開発コストや導入コストを削減するために生産管理システムの自作を検討する企業は多いです。
しかし、実際に生産管理システムを自作することで得られるメリットは開発コストや導入コストだけなのか、どんなデメリットが存在するのか、イマイチ分かっていない人も多いですよね。
そこでこの記事では、自作生産管理システムの開発プロセスや生産管理システムを自作するメリット・デメリット、セキュリティ対策など生産管理システムについて解説していきます。
2014年 大学在学中にソフトウェア開発企業を設立
2016年 新卒でリクルートに入社 SUUMOの開発担当
2017年 開発会社Jiteraを設立
開発AIエージェント「JITERA」を開発
2024年 「Forbes 30 Under 30 Asia 2024」に選出
生産管理システムは自作できる?
生産管理システムは自作することができます。
自作するかパッケージを導入するかは、企業の規模、要件の複雑さ、開発費用、スキルレベルなどを総合的に判断する必要があります。
中小企業であれば、ExcelやAccessなどのツールを使って比較的簡単に作ることもできます。一方、大企業や大きなプロジェクトで高度なニーズがある場合はプログラミング言語を使った自作開発が不可欠でしょう。
コストを抑えつつ要件を満たす柔軟性が必要なら自作がおすすめですが、コストやスキルの観点から自作が難しい場合は、パッケージ製品を検討するのも一つの選択肢です。様々な条件から最適なアプローチを見極める必要があります。
自作生産管理システムのメリット
既存の生産管理システムではなく、自作の生産管理システムを使用することで、いくつかのメリットが得られます。
主に、システムの自作によるメリットとして挙げられるのは以下の4つです。
- コストの削減
- 開発時間の短縮
- 高いカスタマイズ性・拡張性の獲得
- 独自性の獲得
これらのメリットについて具体的な内容と最大限に活かす方法について詳細に解説していきます。
コストと時間が短縮される
販売されている生産管理システムを導入する場合、高額になるケースがあります。
もちろん、提供形態やどんな機能を使用するかによって、金額はさまざまですが、ほとんどのケースが自作システムの導入によりコストの削減が可能です。
また、販売されている生産管理システムを使用する場合は、運用コストも発生するため、導入コスト以外にも費用がかさみます。
その点、自作システムは導入コストを最小限に抑えられるメリットがあります。
さらにシステムを自作すると、開発やトラブルへの対処、必要な機能の追加などがスムーズに行えるメリットがあり、導入や改善などの時間短縮が可能です。
コストを抑えたい、システムの導入や改善の対応スピードを速くしたい人は、自作システムが向いています。
システムのカスタマイズと拡張性
生産管理システムの自作はカスタマイズがしやすく、高い拡張性が得られるのもメリットです。
販売されている生産管理システムは、カスタマイズに制限が発生するため、自社に合った機能を追加したり変更したりなどが思うようにできない場合も多くあります。
また、機能の追加によりコストが発生するなど、生産管理システムを活用し、効果を実感するまでにさまざまな壁にぶつかります。
しかし、自作したシステムでは柔軟なカスタマイズや拡張が可能であり、後からどんどん使いやすい状態に変化が可能です。
また実際に導入してみて、思うような効果を得られなかった機能や必要のなかった機能なども簡単に削除でき、快適な生産管理の実現を早めてくれます。
特にプログラミングによる開発は非常に自由度が高く、さまざまなカスタマイズが可能です。
自社に合った独自性の高いシステムにできる
自作の生産管理システムの採用により、自社の特性に合わせてシステムを構築でき、非常に高い独自性を実現できます。
販売されている生産管理システムでは見つけられなかった、独自の課題発見や情報収集ができ、ビジネスにおいて独自性と競争優位性の獲得も期待できます。
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生産管理システムをExcel(エクセル)で自作する方法
小規模な生産管理であれば、Excelを活用して自作することができます。関数やマクロを使ってデータ処理を自動化し、ガントチャートやスプレッドシートを様々な管理ツールとして活用できます。また、Excelのテンプレートを使って簡単に自作することも可能です。
Excelで生産管理システムを自作する場合のポイントは3つです。
- 複数のシートを作成し、製品別や工程別にデータを分けて表示する
- 関数を利用し、ユーザーフレンドリーで分かりやすい説明を入れる
- 表を活用して数値データを提示する
Excelで作成したデータやガントチャートを見れば、生産された製品の数や金額、工程での難易度などが一目で分かるようになります。また、色分け機能なども利用できるので、製品ごとの価格や在庫数などの違いを明瞭に示すことができるでしょう。
生産管理システムをAccess(アクセス)で自作する方法
Accessは、Microsoft Office に含まれるデータベースソフトウェアです。データ管理機能に優れており、レポート作成なども柔軟に対応できます。プログラミングも可能です。
Accessを使えば比較的簡単に、より本格的な生産管理システムを自作することができます。具体的な手順は以下の通りです。
作り方1. テーブルの作成
まず、製品、部品、工程、従業員など、必要なデータを格納するためのテーブルを作成します。テーブル作成ビューでフィールド名とデータ型、主キーも設定します。
