SCMは、製品やサービスの生産から配送・販売・顧客サービスまでの全体的なプロセスを、統合的に管理するアプローチや方法論のことを指します。
この記事では、SCMの基本的な内容・仕組み、ERPとの違いを解説していたり、ほかにもおすすめなSCMツールも紹介しています。
この記事を読んで、SCMの基本を理解して、自社へのSCMの導入検討の参考にしてください。
2014年 大学在学中にソフトウェア開発企業を設立
2016年 新卒でリクルートに入社 SUUMOの開発担当
2017年 開発会社Jiteraを設立
開発AIエージェント「JITERA」を開発
2024年 「Forbes 30 Under 30 Asia 2024」に選出
SCMとは何か?
SCM(Supply Chain Management)(サプライチェーンマネジメント)の略で、サプライチェーン管理と呼ばれます。
製品やサービスの生産から配送・販売・顧客サービスまでの全体的なプロセスを、統合的に管理するアプローチや方法論のことを指します。
ここでは、SCMの定義やおもな機能を、以下の項目に分けて解説します。
- SCMの定義
- SCMのおもな機能
それぞれみていきましょう。
SCMの定義
SCMは、製品やサービスの供給過程を効率的に計画・管理・制御するための情報システムです。
企業が原材料の調達から製品の製造、最終的な製品やサービスの顧客への提供までの全体的な流れを最適化・効率化することを目指します。
このような動きで、在庫を最小限に抑えながら製品効率を向上させ、コストを削減して商品のサイクルタイムを短縮して、顧客サービスを向上させることが可能です。
SCMは、情報技術やコミュニケーション技術を活用し、製造業やサービス業などさまざまな業界で利用されています。SCMを活用すれば、企業は市場の変化や需要の変動に柔軟かつ迅速に対応でき、競争力を維持・向上させることができます。
SCMの主な機能
SCMは、製品やサービスの供給過程を効率的に計画・管理・制御するものであることがわかりました。
このSCMには、どのような機能があるのでしょうか。
ここでは、SCMのおもな機能を、以下5つの項目に分けて解説します。
- 需要予測
- 在庫管理
- 仕入れ管理
- 生産計画
- ロジスティクス管理
それぞれみていきましょう。
需要予測
SCMは、顧客の需要を予測し、それに基づいて生産計画や在庫管理を行います。
需要予測の向上により、在庫を最適化して生産リソースを効率的に活用します。SCMを活用すれば、在庫切れのない販売管理を行うことができるでしょう。
在庫管理
在庫管理は、SCMのおもな特徴の一つです。
在庫の最適化とコストの最小化を目指し、適切な在庫レベルを維持しながら、品切れや過剰在庫を防ぎます。在庫管理ができれば、商品のムダをなくし、コスト削減が実現できるでしょう。
仕入れ管理
SCMでは、仕入れ管理を行うことができます。
サプライヤーとの協力関係を強化して、コスト削減を実現します。適切なサプライヤーを選定し、信頼性や品質などの基準に基づいて、サプライヤーの評価が可能です。
生産計画
生産計画は、SCMのおもな機能の一つです。
製造プロセスの計画・監視・調整を行います。生産ラインの効率性や生産品質の向上に焦点を当てて管理し、生産プロセスを最適化して効率を向上させます。
ロジスティクス管理
SCMは、ロジスティクス管理で、輸送や配送を最適化して運送コストを削減します。
製品の効率的で迅速な輸送と配送を確保します。さらに、物流ネットワークを最適化することで、運用コストの最小化の実現が可能です。
SCMの役割
SCMは、製品やサービスの生産から配送・販売・顧客サービスまでの全体的なプロセスを、統合的に管理するシステムであることがわかりました。
では、SCMの役割は、どのようなものがあるのでしょうか。
ここでは、SCMの役割を、以下の項目に分けて解説します。
- サプライチェーンの効率化
- リスク管理
それぞれみていきましょう。
サプライチェーンの効率化
SCMの役割の一つとして、サプライチェーンの効率化があります。
サプライチェーン全体を統合的に管理することで、企業の効率性を向上させ、さまざまな利点を提供します。
具体的には、以下のようなものです。
- 需要の調整と最適化
