Pythonを使ったAIプログラミングを検討している方のなかには、具体的にどんなものなのかや具体的な方法を知りたい方もいるでしょう。AIプログラミングをするためには、専門知識やスキルが求められます。
そこでこの記事では、Pythonを使ったAIプログラミングに関して特徴や方法、学習の進め方などを解説します。PythonでAIプログラミングをするために必要な情報がわかる記事です。ぜひ最後までご覧ください。
AI(人工知能)プログラミングはPythonが主流!
Pythonは機械学習やディープラーニングなどのAI分野で最も使われるプログラミング言語の1つです。豊富なAI/機械学習ライブラリ(scikit-learn、TensorFlow、Keras など)が用意されており、手軽にAIアプリケーションを開発できます。Pythonは文法が簡単で初心者でも習得しやすいため、AIプログラミングの入門言語として人気があります。
以下では、 Python(パイソン)の特徴とメリットやAIプログラミングの基本を解説します。2つのポイントを理解すると、Pythonを使ったAIプログラミングをしやすいです。
なぜPythonでAIプログラミングなのか
AIプログラミングでPythonが採用されるのは、Python用に機械学習やディープラーニングに適したライブラリが多く開発されているからです。
こちらの記事にAIプログラミングに適した言語についてさらに詳しく解説しています。Pythonの特徴とメリットは以下のとおりです。
- Python(パイソン)の柔軟性と豊富なライブラリ
- Python(パイソン)の学習コミュニティとサポート体制
上記のポイントを把握することで、より効率的なAIプログラミングができます。
Python(パイソン)の柔軟性と豊富なライブラリ
Pythonは、「Hello, World」プログラムなどの基本的なサンプルコードが非常に短く、わかりやすい構文になっており初心者でも習得しやすいプログラミング言語です。Pythonは高レベルな言語であり、複雑な処理も比較的簡単に記述できます。一方で、Pythonは奥が深い言語であり、高いレベルで使いこなすには時間をかけての学習が必要です。
Pythonには機械学習やデータ分析などに役立つ豊富なライブラリが用意されています。主なライブラリには以下があげられます。
- TensorFlow:機械学習やディープラーニングの実装に使われる高性能なライブラリ
- Scikit-learn:機械学習アルゴリズムを簡単に使えるライブラリ
- Pandas:データ解析や前処理に使えるライブラリ
- OpenCV:コンピュータービジョンの処理に使えるライブラリ
上記のライブラリを使うことで、初心者でも高度なAIアプリケーションを開発できます。
Python(パイソン)の学習コミュニティとサポート体制
Pythonには非常に活発なオンラインコミュニティが存在します。Pythonの公式サポートフォーラムだけではなく、Pythonに関する議論が活発なReddit r/Pythonやプログラミングに関する質問回答サイトのStack Overflowなど、コミュニティでは、初心者から上級者まで幅広い層が質問や情報交換を行っています。
Pythonには豊富な公式ドキュメントが用意されており、初心者から上級者まで幅広いユーザーをサポートしています。公式ドキュメントには、チュートリアル、リファレンス、ライブラリ一覧など、様々な学習リソースが含まれている点が特徴です。
AIプログラミングの基本
AIプログラミングの基本を把握するうえで重要なポイントは以下のとおりです。
- AIプログラミングの概要と流れ
- Python(パイソン)によるAIプログラミングの基礎ステップ
上記のポイントを把握することで、AIプログラミングに必要な知識を身につけられます。
AIプログラミングの概要と流れ
AIは人間の知的な能力を模倣し、データから自動的に学習・推論することができるコンピューターシステムです。AIプログラミングでは、AIのアルゴリズムを設計・開発したり、学習に使うデータを分析したりする作業が行われます。AIプログラミングの流れは以下のとおりです。
AIプログラミングは、開発の目的を明確化したうえで適切なプログラミング言語を選択し、学習することが重要です。AIプログラミングには機械学習の理論的な理解と、実践的なプログラミングスキルの両方が求められます。
Python(パイソン)によるAIプログラミングの基礎ステップ
PythonによるAIプログラミングの基礎ステップは以下のとおりです。
- AIの目的の明確化:画像認識、自然言語処理、予測分析など、実現したいAIの機能を明確にする。
