紙の書類をデジタルデータ化したいけれど、システム開発は社内にリソースや体制がないとお悩みではありませんか。
そんな方におすすめしたいのが、無料で使えるOCRフリーソフトです。
OCRフリーソフトを使えば、スキャナーで取り込んだ紙の書類を、簡単にテキストデータ化することができます。
この記事では、OCR技術の基本と仕組みやOCRフリーソフトの選び方、おすすめOCRフリーソフト15選やOCR技術の活用方法とメリットを解説していきます。
ぜひ、参考にしてみてください。
2014年 大学在学中にソフトウェア開発企業を設立
2016年 新卒でリクルートに入社 SUUMOの開発担当
2017年 開発会社Jiteraを設立
開発AIエージェント「JITERA」を開発
2024年 「Forbes 30 Under 30 Asia 2024」に選出
OCR技術の基本と仕組み
まずは、OCR技術の基本と仕組みについて、わかりやすく解説していきます。
OCRとは
OCRとは、Optical Character Recognitionの略で、日本語では「光学式文字認識」と呼ばれます。紙の書類や画像に印字された文字を、コンピュータが読み取る技術です。
OCR技術は、紙の書類をデジタルデータ化するために広く利用されています。デジタルデータ化された書類は、コンピュータで検索したり、編集したり、他のアプリケーションで利用したりすることができます。
・OCR技術の基本的なプロセス
OCR技術は、以下の3つのステップで構成されています。
1. 画像処理
紙の書類や画像をコンピュータに取り込む際に、画像処理を行います。
画像処理では、画像のノイズを取り除いたり、文字を強調したりするなどの処理を行います。
2. 文字認識
画像処理によって処理された画像から、文字を認識します。文字認識では、文字の形状や特徴を分析して、文字を識別します。
3. テキスト出力
文字認識によって識別された文字を、テキストとして出力します。
テキスト出力では、文字コードに変換したり、文字の配置を調整したりするなどの処理を行います。
OCR技術の進化
OCRは、1960年代に開発されました技術です。
当初は、単純な文字の認識にしか対応していませんでしたが、近年では、複雑な文字や手書き文字の認識にも対応できるようになりました。
OCR技術の進化には、コンピュータの性能向上や人工知能(AI)が大きく貢献しています。
・AIの活用による進化
AIの活用により、OCR技術は大きく進化しました。AIは、画像の特徴を分析する能力に優れているため、複雑な文字や手書き文字の認識に有効です。
例えば、AIを活用したOCR技術では、以下のようなものが可能になっています。
- 斜めや歪んだ文字の認識
- 文字の欠けや汚れがある文字の認識
- 手書き文字の認識
AIの活用により、OCR技術の精度はさらに向上し、さまざまな場面で活用されるようになっています。
OCRフリーソフトの選び方
次に、OCRフリーソフトを選ぶ際のポイントと、それぞれのソフトが提供する機能について解説していきます。
フリーソフト選定のポイント
OCRフリーソフトは、数多くの種類がリリースされています。
その中から、自社に最適なソフトを選ぶためには、以下のポイントを押さえておきましょう。
・対応するファイル形式
OCRフリーソフトは、対応するファイル形式が異なります。
PDF、画像、スキャン画像など、対応するファイル形式を確認しておきましょう
・対応する言語
OCRフリーソフトは、対応する言語が異なります。
日本語、英語、中国語など、対応する言語を確認しておきましょう。
・文字認識精度
OCRフリーソフトの文字認識精度は、ソフトによって異なります。
事前に無料体験版などを利用して、文字認識精度を確認しておきましょう。
・機能
OCRの機能は、大きく分けて以下の3つに分けられます。
1. 文字認識機能
OCRの基本機能である、画像やPDFなどの中から文字を認識してテキストデータに変換する機能です。文字認識精度が最も重要な機能です。
2. 文字編集機能
認識されたテキストを編集する機能です。文字の修正や追加、削除などを行うことができます。
3. データ変換機能
認識されたテキストを、CSVやExcel、Wordなどのデータ形式に変換する機能です。データベースやアプリケーションで活用するために使用します。
また、OCRの機能は、OCRソフトの種類によっても異なります。OCRソフトには、以下の3つの種類があります。
・汎用OCR
さまざまなファイル形式に対応し、基本的なOCR機能を備えたソフトです。
・専門OCR
特定のファイル形式や用途に特化したソフトです。たとえば、通帳や領収書などの帳票類を読み取るためのソフトや、画像やPDFから文字を抽出するためのソフトなどがあります。
・AI-OCR
AIを活用することで、従来のOCRソフトよりも高い文字認識精度を実現したソフトです。
OCRの機能を比較する際には、自社の利用目的や用途に合わせて、必要な機能を備えたソフトを選ぶことが大切です。
