所有するITリソースを適切に管理することは、企業にとって重要な課題です。
近年のITリソースは多岐に渡っています。
パソコンやサーバー、ネットワーク機器といった物理的な資産に加えて、クラウドサービス、レンタルサーバー、サービスの年間ライセンスやセキュリティソフトまで、デジタルな資産が数を増してきました。
これらの資産はまとめて「インベントリ」とよばれ、その「インベントリ管理」は時代とともに煩雑なものになっています。
本記事では、インベントリ管理の基本的な知識から、おすすめのツール、導入時の選び方、IT資産運用におけるポイントまで、分かりやすく解説していきます。
効率的なリソース運用に役立つヒントが満載ですので、ぜひご一読ください。
2014年 大学在学中にソフトウェア開発企業を設立
2016年 新卒でリクルートに入社 SUUMOの開発担当
2017年 開発会社Jiteraを設立
開発AIエージェント「JITERA」を開発
2024年 「Forbes 30 Under 30 Asia 2024」に選出
インベントリの基礎知識
「インベントリ」という言葉は、もともと商品の在庫管理などで使われる用語です。
例えば、小売業では店頭に並んでいる商品の在庫数をインベントリと呼びます。
製造業でも同様に、部品や原材料の在庫管理でもこの言葉が用いられています。
ITテクノロジー業界においては、企業が保有するIT資産を効率よく一元管理することを「インベントリ管理」と呼びます。
本記事でご説明するインベントリ管理は、このIT業界での意味合いで取り扱います。
インベントリとは
まず、IT業界において「インベントリ」は企業が所有する IT 資産の一覧のことを指します。
それらのインベントリを一元管理することが「インベントリ管理」です。
具体的には、ハードウェア(、サーバー、ネットワーク機器など)、ソフトウェア(OS、アプリケーションなど)、クラウドサービス、ライセンス情報などがインベントリに含まれます。近年では、IoTデバイスやモバイル端末などのエッジデバイスも含まれるケースが増えています。
インベントリ管理とは、こういった企業のITリソースをどれくらい所有しているか、そのうちどれくらいが稼働しているか、といった情報を一元的に把握することで、効率的な運用を行っていくことを目的としています。
インベントリデータの重要性
インベントリデータは、企業のIT資産管理において非常に重要な役割を担っています。
正確なインベントリデータがあることで、以下のようなメリットがあります。
- リソースの可視化による適切な運用
- ライセンス管理を通じた無駄なコスト削減
- IT資産の最適配置による業務効率向上
- セキュリティリスクの的確な管理
一方で、インベントリ情報に欠落があれば、無駄な支出や法令違反リスクが高まってしまいます。
特に利用サービスのライセンス消失、各社員に配布したノートパソコンのセキュリティ状態の保持といった課題は、企業の規模が大きくなるほど困難になっていきます。
IT管理担当はインベントリ管理の手法にどういったものがあるのかしっかりと把握しておき、企業内での方針を固めておくことが重要です。
インベントリ管理の手法
インベントリ管理には、手動での管理と、ツールを活用したオートメーション化の2つの方法があります。
規模や要件に応じて適切な手法を選択することが重要ですが、個人事業主かつ1~3人ほどの小規模でない限り、ツール利用によるオートメーションを視野に入れておくのが安全でしょう。
手動によるインベントリ管理
主にエクセルやスプレッドシートなどを利用した手動によるインベントリ管理です。
小規模企業で比較的リソースが少ない場合に適しています。
ただし、情報の正確性を保つための作業負荷が大きく、人為的なミスが発生するリスクもあります。
また、インベントリデータの集約や分析にも大きく手間がかかるため、大規模な運用には適していません。手動管理の場合は、担当者間での情報の共有などにも気をつける必要があります。
例えば、1~2台のパソコンで完結しクラウドのレンタルサーバーを利用する、といったような業務形態であれば、各々のパソコンメンテナンスを行うだけで済みます。
管理権限を持つ従業員が2名以上になる場合は、本格的なオートメション管理を検討する必要があるでしょう。
オートメーションを利用したインベントリ管理
ツールを活用したインベントリの自動収集・管理は、中規模以上の企業で有効な手段です。
専用のインベントリ管理ツールを導入することで、ITリソースの自動検知と一元管理が可能になります。
適切なツールを選択することで、人的作業の大幅な軽減、情報の正確性の向上、運用コストの削減などが期待できます。
さらに、データの可視化やレポーティング機能により、リソース活用状況の分析や最適化にも役立ちます。
ただし、ごく個人など規模が小さい場合は単純な工程を増やすだけの業務になってしまう可能性があるため、やはり運用規模に応じて選択していく必要があります。
その管理方法でなければならない意味や必要性を熟考しましょう。
お気軽にご相談ください!