- 効率的な調達とサプライヤー管理
- 生産プロセスの最適化
- 在庫管理の最適化
- 物流と配送の効率化
- データ分析と情報共有
- 品質管理と品質向上
SCMは需要予測をもとに生産計画や調達計画を調整して、在庫の最適化をはかります。サプライヤーとの協力を確保して、調達コストの最小化が可能です。
SCMは、生産計画を最適化し、生産ラインの効率を向上させます。
在庫管理では、在庫レベルの最適化を通じて在庫コストを最小限に抑えつつ、需要に応じた供給を確保します。物流ネットワークを最適化して、迅速でコスト効果の高い輸送と配送の実現が可能です。
SCMは大量のデータ分析をし、リアルタイムな情報共有を通じて意思決定をサポートします。品質管理では、サプライヤーとの協力や品質基準の厳守をして、不良品の発生を最小限に抑えます。
これらの役割をSCMを適切に果たすことで、企業は生産性の向上・コスト削減・迅速な市場対応・カスタマーサービスの向上などのメリットを享受できます。
リスク管理
SCMは、リスク管理の観点からも重要な役割を果たします。
サプライチェーン全体にわたる複雑なネットワークや、多岐にわたるプロセスにおいては、さまざまなリスクが存在しそれを適切に対処することが重要です。
以下は、SCMがリスク管理で果たす、おもな役割です。
- サプライヤーリスクの評価
- サプライチェーン透明性の向上
- 需給の調整と柔軟性の向上
- サプライチェーン内のリスク評価
- コンティンジェンシープランの策定
- 法的及び規制コンプライアンス
- サイバーセキュリティの管理
SCMはサプライヤーとの協力を通じて、サプライヤーの信頼性や安定性を評価します。リアルタイムなデータに基づいてサプライチェーンの状態を把握することで、問題が発生した際に迅速に対処が可能です。
SCMは、需要予測と生産計画の柔軟性を向上させて、市場の変動に迅速に対応できるため、無駄な生産を抑えたりコスト削減へ繋げられます。
リスク評価として、物流リスク・生産リスク・品質リスクなどに対する対策を検討し、リスクの最小化をはかります。仮にリスクが発生しても、事前にコンティンジェンシープランを策定指定おくことで、緊急事態が起きても対応が可能です。
SCMでは、サプライチェーン全体で、法的及び規制要件にコンプライアンスがあることを確認できます。セキュリティ面でも、システムやデータのセキュリティを確保し、サイバー攻撃からのリスクを最小化します。
これらの役割をSCMが適切に果たすことで、企業はサプライチェーンにおけるさまざまなリスクに対して強固な体制を築けるため、ビジネスの持続性の確保が可能です。
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SCMとERPの違い
SCMの役割には、サプライチェーンの効率化・リスク管理などさまざまな役割があることがわかりました。
ここで、ERPとの違いをみていきたいと思います。
ERP(Enterprise Resource Planning)(エンタープライズ・リソース・プランニング)は、組織全体の業務プロセスを統合的かつ効果的に管理するための情報システムを指します。
ここでは、SCMとERPの関連性やその違いを、以下の項目に分けて解説します。
- ERPとの関連性
- 主な違い
それぞれみていきましょう。
ERPとの関連性
ERPは、企業全体の業務プロセスを統合的に管理するシステムであり、SCMはサプライチェーン内の物流や供給関連プロセスを特に対象としたシステムです。
以下は、SCMとERPとの関連性となるおもなポイントです。
- 統合性と一元管理
- サプライチェーンの可視性
- 調達と供給チェーンの統合
- データの一貫性と正確性
- 効率的な業務プロセス
ERPは、組織内の異なる機能や部門を一元的に統合して、リアルタイムでデータを共有します。
SCMもまた、サプライチェーン全体の異なるプロセスやステークホルダーを統合的に管理します。両者が組み合わさることで、企業は内外の情報を一元的に把握できるため、効率的な意思決定が可能です。
SCMはサプライチェーン全体を透明化し、供給ネットワーク全体の動向やリアルタイムなデータを可視化します。ERPもまた、企業内のさまざまな機能やプロセスを透明にして、関係者が必要な情報にアクセスできるようにします。