用途に合わせたソフトの選び方
OCRフリーソフトは、さまざまな用途に応じて活用できます。
用途に合わせたソフトを選ぶことで、より効果的に活用することができます。
PDF変換
PDF変換を主な目的とする場合は、以下の点に注意してソフトを選びましょう。
- PDFの解像度やフォントサイズを調整できる機能があるかどうか
- PDFを他のファイル形式に変換できるかどうか
PDFの解像度やフォントサイズを調整できる機能があれば、読み取りづらいPDFでも、読み取りやすくすることができます。
また、PDFを他のファイル形式に変換できる機能があれば、PDFをワードやエクセルなどのファイル形式に変換して、編集や加工をすることができます。
画像認識
画像認識を主な目的とする場合は、以下の点に注意してソフトを選びましょう。
- 画像の画質や明るさを調整できる機能があるかどうか
- 画像に写っている文字の種類を指定できるかどうか
画像の画質や明るさを調整できる機能があれば、読み取りづらい画像でも、読み取りやすくすることができます。
また、画像に写っている文字の種類を指定できる機能があれば、特定の文字だけを読み取ることができます。
翻訳
翻訳を主な目的とする場合は、以下の点に注意してソフトを選びましょう。
- 翻訳する言語を自由に選択できるかどうか
- 翻訳精度が高いかどうか
翻訳する言語を自由に選択できる機能があれば、さまざまな言語の翻訳に利用することができます。
また、翻訳精度が高いソフトを選ぶことで、より正確な翻訳をすることができます。
お気軽にご相談ください!
おすすめのOCRフリーソフト15選
ここからは、おすすめのOCRフリーソフトを15選ご紹介していきます。
Googleドライブ
Googleドライブは、Googleが提供するクラウドストレージサービスです。
画像やPDFファイルをGoogleドライブにアップロードすると、OCR処理を行うことができます。OCR処理は、クラウド上で行われるため、インストール不要ですぐに利用できます。
項目 | 内容 |
サービスURL | Googleドライブ |
Microsoft OneNote
Microsoft OneNoteは、Microsoftが提供するメモ帳アプリです。
手書きメモや画像をデジタルデータとして保存できます。OCR処理も可能で、OCR処理したテキストはOneNoteのテキストエディタで編集できます。
項目 | 内容 |
サービスURL | Microsoft OneNote |
EasyOCR
EasyOCRは、Python製のオープンソースのOCRソフトウェアです。
日本語を含む14言語の文字認識に対応しており、インストールが簡単で商用利用も可能なのが特徴です。
項目 | 内容 |
サービスURL | EasyOCR |
Picwish
Picwishは、AI技術を活用した画像編集・加工サービスです。画像からテキストを抽出できるOCR機能も提供しています。
画像に含まれるテキストをテキスト形式で抽出し、コピーや保存することができます。
PicWishのOCR機能は、25言語に対応しており、高精度なテキスト抽出が可能なのが特徴です。
項目 | 内容 |
サービスURL | Picwish |
LightPDF
LightPDFは、オンラインPDFファイルの編集や変換を行うためのツールです。
OCR処理機能も搭載しています。OCR処理後に、PDFファイルの編集も可能です。
項目 | 内容 |
サービスURL | LightPDF |
OCR.Space
OCR.Spaceは、オンラインでOCRを行うことができるサービスです。
画像やPDFファイルからテキストを抽出し、テキスト形式に変換することができます。
項目 | 内容 |
サービスURL | OCR.Space |
i2OCR
i2OCRは、オープンソースのOCRソフトウェアです。
日本語のOCR精度が高いのが特徴です。複数言語のOCRにも対応しています。
項目 | 内容 |
サービスURL | i2OCR |
PDFMate PDF Converter
PDFMate PDF Converterは、PDFをさまざまなフォーマットに変換することができるソフトです。
紙の文書やレシートなどをスキャンして画像ファイルからテキストに変換することもできます。
項目 | 内容 |
サービスURL | PDFMate PDF Converter |
NewOCR.com
NewOCR.comは、無料で利用できる高度なOCRオンラインサービスです。
対応言語が非常に多く、さまざまなファイル形式に対応しています。
項目 | 内容 |
サービスURL | NewOCR.com |
OCRConvert.com
OCRConvert.comは、PDF やJPEG をテキストに変換し、スキャンした画像を編集可能なテキストドキュメントに
変換できる無料のオンラインOCR サービスです。テキストを Wordドキュメントの形式でダウンロードすることができます。
