プロダクト開発の過程において、プロトタイピングは不可欠なステップです。プロトタイピングとは、製品の初期コンセプトを具体化し、様々なアイデアを形にするプロセスを指します。このアプローチにより、デザイナーや開発者は、実際の製品に先立ってその機能やデザインをテストし、フィードバックを収集することができます。プロトタイピングは、製品のユーザビリティを向上させるだけでなく、開発リスクを低減し、コストを削減する効果もあります。しかし、プロトタイピングには様々な手法があり、それぞれにメリットとデメリットが存在します。適切なプロトタイピングの方法を選択し、効率的に活用することが、成功への鍵となります。
本記事では、プロトタイピングにおける手法やメリット・デメリット、事例を詳しく解説します。
2014年 大学在学中にソフトウェア開発企業を設立
2016年 新卒でリクルートに入社 SUUMOの開発担当
2017年 開発会社Jiteraを設立
開発AIエージェント「JITERA」を開発
2024年 「Forbes 30 Under 30 Asia 2024」に選出
プロトタイピングの概要
プロトタイピングとは、事業の立ち上げや製品開発の初期段階で行われる手法であり、実際の製品やサービスに近い形で機能やデザインを検証するための試作品(プロトタイプ)を作成することを指します。
プロトタイピングは、建築やインダストリアルデザイン、ソフトウェアデザインなどの分野で広く活用されており、新しいアイデアやサービスの開発にも有効であるとされています。
プロトタイピングの目的は、早い段階で製品やサービスの改善点や問題点を見つけ出し、より良い製品につなげることであり、実物のイメージを見える形にすることで実現性を高めることも目的とされています。
利用シーン
プロトタイピングは、新しいアイデアやサービスの開発に向けて活用されることが多いです。
例えば、新しい製品のアイデアが浮かんだ場合、そのアイデアを実現するためのプロトタイプを作成することで、詳細な検討や改善点の洗い出しを行うことができます。
また、既存の製品やサービスの改善を図る場合にもプロトタイピングが有効です。実際に製品やサービスを動作させることで、改善点や問題点を明確にすることができます。
プロトタイピングは、製品開発やサービス開発の初期段階で積極的に活用されることが多く、より良い結果を得るために有効な手法と言えます。
プロトタイピングの手法
手法1
手法1では、ペーパープロトタイピングを使用します。ペーパープロトタイピングは、紙や鉛筆を使用してアイデアを形にする手法です。この手法は、アイデアの素早い検証やフィードバックの収集に適しています。
具体的な手順は以下の通りです。
- アイデアを紙にスケッチします。
- 作成したスケッチを切り取り、実際の製品やサービスのように配置します。
- このプロトタイプを利用して、ユーザーのフィードバックを収集します。
- フィードバックを元に改善を加え、再度プロトタイプを作成します。
ペーパープロトタイピングは、費用や時間をかけずにアイデアの形にすることができるため、初期段階でのアイデアの検証に有効です。
手法2
手法2では、ワイヤーフレームを使用します。ワイヤーフレームは、Webデザイナーや情報アーキテクトによって作成されるウェブページやアプリケーションの初期のデザイン案であり、ユーザーのインタラクションやコンテンツの配置を示すものです。
ワイヤーフレームは、以下の手順で作成します。
- ペーパープロトタイピングを作成します。
- 作成したペーパープロトタイプを基に、デジタルツールを使用してワイヤーフレームを作成します。ワイヤーフレームでは、ユーザーインターフェースの要素やナビゲーション、コンテンツの配置などが明確になります。
- ワイヤーフレームを利用して、ユーザーのフィードバックを収集します。このフィードバックを元に、デザインや機能の改善を行います。
ワイヤーフレームは、製品やサービスのデザイン案を具体化するための有力な手法です。ユーザーのフィードバックを収集することで、より使いやすいデザインを実現することができます。
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プロトタイピングのメリット