- Pythonの基礎を学ぶ:データ構造、制御構文、関数、クラスなどのPythonの基本を習得し、Pythonのプログラミングを実践しながら理解を深める。
- 数学・統計の知識を学ぶ:機械学習やディープラーニングの理論的な基礎となる数学・統計の知識を身につける。
- AIライブラリの学習:TensorFlow、Keras、Scikit-learnなどのAI開発用ライブラリの使い方を習得する。
- AIモデルの構築と学習:収集したデータを使ってAIモデルを構築し、学習させる。
- AIシステムの実装と評価:構築したAIモデルをシステムに組み込み、実際の運用を通して評価・改善する。
PythonによるAI開発には、基礎からAIの理論、ライブラリの使用方法、実装までを段階的に学習していくことが重要です。
Pythonを使ったAI(人工知能)の作り方
ここでは、Pythonを使った人工知能の作り方を紹介していきます。一からAIモデルを作ろうとするとかなり大変ですが、フレームワークやライブラリをうまく活用することで、比較的楽にAIモデルを作ることができます。
学習データを集める
まずは、AIに学習させるための学習データを集めます。AIは、ある程度の情報をパターンとして認識し、それをもとにして新しいデータに欲しい情報があるかを判断しています。
そのため、AIは実装するだけでなく、目的に応じたパターン学習が必要です。
パターン学習するためのデータを集めるにはいくつか方法がありますが、はじめのうちは手作業で十分でしょう。また、学習データには、ネガティブパターンも含むようにしてください。
Python環境の構築とエディタの準備
次に、Pythonを動かすための環境構築を行っていきます。
Pythonの公式ドキュメントにアクセスして、インストールしてください。ダウンロードしたフォルダを開いた後は、指示に従って進むとインストールされるはずです。インストール後は、エディタの準備をしましょう。
無料で、エンジニアにも親しまれているVScodeがおすすめです。
ライブラリのインストール
エディタのインストールが終了したら、AIモデルの構築に必要なライブラリをインストールします。
ライブラリによって得意な処理が異なるため、インストールをする前にどのような機能をもつAIモデルを作るかを考えておきましょう。
例えば、数値計算であればNumPy、ディープラーニングであればTensorFlowなどが有名です。
データの前処理
集めたデータを機械学習で利用しやすいような状態にすることを前処理と言います。前処理では、表記ゆれを修正したり、画像であれば特徴量が目立つように変更しましょう。
前処理によって、機械学習が特徴を捉えやすくなり、精度が上がります。
モデルの構築・学習・評価
インストールしたライブラリでモデルを構築・学習し、精度の確認を行います。
ライブラリの使い方は各ライブラリにドキュメントがあるので、そちらを参照すると良いでしょう。また、Youtubeなどの動画サービスでも分かりやすい教材がたくさんあります。
こういったサービスもぜひ活用してみてください。
AIモデルを利用して予測を実行
モデルが構築できたら、正常に動くかどうか試してみましょう。はじめは、簡単なサンプルデータで実行し、徐々に複雑なデータを試すと良いです。
成功のコツは繰り返すことです。トライとエラーを繰り返して、理想の形に近づけましょう。
初心者でも簡単にPythonでのAIプログラミングをするコツ
ここでは、初心者がPytohonでプログラミングを始める際に挫折しにくくなるコツをお伝えします。プログラミングは挫折しやすいと言われており、初学者が継続して学習するのが難しいでしょう。
挫折しないためには、簡単なサンプルコードを動かしたり、人に聞ける環境にいることがおすすめです。
小さな目標から始める
最初から大きなアプリケーションを作ろうとするのではなく、まずは小さな目標からスタートしましょう。大きな目標があったとしても、最初のうちはゴールに向かって小さなステップを踏んでいくのが良いです。
例えば、本を1章分だけ読んでみる、1セクションだけ動画に沿って書いてみるなどです。
はじめから大きな目標を立てると、達成しているイメージがわかず、モチベーションが維持できません。しかし、小さな目標を立てることで、やることも明確になり、進んでいる感覚が実感できるでしょう。
プログラミングは、初学者のうちはエラーの解決に何時間もかかったり、思うように進まないこともあるため、小さな目標を立ててモチベーションを維持し続けることが大切です。
チュートリアルやサンプルコードを活用する
初学者のうちは、複雑な処理をいきなり書くことは難しいでしょう。
