2024年4月5週目:社内で話題になった「生成AIトレンド・ニュース」

岩崎亮太

こんにちは!Jiteraの岩崎です。

今週もこの一週間で社内で話題になった生成AIトレンドについて説明します。今週からアメリカではNBAのプレイオフが始まりましたね!ということでアイキャッチもバスケの画像を作成してみました。

話題のAIベンチャー「Sakana AI」が画像生成AIを公開 “自律進化”技術で、推論速度が約10倍高速に

AIベンチャーのSakana AI(東京都港区)は4月22日、画像生成AI「EvoSDXL-JP」を公開しました。同社が提案する生成AIの開発手法「進化的モデルマージ」によって構築したAIモデルで、従来の日本語AIモデルと比べて10倍速く画像を生成できるらしいです。研究や教育目的のみで利用可能であり、HuggingFace上で公開中です。

進化的モデルマージとは、複数の基盤モデル(生成AIを含む、大規模なデータセットによる事前学習で各種タスクに対応できるモデルのこと)を組み合わせて新たなモデルを作る「マージ」に、進化的アルゴリズムを適用したものです。この技術によって、比較的少ない計算資源とデータで、指定した能力に長けた新しい基盤モデルを自動作成できます。

今回公開したEvoSDXL-JPでは、画像生成AIでよく使われている学習モデルである「拡散モデル」に対して、進化的モデルマージを適用しています。同社はこれまで、進化的モデルマージを使った言語生成AIを公開していましたが、画像生成AIの構築でも効率的な自動化に成功したらしいです。同社は「これは、進化的モデルマージの可能性が幅広いことを示している」と成果を説明しています。

実際に画像を生成してみました。以下は成功した画像の例です。まだまだ画像の精度にブレが大きく実用には程遠いですが画像の出力速度には目を見張るものがあります。皆さんも是非試してみてください。

「人間と一緒にサッカーをする犬」

「サイバーパンクの世界に迷い込んだ忍者」

 

生成AIとニュースの相性は最悪か最高か

生成AIは「ニュース産業にとって脅威」…90か国・地域の報道機関加盟の「国際ニュースメディア協会」の世界会議開催

世界約90か国・地域の報道機関が加盟する「国際ニュースメディア協会」(INMA、本部=米テキサス州)の世界会議が24日、ロンドンで開かれました。加盟各社の幹部らが参加し、特に生成AI(人工知能)など新しい技術の台頭への対応について議論されました。

議論の中では「デジタルの購読者は増えているが、広告量は減った。多くの変化が起きている」と語られており、会員対象の調査で生成AIについて「効率性や生産性を高める機会」との認識が広がる一方、「ニュース産業にとって脅威」とする回答も増えています。

というのも、偽情報が流布された場合には「主張が事実無根であることを報じなければいけない。誤情報が多いからと無視することは我々が必要とする読者サービスではない」と述べられています。このように外からの偽情報ももちろん重要ですが、一方で内部での偽情報に対しても警戒が必要です。特に生成AIの出力結果が(もっともらしい嘘を付く)ハルシネーションを生み出す可能性もあるのでやはり使用には慎重になっていますね。

経済情報特化の生成AI、日経が開発 40年分の記事学習

一方で日本経済新聞社は24日、経済情報に特化した生成AI(人工知能)の基盤技術を開発したと発表しました。大規模言語モデルと呼ばれるもので、約40年分の日経グループの新聞や雑誌の記事を学習させた。記事の要約機能などで活用を見込んでいます。

日経イノベーション・ラボは19年に言語モデルの研究を始め、著作権上の課題やAIがもっともらしく噓をつくハルシネーション(幻覚)の問題に対処する方法を探ってきました。

日経は「責任ある報道は人が担う」との方針を対外的に公表しており、新聞記事の作成や編集に生成AIを用いていません。23年11月に創刊したデジタル新媒体「Minutes by NIKKEI」では記事の要約や再構成にAIの技術を活用しているが、誇張や誤解が含まれないかを編集者が直接確認しているそうです。

このような限定的な資料の使い方では生成AIは大きな効果を生むかもしれません。

 

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生成AIに依存する企業は顧客離れに?

先ほど記述したニュースに対するAIの利用に関連して、だからこのような調査結果も出るのでしょうか?

ガートナー・ジャパンは生成AI頼りの顧客対応を続けると顧客離れを起こすとする予測を発表しました。生成AIの品質が未熟であることが理由です。

同社は、2027年までに生成AIに依存した顧客対応を続ける企業の80%で顧客離れが起きると予想しています。生成AIは、応答の信頼性などがまだまだ未熟で、もっともらしい内容を生成する恐れや倫理性など、信頼性に関して第三者視点で人間が評価する必要があると指摘しています。

池田武史氏は、「単にテクノロジーに頼った提供をすることで、顧客の不信や不満を増大させていないか慎重な提供が推奨される。企業が顧客向けのインタラクションのサービスを提供する際には、人間が直接対応しているのか、それとも生成AIによる対応なのかを明示し、ユーザーの期待値をコントロールすることが重要」と述べています。

