システム開発において、要件定義は非常に重要な作業です。
しかし、要件定義とは一体何なのか、要求定義の違いや必要な準備など分からない人も多いでしょう。要件定義について詳しく知っていないとプロジェクトの進行に大きな影響を及ぼす可能性があります。
そこで本記事では、要件定義とは何か必要な準備から進め方まで解説していきます。初心者向けに分かりやすく説明しているので、ぜひ参考にしてください。
システム開発の要件定義とは?
システム開発の要件定義とは、新規に構築するシステムのために、必要な機能や要求事項を明確に定義するプロセスのことです。
例えばオンラインショッピングサイトを開発する場合、「商品を検索できる機能」や「カートに商品を追加できる機能」、「決済機能」など実際に提供したいサービスに必要な機能をリストアップします。
また、同時アクセス者数が1万人に対応できるような「性能」についてや、24時間365日稼働するといった「信頼性」など、システムが備えるべき非機能的な条件も定義します。
要件定義で確立した機能や条件を元にして、設計者やプログラマーが実際のシステム開発作業を進めていきます。要件をしっかり定義しておかないと、開発完了後、ユーザーの期待とシステムの不一致が発生するといった問題が発生する恐れがあります。
要件定義はシステム開発の初期段階でありながら、成功のカギを握る非常に重要な工程といえます。またユーザーと十分なコミュニケーションを取り、実現可能な要件を洗い出す作業が求められています。
システム開発における要件定義、要求定義、要件整理の違い
要件定義は、新しく開発するシステムが備えるべき機能や条件を定義することです。
一方要求定義は、ユーザーや顧客が新しいシステムに対して「こんな機能がほしい」「こういう条件で使いたい」といった要望や希望を集める作業のことを指します。
要求定義との違い
要件定義は新しく開発するシステムの機能や条件を定義することで、要求定義はユーザーや顧客がシステムに対して持つ「要望」をまとめる作業のことを指します。
例えば、新しいスマートフォンを開発する際、あるユーザーから「長時間の連続通話ができる電池がほしい」「大きなストレージが必要」などの要望が要求定義だとします。
要望を踏まえて、開発チームが「5000mAhの大容量バッテリーを採用」「128GBのストレージを標準装備」など、実際に開発するスマートフォンの特徴が要件定義にあたります。
わかりやすく表を用いて説明すると以下のようになります。
項目 | 要求定義 | 要件定義 |
意味 | ユーザーの要望や希望を集める | 要望を実現可能な要件に定義する |
例 | 長時間通話ができる電池がほしい | 5000mAhの大容量バッテリーを採用 |
対象 | ユーザー | 開発チーム |
段階 | 要望の収集段階 | 要件の具体化段階 |
このように、要求定義は顧客側の要望を収集する段階で、要件定義はそれを実現可能な形にしていくプロセスです。
要件整理との違い
項目 | 要件定義 | 要件整理 |
目的 | プロジェクトの目標と範囲を定める | 収集した要件を整理し明確にする |
方法 | ステークホルダーとの会議、ワークショップ | カテゴライズ、優先順位付け |
成果物 | 要件仕様書 | 要件リスト、要件マトリックス |
役割 | プロジェクトマネージャー、ビジネスアナリスト | ビジネスアナリスト、開発者 |
主な焦点 | プロジェクトの成功に必要な機能と非機能要件の定義 | 収集した要件の重複や矛盾の解消 |
要件定義はプロジェクトの目的と範囲を確立するプロセスであり、主にプロジェクトの初期段階で行われます。
この段階ではステークホルダーとの密接な協議を通じて、プロジェクトに必要な機能やシステムの非機能要件を明確にします。
成果物としては、要件仕様書が作成され、これにはプロジェクトで実現すべき具体的な機能が詳細に記述されます。
一方、要件整理は要件定義で識別された要件をさらに精査し、整理する作業です。
このプロセスでは、収集された要件をカテゴライズして優先順位をつけることで、要件の明確化と合理化を図ります。
要件整理の結果として、整理された要件リストや要件マトリックスが作成され、開発チームがこれを基にプロジェクトの設計や開発を進めることになります。
システム開発における要件定義に重要な要件とは
新しいシステムを開発するにあたり、機能、性能、品質、計画性といった要件定義が欠かせません。各要件を明確に記述することで、開発する方向性がしっかりと固まります。要件定義は、システム開発やプロジェクトの成功において非常に重要であり、その成否に大きな影響を与える要素です。
機能