まずはPythonはどんな構文やルールで書くのか、どんな概念があるのかを知る必要があります。このようなPythonの基礎を学習するには、公式のチュートリアルがおすすめです。
チュートリアルには、サンプルコードとともにPythonの構文や概念の説明が都度含まれています。また、自分の手を動かして学習していくので、理解も深まるでしょう。さらに、チュートリアルの解説はYoutubeやブログでも多く取り上げられています。
分からなかった場合は、そういった記事を参照することができるのも魅力的です。はじめに何をするか迷った場合は、まずはチュートリアルからはじめることがおすすめです。
ライブラリを活用する
初学者、あるいはPythonの基礎を一通り学んだ状態だったとしても、すべての処理を一から書くのはかなり難易度が高いです。
また、難しいだけではなく時間もかかってしまいます。ライブラリが活用できれば、こういった問題も解消できます。ライブラリとは、よく利用する機能をひとまとめにしているもので、開発の効率を上げてくれるものです。
ライブラリをうまく使えれば、実装が難しい処理も比較的簡単に書けることも少なくありません。まずは、実装したい動作を実現できそうなライブラリを探してみましょう。
コミュニティに参加する
最後に、初学者がPythonでプログラミングを継続するコツとして、コミュニティに所属することが挙げられます。
Pythonに慣れないうちは、学習でつまづくことも多く、挫折してしまうことも少なくありません。しかし、コミュニティに参加して、一緒に頑張っている仲間がいたり、コードが書ける人が近くにいたりするだけでも、モチベーションの維持に繋がります。
また、分からないときに聞ける環境を作っておくと、挫折しにくいです。つながりができるといった意味でもコミュニティはおすすめです。
さらに、メンターがいると、困ったときに相談に乗ってくれたり、悩みを聞いてくれるでしょう。こういった存在があるかどうかで勉強の効率も変わってきます。
AIプログラミングの学習方法
AIプログラミングの学習方法には以下があげられます。
- Python(パイソン)の学習リソースとオンラインコース
- AIプログラミングの実践とプロジェクト
上記の方法を実践することで、AIプログラミングの学習を効率的に進められるでしょう。
Python(パイソン)の学習リソースとオンラインコース
Pythonの学習リソースとオンラインコースには、以下があげられます。
- 無料のPythonプログラミング資料(SciPy Lectures、Python Data Science Handbook、Numerical Tours in Pythonなど、科学技術分野のPythonリソース)
- オンラインコース(Coursera、edX、Udemy、Udacityなどのプラットフォームで提供されているコース)
Pythonの学習には様々な無料のリソースやオンラインコースが用意されています。初心者から上級者まで、自分のスキルレベルに合わせて学習可能です。
AIプログラミングの実践とプロジェクト
AIプログラミングの実践とプロジェクトのポイントは以下のとおりです。
- 実際のプロジェクトでのPythonとAIの活用事例
- AIエンジニアになるための実務経験の重要性
上記を把握していると、AIプログラミングの実践に役立ちます。
実際のプロジェクトでのPythonとAIの活用事例
実際のプロジェクトでのPythonとAIの活用事例にはGoogleやAmazonの事例があげられます。Googleでは、検索エンジンの開発やAndroid開発、YouTubeなどの動画投稿サービスの開発に活用されています。特に、大容量の動画を高速で処理するYouTubeのプラットフォーム開発にPythonが大きな役割を果たしている事例です。
Amazonでは、商品と取引に関するシステムの実装や顧客の検索情報やニーズ分析に機械学習を活用、レコメンド機能の開発に活用されています。Amazonのようなeコマース企業では、大量のデータを処理し、顧客行動を分析するのにPythonが適している事例です。
AIエンジニアになるための実務経験の重要性
AIエンジニアには高度な専門知識が求められます。機械学習、ディープラーニング、データ分析など、AIに関する技術的な知識への深い理解が必要です。専門知識は独学で習得することも可能ですが、実際のシステム開発の経験を通して、より実践的な知識を身につけられます。
また、AIエンジニアには顧客のビジネスニーズを理解し、それに合ったAIシステムを設計・開発する能力も必要です。開発エンジニアとして働くことで、要件定義や設計、プログラミングなどのシステム開発の経験を積むことができ、顧客の業務に関する知見も深められるでしょう。これらの経験は、AIシステムの開発に直結する重要なスキルです。