SCMとERPの透明化により、企業はサプライチェーン全体を把握しやすくなるでしょう。
このように、SCMとERPが連携することで、企業は内外のプロセスをより効率的に管理し、サプライチェーン全体の効率を向上させることができます。
主な違い
SCMとERPは、それぞれが企業の経営資源を管理し効率的に活用するための役割を果たしますが、さまざまな違いがあります。
これらの違いを以下の表にまとめてみました。
SCM | ERP | |
対象となる焦点 | 企業のサプライチェーン全体に焦点を当てる | 企業内のさまざまな機能やプロセスへ焦点を当てる |
プロセス範囲 | サプライチェーン内のプロセスに焦点を当てる | 広範囲な業務領域を対象にしてプロセス改善を行う |
統合する対象 | サプライチェーン内での連携を最適化し、サプライチェーン全体の透明性の向上をはかる | 企業内全体の統合をはかり、さまざまな部門やプロセスを統合し一元的なデータを提供する |
対象となるデータ | サプライチェーンにおける物流・在庫・生産計画・調達などのデータに焦点を当てる | 企業全体にわたる様々な機能のデータを統合し、財務データ・人事データ・生産データなどが含まれる |
総じて、SCMとERPは企業内外の異なるニーズに対応するために、それぞれ異なる焦点や範囲を持っています。
企業には、SCMとERPを統合して、利点を最大限に引き出すことが求められるでしょう。
SCMの選び方とおすすめツール
SCMとERPは、それぞれが企業の経営資源を管理し効率的に活躍するための役割を果たし、異なる焦点や範囲を持っていることがわかりました。
次に、SCMの選び方とおすすめツールを、以下の項目に分けて解説します。
- SCMの選び方
- おすすめのSCMツール5選
それぞれみていきましょう。
SCMの選び方
SCMにはさまざまなものがありますが、以下のポイントを考慮して選ぶとよいでしょう。
- 企業のニーズ
- インテグレーション
- カスタマイズ性
それぞれ解説します。
企業のニーズ
SCMを選ぶ際は、企業のニーズを明確にすることが重要です。企業が直面している具体的な課題やニーズを明確にしましょう。
在庫の最適化・物流効率の向上・サプライヤーとのコラボレーション強化など、課題やニーズはさまざまです。
これらニーズをしっかりと把握しておけば、SCMの選択肢を評価する際に、重要な機能や必要とする情報を特定しやすいでしょう。
インテグレーション
SCMは、企業内のさまざまな機能や部門と密接に連携する必要があります。
インテグレーションを確保できれば、調達・生産・在庫管理・財産などのプロセスを一元的に統合し、データの一貫性を維持できるでしょう。
データの一貫性を維持することで、異なる部門間での情報のやり取りがスムーズに行われ、全体の効率が向上します。
カスタマイズ性
SCMを選ぶ際に、カスタマイズ性があるかどうかは、重要な要素の一つです。
さまざまなモジュールや機能を柔軟に組み合わせてカスタマイズできるかどうかを確認しましょう。企業が必要に応じてモジュールを追加・削除し、調整できることが重要です。
モジュールだけでなく、ワークフローのカスタマイズができることもSCMを選ぶ際の項目の一つです。企業は、独自の業務プロセスや手順に合わせて、ワークフローを調整する必要があります。
おすすめのSCMツール5選
SCMにはさまざまなツールがありますが、ここでは以下5つのツールを紹介します。
- SAP Integrated Business Planning
- Oracle SCM Cloud
- IBM Sterling Supply Chain Suite
- Kinaxis RapidResponse
- Blue Yonder
それぞれ特徴的なツールばかりであるため、その特徴を掴んで、自身にあったツールを選んでください。
SAP Integrated Business Planning
出典:https://www.sap.com/japan/products/scm/integrated-business-planning.html
SAP Integrated Business Planning(SAP IBP)は、クラウドベースのサプライチェーンプランニングソリューションです。