項目 | 内容 |
サービスURL | OCRConvert.com |
Renee PDF Aide
Renee PDF Aideは、PDFファイルの編集や変換を行うためのツールです。
OCR処理機能も搭載しています。OCR処理後に、PDFファイルの編集も可能です。
項目 | 内容 |
サービスURL | Renee PDF Aide |
FreeOCR
FreeOCRは、オープンソースのOCRソフトウェアです。
テキストや数値、コードなどのさまざまな種類のテキストを認識することができ、使いやすいインターフェースを備えています。
項目 | 内容 |
サービスURL | FreeOCR |
QuickOCR
QuickOCRは、シンプルな操作でOCR処理を行うことができるOCRフリーソフトです。
画面に表示されているデータを領域選択してOCRでき、日本語と英語に対応しています。
項目 | 内容 |
サービスURL | QuickOCR |
Boxoft Free OCR
Boxoft Free OCRは、オープンソースのOCRソフトウェアです。Windows、Mac、Linuxで利用できます。
さまざまな種類のテキストを認識でき、高精度の認識を実現しています。
項目 | 内容 |
サービスURL | Boxoft Free OCR |
gImageReader
Google Cloud Platformで利用できるOCRサービスです。
画像やPDFファイルからテキストを抽出したり、翻訳したりすることができます。使いやすいAPIも備えています。
項目 | 内容 |
サービスURL | gImageReader |
・OCRフリーソフト 機能比較表
ソフト名 | 特徴 | 対応OS |
Googleドライブ | クラウドサービスで利用できるため、インストール不要ですぐに利用できる。画像のアップロードだけでOCR処理が可能 | Windows、Mac、Android、iOS |
Microsoft OneNote | 手書きメモや画像をデジタルデータとして保存できる。OCR処理も可能 | Windows、Mac、Android、iOS |
EasyOCR | 日本語を含む14言語の文字認識に対応しており、インストールが簡単で商用利用も可能 | Windows、Mac |
Picwish | 画像に含まれるテキストをテキスト形式で抽出でき、コピーや保存可能 | Windows、Mac、Android、iOS |
LightPDF | PDFファイルの編集や変換にも対応。OCR処理機能も搭載。OCR処理後に、PDFファイルの編集も可能 | Windows、Mac、Android、iOS |
OCR.Space | 画像やPDFファイルからテキストを抽出し、テキスト形式に変換できる | Windows、Mac、Android、iOS |
i2OCR | 日本語のOCR精度が高い。複数言語のOCRにも対応 | Windows、Mac |
PDFMate PDF Converter | 画像からテキストに変換することができる | Windows、Mac |
NewOCR.com | 対応言語が非常に多く、さまざまなファイル形式に対応 | Windows、Mac、Android、iOS |
OCRConvert.com | テキストを Wordドキュメントの形式でダウンロード可能 | Windows、Mac、Android、iOS |
Renee PDF Aide | PDFファイルの編集や変換に対応。PDFファイルの編集も可能 | Windows |
FreeOCR | テキストや数値、コードなどのさまざまな種類のテキストを認識可能 | Windows |
QuickOCR | シンプルな操作でデータの領域を選択可能 | Windows |
Boxoft Free OCR | さまざまな種類のテキストを認識でき、高精度の認識を実現 | Windows |
gImageReader | 使いやすいAPIを備えています | Windows |
OCR技術の活用方法とメリット
ここでは、OCR技術の活用方法とメリットについて解説していきます。
OCR技術は、さまざまな場面で活用されています。ビジネスでは、書類のデジタル化やデータ入力の効率化、言語の翻訳などに利用されています。日常生活では、レシートや領収書の管理や画像検索などに役立ちます。
OCR技術を効果的に活用するためには、以下のポイントを押さえることが大切です。
・OCR精度の確認
OCR精度とは、OCR処理によって正しく認識される文字の割合のことです。
OCR精度が高いほど、より正確なテキストデータに変換できます。OCRフリーソフトを選ぶ際には、OCR精度を必ず確認しましょう。
・画像の準備
OCR処理を行う画像は、文字がはっきりと読み取れる状態になっている必要があります。
画像がぼやけていると、OCR精度が低下します。OCR処理を行う前に、画像の明るさやコントラストを調整しておきましょう。