また、顧客が機械の世界線も到来すると予想しています。コンピューター同士が商取引を行う世界のことであり、同社は「マシンカスタマー」と呼びます。池田氏は、「あらかじめ想定された範囲での製品やサービス調達など、理路整然とした交渉を行いやすい取引に関してシステム同士が直接交渉し、売買を行う仕組み」と解説しています。

 

AIに対するイメージ調査 「良い印象」が7割

楽天インサイトは、全国の20~69歳の男女を対象に「AIに関する調査」を実施しました。その結果、AIが自身の生活に関与することに対して「良い印象を持っている」人は合わせて70.8%と高い割合であったことが分かりました。

良い印象を持っていると答えた人の理由で最も多かったのは「時間短縮になるから」が53.8%、次いで「人間では起こり得るミスを減らすことができるから(データ入力での誤入力、文書作成での文法ミス、スペルミスなど)」が47.3%、「自分では見逃してしまうようなモノやコトを見つけてくれるから」が37.8%でした。

AIのイメージで最も多かったのは「効率的に作業を進めることができる」(43.1%)でした。次いで、「知りたい情報をすぐに教えてくれる」(35.7%)、「新たなビジネス機会の創出につながる」(29.6%)で、年代別でみると「セキュリティに懸念がある(AIの誤作動やハッキングなど)」と答えた人が40代以降増加する傾向が見られました。

AIが自身の生活に関与することに対し、どのように思うか(出所:プレスリリース、以下同)

また、AIに任せたほうが良いと思う業務と、人間が対応したほうが良いと思う業務をそれぞれ聞くと、AIに任せたほうが良いと思う業務1位は「製品の在庫管理」(53.7%)、2位は「経理処理」(52.3%)、3位は「資料作成」(52.1%)でした。

ここに対しても意思決定電話対応などは人間がやったほうが良いと思われている通り、やはりまだAIには人間の感情理解等は難しいのでしょうね。

AIに任せたほうが良いと思う業務、人間が対応したほうが良いと思う業務

 

生成AIに国際枠組み創設へ

岸田首相は、5月上旬に開かれる経済協力開発機構(OECD)の会合で、生成AI(人工知能)の規律と活用の両立に向けた国際枠組みの創設を表明する予定です。この会合では40か国以上の参加を見込んでおり、日本として国際ルール作りを主導する狙いがあります。以前、日米首脳会談のときにも記事にしましたが、発信者情報を明示するデジタル技術「オリジネーター・プロファイル(OP)」の有用性を示し、社会実装を進めるための支援も打ち出される予定です。

原案によると、国際枠組みの名称は「広島AIプロセス フレンズグループ」で、首相は「AIは人類全体に影響を及ぼす革新的技術で、多くの国が共通認識を持つことが重要だ」と呼びかけています。生成AIが保健医療や気候変動といった課題解決に貢献するとの期待を示しつつ、「偽情報のリスクといった影の側面とも戦わなければならない」と強調し、OECDの協力を要請する形です。

 

生成AIのビジネス活用が進み、国内AIシステム市場は2028年まで年平均30%で成長

国内におけるAIシステム市場の予測を発表した。2024年の成長スピードは一旦減速しつつも、2025年に再び成長率が上昇し、2023年~2028年の年間平均成長率は30.0%で推移、2028年には2兆5433億6200万円に達すると予測している。

「先進的な企業グループは、独自のAIモデル構築のための大規模な検証・実証など本格運用に向けた投資を加速させている。2023年時点では限定的な利用にとどまった企業グループにおいても、簡易なAIモデルの作成や生成AIを実装したアプリケーションの導入などが進み、需要がさらに高まることが見込まれる」(同社)。

2023年は、生成AIの商用化が本格的に進んだ。「生成AIの利用目的は、テキストや画像、動画生成、プログラミングコード生成など多岐にわたる。特に金融業、製造業、流通サービス業などで生成AIを活用した検証・実証が多く実施された。国内企業は生成AIに対する積極的な姿勢を示し続けており、関連の市場・業界の動きが活発化している」(IDC)。

「大手クラウドベンダーを中心に、生成AIサービス/大規模言語モデル(LLM)や、生成AIの構築・運用を支援するプラットフォームなどが相次いで発表されている。オープンソースのLLMも自社のプラットフォームで選択可能にする動きもある。ユーザー企業の側ではサービスやプラットフォームを自社での業務利用に合わせてカスタマイズして導入している。こうして、需要と供給の連鎖反応がこの市場で起こっている」(同社)

 

 

今週はニュースに関連したAIの使い方や人間がAIに期待していること・していないことについて記述しました。

Jiteraでは、要件定義を書くだけでAIが開発をしてくれる、システム開発AIエージェントを運営しています。生成AIを活用した、システム・アプリの開発のご支援も行っております。

生成AIに関するささやかな疑問や、開発に関するお問い合わせがあれば、こちらよりお気軽にご相談ください。

来週も、Jitera社内で話題になったAIトレンドを発信していくので、お楽しみに!

岩崎亮太

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