サプライチェーンの監視・販売・業務計画・需要管理・在庫計画・共有計画を統合したシステムです。
このツールは企業が売上と収益を予測して在庫を計画し、サプライチェーンのボトルネックを予測できるため、さまざまなリスクに対処ができます。
Oracle SCM Cloud
出典:https://www.oracle.com/jp/scm/
Oracle SCM Cloud は、Oracle が開発したクラウドベースのアプリケーションで、Oracle Function Cloudと呼ばれるクラウド環境で提供されています。
サプライチェーンと製造プロセスを結びつけて、リアルタイムの可視性を提供します。
IBM Sterling Supply Chain Suite
出典:https://www.ibm.com/jp-ja/products/supply-chain-intelligence-suite
IBM Sterling Supply Chain Suiteは、人工知能(AI)とブロックチェーンを組み込んだオープンで統合されたプラットフォームです。
AIを活用して、サプライチェーンの状況を素早く測定し、さまざまな問題を解決します。
Kinaxis RapidResponse
出典:https://www.kinaxis.com/ja/solutions/platform
Kinaxis RapidResponseは、SCMとオペレーションプランニングのための、クラウドベースのプラットフォームです。
サプライチェーンに散財する情報を統合して可視化し、需給の急激な変動に反応して異常を瞬時にアラートし、迅速な意思決定と対応を支援します。
Blue Yonder
出典:https://blueyonder.com/jp/ja/
Blue Yonderは、業界をリードするAI・機械学習の機能を活用して例外的なデータや異常なデータを自動的に検知し、リスクを早期に特定することができます。
大量のデータから、AIや機械学習などの技術を活用して、サプライチェーンのデジタル化と近代化を支援しています。
Jiteraでは、企業のサプライチェーンの特性に合わせたカスタマイズ性の高いSCMシステムを開発することができます。
JiteraのSCMシステム開発の強み
- 企業のサプライチェーン全体を最適化する機能の実装
- 既存のERPやその他業務システムとのスムーズな連携
- AI技術を活用した高度な需要予測や在庫最適化機能
- セキュリティとコンプライアンスを重視した信頼性の高いシステム
独自のSCMシステムを導入することで、自社のサプライチェーンに特化した機能により、リードタイムの短縮や在庫コストの削減、需給バランスの最適化を実現できます。また、AIによる需要予測の高度化や、サプライチェーン全体の可視化により、市場の変化に迅速に対応し、競争優位性を確保することが可能となります。
Jiteraの開発力を活かせば、理想のSCMシステムを低コストかつスピーディーに構築し、早期の投資回収と業績向上が期待できます。
サプライチェーンの効率化とリスク管理の高度化を通じて、強靭で競争力のあるサプライチェーンを目指すなら、ぜひJiteraにシステム開発をご相談ください。
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サプライチェーン管理システムのまとめ
SCMは、製品やサービスの生産から配送・販売・顧客サービスまでの全体的なプロセスを、統合的に管理するアプローチや方法論のことをいいます。
需要予測・在庫管理・仕入れ管理・生産計画など、製品やサービスの生産から配送・販売・顧客サービスまでの全体的なプロセスを統合的に管理します。
SCMと似たようなシステムにERPがありますが、SCMとERPをうまく連携して活用できれば、企業の内外のプロセスを効率的に管理し、サプライチェーン全体を向上することができるでしょう。
サプライチェーン管理システムは、さまざまなツールがあり、それぞれ特徴が違います。このようなツールを選ぶのに困ることがあれば、株式会社Jiteraにご相談ください。
SCMを活用して、どのように改善していきたいかをヒアリングさせていただき、その内容に応じて最適なアドバイスをさせていただきます。