拡張現実(AR)・複合現実(MR)・仮想現実(VR)の違いとは?各事例も紹介

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ムラ

金融機関常駐SEとして、常駐先の社内システム開発に携わっている現職SE。 開発に関する上流から下流まで経験。最近ではSalesforceなどのSFAツールを用いたシステム開発に着手。

デジタル化や映像技術の進歩によって注目を集めている現実空間と仮想空間を融合させて新しい体験を作り出す技術に拡張現実(AR)や複合現実(MR)、仮想現実(VR)があります。

VRなどはゲームなどで広く浸透していますが、MRやARについて、またその違いについて知らない人も少なくないでしょう。

本記事では、拡張現実(AR)、複合現実(MR)、仮想現実(VR)のそれぞれの特徴や違い、各事例を紹介していきます。ARやMR、VR領域に興味ある人や導入を検討している人はぜひ参考にしてみてください。

AR・MR・VRの比較表

AR(仮想現実) MR(複合現実) VR(仮想現実)
世界観 現実世界がベース 現実世界をベースに仮想空間を融合 仮想空間がベース
利用技術 現実世界に仮想世界の情報を付加して投影させる技術です。 現実世界に仮想世界の情報を付加し、さらにユーザーの動きや環境をマッピングすることでコンテンツに干渉させる技術です。 コンピューター上に作り上げた仮想空間に入り込み、リアルに近い体験ができる技術です。
メリット ・リアルタイムで情報提供可能

・スマホがあれば誰でも体験できる

・現実世界に新たな価値が付与される

・現実空間で3Dデータをあらゆる角度から確認できる

・複数人で同じデジタルコンテンツをリアルタイムに共有できる

・体験のシェアがしやすい

・動画や音楽コンテンツを同時に楽しめるリッチコンテンツ

デバイス ・スマートフォン
・タブレット
・ARグラス
・ヘッドマウントディスプレイ型VRヘッドセット
・MRグラス
・スマートフォン
・VRゴーグル
・VRグラス
・ヘッドマウントディスプレイ型VRヘッドセット
コスト 比較的安価 高い 高い(スマートフォン用だと比較的安価)
利用例 ・企業のマーケティングやPR

・エンターテインメント(ゲーム、SNSなど)

・ナビゲーションやインフォメーション

・教育コンテンツ

・シミュレーション

・教育や訓練用コンテンツ

・コミュニケーションツール

・エンターテインメント(ゲームなど)

・エンターテインメント(ゲーム、映画など)

・スポーツ観戦

・教育や訓練用コンテンツ

・旅行や不動産の確認

拡張現実(AR)とは?

拡張現実(AR)とは、Augmented Realityの略称で現実世界の画像や映像にデジタル情報を付加する技術です。

スマートフォンやタブレットがあれば利用できるため、利用や開発に対するハードルは比較的低いといえます。

ARの利用や開発で失敗しないためには、その基本概念や仕組み、事例について理解することが重要です。

こちらでは、拡張現実(AR)の基本概念や現実世界にデジタル情報を融合させる仕組み、またAR技術を用いた事例についてみていきましょう。

拡張現実(AR)の基本概念

拡張現実(Augmented Reality、AR)は、ARデバイスを通じて現実世界にデジタルコンテンツなどの情報を付加して拡張し、現実世界にデジタルな情報を重ねて同時に視覚的に認識できる技術です。

スマートフォンごしにかざした場所に家具の映像を投影したり、ポスターをかざして画面上でアニメーションを動かすなど現実を拡張するコンテンツとなります。

現実世界にデジタルコンテンツを重ねる仕組みは以下の順序です。

  1. 現実世界の情報とデジタルコンテンツの紐づけ設定
  2. 現実世界の位置情報や空間など特定の情報をデバイスで検知
  3. 検知した情報を基に紐づくデジタルコンテンツをデバイスに投影