AIエンジニアになるためには、実務経験を通して専門知識や開発スキル、ビジネス理解力、倫理観などを身につけることが不可欠です。未経験からAIエンジニアを目指す場合は、まずは開発エンジニアなどの実務経験を積みましょう。
【入門者向け】PythonによるAIプログラミングの学習書籍
PythonでAIプログラミングをする際に、初心者におすすめの書籍を3つほど紹介します。
動画などのオンライン教材は、Pythonのプログラミングを効率的に学習できるのに対し、書籍は必要な知識を体系的に学ぶことができます。
初心者のうちに動画やチュートリアルの学習と並行して本での学習を進めていくのもおすすめです。
入門Python3
入門Python3は、オライリーが出版しているPythonの入門書です。
Pythonの基礎から、ウェブ、データベースとの接続など、実務でも役に立つ知識を網羅的に学習することができます。
出版元がオライリーということもあり、信頼できる内容と言えるでしょう。どの本で学習しようか迷っている方は、まずはこちらの本を見てみると良いです。
ゼロから作るDeep Learning ―Pythonで学ぶディープラーニングの理論と実装
ゼロから作るDeep Learning もオライリーが出版しています。こちらの書籍は、ライブラリを使用せずにPythonのみでディープラーニングのモデルを作ります。
ライブラリを使用しないため、機械学習は実際にどのような挙動をしているのかを知ることができます。また、なぜディープラーニングが優れているのかなど、「なぜ」の部分にもフォーカスされているため、ディープラーニングに対する理解も深まるでしょう。
Pythonではじめる機械学習 ―scikit-learnで学ぶ特徴量エンジニアリングと機械学習の基礎
Pythonではじめる機械学習は、scikit-learnを使った機械学習の方法が学べる書籍です。
こちらの書籍は、機械学習について学びたい初心者には役に立つと言えるでしょう。また、書籍で取り扱われているコードはGitHub上に公開されているので、自分のコードと照らし合わせたいときでも安心です。
scikit-learnの入門書としても使えるので、scikit-learnを用いた開発をしようと思っている方にも最適でしょう。
【入門者向け】PythonによるAIプログラミングのオンラインチュートリアル
次に、初学者におすすめのオンラインチュートリアルを3つ紹介します。
Pythonの公式ホームページにもチュートリアルがありますが、有名なライブラリのドキュメントにもチュートリアルがあります。今回は、その中でもおすすめの3つのライブラリをあげていきます。
scikit-learn
scikit-learnは、データ前処理、教師あり学習、教師なし学習、モデル選択、評価をすることができます。機械学習を実装していくうえで必要不可欠なライブラリと言えるでしょう。
ドキュメントやコミュニティもしっかりしており、情報量も多いです。scikit-learnのチュートリアルをこなすことで、Pythonの基礎を学びつつ、機械学習についても学ぶことができるでしょう。
PyTorch
PyTorchを基礎から学べるチュートリアルになっており、ボリュームもかなりあるので初学者におすすめです。
PyTorchは、テンソル計算やディープランニングをすることができます。ディープラーニングを使ったアプリケーションを開発する場合は、技術選定でも有力な候補となるライブラリなので、チュートリアルで基礎を押さえておくことをおすすめします。
TensorFlow
TensorFlowは、機械学習のモデルを簡単に構築できるライブラリです。
TensorFlowとは、データの読み込み、前処理、計算、状態、出力といった処理をテンソルという多次元配列で扱うことにより、画像認識、音声認識、自然言語処理をすることができます。
こちらもよく使われるライブラリのため、チュートリアルを通して理解を深めていけると良いでしょう。
まとめ:Pythonなら初心者でもAIプログラミングができる
ここまでPythonを使ったAIプログラミングに関する情報を解説しました。AIプログラミングは専門知識と経験が求められる高度なスキルですが、チュートリアルなどを活用することで、初心者でもPythonを始めることができます。Pythonをうまく活用することができれば、Webアプリをはじめとしたさまざまな開発にも役立つでしょう。
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