・OCR処理の設定
OCR処理の設定によっては、OCR精度や処理速度に影響を与える場合があります。
OCR処理の設定を調整することで、より効果的にOCR技術を活用することができます。
OCR技術の活用シナリオ
OCR技術を活用する具体的なシナリオと、それによる業務の効率化や時間節約の方法をご紹介します。
PDF変換
紙の書類をPDF形式に変換することで、保管や共有が容易になります。また、PDF形式の書類は、検索や編集がしやすいというメリットもあります。
OCR技術を利用すれば、紙の書類を簡単にPDF形式に変換することができます。
例えば、以下のようなシナリオが考えられます。
- 会社で保管している古い書類を、PDF形式に変換して、社員が簡単に閲覧できるようにする
- 取引先から送付された書類を、PDF形式に変換して、すぐにデータ入力できるようにする
画像認識
画像に含まれる文字をテキストデータに変換することで、画像検索やデータ入力の効率化につながります。
例えば、以下のようなシナリオが考えられます。
- レシートや領収書をOCR技術でデータ化することで、家計簿や経費精算の時間を短縮する
- 商品のバーコードをOCR技術で読み取ることで、商品情報を簡単に検索する
翻訳
OCR技術で紙の書類をデジタルデータに変換し、翻訳ソフトで翻訳することで、言語の壁を越えたコミュニケーションを実現することができます。
例えば、以下のようなシナリオが考えられます。
- 海外の取引先から送付された書類を、OCR技術で翻訳することで、すぐに内容を理解する
- 外国語で書かれた資料を、OCR技術で翻訳することで、効率的に学習する
OCR技術を活用した業務の効率化と時間節約
OCR技術を活用することで、以下のような業務の効率化や時間節約を図ることができます。
- 書類のデジタル化による保管や検索の効率化
- データ入力の効率化による業務の効率化
- 翻訳によるコミュニケーションの効率化
特に、紙の書類が多い企業や、海外との取引が多い企業では、OCR技術を活用することで、大きな効果を得ることができます。
OCR技術のメリット
次に、ビジネスにおけるOCR技術の導入のメリットをご紹介します。
OCR技術の導入には、さまざまなメリットがあります。主なメリットは以下の3つです。
1. 業務効率化
OCR技術を活用することで、手入力の作業を大幅に削減することができます。
例えば、書類の読み取りやデータ入力などの作業を自動化することで、業務効率を大幅に改善することができます。
2. データの蓄積・活用
OCR技術を活用することで、紙媒体のデータをデジタルデータとして蓄積することができます。
デジタルデータとして蓄積されたデータは、検索や分析が容易になり、データの活用範囲が広がります。
3. コスト削減
OCR技術を活用することで、手入力や紙媒体の保管にかかるコストを削減することができます。
例えば、書類の読み取りやデータ入力の作業を自動化することで、人件費や紙媒体の保管費を削減することができます。
まとめ:OCR技術でビジネスを変革
OCR技術は、ビジネスプロセスの変革に大きな可能性を秘めた技術です。
しかし、効果的に導入・活用するためには、以下の3つのポイントを押さえることが非常に重要です。
1. 自社の課題を明確にする
OCR技術を導入する前に、自社の課題を明確にしましょう。
OCR技術を活用することで、どのような業務の効率化やコスト削減が期待できるのかを考えましょう。
具体的には、以下のような観点で課題を整理するとよいでしょう。
- 業務のどの部分に課題があるか
- 課題の原因は何か
- OCR技術を活用することで、どのような効果が期待できるか
2. 適切なOCRフリーソフトを選ぶ
OCRフリーソフトには、さまざまな種類があります。
自社の課題やニーズに合ったOCRフリーソフトを選びましょう。
具体的には、以下のような観点でOCRフリーソフトを選びましょう。
- 対応する言語
- 対応する書類の種類
- OCR精度
- 操作性
3. 効果的な運用方法を検討する
OCRフリーソフトを導入したら、効果的な運用方法を検討しましょう。
OCR技術を活用した業務フローを整備し、社員への教育を実施しましょう。具体的には、以下のような観点で運用方法を検討してみてください。
- OCR処理を行う対象の書類を整理する
- OCR処理の流れを定義する
- 社員への教育を実施する
OCR技術の効果的な導入と活用により、ビジネスプロセスを以下のように変革することができます。
- 業務の効率化
- コスト削減
- データの可視化
- 意思決定のスピードアップ
OCR技術を活用することで、自社のビジネスをより効率的かつ効果的に運営することができるでしょう。
OCRの導入やビジネスでの活用方法など、詳しく知りたい方は、株式会社Jiteraにご連絡ください。
自社の課題やニーズに合わせて、ビジネスを成功に導くための提案が期待できます。