まず、現実世界の情報とデジタルコンテンツの紐づけ設定を行います。具体的な現実世界の情報として周囲の環境にあるモノや場所とコンテンツを紐づけることが特徴です。

次に、実際にスマートフォンやタブレットなどのデバイスに搭載されているカメラやセンサーなどで周囲の環境やモノを検知します。検知したデータを基に紐づけたデジタルコンテンツをデバイスの液晶に表示します。

拡張現実(AR)の事例

拡張現実(AR)は、ゲームやプロモーション、ナビゲーションと幅広く活用されています。

こちらでは、AR技術を活用した事例についてみていきましょう。

ポケモンGO

ポケモンGOは、スマホをもって歩き回ることで現実世界でポケモン捕獲や対戦などの体験ができるARゲームです。

スマートフォンの位置情報を検知することで現実世界で歩き回った情報が反映されポケモンが出現するフィールドを移動できます。

またカメラ情報を用いることでポケモンの捕獲やポケモンを現実世界に投影することが可能です。

AR技術を活用したことで、現実世界にポケモンがいるかのような体験ができるようになりました。

IKEA Place|イケア

大手家具メーカーであるイケアは、AR技術を活用して家具の試し置きができる「IKEA Place」アプリをリリースしました。

このアプリでは、ユーザーが家具購入前に自宅に家具を置いた場合にどうなるのかを確認可能です。

ユーザーが事前に自宅に置かれた商品を確認できるため、家具選びに失敗しないカスタマーサクセスを通して顧客満足度向上につながりました。

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複合現実(MR)とは?

複合現実(MB)は、Mixed Realityの略称で現実世界をベースにデジタルコンテンツを投影する技術です。

ARと似ており、混同して考えてしまう人も少なくないでしょう。MRは一般的にビジネスへの活用が主と言われています。

ビジネスへ有効活用するためにもMRの基本や活用事例を抑えておくことは重要です。

こちらでは複合現実(MR)の基本概念や特徴、活用事例について解説していきます。

複合現実(MR)の基本概念

複合現実(Mixed Reality、MR)は、現実世界にデジタルコンテンツを合成させて相互に影響しあう空間を作り出す技術です。

カメラやセンサーで周囲の環境や現在位置だけでなくユーザーのモーションを検知することで、ユーザーの動きがデジタルコンテンツに干渉できるようになっています。デジタルコンテンツへの直接的な干渉の可否がARとの違いといえるでしょう。

MRは基本的にヘッドマウントディスプレイ型のヘッドセット等で利用可能で、複数ユーザーでコンテンツの共有ができます。

ユーザーがデジタルコンテンツに直接干渉できたり、複数ユーザーで共有できることから、企業の製品デザインや試作品のシミュレーションなどで活躍しています。

特に試作品のシミュレーションなどは、試作品製作にかかるコストの削減だけでなく、これまで行えなかったシミュレーションがデジタルで行えるようになったことで生産性の向上やコスト削減などのメリットがあることが特徴です。そのため、MR技術はゲーム以上に、ビジネスへの応用が期待されている分野といえます。

複合現実(MR)の事例

MR技術の事例を紹介し、産業界での利用や未来の可能性について探ります。MRがどのように革命をもたらすかを示します。

複合現実(MR)は、現実世界をベースにデジタルコンテンツを投影、干渉ができる技術です。先述の業務改善ツールとしてだけではなく、ゲームや教育・訓練コンテンツとしても活用できます。

こちらでは、MR技術を実際に用いた活用事例についてみていきましょう。

東急建設

東急建設では、建設工程の担当者間でのイメージのずれを防ぐためにMR技術を用いて、建物の完成イメージの共有などの取り組みが進められています。

東急建設では、ヘッドマウントディスプレイ型ヘッドセットである「Hololens」の活用が進められており、3Dモデルでレンダリングされた建物のイメージをリアルタイムであらゆる角度から確認可能です。

担当者や作業者間での詳細なイメージの共有ができたことで、作業全体の品質の向上や業務効率化に繋がりました。

キヤノン株式会社

キヤノン株式会社ではMR用のヘッドマウントディスプレイである「MREAL」やVRを活用してデザイン開発されており、カメラやプリンターなどに加えて医療機器や商業印刷機などの大型機器のデザインに活用されています。

MR技術でデザインを行ったことで、検証時の課題の重要度を掴むことが難しいことや試作機にかかるコストがかかるなどの課題の解消に役立ちました

仮想現実(VR)とは?