機能要件は、システムが具体的に何ができるかを定義します。eコマースサイトの場合、商品検索機能や決済機能、注文履歴を表示する機能などが機能要件となります。ユーザーが使いたいと考える機能を洗い出し、実現可能なものを選択していきます。機能要件は、ユーザーストーリーやユースケースから導き出すことができます。
ユーザー側の視点で望ましい機能を洗い出す作業が重要です。また定義した機能要件を実際に構築していくことが可能かどうか、技術面で確認する作業もとても大切です。さらに、機能間の依存している関係や対象データを明確にし、それぞれの機能要件が正しいかどうかを確認していくことも非常に大切です。
性能
性能要件は、システムの処理速度や同時処理能力などを示します。
ピーク時(システムが最大パワーで稼働している時)の処理能力も見越して余裕を持った要件設定が重要です。特に最近では利用者の許容時間が短くなっており、高速なレスポンス性能が期待されています。競合サービスとの差別化も重要な視点です。性能テストを行うことで、そこに隠れているボトルネック要素を発見し、最適化を図る作業も欠かせません。
品質
品質要件は、システムの信頼性や安定性、使いやすさといった品質面の条件を定義します。
Webサイトの場合、年間99.9%の稼働率や、ウェブブラウザ・OSに依存しない標準的な表示などが品質要件として定義できます。
品質要件では、システムが常に安定したサービスを提供できることを担保する指標が重要です。
例えば、1年間でシステムが停止できる合計時間を24時間以内に設定する、といった要件が考えられます。停止時間がこの上限を超えることは許容しないという基準を明確に設定し、万が一システム障害が発生した際に、12時間以内に全ての機能を復旧させることを要件として定義できます。
障害から完全なサービス再開までの時間について、上限を設ける例です。
こういったこと以外にも、使いやすさも重要な要素です。操作手順数の上限設定や分かりやすいGUI設計などを要件として規定したりします。品質要件を明確化することで、開発段階からシステムの信頼を高めることが可能となります。
計画性
計画性要件は、プロジェクトの人員体制や工数、スケジュールに関する要件定義です。
計画性要件では、開発工数の見積もりに基づいて、必要な開発人数や期間を定めます。開発プロセスも含め、設計書の作成、コーディング、テスト、そしてリリースといった一連の工程を明示的に要件として定義します。
納期する要件なども設定することで、効率的な開発体制を組むことが可能となります。計画性要件を適切に設定できるかどうかが、プロジェクトが成功する上で重要な要素となっています。
ユーザーからのスケジュール変更の要求への柔軟な計画変更も大切な要素です。頻繁な要件の変更が予想される場合は、アジャイル開発の採用も選択肢の一つとなりえます。
システム開発における要件定義の進め方・作成方法
要件定義書作成の基本フローはまず目的と現状の課題分析からスタートし、システムの全体像を定義した上で、ユーザーの視点から機能要件と、それ以外の非機能要件を洗い出していきます。その後予算・スケジュールとの整合性を図り、最終的に定義した要件を文書化した要件定義書を作成します。この一連の手順について、以下に解説していきます。
手順①課題と目標を明確化し、洗い出す
要件定義書を作成する第一歩は、新しいシステムの目的やゴールを明確にすることです。
- 現行のシステムで不足している機能や問題点は何か
- 新しいシステムでその課題を解決するためになにが必要か
- ビジネス上の目標として何を達成したいのか
例えば「既存の社内システムでは業務データをリアルタイムに共有できていないため、稼働率の低下や業務ミスが発生している」といった課題を明らかにします。そして、「新しいシステムではクラウドを活用し、リアルタイムのデータ共有を実現することで業務効率を20%向上させる」といった目標を設定します。
このように現状の問題認識と、それを解決するための新システムの目的・目標を具体的かつ明確に示すことが、要件定義の出発点となります。
手順②システムの全体的な構成や方向性を決定する
新しいシステムの方向性を決めるために、まずシステムの全体的な構成を定義します。
- システムを構成するハードウェア資源(サーバ・ストレージ・ネットワーク等)を決定
- ソフトウェアの基本構造(クライアント-サーバ型か、Webアプリ型か等)を決定
- 外部システムとの接続方法を決定
- 運用・保守の方針を定める
例えば、クラウドを活用したシステムの場合、IaaS、PaaS、SaaSのいずれを利用するのか、どのクラウドプロバイダを使用するのか、を決定します。
またシステム構築後の運用・保守方針も決定する必要があります。運用担当部署や保守レベル(障害対応時間等)、バックアップ方針等を固めていくことが大切です。
