シェルスクリプト(ShellScript)とはいったいどういうものなのか?シェルスクリプトは、UnixやLinuxシステムで使用されるスクリプト言語で、自社サーバーやクラウドシステムの管理を効率化するのに役立ちます。バックアップの自動化やログの監視、システムのセットアップやデプロイメントなど、さまざまなタスクを自動化できます。この記事では、シェルスクリプトの基本的な使い方から応用テクニックまで解説します。
シェルスクリプトとは
ユーザーがオペレーティングシステム(OS)に対してアクションを指示するために使用されるコマンドがシェルスクリプトです。Windowsとは異なり、UnixやLinuxシステムではグラフィカルユーザーインターフェース(GUI)が提供されていない場合があります。そのため、テキストベースのユーザーインターフェース(UI)を実装できます。
実行可能なシェルスクリプトには、様々なコマンドがあります。ファイルやディレクトリの操作、プロセスの管理、テキスト処理、システム設定の変更などが一般的です。
シェルスクリプトを実行するためには、適切なシェルが必要です。一般的なシェルには、Bourneシェル(sh)、Bourne Againシェル(bash)、Cシェル(csh)などがあります。
シェルスクリプトは通常、UnixやLinux環境で実行されますが、macOSやWindows Subsystem for Linux(WSL)などの環境でも実行することができます。シェルスクリプトを実行するためには、ファイルに実行権限を与える必要がありますし、適切なシェルで実行しなければいけません。
シェルスクリプトの基本的な構成要素
BashやZshなどのシェルで実行します。これらのシェルは、UnixやLinuxシステムに標準でインストールされていますが、macOSやWindows Subsystem for Linux(WSL)などでも利用できます。
シェルスクリプトファイルには実行権限を与える必要があります。これにより、ファイルが実行可能なプログラムとして認識されます。実行権限を与えるには、chmodコマンドを使用します。例えば、chmod +x script.shのように実行します。
シェルスクリプトを実行するには、ファイルが置かれているディレクトリに移動し、./script.shと記述すれば実行します。ここでのscript.shという名称は実行したいスクリプトファイルの名前です。
また、スクリプトが依存する環境変数がある場合は、それらの環境変数を適切に設定する必要があります。外部ツールやライブラリに依存する場合は、それらを事前にインストールしておく必要があります。
一般的に、一般的なシェルスクリプトはBashですが、他のシェルも利用可能です。スクリプトの先頭行に#!/bin/bashのようなシバン(shebang)を記述すれば、シェルを指定できます。
シェルスクリプトの実行環境
シェルスクリプトの実行環境は、システムやユーザーのニーズに合わせて柔軟にカスタマイズできます。シェル機能にアクセスできるため、環境変数やコマンドライン引数を使って動的に振る舞いを変更できます。また、シェルスクリプトはユーザー権限で実行されるため、特定の機能やファイルにアクセスするための特権が必要な場合でも、適切な権限管理が行えます。
シェルスクリプトの実行環境は、UnixやLinuxシステム上であり、標準搭載されている機能はすべて利用可能です。さらに、オープンソースであり、コミュニティによってサポートされているため、ユーザーはコードやテクニックを共有し、問題の解決策を見つけやすくなっています。
そして、シェルスクリプトはUnixやLinux、macOS、Windows Subsystem for Linux(WSL)など、幅広いOS上で使えるようになっています。これにより、異なる環境で一貫性を保ちながら、システム管理や開発プロセスを効果的に実行できます。
シェルスクリプトの書き方と基本コマンド
シェルスクリプトは、コマンドライン上でOSとのやり取りを実現するための便利なツールです。様々なコマンドを使用して、ファイルの操作やディレクトリの移動、テキストの検索などを行うことができます。
シェルスクリプトは、プログラミング言語と同様にコマンドライン上で直接実行することも、テキストファイルに記述して実行することもできます。基本コマンドを組み合わせて使うことで、システム管理や自動化などのさまざまなタスクを効率的に実行できます。
基本コマンドの使い方
シェルスクリプト内でコマンドを使用する方法について説明します。システム上のコマンドやプログラムを直接実行することができるのがシェルスクリプトです。以下に一般的なコマンドの使用方法を示します。
コマンドの実行
シェルスクリプトで実行するには、コマンド名をスクリプトに記述します。たとえば、lsコマンドを実行して現在のディレクトリの内容を表示するには、次のようにします。
bashCopy code
Ls |
コマンドライン引数の使用
シェルスクリプトにコマンドライン引数を渡すこともできます。引数はスクリプト名の後にスペース区切りで指定します。シェルスクリプト内で、引数は特殊変数 $1, $2, $3, … などで見られます。たとえば、以下のようにスクリプトに引数渡しを行います。
bashCopy code
./script.sh arg1 arg2 |
そして、script.sh内で引数を使うには、次のようにします。
bashCopy code
#!/bin/bash echo “argument1: $1” echo ” argument2: $2″ |
コマンドの結果を変数に格納する