仮想現実(VR)とは、Virtual Realityの略称でVRデバイスを通してみる仮想空間が、まるで現実世界のように没入できる体験を提供する技術です。

ARやMRと異なり100%仮想世界で構成されており、現実世界が干渉することはありません。

VR技術はARやMRと比べても世間に浸透しておりゲームを含むさまざまな分野で開発や活用が進んでいます。

VR開発についてより詳細に知りたい人はこちらの記事で紹介しています。

仮想現実(VR)の基本概念

仮想現実(Virtual Reality、VR)は、コンピューターグラフィックやセンサー技術を活用して仮想世界を構築する技術です。

専用のゴーグルやヘッドフォンを活用することで視覚や聴覚に訴えかけ、現実感のある映像や音響による完全な仮想空間体験を提供します。

VRには視聴型と参加型の2つのタイプがあり、視聴型は3D映像を見ることに特化して、参加型は映像の中を動いたり、映像の中のものに触れたりすることが可能です。

仕組みとしては、左右の眼で見る時の差異をVRで意図的に起こすことで3Dの映像コンテンツを提供しており、更にセンサーで顔の動きや手の動きをトラッキングすることで顔の向きに合わせて映像を動かし、触れているものに干渉が起こせます。

限りなく実体験に近いリアルな体験ができ、場所や時間を問わずに利用可能です。ゲームなどのコンテンツで有名ですが、表現の自由度が高いこともありさまざまな分野で応用されており注目度の高い分野といえるでしょう。

仮想現実(VR)の事例

VR技術は、ゲームやスポーツ観戦などのエンターテインメントに特化している印象ですが、昨今では教育に利用されるなど幅広い領域で活用されています。

こちらではVR技術の事例を紹介し、私たちの生活にVRがどのような影響を与えているのかみていきましょう。

積水ハウス

積水ハウスでは、VR技術を利用して物件の内覧会や施工事例を紹介しています。

新居を考える際には住宅展示場などに足を運び複数の展示場を回らなくてはいけません。

VRでバーチャル展示場や邸宅の設計を3Dモデルで見せることで、内覧にかかる消費者のタスクを減らし、さまざまな住宅をVRで自由に見学可能になりました。

顧客によりよい物件情報を多く提供できるため、顧客満足度の向上効果が期待できます。

N高等学校

N高等学校では、VR技術やAR技術を活用した授業が実施されています。

2021年4月からVR学習を本格的に取り入れており、メタバース上で授業が受けられるほか、アバターを用いてスポーツやゲームなどが盛んに実施されていることが特徴です。

授業の教材として3Dデータが活用されており、生徒自身が教材に触れて学習することで、これまでにない学習体験を実現しました。

まとめ

このように拡張現実(AR)と複合現実(MR)、仮想現実(VR)は、基本概念や特徴などから異なることが分かります。

ARとMRは共に現実世界をベースにデジタルコンテンツを投影する点では似ていますが、ARはデバイス越しに表示させるだけなのに対して、MRは更にユーザーの動きを検知してデジタルコンテンツに直接干渉ができるなど違いが多いです。逆にVRは仮想世界の中だけで完結するため、現実世界をベースとするARやMRとは異なります。

活用されている分野も異なり、エンターテインメント開発が進んでいるものやビジネスで重点的に利用されているものがあることも分かりました。

昨今ではメタバース領域の注目が進んでおり、今後よりARやMR、VRの重要性が高まっていくことでしょう。

ARやMR、VR技術の導入を検討している場合や不明点がある場合は、ぜひ株式会社Jiteraに一度ご相談してみてはいかがでしょうか。

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金融機関常駐SEとして、常駐先の社内システム開発に携わっている現職SE。 開発に関する上流から下流まで経験。最近ではSalesforceなどのSFAツールを用いたシステム開発に着手。

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