プロトタイピングのメリットは、完成後の手戻りを防ぐことや、早期の課題発見、プロダクトやサービスの品質向上、コミュニケーションの改善などが挙げられます。
完成後の手戻りを防ぐことができること
プロトタイピングでは、実際の製品やサービスに近い形で試作品を作成するため、完成後の手戻りを防ぐことができます。早い段階で機能やデザインを検証することで、問題点や改善点を見つけ出し、改良を加えることができます。これにより、後々の開発工程での手戻りや修正作業を大幅に減らすことができます。
早期の課題発見できること
プロトタイプを作成することで、実際に製品やサービスを使用し、機能やデザインの問題を早期に発見することができます。ユーザーの反応やフィードバックを得ることで、改良や修正の方向性を見つけ出すことができます。早期の課題発見により、製品やサービスの品質を向上させることができます。
以上がプロトタイピングのメリットです。プロトタイピングを活用することで、製品やサービスの開発プロセスを効果的に進めることができます。
プロトタイピングのデメリット
時間とコストがかかること
プロトタイピングのデメリットの一つは、時間とコストがかかることです。プロトタイプの作成には時間と手間が掛かり、またプロトタイプを作るためのツールや素材の購入にもコストが掛かる場合があります。特に、ハイファイプロトタイピングの場合は、高度な技術や専門知識が必要となるため、それらの獲得にも時間とコストが必要です。
実際の製品やサービスと異なる場合があること
もう一つのデメリットは、プロトタイプが実際の製品やサービスと異なる場合があることです。プロトタイプは、最初のアイデアを具体化するためのものであり、実際の製品やサービスとは異なる部分や制約が存在する場合があります。このため、プロトタイプによって得られたフィードバックや評価結果が、最終的な製品やサービスに反映しきれない可能性があります。
しかし、これらのデメリットは計画的なプロトタイピングの実施や適切なプロトタイプの選択、効果的な改善プロセスの導入によって軽減することができます。プロトタイピングのデメリットを理解し、その上で適切に活用することで、より良い製品やサービスを開発することができるでしょう。
実際の事例
事例1:Coloplast
Coloplastは、医療機器メーカーであり、泌尿器関連製品の開発においてプロトタイピングで事業を推進。製品開発の初期段階で、患者や医療関係者の意見を取り入れ、プロトタイプを作成しました。これにより、実際の製品の形や機能を評価し、改善点を見つけ出すことができます。このアプローチにより、製品開発の効率性が向上し、より使いやすい製品を提供することができるようになっています。
事例2:CAFU
CAFUは、石油製品のデリバリーサービスを提供する企業です。彼らはサービスのデザインやアプリケーションの開発においてプロトタイピングを使用しています。新しいサービスや機能について、実際のユーザーの意見やフィードバックを取り入れるために、プロトタイプを用いて評価を行っています。これにより、顧客のニーズに合ったサービスの提供や問題の解決が早い段階で行えるようになっています。
まとめ
プロトタイピングは、事業の立ち上げや製品開発の初期段階で行われる手法であり、実際の製品やサービスに近い形で機能やデザインを検証するための試作品(プロトタイプ)を作成することを指します。プロトタイピングは、建築やインダストリアルデザイン、ソフトウェアデザインなどの分野で広く活用されており、新しいアイデアやサービスの開発にも有効です。
プロトタイピングの目的は、早い段階で製品やサービスの改善点や問題点を見つけ出し、より良い製品につなげることであり、実物のイメージを見える形にすることで実現性を高めることも目的とされています。プロトタイピングのメリットは、完成後の手戻りを防ぐことや、早期の課題発見、プロダクト・サービスの品質向上、コミュニケーションの改善などが挙げられます。
この記事ではプロトタイピングの基礎知識をご紹介しました。プロトタイピングについてまずはどのようなものか理解したいと考えている方、プロトタイピングを新規事業で検討されている方にとって、参考になりましたら幸いです。
プロトタイピング含めた新規事業開発などご計画の方はぜひ一度Jiteraまでご相談ください。