おすすめのインベントリ管理ツール
インベントリ管理ツールには様々な製品があります。
今回は中小企業向けのおすすめツールを3つご紹介します。
価格帯や機能面などそれぞれメリットがあります。自動化をサポートするためにもぜひ導入を検討してみてください。
Aladdin Office
Aladdin Officeは、静岡ネットソリューション株式会社が提供するインベントリ管理ツールです。
自動検知機能により手動作業の負荷を大幅に軽減でき、パソコンやサーバー、ソフトウェア、クラウドリソースなど様々なデバイスの一元管理が可能です。
セキュリティ対策の機能も充実しており、後述するオンプレミス資産(自社内で保有する物理的なIT資産)にも対応しています。
Aladdin Office | 項目 |
メリット |
|
デメリット |
|
MieLU
MieLUは、ミエルカーサポートサービス株式会社が提供するインベントリ管理クラウドサービスです。
簡単にインベントリの収集と一元管理が行え、自動化によるコスト削減とセキュリティリスク低減が期待できます。
中小企業向けに使いやすいインターフェースが特徴で、直感的な操作でインベントリーデータにアクセスしやすいのもポイントです。
MieLU | 項目 |
メリット |
|
デメリット |
|
ロジクラ
ロジクラは、アプレッソ株式会社が提供するインベントリ管理クラウドサービスです。
ネットワーク機器やサーバー、クラウドサービスなど様々なリソースを自動収集し一元管理できます。
インベントリ情報の可視化と分析機能が充実しており、コストや運用の最適化をサポートします。他社のツールやサービスと比べややハイコストな価格帯となっています。
ロジクラ | 項目 |
メリット |
|
デメリット |
|
インベントリ管理ツールの選び方
自社のニーズに合ったインベントリ管理ツールを選ぶことが重要です。
管理対象のリソース、必要な機能、価格帯、運用体制などを考慮し、慎重に検討しましょう。
オンプレミスについて
オンプレミス(on-premises)とは、ソフトウェアやシステムを、ベンダーやクラウド事業者のIT資産ではなく、自社や自組織の環境で導入・運用することを指します。
社内のパソコンや自社サーバー、サーバー内にインストールして稼働しているシステムや買い切りのライセンス製品、その他マウスやキーボードといった物理的なIT資産全般がオンプレミスにあたります。
オンプレミスな資産は、導入コスト、運用管理の手間、セキュリティ対策の範囲などがそれぞれ異なりますが、インベントリ管理においてはクラウドサービスと区別しつつも、同じインベントリとして一元的な管理を求められます。
例えば、AladdinOfficeはオンプレミスとクラウドの両対応があり、ユーザー企業の環境に合わせて選べるメリットがあります。
一方で、サーバーやネットワーク機器をレンタルしたり、システムをクラウドベースにしたりするなど、ほとんどを外部サービスに任せるといった運営方針である場合には、MieLUが選択候補として挙がってくるでしょう。
ツール選定のポイント
インベントリ管理ツールを選ぶ際のポイントは以下の通りです。
- 管理対象のリソース(パソコン、サーバー、ネットワーク機器、クラウドサービス、オンプレミス)
- 必要な機能(自動収集、ライセンス管理、レポート機能、セキュリティ対策)
- 運用体制(管理者数、ユーザー数、サポート体制など)
- 価格帯(初期費用、ランニングコスト)
- ベンダーの信頼性と実績
特に機能面の、インベントリの収集範囲、自動化の度合い、運用管理の容易さ、といった点を確認することが大切です。
前述したオンプレミス資産への対応しているかも外せないポイントです。ライセンス管理やセキュリティ対策の機能も重視すべきでしょう。
価格については初期導入の費用だけではなく、総合的な費用を指すTCO(Total Cost of Ownership)を見積もり、運用体制に適した製品を選ぶことをおすすめします。
インベントリ管理において見落としがちですが、導入後のサポート体制やバージョンアップ対応、ロードマップも掲載されているか、といったポイントもチェックしておきましょう。