コマンドの実行結果を変数に格納することもできます。変数にコマンドの出力の割り当てに、バッククォート ` ` を使います。または、より推奨される方法として、$( ) を使うことも可能です。たとえば、date コマンドの出力を変数に格納するには、次のようにします。
bashCopy code
current_date=`date` # または current_date=$(date) echo “Current date is: $current_date” |
これらはコマンドライン上でシェルスクリプトを使用する一般的な方法です。必要に応じて、制御構造や条件分岐と組み合わせて使用できます。
スクリプトの構造とフロー制御
シェルスクリプトの基本的な書き方を説明します。シェルスクリプトはテキストファイルとして記述され、実行可能なコマンドが含まれます。
テキストエディタを開きます。一般的なテキストエディタには、Visual Studio Code、Atom、Sublime Text、Vim、Emacsなどがあります。シェルスクリプトはテキストファイルなので、どんなテキストエディタでも構いません。
新しいファイルを作成する: テキストエディタで新しいファイルを作成します。このファイルがシェルスクリプトファイルとなります。拡張子は通常、”.sh”としますが、これは必須ではありません。
ファイルの最初の行にシェバンを追加します。シェバンは、シェルスクリプトがどのシェルで実行されるべきかを指定するものです。例えば、以下のように記述します。
bashCopy code
#!/bin/bash |
シェルスクリプトの本体部分に、実行したいコマンドや制御構造を記述します。これには、変数の定義、条件分岐、ループ、コマンドの実行などが含まれます。先ほど示した例を参考にして、スクリプトを記述します。
スクリプトを記述したら、ファイルを保存します。適切な名前と拡張子(.sh)を付けて保存します。
シェルスクリプトファイルに実行権限を与える必要があります。これによって、ファイルが実行可能なプログラムとして認識されます。実行権限を与えるには、ターミナルで以下のようにコマンドを実行します。
bashCopy code
chmod +x script.sh |
最後に、シェルスクリプトの実行は、ターミナルでシェルスクリプトファイルがあるディレクトリに移動し、以下のようにコマンドを実行します。
bashCopy code
./script.sh |
実践!シェルスクリプトの作成手順
実際にシェルスクリプトを作成する際のステップバイステップのガイドを提供します。
シンプルなスクリプトの作成
初心者向けに、基本的なスクリプトの作成方法に関して実例を交えて解説します。
以下にシェルスクリプトにコマンド例を記述します。
#!/bin/bash# コメントは ‘#’ 記号で始めます。
# 変数の定義 MNAME=”yuji” AGE=20 # 変数の使用 echo “Hello, $MY_NAME!” echo “You are $AGE years old.” # 条件分岐 if [ $AGE -ge 18 ]; then echo “You are an adult.” else echo “You are a minor.” fi # ループ for i in {1..10}; do echo “Count: $i” done # ユーザーからの入力の取得 read -p “Enter name: ” USER_NAME echo “Hello, $USER_NAME! Nice to meet you.” |
上記のBシェルのスクリプトを解説します。
最初の行 #!/bin/bash は、シェルスクリプトがどのシェルで実行されるべきかを指定します。この場合はBashになります。
変数 MNAME と AGE を定義しています。
・echo コマンドを使って、変数を含むメッセージを表示します。
年齢の判定文を記述します。
if 文を使って、年齢が18歳以上かどうかを判定し、結果に応じてメッセージを表示します。
・1から5までのカウントをしていきます。
for ループを使って、1から5までの数値をカウントします。
・カウントした数字の受け取りを行います。
read コマンドを使って、ユーザーからの入力を受け取っています。
複雑なスクリプトへの拡張
より複雑なシェルスクリプトの作成方法と、そのためのテクニックを紹介します。
ディレクトリ内の特定の拡張子を持つファイルを検索し、指定された条件を満たす場合にそれらを別のディレクトリに移動するシェルスクリプトの例です。
bashCopy code
#!/bin/bash # 検索対象のディレクトリと移動先のディレクトリを指定する search_dir=”/path/to/search_directory” destination_dir=”/path/to/destination_directory” # 検索対象のファイル拡張子を指定する file_extension=”.txt” # 検索対象のディレクトリに移動させる cd “$search_dir” || exit # 検索対象のファイルをループで処理する for file in *”$file_extension”; do # ファイルが存在するかをチェックする if [ -f “$file” ]; then # ファイルサイズの取得 file_size=$(stat -c %s “$file”) # ファイルが100KBより大きいかをチェックする if [ “$file_size” -gt 102400 ]; then # 移動先ディレクトリが存在するかどうかをチェックし、なければ作成する if [ ! -d “$destination_dir” ]; then mkdir -p “$destination_dir” fi # ファイルを移動する mv “$file” “$destination_dir” echo “Moved $file to $destination_dir” fi fi done echo “Script completed.” |
