CADは、コンピューターを使用して製品や建物などの設計を行うための技術やソフトウェアのことで、さまざまな業界で活用されています。
この記事では、CADでどのようなことができるかなどの基礎知識を解説しています。
この記事を読んで、CADでどのようなことができるかを理解し、自社での活用をご検討ください。
![Nao Yanagisawa](https://xs691486.xsrv.jp/wp-content/themes/JITERA/images/director-nao-1.png)
2014年 大学在学中にソフトウェア開発企業を設立
2016年 新卒でリクルートに入社 SUUMOの開発担当
2017年 開発会社Jiteraを設立
開発AIエージェント「JITERA」を開発
2024年 「Forbes 30 Under 30 Asia 2024」に選出
CAD(キャド)とは何か?
CAD(Computer-Aided Design)は、コンピューターを使用して製品や建物などの設計を行うための技術やソフトウェアのことをさします。CADは、従来の手書きや手作業による設計作業を効率化して、精度を向上させるために開発されたものです。
CADソフトウェアを使用することで、設計者はデジタル上で図面やモデルを作成・編集・保存・共有することができ、設計プロセス全体が迅速化されて設計の精度や品質が向上します。
CAD(キャド)の種類
CADは、従来の手書きや手作業による設計作業を効率化でき、設計の精度や品質が向上するものです。CADにはいくつか種類があり、用途によって使用するCADを選ぶ必要があります。
ここでは、以下4種類のCADを解説します。
- 2D CAD
- 3D CAD
- BIM(Building Information Modeling)
- CAM(Computer-Aided Manufacturing)
それぞれみていきましょう。
2D CAD
2D CADは、CADを使用して2次元の平面上で断面図や平面図などの図面を製図するためのソフトウェアや技術のことをさします。2D CADは、建築家・エンジニア・デザイナーなどが製品や建築物の詳細なプランや図面を作成する際に広く使用されているものです。
直線や曲線などの基本的な図形を使用して、建物の平面図・設備配置図・配線図・流れ図などを作成することができます。
これら図面を、寸法・角度・比率などの精度を保持しながら簡単に作成・編集・修正できるのが特徴です。
3D CAD
3D CADは、コンピュータを使用して物体や構造物などの3次元モデルを作成・編集・表示するための技術やソフトウェアです。2D CADと比較して、3D CADは、立体的な形状や物体の詳細なモデルを作成することができます。
3D CADを使用することで、設計者は製品や建物の立体的な形状をリアルタイムで作成することができ、これを視覚化することが可能です。立体的にみえる設計図を作成できれば、設計の理解や評価が容易になり、製品の外観や機能の詳細な確認が可能となります。
BIM(Building Information Modeling)
BIMは、建築情報モデリングとも呼ばれ、建築や建設業界で使用されるデジタル技術の一種で、建物や建設プロジェクトでの設計・建設・管理などの作業を支援するために使用されます。
BIMは、建物や建設プロジェクトに関連する情報を、3次元のモデルとして統合することに重点を置いており、建物の設計や建設プロセス全体を統合的に管理できるため、建設プロセスを効率化することが可能です。
CAM(Computer-Aided Manufacturing)
CAMは、生成のプロセス工程を支援するための技術やソフトウェアのことで、CADと関連しており、作成されたデジタルモデルや設計データをもとに製造プロセスを自動化・管理・制御できることが特徴です。
CAMソフトウェアは、工作機械やロボットなどの製造機器に対して、加工パス・工具の選択・切削条件などの指示を出し、CADモデルから直接製品を生成するための処理工程を作成することで製造プロセスを効率化します。
CAMを使用することで、製品を効率的に生成することが可能です。
3DCAD(キャド)のメリット
CADにはさまざまな種類があり、2D・3Dの図面をそれぞれ作成するために使用したり、ほかにもCADを支援するソフトウェアもあることがわかりました。
ここでは、3D CADに焦点を当てて、そのメリットをみていきます。
以下、おもなメリットを3つ、解説します。
- 設計の効率化
- 正確な図面作成
- デザインの可視化
それぞれみていきましょう。
設計の効率化
設計の効率化がはかれることはメリットの一つで、たとえば、3次元で製造されたものをリアルタイムで視覚化することができ、進捗状況や詳細を即座に確認して修正することが可能です。