プランによってサポート台数の上限が決まっている場合や、規模拡張によってコストが増大したり、自動アップデートに対応できなかったり、といったケースも起こり得ます。
企業のニーズに合わせたツールの選択
企業によってインベントリ管理のニーズは異なるため、最適なツールは状況に応じて変化します。
例えば、ITリソースが限定的な小規模企業ではコストを抑えた簡易的なツールで十分かもしれません。
一方、大企業ではデバイスの種類が多岐に渡るため、幅広いリソースに対応し、高度な分析機能を備えたツールが求められます。
また、業種によってはコンプライアンス対応も重要になります。
自社の現状や将来的なニーズを十分に洗い出しましょう。
管理対象、規模、運用体制、業務要件などの観点から最適なインベントリ管理ツールを見極め、どのツールを導入するか総合的な検討も必要です。
コスト削減といって価格だけに着目するだけでなく、多角的に判断しましょう。
IT資産運用におけるインベントリ管理のポイント
適切なインベントリ管理を行うことで、IT資産を効率的に運用できるようになります。
特に重要なのが、情報の常時更新とセキュリティ対策の徹底です。
インベントリ情報の定期的な更新
IT資産の状況は日々変化しています。新規リソースの追加、廃棄、ライセンス更新など、変更があればインベントリデータへ速やかに反映する必要があります。
そうしないとインベントリデータの情報と現実の所有状況とが食い違ってしまい、無駄な支出やセキュリティ上の脅威を見逃してしまう恐れがあります。
そこで欠かせないのが、データの自動収集と定期的な更新です。
インベントリ管理ツールを導入すれば、手作業の手間を大幅に省くことができ、データの正確性も保たれます。
更新の周期は、企業の規模や変更の頻度に応じて適切に設定しましょう。
セキュリティとコンプライアンスの確保
IT資産の適切な管理は、セキュリティ確保とコンプライアンス遵守の観点からも欠かせません。
正確なインベントリ情報があれば、ソフトウェアの脆弱性、不正な製品使用、期限切れライセンスなどのリスクを事前に検知し、対策を講じることができます。
また、個人情報保護法や会社法などの関連法令への準拠状況を確認するのにも役立ちます。
一方で、インベントリ情報自体も重要な経営情報であり、外部流出のリスクがあることを忘れてはなりません。
インベントリ管理ツールを選ぶ際には、データ保護やアクセス制御などのセキュリティ機能の充実度も、確認しておく必要があります。
IT資産とインベントリデータの両面から、セキュリティ対策を徹底し、コンプライアンスを確保することが求められます。
インベントリの まとめ
本記事では、インベントリの基礎知識から実践的な管理手法、おすすめのツール、選び方のポイント、IT資産運用における重要性をご紹介しました。
インベントリとは企業が保有するIT資産の一覧であり、適切な管理によるリソースの最適化や無駄なコストの削減、セキュリティ確保が欠かせません。
もしも小規模で始めた新規サービスでも、思わぬ運用規模の拡大など、手動でのインベントリ管理に限界を迎えるシーンが訪れるかもしれません。
そもそもインベントリ管理とはなんなのか、どんな管理ツールがあるのかといった情報を覚えておくことで、生産性を落とすことなくサービスの幅を広げられる可能性にもつながります。
今後のIT資産運用においてインベントリ管理は極めて重要な基盤となるでしょう。本記事がみなさまの効果的なインベントリ管理の一助となることを願います。
当社Jiteraでは、要件定義を書くだけでAIが生成するツールにて、アプリ・システム開発を積極的に行っています。
小さなスタートからビジネスを確実に前に進めるアプリ開発やシステム開発をサポートさせて頂いております。
本記事で解説をしましたインベントリ管理についても、システム開発や導入支援を行っております。
IT案件やアプリ・システム開発依頼、そのほかにもご相談やご質問がありましたら、Jiteraまでお気軽にお問い合わせください。
AIの最新動向を踏まえた最適なソリューションをご提案いたします。