このように、新しいシステムの全体像を決定することで対応範囲が明確になり、要件定義がしやすくなります。
手順③機能要件を定義する
機能要件は、システムが提供すべき機能や処理に関する要件です。
- ユーザーのタスクとシステムの機能のマッピングを行う
- ユーザーストーリーから必要な機能を洗い出す
- 画面遷移や処理フローを定義する
- 必要なデータ項目やデータ構造を定義する
例えばeコマースサイトの場合、「ユーザが商品を検索し、商品詳細を表示し、カートに追加できる」といった一連のユーザータスクから、商品検索・商品詳細表示・カート機能が機能要件として定義されます。
この段階では、どのような機能が必要かを理解し尽くすことが重要です。十分にユーザーとすり合わせを行い、要件漏れがないことを確認することがポイントとなります。
手順④非機能要件を定義する
非機能要件は、システムの動作性能や信頼性、セキュリティといった品質面の要件です。
- レスポンスタイム(処理時間)を定量的に定義する
- 同時アクセス数やデータ量の増加に対する拡張性を決定する
- 運用時間(24時間365日運用など)を定める
- セキュリティ要件(認証、認可、ログ管理等)を設定する
- バックアップや障害時の要件を定義する
例えば、「検索処理時間は1秒以内」「最大同時アクセス数は1万人」「年間99.9%のサービスレベルを保証」といったように、数値目標を定めるのが望ましいです。
非機能要件があいまいな場合テストや運用で問題が発生するリスクが高くなるので、この段階で品質基準を明確化することが重要です。
手順⑤予算・スケジュール調整を行う
定義した要件が、現実的な予算、工数、スケジュールの範囲内で実現可能かを検証し、必要に応じて調整を行います。
- 要件に基づき、必要な開発工数を見積もる
- 既にあるリソールを使用するかどうかを決定する
- 開発テストやリリースに必要な期間を算出する
- 予算・工数が想定された見積もりと大きく異なる場合、要件の優先順位付けや削減を検討する
例えば、想定した機能要件を全て実装するには500人日必要だが、予算上300人日しか確保できない場合、コアとなる機能を優先して実装する方針に変更するといった対応です。
可能な限りユーザー要件を満たす計画を立案することが重要ですが、予算等の制約を冷静に踏まえ要件の修正を検討する必要があるでしょう。
手順⑥要件定義書の作成をする
最後に、要件定義の結果を要件定義書として文書化します。
- 要件定義書には、課題と目的、全体像などの前提背景を明記する
- 機能要件をリスト化し、詳細な仕様を記載する
- 非機能要件も項目ごとに明記する
- 用語定義を行い、要件の定義内容が明確になるようにする
要件定義書は、システム開発を行う上での重要な文書です。要件と実装がかけ離れてしまうリスクを避けるためにも、定義内容を明確かつ正確に記載することが大切です。
ドキュメント管理システムなどを活用し、関係者間で最新版を共有し合うことで、要件定義と設計・開発作業を明確にすることが大切です。
システム開発における要件定義書の作成例・テンプレート
今回は、Webアプリケーション自動連携システム開発プロジェクトとして、要件定義書を作成しました。以下、ご参考ください。
【Webアプリケーション自動連携システム開発プロジェクト 要件定義書】
■目的
現行システムの課題による事務負担を軽減し、システム化が未着手の業務に対応することで、業務効率化を図ることを目的とする
■用語定義
自動連携:既存システムと新システムの間でデータ連携を自動で行うこと
■システム構成要素
システム構成は以下の通りです。
アプリケーションサーバー
連携設定画面と結果表示画面を提供
データベースサーバー
既存システムを流用
■現状の課題
CSV出力・編集・取り込みといった煩雑な手作業が発生している
■目標とする業務フロー
1.担当者がシステム上で連携設定
2.システムが連携処理を自動実行
3.処理完了メールを担当者へ送信
4.担当者が結果をシステム上で確認
■利用者一覧
山田花子、鈴木一郎(担当者やシステムを利用する人の名前一覧)
■機能要件
連携設定画面 ・連携結果確認画面 ・自動処理機能 等
■非機能要件
処理時間:3分以内
利用人数:20人程度
既存システムとの互換性維持 等
■スケジュール
日付・内容は以下のとおりです。
2023年10月10日まで:ユーザーによる要件確認(貴社業務)
2023年10月20日まで:システム開発開始(弊社業務)
2023年10月30日まで:システムのテスト(弊社業務)
2023年11月10日まで:システムのテスト結果に伴う微調整(弊社業務)
2023年11月20日まで:再度システムのテスト(弊社業務)