ほかにも、製造したものの寸法を調整した結果を即座に反映させられるため、設計の柔軟性が向上し、迅速な反抗が可能となります。
正確な図面作成
正確な図面作成ができることは、3D CADを利用するメリットの一つです。
3D CADを使用することで、設計者は製品や構造物の立体的な形状をリアルタイムで視覚化できるため、2次元の図面では表現しにくい複雑な形状や詳細な構造を正確に把握することができます。
ほかにも、寸法や位置関係などの各種設計パラメータを正確に設定することが可能で、モデル内の寸法を精密に指定できます。
正確で精密にパラメータの設定ができるため、ヒューマンエラーを減少させることができるでしょう。
デザインの可視化
3D CADを利用すれば、デザインの可視化が可能です。
設計者は製品や建築物のリアルな3次元モデルを作成し、クライアントや関係者に対してリアリティのあるプレゼンテーションを行うことができます。
3D CADを活用できれば、立体的なモデルを使ってデザインのコンセプトや特徴を視覚的に説明することができ、より理解を深めることができるでしょう。
ほかにも、デザインの可視化ができることで、製品や建築物のデザインをリアルタイムに評価を受けることができます。関係者は3次元モデルを見ることで、デザインの特徴や問題点を容易に把握し、意見や提案を行いやすくなります。
3DCAD(キャド)の問題点
3D CADには、多くのメリットがあることがわかりましたが、いくつか問題点もあります。
ここでは、3D CADの問題点のうちおもな以下の二点を解説します。
- 初期投資や研修などコストがかかる
- 2D環境とのやりとりが苦手
それぞれみていきましょう。
初期投資や研修などコストがかかる
3D CAD には、初期投資や研修などのコストがかかるという問題点があります。
3D CADソフトウェアや関連するハードウェアを導入するには、高額な初期投資が必要となります。特に、大規模な企業やプロジェクトでは、複数のライセンスや高性能なコンピューターなどの購入が必要となる場合もあるでしょう。
さらに、専門的な知識やスキルも必要となり、従業員が3D CADを効率的に使用するためには、研修や教育プログラムを受講する必要があります。この研修や教育にも時間と費用が必要となり、企業にとっては追加のコスト負担となります。
2D環境とのやりとりが苦手
3D CADは、2D環境とのやりとりが難しい場面があります。
3D CADと2D CADは異なるファイル形式やデータ構造を持っている場合があり、これが互換性の問題を引き起こすことがあります。
ほかにも、3D CADでは立体的な情報が2D CADよりも豊富に含まれていますが、2D 環境で利用される構造や寸法などの情報は、3D CADでそのまま利用できない場合が多いです。このため、設計情報の一部が失われたり、再構成が必要となる場合があります。
CAD(キャド)の活用例
3D CADには、さまざまなメリットと、いくつかの問題点があることがわかりました。
次に、CADの活用事例をみていきましょう。
以下の3つは、それぞれの業界などでのCADの活用事例です。
- 建築業界でのCAD活用
- 機械設計でのCAD活用
- 電子回路設計でのCAD活用
これら活用事例を参考に、CADがどのように利用されているかみていきましょう。
建築業界でのCAD活用
建築業界では、おもに以下のようにCADが活用されています。
- 設計プロセスの支援
- 3Dモデリングとビジュアライゼーション
- 設計の精度向上
- 設計変更の柔軟性
- 施工図の作成
建築家や設計者は、CADソフトウェアを使用して、建物の平面図・断面図・立体図・詳細図などを作成し、建物の形状や構造を設計します。CADを使用することで、建物のデザインを簡素化し、設計プロセスを迅速化することが可能です。
ほかにも、建物の3Dモデルを作成して視覚化することで、建物の外観や内部空間をリアルな3Dモデルとして表示して、クライアントや関係者に視覚的に提案ができます。
CADを使用すれば、寸法や角度を正確に指定することができ、建物の詳細な設計が可能となり精度が向上します。
さらに、CADを使用して設計の異なるバージョンやオプションを簡単に作成することができ、比較検討が容易になります。
建築業者や工事業者は、CADソフトウェアを利用して、建物の詳細な施工図を作成することが可能です。
CADを利用して施工図の作成すれば、施工図の正確性や完全性が向上し、建設プロセスの効率がかはかれるでしょう。
機械設計でのCAD活用
機械設計でのCAD活用は非常に重要で、活用方法はおもに以下のようなものがあります。
- 製品設計
- 3Dモデリング
- 部品ライブラリの管理
- 製造図面の作成