作り方2. テーブル間の関係を定義
テーブルを関連付けるため、リレーションシップウィンドウでテーブル間の関係を定義します。主キーと外部キーの関係を作ることで、テーブル間でデータの参照や更新が可能になります。
作り方3. フォームの作成
データ入力や参照用のフォームを作成します。フォームウィザードでフォームの種類を選びます。フィールドをフォームにドラッグ&ドロップし、レイアウトを調整しましょう。
作り方4. クエリの作成
必要なデータを抽出したり、データを加工するクエリを作成します。セレクトクエリ、更新クエリ、削除クエリ、SQLビューなどがあります。
これで生産情報を的確に把握することが可能です。
作り方5. レポートの作成
クエリから取得したレポートデータで生産実績や在庫状況などの確認が可能です。レポートにフィールドを配置し、グループ化やソート順の設定をしましょう。
作り方6. 必要に応じてVBAでカスタマイズ
さらに高度な処理やインターフェイスにはVisual Basic for Applicationsを使って実装ができます。フォームやレポートにイベントプロシージャを関連付けて、処理を自動化することが可能です。
生産管理システムをプログラミング言語を使って自作する方法
規模の大きな生産管理システムを作る場合は、プログラミング言語を使った開発が不可欠です。JavaやPHP、Rubyなどの言語を使い、システムを一から開発・カスタマイズすることができます。
生産管理システムをプログラミング言語を使って自作する場合は、言語によって細かい作り方は変わってきますが以下の手順が一般的です。
作り方1. 要件定義と設計
まず、システムが満たすべき要件を洗い出し、機能設計と画面設計、データ設計などを行います。データモデルやユースケース図の作成も含まれます。
作り方2. 開発環境の選定
プログラミング言語、フレームワーク、データベース製品、IDEなどの開発環境を選定します。言語としてはJava、C#、Python、PHPなどが一般的です。
作り方3. データベース構築
設計したデータモデルに基づき、データベース(RDB、NoSQLなど)を構築します。テーブル作成、制約の設定、インデックスの作成などを行いましょう。
作り方4. プログラミングとテスト
機能設計に基づいてプログラムのコーディングを行います。単体テストやインテグレーションテストを実施し、不具合を修正しましょう。
作り方5. リリースと運用・保守
システムを本番環境にリリースし、運用を開始します。不具合の修正や機能の拡張、定期的なメンテナンスなどの保守を継続的に行うことが大切です。
プログラミング言語を使えば、完全にカスタマイズされた本格的な生産管理システムを構築できます。一方で、高度な知識とスキルが必要となり、開発コストも比較的高くなる点には注意しましょう。
自作生産管理システムの課題点
先ほど自作システムのメリットを紹介しましたが、一方でデメリットも存在します。
主にデメリットとして挙げられるのは以下の2つ。
- メンテナンスとアップデートの課題
- 専門知識とスキルの必要性
ここからは上記のデメリットとリスク管理、対策方法について解説します。
自作で生産管理システムを導入する場合は、メリットだけでなくデメリットについて知っておくのは重要です。
開発に取り掛かる前にしっかりチェックしていきましょう。
メンテナンスとアップデートの課題
生産管理システムを自作した場合、メンテナンスやアップデートも自社で行わなければなりません。
生産管理システムを導入して終わりではなく、定期的にメンテナンスとアップデートを行う手間が発生するデメリットがあります。
しかし、発生したバグの修正やアップデート、セキュリティパッチの適用など定期的に行うのは重要なため、後回しにすることはできません。
スケジュールを設定し、定期的にメンテナンスを行い、ソフトウェアのアップデート情報は常にチェックしておきましょう。
自社で管理できない場合は、コンサルタントなど外部の力を借りるのがおすすめです。
専門知識とスキルの必要性
自作のシステムを作るには専門知識とスキルが必要です。
専門知識やスキルがない従業員の場合、なかなか開発がうまく進まず、欠陥だらけになってしまう可能性もあります。
自社に専門知識やスキルを持っている従業員がいない場合、人材確保から始めなくてはならないのはデメリットです。
また自作システムを作成している場合、開発を担当した従業員が異動や退職を機に、運用が困難になってしまうケースも存在します。
安定したシステムの運用を実現させるためにも、専門知識とスキルをもった従業員を何人か確保しておくのも課題です。
自社に知識やスキルのある従業員がいない場合は、コンサルタントやシステム開発経験のある外部の力を借りるのがおすすめです。
まとめ:生産管理システムの自作には知識が必要
この記事では生産管理システムについて解説してきました。生産管理システムの導入により、生産に関わる業務を一元管理でき、コストの削減や業務の効率化を図れます。
また生産管理システムが自作でき、自作により開発・導入コストの削減が可能です。しかし、生産管理システムの開発には専門知識とスキルが必要であり、導入を断念する企業も多いです。
もし「生産管理システムの導入を検討している」「自社の生産管理システムの作成は困難だと感じる」方は株式会社Jiteraにご相談ください。
Jiteraではノーコード開発ツールを提供し、自社に合ったツール開発の手助けをしています。