2023年11月31日まで:開発完了およびデプロイ(弊社業務)
■予算
300万円
システム開発における要件定義に必要なスキル
要件定義を成功させるには、多岐にわたるスキルが求められます。相手の要求をくみ取る力や、コミュニケーション力、プロジェクト管理力が重要となります。以下、詳しく解説していきます。
相手の要求を引き出すスキル
ユーザーが何を必要としているのかを掘り下げて聞き出すヒアリング力が欠かせません。相手の背景を理解し、実際に困っていることを尋ねられるコミュニケーション能力が求められます。
例えば、「新しいシステムへの不安感」がユーザーの本音である場合、十分な傾聴と理解を示すことで要望を引き出せるでしょう。
相手の立場に立って要求の真意をくみ取る共感力も重要なスキルです。またヒアリング時には相手の真意をつかむなど、細やかな対応が欠かせません。要求自体が漠然としている場合は、適切な質問で明確化を図る必要があります。
実現可能なシステムを企画するスキル
技術的な制約やコスト面を理解し、ユーザーの要求する内容を実現可能な形に落とし込む能力が重要です。トレンドを把握し、要求に対して最適なシステム構成を提案できることが必要不可欠な能力といえます。
例えば、「要件に応じたクラウド型とオンプレ型のアーキテクチャのメリット・デメリットを比較検討できること」などのシステムに関する知識、いわゆる高度なスキルが求められます。
コストやスケジュール面も考慮し、ユーザーの要求を満たす最適な技術構成を提案できる能力が欠かせません。また、要件変更への対応力もとても大切になっていきます。
要求を具体的に周りに伝えるスキル
定義した要件を開発者や関係者に的確に伝達できるコミュニケーション力が欠かせません。相手に合わせた説明方法を使い分け、要件の重要性や意図することを確実に伝えられるスキルが求められます。
例えば開発者には技術的な側面から丁寧に説明し、経営陣にはビジネス効果を強調するなど、説明方法を変えることが重要です。
要件定義書も相手や目的に応じて、異なる視点の文書を作成する必要があります。要件の意図や背景を追加で説明したり、具体例を提示することでユーザーに理解を促すことも有効です。
プロジェクトを円滑に進めるスキル
要件定義から開発、テストとプロセスを進めるリーダーシップが必要です。関係者の意見を調整したり作業の優先順位付け等などを行い、工程の遅延なくプロジェクトを進められるマネジメント力が重要となります。
具体的には、要件変更に対する迅速な対応やリスクの早期発見と対策、開発作業の進捗管理、メンバーの意識合わせなど、プロジェクト管理に関する多岐にわたるスキルが求められます。
目的とスケジュールを明確化し、メンバーが一丸となって作業できる雰囲気づくりも重要なリーダーの役割です。
上級者はコレができている!システム開発における要件定義のコツ
要件定義の際、担当者に必要なスキルを磨く方法について詳しく解説していきます。
完成図を思い描くイメージ力
要件定義において、全体像を明確にイメージすることは非常に重要です。以下は具体的な方法と例を通じて、イメージ力を鍛えるヒントです。
リアルなシナリオを使う
システムがどのように機能するかを理解するために、実際のシナリオを思い浮かべましょう。例えばオンライン注文サイトの場合、ユーザーが商品を検索し、カートに追加し、支払いを完了するプロセスを具体的に想像します。
フローチャートを描く
システムの動作を可視化するために、フローチャートを描くことが役立ちます。各ステップや条件を図にすることで、全体の流れを理解しやすくなります。
ユーザーエクスペリエンスを重視
ユーザーの立場から考えましょう。ユーザーエクスペリエンス(UX)を最優先に考慮することで、システムがユーザーにとってどのように使いやすいかを考えられます。
要件定義はプロジェクトの基盤であり、ユーザーやチームとのコミュニケーションに欠かせない要素です。このようにして、完成図を思い描く力を養っていきましょう。
ITリテラシーを磨く
ITリテラシーを向上させるための、以下はシンプルな方法の例です。
書籍とオンラインコースの学習
IT分野に関連した書籍やオンラインコースを活用しましょう。プログラミング、ネットワーキング、セキュリティ、データベースなどの基本的な知識を習得することは重要です。初心者向けの教材も充実しています。
最新のテクノロジートレンドの追跡
IT分野は急速に進化しています。新しいテクノロジートレンドやツールを積極的に学び、業界の最新情報を追跡しましょう。ブログ、ウェビナー、業界ニュースをフォローして知識をアップデートしましょう。
業務内容を深く理解する
