、そしてデータ主体の権利を尊重するための透明な情報提供が含まれます。

    また、マーケティング活動や顧客サービスの提供に際しても、個人データの利用に関する厳格なガイドラインに従うことが求められます。

    EEA域内のユーザー行動を把握・分析する場合

    EEA域内のユーザーの行動を把握し、分析することは、日本企業にとってGDPRの規定に特に注意を払うべき点です。

    Webサイトのトラフィック分析や、顧客の購買行動の研究など、ユーザーのデータを基にした活動は、GDPRにおいて個人データの『処理』と見なされます

    そのため、これらの情報を収集する際には、ユーザーから明確な同意を得る必要があり、収集したデータの安全な管理と適切な利用が求められます。

    データ保護に関するポリシーを明確にし、ユーザーに対して透明性を持たせることが不可欠です。

    EEA域内から個人データの処理について委託を受けている場合

    日本企業がEEA域内の企業から個人データの処理を委託された場合、GDPRの規定に従う必要があります。

    これには、データの安全な転送、処理、保存方法の確立が含まれ、データ処理契約においてGDPR準拠の条項を含めることが求められます。

    また、データ処理の透明性を保ち、データ主体の権利を尊重するための措置を講じることが不可欠です。委託を受ける企業は、データ漏洩が発生した場合には、速やかに報告する義務があります。

    このような対応は、データ保護の国際的な基準に沿ったビジネス運営を実現するために重要です。

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      GDPRで対象となる個人データは?

      GDPRは、個人を特定できるあらゆる情報を個人データと定義しています。

      GDPRで具体的に定められているのは、以下の3点です。

      • 個人データ
      • 処理
      • 移転

      それぞれ紹介します。

      個人データ

      GDPRにおける『個人データ』とは、個人を特定できるあらゆる情報を指します。

      個人データには、氏名や住所、連絡先情報などが含まれ、オンライン識別子や位置データも対象となります。

      企業はこれらの情報を収集する際に、データ主体の明確な同意を必要とし、利用目的を明確にすることが必要です。個人データの安全な管理は、企業の責任であり、適切なセキュリティ対策を講じることが義務付けられています。

      GDPRは、個人データの不正な利用や漏洩を防ぐための厳格な規制を設けており、企業に対して高い水準のデータ保護を求めています。

      処理

      GDPRでは、『処理』とは、個人データに対して行われるあらゆる操作を指します。『処理』には、データの収集、記録、保管、変更、消去などが含まれます。

      企業はこれらの処理活動を行う際に、データ主体の権利を尊重し、GDPRの基準に従った適切なセキュリティ対策を講じることが必要です。

      また、データ主体は自分のデータに関する情報へのアクセス権や、不正確なデータの訂正、処理の制限、データの消去などの権利を有しています。

      これらの権利を保証することで、個人データの適切な処理が実現されます。

      移転

      GDPRの下での『移転』とは、個人データがEEA外へと送られることです。このような移転は、データ保護の水準がGDPRと同等であることを保証するために、厳格な規制の下で行われます。

      企業は、適切なデータ保護措置を講じることが求められます。これには適切な法的枠組みの確立や、データ主体の権利を保護するための契約条項の導入が含まれます。

      また、データ移転に関する透明性を確保し、データ主体が自らのデータに関する情報へのアクセス権を行使できるようにすることが重要です。

      これにより、国際的なデータ流通がGDPRの基準に沿って行われることを保証します。

      GDPRに違反するとどうなる?

      GDPRに違反した場合、企業は厳しい罰則を受ける可能性があります。

      違反の重大性や、データ主体に与えた影響、違反が故意か過失かなどに応じて、罰金は売上の最大4%または2000万ユーロに達することがあります。

      さらに、データ保護監督機関による監査や、データ処理活動の一時停止命令が下されることもあります。これに加えて、企業の評判に悪影響を及ぼし、顧客の信頼を失うことにもつながりかねません。

      GDPR違反は、法的な制裁だけでなく、ビジネスの持続可能性にも影響を与えるため、適切なデータ保護対策の実施が不可欠です。

      企業は、データ保護方針の策定と従業員への教育データ処理の透明性の確保、そしてデータ主体の権利を尊重する体制を整えることが求められます。これらの措置は、GDPRに準拠し、データ主体の権利を保護するために重要です。

      また、データ漏洩が発生した場合には、迅速な対応と適切な報告が必要とされます。企業は、GDPRの規定に従い、個人データの安全を確保するための責任を負っています。

      GDPRに日本企業はどのように対応するべきか?

      日本企業がGDPRに対応するためには、まず第一にGDPRの要件を理解し、それに基づいたデータ保護方針を策定することが重要です。個人データの収集、利用、保存のプロセスを見直し、データ主体の権利を尊重するための手続きを整えることが必要です。

      また、データ保護責任者(DPO)を任命し、従業員に対するGDPRに関する教育を徹底することも求められます。さらに、データ漏洩が発生した場合の迅速な報告体制を確立し、データ主体への通知と監督機関への報告を行うことが不可欠です。

      企業は、データ処理活動における透明性を高め、データ主体が自らのデータに関するアクセス権や訂正権、削除権を行使できるようにする必要があります。

      これらの対応は、GDPRに準拠するだけでなく、顧客の信頼を獲得し、企業の国際的な評判を高めるためにも重要です。GDPRへの適切な対応は、ビジネスの持続可能性と成長に寄与するとともに、データ保護のグローバルスタンダードを確立するための基盤となります。

      日本企業は、これらの措置を通じて、データ主体の権利を保護し、データの安全を確保する責任を果たすことが求められています。

      まとめ:GDPRは日本企業にとって無視できない

      GDPRの内容や日本企業の対応などについて紹介しました。

      GDPRは、EEA域内に支店や子会社がない場合でも適用される場合があります。EEA域内のユーザー行動を把握、分析する場合にも適用されるので、調査時には注意が必要です。

      また、GDPRに違反すると経済的な影響だけでなく、企業のイメージダウンなどの影響を受ける可能性があります。そのため、個人データの取り扱いには慎重になる必要があります。

      株式会社Jiteraでは、要件定義を書くだけでAIがアプリ・システムを開発できるプラットフォームを活用してシステム開発を行っています。

      個人データの適切な対処をしつつ、サービスを展開するノウハウを持っていますので、EEA域内でサービスを展開することを検討している場合、株式会社Jiteraにお気軽にお問い合わせください。

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