機械エンジニアは、CADソフトウェアを使用して、部品やアセンブリの3Dモデルを作成して設計図を作成します。CADを使用することで、設計プロセスが効率化され、設計の精度が向上します。
CADを使用して3Dモデルを作成することで、設計者は、製品の形状や構造をリアルな3Dモデルとして確認することが可能です。
3Dモデルで確認できれば、設計内容の詳細を確認することができ、ほかにも、部品の組み立てや動作を事前に確認しながら設計の検証を行うこともできるでしょう。
機械設計では、3Dモデルを使用して、部品やアセンブリのライブラリを管理します。設計者は、CADを使用して標準部品やカスタム部品のライブラリを作成し、再利用可能な部品の効率的な管理が可能です。
ほかにも、部品やアセンブリの詳細な製造図面を作成して製造プロセスを明示することで、この製造プロセスが効率化され製品の品質が向上します。
電子回路設計でのCAD活用
電子回路設計では、CADを使用して、プリント基板の設計などを行います。
以下は、電子回路設計での、おもな活用方法です。
- 回路設計
- シミュレーションと解析
- プリント基板設計
- 部品管理とライブラリ管理
- 設計変更の管理
電子エンジニアは、CADソフトウェアを使用して、回路図を作成した上で電子部品を配置し、配線を結線します。CADを使用して回路図を作成することで、回路設計のプロセスが効率化され、設計の精度が向上します。
CADソフトウェアを使用すれば、回路の動作をシミュレートして電圧や電流、信号の波形などの分析が可能です。ほかにも、回路の安定性や信頼性、耐性などの評価もできます。
電子エンジニアは、CADソフトウェアを使用してPCBのレイアウトを作成して電子部品を配置し、配線をルーティングします。CADを活用すれば、PCBの設計の効率化ができるため、配線の最適化やノイズの低減などが可能です。
設計者は、標準部品やカスタム部品のライブラリを作成して、再利用可能な部品を効率的に管理できるため、設計の一貫性が確保されて設計の効率が向上できます。
CADソフトウェアを使用して、設計変更の影響を容易に評価でき、必要に応じて設計を変更することが可能です。また、設計変更の履歴を追跡し、設計の一貫性を確保することもできます。
3DCAD(キャド)を導入する際の注意点
CADは、さまざまな業界で活用されていることがわかりましたが、どのような点に注意して活用すると良いのでしょうか。
ここでは、3D CADを導入する際の注意点を以下二つ、解説します。
- リソースと体制の整備
- トレーニングと教育
それぞれみていきましょう。
リソースと体制の整備
3D CADを導入する際には、リソースと体制の整備を行う必要があります。
適切な人材を配置して、役割と責任を明確に定義することが重要です。設計者や管理者などの必要な役割を適切に割り当てて、チームのコミュニケーションが活発に行われるようにしましょう。
また、CADの専門家や技術者を配置して、システムのサポートやトラブルシューティングを行う体制を整える必要があります。
トレーニングと教育
トレーニングと教育を行うのは、3D CADを導入するために必要です。
3D CADを導入する前に、適切なトレーニングプログラムを導入する必要があります。
CADソフトウェアのベーシックな操作方法から、高度な機能やツールの使い方まで、従業員が必要な知識とスキルを身につけるためのトレーニングプログラムを用意しましょう。
また、従業員のスキルや経験レベルに合わせて、トレーニングプログラムを柔軟に調整することも必要です。初心者向けの基本的なトレーニングから、上級者向けの応用トレーニングまで、幅広いレベルに対応できるようにします。
まとめ
CADは、コンピューターを使用して製品や建物などの設計を行うための技術やソフトウェアのことで、2D CADや3D CADなどさまざまな種類があります。2D CADはおもに平面図を作成するために、3D CADは立体的な形状や物体の詳細なモデルを作成するために利用することが可能です。
3D CADは、設計の効率化や正確な図面作成ができるなどのメリットがあり、多くの業界で活用されています。ただし、初期費用や研修などにコストがかかったり、2D CADとの連携がうまくいかないなどの問題点もあるため、注意が必要です。
CADは、建築業界・機械設計・電子回路設計などで、その特徴をそれぞれ活かして活用されています。
このように、多くの業界で利用されているCADですが、実際にどのように活用すればよいかわからないこともあるでしょう。CADの活用方法に迷ったときは、CADに多くの知見を持つ、株式会社Jiteraへご相談ください。
CADを活用してどのようなことをしたいかをヒアリングさせていただき、適切なCADの活用方法をご提案させていただきます。