業務内容を深く理解するには、業界の専門家や関係者とコミュニケーションを取ることが役立ちます。現場での経験を積むことも重要で、ユーザーの日常業務やニーズを把握することができます。現場での経験を積むことは、業務内容を深く理解するための重要なステップでもあります。
実際の業務プロセスに参加し、ユーザーの日常業務やニーズを直接観察しましょう。ユーザーとのコミュニケーションを通じて、具体的な課題や要求を把握し、それらをシステムに反映させることができます。また現場での経験は、業界特有のプロセスやルールを理解するのに役立ち、より効果的な要件定義につながります。
積極的にアウトプットする
インプットだけではなく、アウトプットもすることは必須要件です。自分のアイデアや要求事項を文書にまとめ、プロジェクト関係者に共有しましょう。また、他のメンバーとの協力を通じてアウトプットを共有し、意見を取り入れることがプロジェクトの成功につながります。
アウトプットを積極的に行うことは、要件定義プロセスの中でも重要なステップです。自分の考えや要求を文書にまとめ、プロジェクト関係者と共有することで、プロジェクトの進行を円滑にしましょう。
またチームメンバーや利害関係者との協力を通じて意見を共有し、要件定義を洗練させる機会を作ります。アウトプットを通じてクリアで共通の理解を確立し、プロジェクトが成功につながるように寄与していきましょう。
曖昧な部分を残さない
曖昧な部分を明確にするために、具体的な質問や指針を活用しましょう。例えばウェブサイトのデザインに関する要件などがあります。
色の指定
どのカラースキームを使用するか、背景やテキストの色は何色にするか明確に指定しましょう。
フォントとサイズ
タイトルや本文のフォント、サイズ、太字の使用など、テキスト関連のデザイン要件を設定しましょう。例えば、”タイトルには ‘Arial’ フォントを使用し、フォントサイズは 24px で、太字にする” という指針が明確さをもたらします。
レイアウトと配置
ウェブサイト内の要素の配置やページのレイアウトについて詳細な指示を提供しましょう。例えば、”メインメニューはページ上部に水平に配置し、フッターにはソーシャルメディアリンクを垂直に表示する” などが具体的な要件となります。
ユーザーとのコミュニケーションを徹底する
ユーザーやステークホルダーとのコミュニケーションを重視しましょう。具体的なシナリオをヒアリングしたり、フレームワークに対するフィードバックをヒアリングすることによって、ユーザーの要望を明確化し、ユーザーの要求や期待を十分に理解することができます。
もし既存のシステムがある場合、その機能や課題を詳しく調査しましょう。例えば、ユーザーからのフィードバックを収集したり、処理の効率化・新しい機能の追加・ユーザーエクスペリエンスの向上の検討したり、既存のシステムで発生している問題や課題を特定したり、現行システムの技術的な側面を調査し使用されているテクノロジーやデータベース構造などを理解したりすることが重要です。
スケジュールの共有も要件定義プロセスにおいて効率性を高める重要な要素です。スケジュールを共有することで、適切なリスク管理、定期的に進捗をチェック、必要なリソース(人員、ツール、設備など)の適切な割り当てが可能になります。スケジュールを共有することによって、要件定義プロセスがスムーズに進行し、プロジェクト全体が効率化されます。
まとめ:システム開発の要件定義は成功の土台
要件定義は、システム開発プロジェクトをする上で、一番の基礎となる部分です。この記事では要件定義の基本から、成功するための具体的なスキルやコツを解説しました。要件定義について理解を深め、プロジェクトを成功に導くためのポイントを振り返りましょう。
まず、要件定義の基本を押さえましょう。要件定義はプロジェクトの全体像を把握し、目標、機能、お客様の要求を明確にする重要なプロセスです。イメージ力を養い、具体的なシナリオやフローチャートを活用して全体像を描くことが大切です。
スキルアップ方法も紹介しました。イメージ力を高め、ITリテラシーを向上させ、業務内容を深く理解し、アウトプットを積極的に行うことで、要件定義の質を向上させることができます。
次に要件定義を成功させるコツに焦点を当てました。曖昧な部分を明確にし、綿密なヒアリングを行い、現行システムの状況を確認し、スケジュールを共有することがプロジェクトを円滑に進めるために重要な要素となっていきます。
最後に、スケジュールの共有を通じてプロジェクト全体の効率化を図ることを強調しました。明確な期限設定、進捗の追跡、リソースの適切な割り当て、リスク管理、コミュニケーションが、スケジュールの共有において重要な要素です。
要件定義の成功に向け、お気軽にJitera社への問い合わせをご検討ください。