このスクリプトは以下の手順で行います。
・検索対象のディレクトリと移動先のディレクトリを指定します。
・検索対象のファイル拡張子を指定します。
・検索対象のディレクトリに移動します。
・検索対象のファイルをループで処理し、条件を満たす場合は移動先ディレクトリに移動します。
・処理が完了したらメッセージを表示します。
・このスクリプトを実行することで、特定の条件を満たすファイルを移動させられます。
シェルスクリプトのデバッグとトラブルシューティング
シェルスクリプトのデバッグ方法と、一般的なトラブルシューティングのテクニックを解説します。
シェルスクリプトを実行してから、
エラー発見と修正方法
スクリプトのエラーを見つけ出し、効率的に修正する方法について説明します。
デバッグする方法はいくつかあります。以下は一般的な方法です:
echoやprintf文を挿入する
シェルスクリプト内にecho文やprintf文を挿入して、各ステップで変数の値やプログラムの進行状況を表示することができます。
bashCopy code
#!/bin/bash # スクリプトの途中で変数の値を表示 echo “変数Aの値: $A” set -x を使用する |
set -xをシェルスクリプトの冒頭に追加すると、シェルが実行するコマンドをトレースモードで表示します。これにより、どのコマンドが実行されているかを詳細に把握できます。
bashCopy code
#!/bin/bash # スクリプトの開始時にトレースモードを有効にする set -x |
エラーの設定を有効にする
set -e をシェルスクリプトの冒頭に追加すると、シェルスクリプトがエラー(非ゼロの終了ステータス)で終了するときに自動的に終了します。これにより、問題が発生したときにスクリプトが停止し、問題の箇所を特定できます。
bashCopy code
#!/bin/bash # エラーが発生したらスクリプトを停止する set -e |
シェルスクリプトデバッガを使う
いくつかのシェルには、シェルスクリプトのデバッグ用に特別に設計されたデバッガが付属しています。たとえば、Bashシェルでは、bashdb や shellcheck などのツールを使用できます。
set -u を使用する
set -u を追加すると、未定義の変数が使用された場合にスクリプトが終了します。これにより、変数が適切に設定されていない場合にエラーが発生するのを防ぐことができます。
bashCopy code
#!/bin/bash # 未定義の変数が使用された場合にスクリプトを停止する set -u |
パフォーマンスの最適化
シェルスクリプトのパフォーマンスを向上させるための最適化のテクニックを紹介します。
シェルスクリプトを使う時に処理速度が遅いと感じる事が多々あります。処理速度を上げるにはいくつか考えられることがあります。ここでは、シェルスクリプトの最適化を行い、処理速度の高速化にも貢献できるやり方を解説します。
使用するシェルの種類で変わる
実行速度には、使用するシェルの種類も影響します。通常、bashよりもdashやzshの方が高速に実行されます。特に、シェルスクリプトがシステムの起動スクリプトや重要な処理で使用される場合は、シェルの選択に注意が必要です。
ループ処理の最適化
ループは一般的に処理時間を増加させる要因です。できる限りループを避け、代わりにawkやsedなどのテキスト処理ツールを使用します。また、ループ内でのコマンド実行を最小限に抑えるようにします。
コマンドの最適化
シェルスクリプト内で頻繁に呼び出されるコマンドやプログラムがある場合、それらのコマンドの選択と最適化が重要です。特に、外部プログラムの実行は比較的高コストであるため、できるだけ組み込みコマンドやシェルのビルトインコマンドを使用するようにします。
メモリー仕様の最適化
大規模なデータセットを扱う場合や、多くの変数を使用する場合は、メモリ使用量がパフォーマンスに影響を与えることがあります。不要な変数やデータを削除し、メモリを効率的に使用するようにします。
まとめ:シェルスクリプトをマスターして業務を効率化
自社システムでUNIXを使用していてシェルスクリプトが使える状態の時に、このシェルスクリプトを有効活用すれば、効率的なシステム運用が可能になるということで、シェルスクリプトの使い方について解説してきました。
折角UNIXなどのOSに自社システムを導入した場合、OSで利用できるリソースを有効活用して、システムの効率化を図り、自社の生産性を最大限生かす手段としてあるシェルスクリプトを有効活用するための使い方、実際の使用例などを紹介してきました。
自社のシステム導入やその後の、サーバーへのインストール環境の有効活用など、システム導入から、導入後の運用で相談したいというケースは、Jitera社へ相談されてみてください。実績豊富でお客様第一で考えてくれるJitera社は非常に役に立ちます。
同社は豊富な経験と専門知識を有し、的確なアドバイスを提供しています。Jitera社の協力を得ることで、効率的かつスムーズなシステムの導入が期待できます。